無に帰すとも親愛なる君へ   作:12

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お久しぶりの連続投降。あんな引きをしといて天子様出て来なくてスミマセン。だいぶ先まで出ません。書かなきゃいけないキャラが多すぎて混乱する、、、


3-2

二人の親交は、7年とすこし前からスタートしていた。

大貴族アールストレイム家の娘であるアーニャが、行儀見習いにナナリーの住むアリエス宮へやってきたのだ。皇族以外の同じ年頃の同性と関わるのはナナリーにとって初めてで、アーニャもまた、皇族と関わるのは初めてだった。

マリアンヌの方針で一緒に勉強することになったナナリーとアーニャは、緊張しながらも、ゆっくりと仲良くなっていった。そのころのナナリーが天真爛漫そのもので、初めの緊張さえなくなれば、押せ押せと話しかけにいったせいもあるだろう。皇族相手で戸惑っていたアーニャもまた、そんなナナリーに惹かれた。

アーニャがルルーシュとも話すようになり、良好な関係を築いた矢先、けれど二人は離れ離れになることになる。そう、あの事件だ。母の命と、兄の自由な足を永久に奪った忌まわしき事件。

アールストレイム家はすぐにアーニャを迎えに来てしまい、別れすらまともに言えぬまま。ナナリーがたくさんの管に繋がれて眠るルルーシュの傍らで、ぐすぐすと泣いている間の出来事だった。

そしてその二か月後にはナナリーはルルーシュすら奪われて、ひとりぼっちになってしまったのである。ついこの間まであたたかさに満ち溢れていた宮に残された自分ひとり。ジェレミアと名乗る若い男が忠誠を誓っているのすら、ナナリーにはどこか遠くに聞こえていた。まるで水の中にいるよう。プールの中でひとの声を聞いたとき、こんな感じだったなあとぼんやり思った。

どうしてと泣こうとも、喚こうとも。ナナリーの現実は、寒々しいがらんとしたこの宮。

覚えている。よく、覚えている。

あの底なしの寂しさと、絶望を。

ナナリーはパイロットスーツを着る。今日はブリタニア軍への慰問、それから指導だ。知らない年上の男性たちにものをいうのは、正直なところ何度やっても慣れない。気が重くないと言えば嘘になるが、やってみせるしかないではないか。アーニャに、それからヴィレッタもいる。大丈夫だ。

ナナリーは真っ黒い喪服のようなマントを羽織り、鏡を見つめた。首から胸にかけ、大きくブリタニアの紋章が入ったパイロットスーツ。

それはかりそめの服従であり、戒めであり、十字架だ。

これがある限り、ナナリーはあの時の自分と同じ思いを、数多の罪なき人々に与え続ける。

衣食住の心配をしなくていいだけ、自分はまだましだったのだ。

結局虐げられる人々の気持ちなどわかってはいない。

自らの正当化にだけ必死になって、誰かの明日を奪っている。

 

 

 

