無に帰すとも親愛なる君へ   作:12

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サムライの血と名乗るテロリスト集団。

それを撲滅するべく向かったエリア11軍を待っていたのはサムライの血を吸収したさらに大きな組織、日本解放戦線の罠。

新型武器を使用した大胆な作戦にもののみごとに引っかかり、軍は副総督ナナリーを奪われた。ナナリー副総督の実の兄である総督ルルーシュは怒り狂い、手ぬるい真似などせずに全面戦争に踏み切るかと思われた。

 

ここまでの状況を思えば、ことは至極単純であるはずだった。

だが。

「何を…おっしゃっておられるのですか?」

集められたゼロ部隊の面々は呆然とした。

「聞こえなかったか?同じことを2度言うのは嫌いだな」

後ろで手を組み立ち尽くす部下たちに対し、ゆったりと重厚な椅子に座すルルーシュは凄味のある低い声を出した。

「これを私の直属の部下にすると、そう言った。特派のランスロットを預けると」

「なぜ!」

叫んだのはヴィレッタだ。常ならば誰より冷静にルルーシュの言葉を受ける彼女。けれど今日ばかりはそうもいかなかったらしい。

「恐れながら殿下、私もお考えを測り兼ねます」

ジェレミアも続けた。

現在影武者として現場に出ているジュリアスはこの場にいない。ルルーシュが椅子に座っているのは、車椅子に彼が乗って行ってしまったためだ。(もちろん部屋に入って来た時からなぜか素顔全開だった彼は、冷静になったスザクを大いに混乱させることとなった)。

仕事中の影武者と奪われたナナリー、検査を終えて今は眠っているアーニャを除いたゼロ部隊の幹部といえばつまりは、ジェレミアとヴィレッタ。

拘束されるでもなく立たされている枢木スザクと相対するのは、二人の隣に立つ咲世子以外には初めてのことだった。

スザクはおとなしく従順にしてはいるが、その表情を見れば屈辱の服従だということは明らかだ。ジュリアスの時とはわけが違う。

こんな明らかに危険なものを入れて、我らが主はどうする気なのか――。心中はありありと察せられた。ルルーシュは朗々と続ける。

「私の計画を話した。まだお前たちに言っていなかったことも含めて、な。計画の根幹を、ナナリーと二人で7年かけて練って来たものを話した」

美しき紫水晶が強い光を発する。

誰よりも近くで仕えてきた二人には、それだけで彼の覚悟が知れる。

これは戯言でもなんでもない。本気なのだ。

「このように明らかに俺のことを心の底から憎んではいるが、一応納得はしてくれたよ」

枢木、名乗れ。

どこか甘やかに命じられ、スザクはブリタニア式の礼を取った。

「枢木スザク……准尉です。本日付で特派遣技術部所属を任じられました。よろしくお願いします」

准尉。

軍に籍を置いてもいなかったこの男が准尉だと!

途端にいきり立った二人にうっとおしげに眉を寄せたルルーシュは、「騎士になるにはそれくらいの階級が必要だろうが」と跳ね除ける。ちょっと前から在籍してたことにするから大丈夫不審じゃない、などと続けるがそういうことではない。

「さっきの戦闘の記録、見ただろう?わかっているはずだ、こいつが並大抵の乗り手ではないことを。テロリストどものところでとったデータでは、ランスロットに乗せるには申し分ないそうだ。このままあれを放置してても仕方ないし――もちろん実際にシミュレートさせてみる必要はあるが――そうだな、ロイドにはこいつの後見人になってもらおう。アスプルンド家の後ろ盾だ、うるさい蠅どもを黙らせるくらいにはなるだろうさ」

「ですからあの、そういうことを言っているのではなく……」

「わかっているよ。つまりは、」

ピピピ。

今から何か重要なことを言うのだと、皆が思ったそのときに通信が入る。ルルーシュが言葉を切って携帯を取り、ああ、とかそうだ、とか任せる、とか返事を返した。相手はジュリアスのようだ。

戦場となった山の処理、回収したカスタム機、捕縛した敵、ナナリー殿下が攫われたということの隠蔽。それらの采配を任せているのだ。大抵のことは部下がやる手筈でも、仕事はたっぷりある。おまけにクロヴィスのおかげで軍にまで少々の腐敗臭がし、余計に面倒だ。

