目が覚めた。
こんなに眠ったのは久しぶりで、L.L.がまともな人間だったのなら寝すぎの頭痛のひとつでも起こしていただろう。けれどまったくそんなことはない。
起き上がると、ルルーシュがL.L.用にと手配したパソコンを弄っているC.C.の姿があった。淡い紫と白が上品にまとまったワンピースを身に纏い、長い髪を横で三つ編みにまとめている。
彼女もルルーシュが目覚めた気配に気が付いたようだった。ゆっくりと振り返る。
「おはよう」
「――おはよう」
「何時だ?」
「夜の8時」
「そんなに寝てたのか……」
確かに起こすな!とは言った。言ったものの、ここまで爆睡できるとは思わなかった。
解散の運びとなった昨夜、L.L.はC.C.を連れて部屋に戻った。なかなかいい部屋だな、などと言って勝手にずかずか入っていくが無視。二人きりだ。これで包み隠さず話ができる。怒りのままに低い声を出した。
「説明してもらおう。何故連絡しなかった?」
「悪かったよ。こちらも少々ごたついていた」
「嘘だな。面倒臭いな、まあ自分から行けば怒られないだろ、て思ったんだろう」
「ばれたか」
悪びれもなく白状する。あまりにも弁解する気がない様子に、呆れかえって怒る気も失せる。
そう、こいつはこういう女だった。
「……遺跡で接続すれば、コードは正常化する。可能性は考えていただろう?」
「ああ。私はEUにいて――遺跡の場所が正確にわからないのと、侵入できそうになかったのと両方だ」
「そうじゃない。神根島に行けば戻るが、行くか、と聞いている」
C.C.は黙った。
言ってしまってから、意地の悪い質問だと自分でも思った。
「このままでは不便だし安定しない。いざというとき不安も残る」
「そうだな」
背を向けたまま顔を見せない。抵抗のつもりか。
その真意は、L.L.にはお見通しだ。
だから、
「――でも、もう少し後にするか」
言って、背中を向ける彼女を後ろから抱きしめた。
彼女が。コードを得てからCの世界の鎖で繋がれていた彼女自身が、思いがけず数百年ぶりに個を得たのだ。
コードを封じて過去の自分を表に出そうとも、意識本体はCの世界に繋がったまま。自我は消えないし、休まることはない。
そんな状態を数百年と続けた彼女が、ふいに解放された。
記憶の管理倉庫もない。Cの世界に接続もできないし、ルルーシュのようなコードユーザーとテレパスすることも、意識の世界で会うこともできない。
それでも手にした、人間として当たり前の世界だ。
静寂。
脳には自分の声しかしない。
心地の良い閉塞感。安息。
どれほど望んだものだろう。
彼女に比べればほんのわずかしかコードを所持していない自分でさえ懐かしく、手放しがたいものだったのだ。人間に戻ることを望む魔女にとってこの状態がどんなものか、察してあまりある。
それを思えばこそ。
ある程度推測もしていて、見事当たってしまったからこそ、怒る気は失せてしまった。
この世界のルルーシュは皇子であり総督。側にはジュリアス・キングスレイとかいう怪しげな男がいる。居場所はわかっていたのだ、電話一本寄越さなかったことは完全にこの女が悪い。
それでもきっと懐かしい感覚は錯覚を起こさせて、ルルーシュにも出会わず、この地獄のすべてが夢で、自分はまだ16歳の少女だと。
そう思えるような時間だったのかもしれない。
「……心配したぞ」
「悪かった」
「ロロを連れてきてどうするつもりだ?」
「偶然あいつの暗殺任務の途中で遭遇したんだ。嚮団はギアスがきかない人間を追っているらしい。この世界の私がどうしているかもわからなかったから、見られた以上帰すわけにはいかなかった」
「……わかった。どうするかはゆっくり考えよう。俺はひとまず、寝る」
L.L.は抱擁を解くと荒々しく上着を脱ぎ、ドサリとベッドに崩れ落ちた。
緊張の糸がやっと切れた。
常にCの世界のネットワークに接続し、うっかりV.V.や、どこにいるかもわからない母と遭遇しないように気をつけながら探っていたのだ。どうせ自分と同じように接続できていないだけだろうと思ってはいたが――だからといって、さすがに何もしないではいられない。結果、尋常でなく疲れる羽目になった。
「探してくれていたんだろう?ありがとう」