「どぉ~もぉ、皇女殿下、お久しぶりでぇ~す!」

「こんにちは、ロイドさん。セシルさん」

ナナリーはアーニャを連れて、第ニ皇子シュナイゼル直属の、特別派遣嚮導技術部へと向かった。

研究施設独特の香りを吸い込みながら、ナナリーは作業員たちが集まってこようとするのを手で制した。それでも迷う気配を見せる彼らに、どうぞ続けてくださいと促す。

ナナリーはエリア11に来る前から、彼らに自分のナイトメア制作を依頼していた。

兄の厳しいチェックとナナリーの注文が入るため、完成にはまだもう少しだけかかる。だからただの様子見だ。ナナリーが気になるのだ、第7世代ナイトメアとはどんなものか。

既に完成している、ルルーシュに禁じられているKMF――ランスロットを見上げる。格納庫に仕舞われていないということは、何かしらの調整をしていたのだろうか。

「殿下、こっちですよお」

ロイドの声に導かれるまま、ナナリーは研究室の奥へと入ってゆく。

その機体を目にして、ナナリーは感嘆の声を上げた。

「まだ乗れませんけどね。見た目はだいたいこんな感じになるんじゃないかなぁ~」

「本当にこの色でいいのですか?」

セシルが不思議そうに尋ねる。ナナリーは頷いた。自分の何倍もある大きな姿を見上げ、ほうとため息が漏らす。

「かっこいい……」

そこに鎮座していたのは、ランスロットと同程度の大きさのナイトメア。こちらのほうが少し大きいだろう。その代わりにもちろん脱出ポッドはついているし、妙な共鳴作用もできるだけ抑えられている。ランスロットをナナリー用に弄ったというのが正解だろうか。ルルーシュがほとんど脅しに近い命令をし、そういった危険性を排除したのだ。ナナリーはそんなこと覚悟のうえでKMFに乗っている。今更だ。ルルーシュとの度重なる口論の結果、ぎりぎり勝利をもぎ取った結果と言えるだろう。そのため、ランスロットほどスマートにはなれていない。性能もわずかに落ちてしまう。しかし今までグロースターに乗っていたことを思うと、この機体でできるであろう動きは、きっと以前とは比べ物にならない。

人型に近い形のそれは真っ黒で、研究室の電灯に照らされきらりと光沢を放っている。黒くない部分は一か所もなく、闇の中に溶けて消えてしまいそうだ。

「世界で二台目の第7世代KMF、ランスロット・モルガン。機動性抜群、防御力ばつぐん、もちろん攻撃力もば~つ~ぐん!」

ロイドが腕を広げ、モルガンを示して見せる。

ランスロットに機動力でわずかに劣る分、余計な機能は削がれに削がれ、使い方次第ではランスロットをも上回るだろう。火力は十分だ。

「このままデヴァイサーが現れなければ、ランスは試作としてお蔵入りになっちゃいそうですねぇ。僕としては適合率88%の殿下に乗ってもらいたかったんですけどぉ」

「お兄様が、近いうちに見つけると仰っていましたけれど……」

セシルに案内してもらい、コクピット内を見せてもらう。随分と狭い。操作の仕方も今までとは異なるだろうことが、一目でわかった。あれこれ説明されながら、ナナリーはよくコクピットを観察した。一通り教授を受けると、今度はナイトメアが持つ武器を見せてもらう。見たこともない武器ばかりだ。

「これは?」

「そちらはVARIS――Variable Ammunition Repulsion Impact Spitfire、可変弾薬反発衝撃砲です。弾薬の反発力をコントロールできまして、従来のライフルとはけた違いの性能なんですよ。砲撃形態に移行することも可能なんです」

セシルが楽しそうに説明する。

「春には出来てたんですけど、最近パワーアップ目指していろいろやってるんですよぉ。もうちょっと改良したいんですよねえ」

「すごいですわね……」

スラッシュハーケンで主に戦うナナリーとしては、このままでも構わない。

しかし、とうとうと説明を続けるロイドに、興味を惹かれたのもまた事実。

「……これ、わたくしが使わせて頂くことは?」

「お、お、興味がおありでぇ?」

ロイドが嬉しそうに言う。眼鏡の奥で瞳がらんらんと輝いていた。

「ナナリー殿下のナイトメア制作に関しては、完全に別で予算が下りてるんです。ルルーシュ殿下から」

きっとルルーシュが、シュナイゼル異母兄に援助してもらうのを厭ったのだろう。これ以上借りを作りたくないと、そう思っているに違いない。二人でケチケチして貯めてきた予算は、こういう時の為にあったのだ。

(シュナイゼルお兄様だって、そんなつもりはないと思うのだけど)

ただ、必要とあらばそれを逆手にとるのがシュナイゼルだ。ナナリーも、そこのところはよく理解している。

けれどもナナリーがルルーシュの次に懐いている兄はシュナイゼルなので、個人的には少し悲しいところだ。

『みんなが争わなくていい世界に、なればいいなと思うよ』

7年前のシュナイゼルの言葉。

やり方が違うだけなのだ。

ナナリーは、エリア支配に苦しむすべての民の安全と、そして誇りを取り戻したいと思う。

シュナイゼルは、エリアすべてを平定し、すべてをブリタニアが支える平和を求めている。

きっと話し合えばわかるはずだ。シュナイゼルのもとを訪れて、世界を知ろうとしていたあの頃のように。ナナリーの想いを伝えることはクーデターそのものだから、今はまだ、出来ないけれど。幼さに任せて気持ちを訴えてみた返事が、先の言葉だ。