「それでいい。任せたぞ」

ルルーシュはスザクがいるのを鑑みてか、余計な固有名詞を使わず会話を乗り切る。難しいことなのに、不思議と彼とはそれで通じるのだった。阿吽の呼吸とでもいえばいいのか。仲間が優秀なのは喜ばしいことだけれど、咲世子もジェレミアもヴィレッタも、ちょっとだけ嫉妬心があるのは否めない。だって、我々のほうがずっと長く仕えてきたのに――。

「さて」

眉間の皺をぐりぐりと解して、ルルーシュは再び3人に向き直った。

「ここから先のことを、きちんと言葉にしたことはなかったな。だからハイわかりましたと簡単に頷いて欲しくはない。外に漏れれば俺は廃嫡、お前たちは首と胴が永遠に分かれることになると思え」

ルルーシュの物騒な言葉にぎょっとする。しかし言葉の意味をじわじわと飲み込んでいくと、全員今までとは違う意味で顔をこわばらせる。

皇帝陛下に知られてはいけないこと。ブリタニアのために心血を注いできたルルーシュに、そんなものは存在しなかった。それがひっくり返るということは。

「……ご決断なされたのですね」

ジェレミアが厳かに告げた。

「ああ」

ヴィレッタは静かに次の言葉を待った。

枢木に話した二人の聞いていない計画の内容とは、これなのだ。

長きに渡って彼に仕えて来た二人に、類稀なる主の目指す世界がどんなものか、まったく見えていないわけではなかった。

実際にナナリー殿下とどんな話し合いを重ねてきたのか知ることはない。しかし彼が今まで積み上げてきたものに、周囲への立ち居振る舞いに。一番近くで見ていて感じたほんの小さな、僅かで微かな違和感や疑問たちを突き詰めてみれば、おそろしく強大な野望が見えてくるのだった。

それは勘違いではなかったのだと、二人、今はっきりと知った。

ルルーシュが口を開く。

 

「この侵略戦争を終わらせる。あの男を皇帝の座から引きずり下ろし、神聖ブリタニア帝国の破壊を、そして再びの創造を。私はナナリーとともに、帝国に革命を齎す」

 

それは、盤上の駒が動き出す合図。

 

「このことを生涯口外せぬと誓うのであれば、今、この部屋から退出することを許そう。すべて聞かなかかったことにして本国へ帰ると良い。お前たちがどちらを選んでも咎めはしない。私がクーデターを企んでいると知れれば、どうなるかはわかっているだろう?刑は免れない。もはや生き残りのないヴィ家は私とナナリーが自ら死ねばいいだけ。アリエスの使用人は巻き込むかもしれないが…………そこの枢木もだ。こいつは女ひとり守れればどうということはないらしい」

軽い口調にスザクが顔を歪める。今にも噛み付きそうな形相だ。

「咲世子は既にその身一つ。そしてもとより咲世子も枢木も、ブリタニアへの忠誠心などありはしない。しかしお前たちは違う。この国を愛し、誇りに思って軍人と成った。本国に戻れば家族がいる。ジェレミアよ、ゴットバルトの名に付ける傷は重いだろう。皇族殺しのヴァインベルグがその名を回復するのにどれほどの労を必要としたか、知らぬわけではあるまい?だが私は躊躇わない。血の繋がった家族であろうと、すべてを手折るつもりだ。国ひとつ作り替えようというのだから、その程度の覚悟なくしてやれるはずもない。クロヴィス兄上も、コーネリア姉上も、ユフィやマリーも。邪魔をするのなら容赦はしない。この場にはいない我々の仲間、アーニャだってそうだ」

 

慕う兄姉と、妹を。殺すと言う。いつからその覚悟を決めていたのだろう。

いつから、『本当に』やってしまえるだけの、非情さを持ち合わせていたのだろう。策略と陰謀の中で生きる皇族が皆、多かれ少なかれ持ち合わせているものとも違う。それこそ世界全部を敵に回しても構わないくらいの、壮絶な色。