「なんだ、随分素直に言葉が出るようになったじゃないか」
「私はいつも素直だ」
「言ってろ」
相変わらず可愛げのない女だ。
ここまで連絡を寄越さず一人で動いていた事実だけで、彼女の感傷などばればれ。なのに隠したがる。
知られているとわかっているのに逃げようとする。
数百年分染み付いた癖は、そう簡単には治らない。
「……お前も」
「なんだ?」
巨大な睡魔に抗わず、このまま寝てしまおうと意識を閉じかけたルルーシュの頭を、おもむろにC.C.が撫でた。なめらかな指が髪に通る。
「顔を見るのがキツイやつもいただろう」
「……ああ」
その通りだった。
自分が利用し踏みにじり、殺した人々。
憎しみに燃えたはずの人間が優しい顔をする。
悪魔と罵った口で名を呼ぶ。
それを当たり前のものとして、なんの抵抗もなく受け入れる自分と同じ姿の少年。
死人には二度と会えない。
あれは死んだ彼彼女らではない。
違うものだ。同じではない!
なのに確かに生きている。自分の記憶にある姿で動き、話す。
きつくないわけがなかった。
これから行く末がきっとつらいものなのに、前を見て戦う者。既に命を落とした日を過ぎたはずなのに、血に塗れた世界とは無縁に生きる者。もしかしたら今度こそあんな結末を迎えなくていいのかもしれないと思うと、どう動けばいいのかわからなくなった。
何もしないのが正解だ。傍観者でいるのが正解だ。
大切なものならなおさら遠ざけておくべきなのだ。
知っている。わかっている。
だけど紅蓮にやられるナナリーに叫ばずにはいられなかったし、自分自身のあんまりな行動には苦い顔をしてしまう。微笑むユーフェミアには笑みを返してしまう。
許されるはずもないのに。
我ながら細い神経だ。罪人の癖に、たった一言の労わりをもらっただけで心が解れた。
ひどく安心してしまう。その心地良さのままに、眠りへと転がり落ちて行った。
――そして目覚めたのだ。20時間睡眠を完遂した今、やるべきことは情報交換による現状把握。
「俺が確認した限りでは、クロヴィスが不老不死の研究をしていることも、遺跡を発見した様子もなかった」
C.C.は現在テレパスが使えない。ハグだのキスだのではい終了とはいかず、言葉でひとつひとつ確認作業が必要だった。
「それからナイトオブイレブンのアリスに接触を図った。ビスマルクの養女と言うから探ってみればギアスユーザー、嚮団出身者だ。体感時間操作のギアスを持つ――ロロにも匹敵する厄介なギアスだ」
嚮団出身者。つまり、あちらでは自分が命じて黒の騎士団に虐殺させた少女かもしれなかった。
「直属部下とされている何人かもそうだ。サンチア、ルクレツィアとか言ったかな。お前が言った通りコードユーザーを探して捕らえるように言われているみたいだったが、それがC.C.らしき人物を指すわけではないらしい」
「……ということは、私はそもそもギアスを得ていない可能性が高いな」
C.C.はため息交じりに足を組み替える。
「早合点じゃないのか?」
「いいや」
黄金の目は細められ、なぜか自信ありげに告げる。
「お前、ここへ来たときどこへ転送された?」
「……ペンドラゴンだ。ルルーシュのいる隣の部屋だった」
「やはりな。お前がわざわざ自分自身に近づくはずないと思ったよ。おそらくそれは偶然ではない。自分と一番結びつきの強い場所に飛ばされたんだ」
「じゃあC.C.、お前は」
「EUのとある村だ。なぜか濁流の川の中で、わけもわからずチーズくんと一緒に1キロ以上流された私はしっかりと死んで復活し、そしてズタズタになったチーズくんは生き返ることはない……」
見ろ。
後半につれてどんどん悲しげな声になったC.C.は、部屋の隅に広げたトランク(既にそのあたりだけ散らかっている)の底から黄色いものを取り出した。
「あー……」
以外に何が言えるだろうか。
この魔女が何故これほど執着しているのか知りたくもないが、とにかく異世界に行くと言っているのに抱きかかえていた大事なぬいぐるみは、大いに変色し全身をずたずたに引き裂かれ中の綿もかなり減り、もう直すとかそういうレベルではなかった。悲惨。
しかし遺体を最大限綺麗な状態にしようと努力した痕が見られ、目も当てられないレベルではない。だからなんでお前はそんなにこれに執着しているんだ!