「どうですか、ナナリー様~?」

ロイドが悪徳業者のようないやらしい笑みを浮かべ、奇妙なダンス(の、ようなもの)を踊ってみせる。ナナリーはぼんやりと思考に沈んでいたことにはっとして顔を上げた。幸い、3人はナナリーが違うことを考えていたのには気づいていないようだ。

ナナリーは再び、その新型兵器を見る。

つまりナナリーがこれを「使う」といえば、その瞬間から予算のことを考えず好きにできるということだ。

今度こそまともに、しばし考える。ルルーシュは好きに使えと微笑むだろうけれど、ゼロ部隊の残りの面々のことも考えなくてはならない。しかしこれが完成すれば、アサルトライフルにここにあるヴァリス、それに加えてこれと、選択肢が広がることになる。

頬に人差し指を当てて、うーんと唸った。

意見を求めてアーニャを見る。すると彼女はふるふると首を振り、

「心配いらない。アールストレイムが、エリア11総督就任祝いに結構な寄付をしてくれてる」

そのお金で、多分私のナイトメアを作る。

と、付け足すので。

「……じゃあ、わたくし、このヴァリスをモルガンに装備したいと思いますわ」

にっこり笑って、言った。

 

 

 

 

アーニャと再会したのは、ルルーシュが中華連邦より戻った後だった。

貴族の娘に会いたいというくらいなら、皇族権限を振りかざしてもいいのだとルルーシュが笑って、ナナリーはようやく安心して願いを口に出すことが出来た。アールストレイム家はもうヴィ家に関わりたくないと思っているのは、ナナリーはよくわかっていたからだ。

あのころとは何もかもが変わってしまったアリエスで、再び二人は顔を合わせた。

ナナリーはヴィレッタに軍人としての訓練を、ルルーシュにナイトメアのコーチを受け始めたばかりで、生傷をいくつも作っていたし、手にはKMF操縦者特有のまめができていた。それを見たアーニャは大層驚いて、おろおろしながらナナリーに事情を尋ねた。ナナリーの現在の状況を、アーニャはほとんど知らなかったのである。

以前と変わらないアーニャを少しだけ羨ましく思いながら、ナナリーはすべてを話した。

兄との約束、それ以外を。

『10歳になったら戦場に出る』、その言葉に同い年の少女は目を見開いた。

「そんな……!そんなの、危険」

「わかっているわ。でもそうしないと、私もお兄様も生きていけないのです」

「そんなことない。きっと他に道が……」

「ないのです、アーニャ」

ナナリーは静かに首を振った。

「死んじゃうかもしれないのに」

「その覚悟はあります。お兄様を守って死ねるなら、本望だわ」

この一年で、ナナリーは知った。世界が優しいだけではないことを。恐ろしいもので満ちているということを。

一触即発状態の地に兄だけ追いやられて、ナナリーは、どうにか現状を知ろうと努力した。

6歳だったナナリーに、大人の難しい事情はわからない。それでもわかろうとした。今はわからなくても、いずれきっとわかるから、今はなんとかしがみ付いて、知識として取り込むべきなのだと。

簡単な単語すら綴りがわからなかったというのに、今思えば随分に無謀な話だ。新聞や本を読めるようになるために、まず言葉から取りかからねばならなかったのだから。できることといえば、それしかなかったのだから仕方がない。腐っても皇女、学びは同年代の市井の少年少女よりかはずっと進んでいただろう。しかし、だから大人の世界の話をすべて理解できるかと言われれば、まさかそんなわけはなかった。それでも幸いなことに、時間だけはあったのだ。

今となっては、あの時の自分は英断をしたと断言することができる。

ナナリーは自分が学んでいることの半分も理解できていないと知りながら、それでもアーニャが言うほど簡単に皇族として「生きる」ことができるとは思わなかった。

まだ舌足らずな幼い声で、毅然として言うナナリー。二人の側に控えていたジェレミアが涙をこらえていたことをナナリーは知らないが、その言葉を正面から受け止めたアーニャもまた、泣きたい気持ちになってしまった。うるませた瞳をそのままに、おろおろしながら、アーニャは言った。