二人にはわからない。主君は自分のそういったところをナナリー殿下にだけ見せてきた。

誰にも知られてはならないと、兄妹だけで作り上げた大きな覚悟。

迷いなく軍人になった二人。きっと決めていたのだ。いつかこうすると。

ブリタニアの破壊――その道を選んだとき、まだたったの10歳と7歳だった。

「きれいごとで世界は変えられないから……」

ルルーシュは自分に言い聞かせるように言った。

この場にいる誰もがよくよく知っていた。世界でもっとも濃く、苛烈な戦場の最前線にいた7年だ。

主が言い放つ。

「選べ」

篠崎咲世子に迷いはなかった。一瞬の間を置かずに、主の前に跪く。忠誠の印だ。

ジェレミア・ゴットバルトはごくりと唾を呑み、尋ねた。

「ルルーシュ様、ひとつお尋ねしても構いませんでしょうか」

「なんだ」

「……私は、もともとは貴方様ではなく、お母上であるマリアンヌ様に仕えておりました。敬愛しておりました。お声を掛けてもらうことを夢見、叶った日には気持ちが昂って眠ることなどできないほどに。当時の私はただの警護隊員でしたが、しかし私のルルーシュ様への忠誠心は、確かにそこから始まっているのです」

「ああ。知っている。覚えているよ」

「マリアンヌ様は皇帝陛下の妻であり、騎士でありました」

「そうだな。永久欠番、ナイトオブシックスだ」

「……ルルーシュ様のご意志がマリアンヌ様に刃を向けるものであろうと、お進みになられるのですか」

「……嗚呼、我が騎士、ジェレミアよ」

気持ちの昂りからか瞳を潤わせ声を震わす騎士に、ルルーシュは優しく微笑んだ。

「そうだ。私は、母の骨を踏んででも、あの男にこの歪んだやり方を止めさせる」

「ナナリー様の、御為ですか」

かの皇女は争いを嫌う。平和であれ、平和であれと心から涙しながら、しかしその手で人を殺す。どれだけの苦しみか、察するにあまりあった。軍人として生きながら、まるで聖女なその心を保つことの難しさ。彼女はいつだって、自分が手に掛ける人々に偽りない懺悔を捧げる。小さな体に抱えるにはあまりに大きな矛盾。大抵は耐えられずに疲弊して、自らの心を殺していくのに。

だがその大いなる矛盾は、ブリタニアが世界を治めれば終わるのだ。

終わりがどこにあるか、知るのが皇帝陛下ただおひとりだとしても。

「……そうだよ。あの子と、あの子に笑っていてほしいという、ただの俺のエゴだ」

「ブリタニアが世界を手にすれば、いずれ争いは止みましょう」

その通りだ。ルルーシュは首肯した。

「このままEUが陥落すれば、戦わずして降伏する国は増えるだろう。世界がブリタニアの属国になる未来もいよいよ現実味を帯びてきた。……俺は、すべての国がひとつになるのもそこまで悪いことではないと思うよ。頂点に立つのが我が国だとて構わないだろう。だが父上のやり方がいただけない。あの方ならばもっと別の手を取れるはずだ。我が国のひどい内乱状態をここまで変えた辣腕を持っているのに、いたずらに戦火を広げるのは悪手でしかない………世界平和のためと言って、その間にどれだけの命が失われる?ノブレスオブリージュの名のもとに、現実に行われていることはかけ離れているだろう。お前たちは知っているはずだ。ナンバーズたちの生活を。咲世子という優秀な仲間に教えられたはずだ。人種差別……我が国の言葉で言うなら、区別か。それがどれだけ非効率的なことかを。もちろん利益はある。我らがブリタニア人はナンバーズという奴隷を得て富を増やした。上と下をハッキリさせた構造は確かに効果的だ。数字がそう言っている。だがしかし、武力でしか語れぬ野蛮な時代は終わったと思わないか?」

ジェレミアは黙った。つまり、彼の言いたいことは。

「正直に言ってしまえば、父上の考えが気に入らない。この戦争の意義だってそうだ。あの方はただ一言、争って先へ進めとしか言っていない。侵略順もメチャクチャだ。このエリア11はサクラダイトもあり、落とす価値のある国だったろう。だけど全部がそうではない。どう考えても経済支配から落とせるような、辺鄙な小国を攻めにかかってなんになる?だいたい世界制覇後の展望は?戦争する相手をなくしたら、今度はどうやって進化する?膨れ上がった軍事力の矛先は?テロリズムは蔓延り、結局平和など来やしない。いたちごっこだ。もちろん争いのない世界なんてない、そんなことはわかっているさ。俺が言っているのが青臭い理想論だってことも。だが父上は、一方的な狩りを終わらせる気すらない。差別が国是だと?ふざけるな!あの方は間違っている。最早為政者の資格などない!」