「新しくチーズくんを手に入れたところで、このチーズくんの代わりにはならない。でも私は愚かにも、また応募券にシールを貼っているんだ。求めずにはいられない。馬鹿なことだとわかっているのに……。この私にもまだ人らしい執着が」
「わかった。で?」
「だから」
C.C.はキッとL.L.を睨んだ。
「おそらくはそこが私の生まれた村だ。もしくは死んだ場所。数百年の地形の変化で川になっていただけで――いや、それは今はいい。私は売られて物心ついた時からあの状態だったが、覚えている限りでは、私の育った国だったよ。私が魔女として今も生きているなら、そんなところに飛ばすか?ランダムでもない、わざわざ生まれたか死んだかした場所に」
「……なるほど」
「羨ましいな。悲惨な人生かもしれないが、少なくとも人間としてお陀仏できている」
C.C.は肩を竦めた。
「そしてチーズくんを呆然と抱きかかえたまま一昼夜を過ごしたかわいそうな私は戦場の視察だかで偶然いた軍人に拾われて、世話になっていたというわけだ。ルルーシュ皇子の目覚ましき活躍で侵略順が微妙に異なるようだな?EUの開戦は秒読みだのなんだの言われてはいるが、まだ少し先になりそうだ。だから特にこれということはなく平和だったな――それより、お前が新総督の側近でジュリアス・キングスレイを名乗っていると知った時、笑ってしまったよ」
「深い意味はない。皇帝がキングスレイの名に反応するか知りたかっただけだ。キングスレイ家はあちらの世界ではお前も知っている通り奴の――」
「違うぞそういう意味じゃない。最後まで聞け。いいか、私が拾われた軍人の名はレイラ・マルカル。嚮団時代の私がギアスを与え損ねた女だ」
「……誰だ?」
「そうか、その名までは覚えてないか」
彼女は頷き、勿体ぶって言い直した。
「こう言えばわかるか?ハンニバルの亡霊を生む部隊の参謀、ゆくゆくは司令官だよ」
「――ほう」
「な、面白いだろう?」
「まあな」
示し合わせてもいないのに、あの時の敵と味方をなぞるような位置と名前だ。
「エリア11にお前がいるならそこに行けばいい。そう思っていた矢先にロロに出会って、そうなれば無視もできないし逃がせば私が困る。嚮団の目を避けながらここまで来るのは骨が折れたよ。やつらのしつこさは私がよく知っているからな」
「大丈夫なのか」
「何がだ?」
L.L.は昨晩から気がかりだったことを尋ねる。
「V.V.だ。居場所が割れないのか?」
「あいつは位置探知は下手くそだ。昔も脱走者の行方を掴めず、結局ほかのギアスユーザーに探させて殺していた。ルルーシュ、お前を見るに同じコードでも所有者によって発現の仕方は違うようだな」
C.C.はしつこく撫でたり抱いたりしていた故・チーズくんを大事そうにトランクに仕舞い直し、今度はどさりと横に寝転ぶ。緑髪が曲線を描いて広がった。
起き上がっているL.L.を見上げる。
「さて、お前のほうを詳しく説明してもらおうか」
「いいだろう」
どこから話すべきか逡巡し――結局一番初めから、ゆっくり話すことにした。
「――ふうん?」
聞き終えたC.C.は、猫のように目を細めた。
「おまえとしてはどうなんだ。自分自身に対面した感想は?」
事実だけを淡々と話した。どうせ後から悪趣味にも質問攻めにあうとわかっていたからだ。
L.L.はフンと鼻を鳴らす。
「十七歳の俺よりまともだな」
「ほう」
「ナナリーが元気なことや、俺自身の身体に難があることも――いろいろ関係あるだろうけど。少なくとも臣民を思うまともな王族だ。間違ってもブリタニアをぶっ壊しそうにない。穏便で狡猾だ」