「……じゃ、じゃあ、わたし、わたしが……私がナナリー様を守る。ナナリー様のナイトになる」

ただの勢いからか、それとも揺るぎなき決意か。

騎士候補として決まったときに尋ねてみれば、彼女は「どちらも」と言った。

 

特派を出て、車を呼んで政庁から出て少しの軍基地に向かう。ヴィレッタもそちらに向かっているはずだ。

力を抜いて目を閉じ、しばしの休息をとる。

あれから7年。アーニャは士官学校に入ることなく、ナナリーとともに歩むことに決めた。

違う可能性はあったのかもしれない。それこそ彼女の言った通り、他に道があった。アーニャ・アールストレイムの貴族の娘としての人生を狂わせたのはナナリーだ。奪ってばかりのこの人生で、いちばん初めに奪ったものだった。

たったの7歳で人生を決めてしまうなど、早計にも程がある。

自分のことを棚に上げ、ナナリーは思う。皇族という何より重い肩書を背負う自分と彼女とでは、わけが違うのだ。

むろんアールストレイム家が、娘をヴィ家にくれてやることなど許すはずもない。

そんなことをして皇帝の癇に障れば一族はおしまいだ。

だから、ナナリーはアーニャの気持ちだけで十分だと思った。嬉しかった。変わらぬ情がまだここに、もうひとつあったのだと。またひとつ、信じる心を捨てずに済んだと。

そのまま友の手を放さずに済んだのは、兄、ルルーシュのおかげだ。

アーニャが帰った後、夕食の席でルルーシュにその話をした。心のどこかでしょんぼりしているさまを気取られぬよう、嬉しさだけを語り、気丈に話したつもりだった。

するとルルーシュは、ナナリーの予想(そうか、と微笑んで頷くとか)を裏切って難しい顔をし、それからすぐさまアールストレイム家――ではなく、シュナイゼルに連絡を取った。自分の力でどうにもならないのなら、宰相候補として活躍する彼にこそ頼るべきだと、そういう心づもりである。

あの時のルルーシュの行動の素早さといったらなかった。

「アーニャが自分からそうなりたいと言ったんだろう?好きあってる者同士、力に引き離されるのはもう御免だよ」

と、ここは予想通りに優しく笑い、ナナリーの頭を撫でた。

そうしたら安心してしまって。

内に込めていただけの昂った感情は決壊し、わんわんとルルーシュの胸で泣いたのだ。あれほど泣いたのは、きっと母が死んで以来初めてだった。ずっと堪えていたのだと、止まらない熱いものを頬に感じながら自覚した。

 

 

運転手の声で、ナナリーは目を開ける。もうすぐ着きますとの言葉通り、車は駐車場へと向かっていた。軍基地らしい武骨な音が、車の外から聞こえてくる。

隣のアーニャに声をかけようとして、やめた。

疲れが出ているのだろう。ナナリーの騎士はすうすうと眠っていた。

ふっと頬が緩む。

もう少しだけ寝かせてあげたい。

ナナリーは小さな声で運転手に返事をすると、座席にもたれ、その穏やかな寝顔を見つめていた。

 

シュナイゼル異母兄に頼った結果、どうなったか。

言うまでもない。

だって今自分の隣に大事な伴があること、それが結果であり、すべてだ。

 

 

 

 

――あの時アーニャ・アールストレイムを引き止めたのは、情からではなかった。

ナナリーが望んでいるから。それが第一で、アーニャの気持ちについては考えていなかった。大人しくやや表情の乏しい見た目とはうらはらに、彼女は感受性豊かなのだ。あの年にしてすでに戦地を眺めていたナナリーに感化されただけだろうと、そう思っていた。

だからこそ逃げられてはたまらない。

ナナリーが欲しいと言うものを、権力に溺れた大人に奪われてたまるか。あの事件以来なにもかもに遠慮がちになったナナリーが、久方ぶりにわがまま(だとはルルーシュは思わないが)を言ったのだ。あの子と一緒にいたい、と。