ルルーシュは声を震わせた。

「俺は知っている。差別されるために生まれた人間の一生がどう終わるのか。今はこうして権力を振りかざす椅子に踏ん反り返っていても、その実その椅子から立てもしない弱者の身体だ。あのまま国に棄てられていたらどうなっていたと思う?母上と仲良く空の上さ。そう、私は一度死んでいる。いや、陛下からすれば生きてすらいなかった。私はそれがどうしても耐えがたい。この世の地獄を知らぬからそんなことが言える。私は地獄を見、舞い戻って来た。そんな鬼に、いまさら情など期待はできない。何があろうと進むだけ」

薄く嗤うルルーシュ。

このまま皇位継承者争いから一歩離れて、ひたすら帝国に貢献する日陰者の皇子であれば、穏やかに一生を終えることだってできるはずなのだ。だけどその道を選ばない。わざわざ血みどろの世界に踏み込む。ナナリーのため?違うと、二人ともわかる。

彼は、彼の信じる正義のために戦うことにしたのだと。

そのために愛する者さえ手に掛けると言う。どれだけ彼が母を慕い、愛しているか。それを二人は知っている。

それでもやると言う。

 

だから。

 

「ご無礼をお許しください、ルルーシュ様。このジェレミア・ゴットバルト、生涯貴方様に御伴いたします」

言って、貴族らしく優雅に跪いた。

残ったのは二人だ。

「枢木」

ルルーシュはスザクのほうを見もせずに言った。

「約束を忘れるな。お前は確かに同志だが、それはこのジェレミアや咲世子も同じこと。お前はもうブリタニアの軍人で、我が騎士の一人だよ」

スザクのプライドを根元からへし折るような言葉だった。

そもそも、スザクはこの宗教じみた誓いを述べる二人とは違って、この皇子に忠誠心などないのだ。だが選ぶ権利を与えられた彼らと違い、スザクはもう契約をしてしまった。ここで否やを唱えることなどできはしないし、ありえない。ルルーシュもそれをわかっていて、さながら犬を躾けるがごとくスザクに命じるのだ。明確な言葉にはせずとも、今命じられているのはひとつ。

 

跪け、と。

 

屈辱でしかない。

しかしそうしなければ、決してジェレミアたちがスザクを認めず、受け入れず、またルルーシュが彼らを軽んじたことにも他ならない。

枢木スザクはすべてを理解した上で、湧き上がる憎悪を飲みこんで。二人がそうしたように、跪いた。ルルーシュがうっそり笑った気配が、何よりも屈辱だった。

最後はヴィレッタ・ヌゥ。こちらを向いたルルーシュとまともに目を合わせる。しかし、彼女の答えは決まっていた。少年が妹の手に縋り、体を震わせていたのを見たあの夜から。

ヴィレッタは静かに主に跪いた。ルルーシュがおかしそうに言う。

「大丈夫だ、私についてこれば、地位は必ずついてくる。お前が望む区画整理だってやってやれるさ」

嗚呼、何もかも見透かされている。ヴィレッタは胸の内で苦く笑った。

ルルーシュを囲むようにして、4人の男女が跪く。

もう引き返せない。

「今一度問おう。私の地獄に、ついてくると誓うか?」

イエス・ユアハイネス。あるものは歓喜に身を震わせ、ある者はただ静かな水のように、あるものは唇を噛みしめながら、ある者は改めて主に惚れ直し。

「我が騎士達よ。その心、確かに受け取った。だから……一度しか言わないぞ。よく聞け」

獅子たちの主は一呼吸を置き、言った。

 

「――ありがとう。これからもよろしく頼む」

 

 

革命の火種がくすぶっている。

 

かつて、鬼の子の産声を聞いた者はいただろうか。

地獄の炎をその目に映し、焼け跡の中から産まれた鬼の慟哭を。

戦場に立つ鬼子を見て、自らも魔道に落ちんとした無垢な少女を。

幼き兄妹から産まれたそれは、やがて大きなうねりとなり、世界を包む。

 

その行く末を。

 

今はまだ、誰も知らない。

 

 

 

 

 