「16歳――もうすぐ17か。それで18のおまえと並んで違和感が少ないあの顔だ。あれはあれなりに大変なのだろうさ。お前のように平穏な学生の味など知らない」
「ああ」
「――だが、本質は変わらない」
「……そう思うか?」
「朝、少し話したよ。ロロのことで怒っていた。コードだ嚮団だと言うわけにもいかないから、私の感情だけで連れてきたと言ったが――手厳しいな」
「そうだ。ロロ」
はっとしたL.L.に、C.C.が顔を曇らせる。
「それだよルルーシュ。期限は三日後。それまでに、あの皇子様が納得する理由を捻りださなくてはならない」
コード。
嚮団。
ギアス。
それらを伏せて、皇帝への裏切りにも等しい行為を。
「……ルルーシュたちに匿ってもらう必要はない。要はこの場を見逃してもらえばいいんだ」
「それができるどうかだな。万に一つ、かかわったことが知れればまずいことになる――と思っているわけだからな、あの皇子は」
「ロロだって素直に俺の言う事を聞いてはくれないだろうし――待てC.C.、お前、ロロにどこまで話した?」
「ようやくそこに気づいたな」
C.C.は呆れたようにぐるりと目を回した。
「そう、私どころかお前がコード持ちだとロロは知っている。お前のことは、コード特有の不思議な力で前から自分を知っていたとかなんとか言ってあるよ。そのへんは適当につじつまを合わせてくれ」
「…………」
L.L.は痛む頭を抱えた。その仕草は、朝にルルーシュ皇子がやったものとそっくりだ。知らぬは本人ばかりなり。
「皇帝はルルーシュたちを始末する気などないんだ。あいつさえ納得してくれれば……記憶喪失だったとか、正体を知りませんでしたでいけると思ってもらわないと困る」
「どちらにせよもしV.V.たちが接触してきたら、ギアスを見抜けるわたしたちが守ってやるしかない。おまえ、影武者で良かったなあ。ギアスがかかったふりをしてやれるじゃないか。それで切り抜ければどうにかなるさ」
「おまえ……そんな楽観的な」
「こうなった以上、なんとかするしかないだろう」
「なんとかするって――何をどこまで。ラグナレクの接続は?」
「それは知らないさ。選ぶのはこの世界の人間なんだから――まあ、計画の存在くらいは明かしてやってもいいかもしれないが。ギアスもない皇子じゃできることなど何もない」
L.L.も同じ考えだ。超常には超常でもって返すしかない。
黙って続きを促すと、C.C.は肩を竦める。
「記憶喪失だのなんだの、私が提案してもあの皇子は頷かない。だから猶予を設けたのさ。お前が納得させてくれ」
「無茶を言うな。俺の手口はそのままあいつの技でもあるんだぞ。丸め込むなんて無理だ」
「じゃあ、本音を話し合ってきてくれ」
女は話は終わったとばかりにシャワーを浴びる準備を始めた。こうなればもうこっちの話は聞いてくれない。
「魔女め」
L.L.が苦々しく吐き出すと、C.C.はひどく楽しそうに笑う。
こうしてようやく、異世界からの来訪者は合流した。
「まあ、マリーベルお姉さまとユフィお姉様が」
「二月ごろから来るつもりだそうだ。あんな、浮かれたままのノリで決めたことを本気で実行するとは思いたくないが……」
「実行なさるでしょうねえ」
「ユーフェミアは姉上を説得。マリーベルは留学しますなんて言える状況じゃないからな。落ち着いたら連絡を寄越すと言っていた」
「楽しみですけど……ちょっと頭が痛いかも」
ナナリーが苦笑いをする。
そうなのだ。