それにアーニャが本当に騎士になるというのなら、好都合。ナイトであるならば、いざという時に必ずナナリーの盾になってくれる。信用できる人間の数がごっそり減ってマイナスを記録している今、少しでも可能性を残しておきたい。主を守って死ねるなら、騎士の本望だろう。

すべては打算。ルルーシュがシュナイゼルに連絡をとった段階では、アーニャ・アールストレイムという少女の人生がどうなろうと、知ったことではなかった。その命すら。

彼女にはナナリーのために、約束された生を捨ててもらう。

抵抗なくその思考を終えたとき、自分の冷酷さに自嘲が漏れたものだ。母のいるあのあたたかいアリエスで、自分自身も親交を持っていたと言うのに。

ルルーシュは、どうしようもなく何かを失ってしまったらしい。

もう取り返しがつかないものだと、その時に気が付いた。

策略なしでは、どうやら自分はもう生きられない。だって、それでは生きていけないことを知ってしまった。それはこの魑魅魍魎の蔓延る皇宮だろうと、テロリズムの横行する外の世界だろうと同じこと。

一抹の寂しさはあった。自分を取り巻く環境は少年時代と永久に別れを告げさせ、容赦の無い修羅の世界に放り込もうとしている。

だけど自分が選んだ道。

ならばと、ルルーシュは冷徹に生きることにしたのだ。

 

気持ちのいい秋晴れのある昼日中。久々の休日。総督就任が決まってから、休みとは無縁の生活をしてきた。誰とも休暇の予定が合わなかった――強いて言うならL.L.だけ――日。休日は仕事をしてはならないというナナリーの厳命に従っているルルーシュはやることもなく、同じ顔の男と世界情勢から夕飯のメニューについてまでを語り合いつつ、チェスを打ち合って遊んでいた。今後のエリア11を左右する発言もぽんぽん飛び出していたので、枢木スザクあたりが「お遊び」なんて聞けば、激怒のままに政庁を爆破させたかもしれない。ちなみに、1勝2敗で一度切り上げた。

散歩に出ようと屋上庭園に向かうため私室を出たら、アーニャの猫がなぜか廊下に出ていて、出来ない自分の代わりにL.L.にしゃがんで拾ってもらったのだ。どうやらアーニャの私室の隣の、小さな猫専用部屋――といっても、そこにあるベッドで妹主従が仲良く眠っていることも多々あることから、第二の寝室と言って差し支えないかもしれない――にカギがかかっておらず、なんとか奮闘して出てきたらしい。オートロックのはずなのに。確認させれば、アーニャ自身が自分で解除していたようだ。

理由はあとで聞くとして(もちろん説教付きで)、ルルーシュはひとまず猫を戻すことにした。

悪いとは思いつつ入ったその部屋で、壁に掛かったナナリーとアーニャの昔の写真を見つけて。

ふと、彼女を騎士にするに至った経緯を思い出したのだ。

自分でも調べていただろうに、わざわざL.L.がルルーシュに尋ねてきたせいもあるだろう。ルルーシュは彼に、懐かしい話を語った。

アーニャとナナリーは13歳。もしアーニャが成人していれば関係なかっただろうが、今はまだあまりにも若い。二人がもうお互い以外を選ぶことはないと確信できる以上、ルルーシュとしてはいつ正式な任命をさせてもいい。けれどここまで来たのであれば、そのニュースも有効に活用すべきだろう。少なくとも、エリア自体もルルーシュたちもどたばたしている今ではない。エリア中のテロ組織の息の根を止めたころにしようか。

「……どうする?」

ルルーシュは抱いていた白猫と目を合わせ、無為だと知りつつ話しかけてみた。ふてぶてしい顔をしたそいつは、ぶにゃんと可愛くない声を漏らした。

 




あにゃなな回でした。1章からズルズルやってる部隊紹介パート、残るは一人!

追記
活動報告機能テスト的に使ってみましたが、リクについてちょろっと書いてますので気が向いたら見てやってくださいー

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