「今は日本に入ってくるのも一苦労やろうにようやったなぁ。いやほんま物資の流通も一苦労やねんで?NACも目ぇ付けられてるし」

厳重な警備の中案内されて、アジトの入口にやって来た少年がいた。出迎えにと寄越されたのはもともと日本解放戦線所属ではなかった、数年前までチンピラ風情だった男だ。二人は巨大な地下アジトへと足を進めて行く。素直についてくる少年は、16、7と言ったところか。ずいぶんと若い。

「ああ。遅れてすまなかった……定刻には間に合うと思うんだが。ラクシャータはもう慣れた頃か?」

「あ、大丈夫やで。なんでか知らんけど、今さっき上から中止命令が来た。えーっとラクシャータ博士?あの色っぽい色っぽい姉ちゃん。今日の作戦にも参加してはったみたいやしええ感じなんとちゃうか?んで、ようこそと言いたいとこやけど。今はちょっと込み合ってて。もーちょい早うか遅くかに来てくれたら余裕あったんやけどなぁ!」

「白炎はここで?」

「預かっとるよ。あんたの機体なんやろ?」

もっと年上が来ると思っていたから意外だ。今一番ピーキーな機体を任されているのは枢木スザクや紅月カレンと言った若い者だが、まさかまた同じくらいの年の人間が増えるとは。幹部が機嫌を悪くしそうだ。

「そうだ。だから俺がここに派遣されることが決まった。……ラクシャータと一緒に来た研究チームに、俺よりも幼い少女がいたと思うんだが」

「ああ、あの子。えらいカワイかったから覚えてる。何回か見たけど元気そうやで。耳聞こえへんねやろ?ようやれてるな」

「賢いから」

短く答えた少年に、男は何を思ったか、にやりと笑って

「もしかして、お前のコレか?」

指を立てた。少年にハンドサインが伝わるのか、言ってから男は考えた。

しかし意味は通じたようだ。

ならば、このクールな子どもは迷惑そうにあしらうかと思ったが。

「そうだ。変な気を起こせば容赦しないぞ」

少年は冷めた目で男を見つめ返す。まるで獣に襲われるかのような怖気が体を走って、男は慌てて口をつぐんだ。おーこええ。ありゃガチだ。

しかし、すぐに気持ちを取り戻すのがこの男の良いところであり、悪いところでもあった。彼は西の出身であったが、東京のチームからここへ来た玉城という男と仲が良かった。案内を任されたのはひとえに、この阿呆のように忙しい時に暇な奴で、訛りはあれどちゃんと英語が喋れる奴。あと、ブリタニア人でもむやみやたらに突っかからない奴。という選考基準に当てはまったのが、彼だったからだ。

廊下を歩くコツリコツリという音。

ふと前を歩く日本人の男が立ち止まり、後ろを振り返って、聞いた。

「そういやあんた、名前は?」

実った稲穂のような、見事な金髪の少年が答える。ひどく整った顔立ちで、左目元のほくろが印象的だ。

 

「オズ。……オルフェウスだ」

 

 




あけましておめでとうございます。
もう2018年も一週間経ってますが……こわ……

宗教かな??跪く必要ある??みたいな回でしたがやっとオズが出せました。トップバッターはオルフェウスおにいたまです。オズ既読の方は、既にアレ……??と思う設定ですね。
だって幸せな二人が見たかったんです……思う存分いちゃつかせたい……。


今年は本編で書けなかったものすごくどうでもいい設定をちょこちょこ書こうと思います。
今回はナナリーとルルーシュの身長体重。

ななり:163センチ50キロ台中ほど(体重は正確には12もよくわかりません)
ストレスや幼少期からの訓練のせいか身長はやっぱりあんまり伸びなかった。アーニャと同じ高さ。
体重は特に下半身に筋肉が普通にあることに加え鍛えているため当然増える。見た目にそこまでの差はない。
るるーしゅ:176センチ54くらい
痩せすぎ。下半身の筋力がないしそもそも机仕事ばかりで動いてないことも拍車をかけている。動かさないなら太るものなんだけど二次元に愛された皇子様な上あんま食べないから脂肪がつかない体質。そのへんは反逆ななりと同じ。(ちなみに反逆のルルーシュさんにはふつうの男子高校生くらいは食べててほしいです。)
ぱっと見のガリガリ具合はエルツーさんと並んで違和感がないくらいなのでつまり皇帝期くらい。たぶん。
こういうわけで重さはほとんど変わらないため、鍛えているナナリー(つよい)はふつうに兄を抱っこできるのでした( ˘ω˘)

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