皇族がここエリア11にやってくる。そのまま身分を隠して滞在。もしも何かあったとして、その時の責任はすべてルルーシュに降りかかってくる。
自己責任だと口を酸っぱくしていても無駄だ。日陰者皇子、ルルーシュの立場を思えば余計に。
留学するなら他のエリアにしろ!と思うが――無理なことは、彼女らの兄をやり続けてきて知らないわけはない。折れないのだ。
そうしてルルーシュが唸っていると、横から声がかかる。
「……殿下、発言してもよろしいでしょうか」
「もうしてるじゃないか」
「……なぜ自分をお呼びになったのでしょう」
「用があるからに決まっているだろうが」
何を当たり前のことを――スザク。何もないのに同席なんかさせるか。
ルルーシュの私室、深夜零時半。寝酒を手にしたルルーシュと、モルガンの調整から戻ったばかりのパイロットスーツ姿のナナリー。
忙しい二人が時間を取れたのは一週間ぶりで、和やかな会話は10分以上続いていた。呼び出したスザクを放っておきながら、だ。
スザクとしては、あ~帰って神楽耶に愚痴りたい、と思い続ける10分だった。ルルーシュは会話を遮られたことに不満そうにしつつも、それでもしっかりこちらに向き直る。
「明日。お前のゼロ部隊入隊をマスコミに報道させる」
「はい」
「我が部隊は事実上、直属のナイトメア親衛隊になる。そこへナンバーズ初の騎士だ。反発は凄まじいだろう。特派の実験機で所属は異なる、兄上のお墨付き、戦闘には研究に必要な分のデータを取るくらいでしか出さない――と、方々へ言い訳は十分に用意している」
「はい」
篠崎咲世子という前例があるだけに、直属にナンバーズを置くことは正直さしたる問題ではない。イレブンが騎士になる、その一点だけ――それは既に聞いている。しかしなぜ、わざわざそれを公にする必要があるのかが謎だった。
キョウトと日本解放戦線を脅す目的なら、エリア全土、いや全世界に明かす必要はない。イレブンの生活が安定し始め、ゲットーの治安もわずかに回復している状況の今、好感度を上げるために公表するにしては無駄な手のような気がする。
スザクの疑問などお見通しだろう。ルルーシュはにっこり笑った。
「特派の軍務はさほど忙しくない。それならふたつの帽子を被るのも――そうだな、こういうのを日本語でなんと言うんだったかな」
「二足の草鞋?」
ナナリーが首を傾げて助け舟を出した。なんでそんなの知ってるんだと突っ込みたいのをこらえる。
「そう、それだ。二本のワラジも難しくないだろう。だからスザク、お前、学校に通え」
「……は?」
「幸いにも特派を間借りさせているアッシュフォード大は高等部のすぐ横だ。登校時間も短くて済むな。だからこれからは基本特派で寝起きするように。そっちの方が反発も少ないはずだ。政庁には週一程度顔を出すだけで――」
「えっ、いやあの、ちょっ、ちょっと待ってください」
スザクは声を上げすにはいられなかった。
「何だ、いちいち遮るな」
「自分は解放戦線での仕事もあって……しばらくは両立させてやるって……」
「ああ、済まない。じゃあ二足じゃなくて三足か。この言い回しはありなのか?」
「知りません」
唐突な日本語教授の要請をばっさり切り捨てて、スザクは言い募る。
「しかも学校って……学校?ブリタニア人の?」
「そうだ。それで、二月からユーフェミアの護衛をやれ」
ルルーシュはさらに爆弾を落とす。スザクは教え込まれた屈辱の敬語もかなぐり捨てて、あんぐり口を開けるのが精一杯だった。
「はぁ?」
今回のプチ:この世界のチーズくんキャンペーン期間の年以外は現実の反逆放送期間。