伝説の超日本人一夏君   作:A.K

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お久しぶりーです......はい。
約1年ぶりの投稿お許し下さい!

ブロ『駄目です☆』

ゑゑゑゑゑゑゑゑ!?あ〜う☆(^q^)

今回の話でブロリーのオリジナル設定入っちゃうの許してくだサイヤ人......ギャァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!


伝説の超日本人一夏君10話

 クラス代表決定戦が終わったその日の深夜。

 私こと織斑千冬は愚弟のやらかしの後始末を終え、無事に寮の部屋に戻って来ていた。

 

 

「全く......一夏の奴、暴れに暴れおって。

 破損機器報告の書類をどれだけ書かせるつもりだ......はぁ。」

 

 

 深夜とは言え疲れたものは疲れたのだ。こういう時は一杯やって寝てしまいたい。そうしなくてはストレスを発散する機会というのが中々無いのだ。

 

 

「───ん?」

 

 

 今の時刻は深夜の1時を回ろうとしている。

 その時刻なのに誰かが部屋の前に立っており、気付いた時には誰かが扉をノックしていた。私は警戒しながら扉に手をかけ......そのまま意識を刈り取られた。

 

 

 冷たい風が吹いていた。

 目が覚め、周りを見渡す。そこは一夏が寮の部屋に物理的に入れなかった為、テントを張って寝泊まりしている屋上だった。

 今日は三日月のようで、月光を背に上半身裸の一夏が私に背を向けてる。背中ごしだが一夏から妙な気配が漂っていた。

 

 

「目が覚めたかァ」

 

 

 こちら向いた一夏の目は緑色に輝いており、その漂う気配も完全に一夏とは別のものと変貌した。

 

 

「貴様は誰だ...!」

「オレはこの織斑一夏の身体に埋め込まれた男だァ!

 今回は一夏には内緒でな。こうして話す機会を無理矢理作らせて貰ったぞ。」

 

 

 一夏から報告があった違法研究所で施された改造手術の絡みか。口ぶりからして一夏とはかなり仲のいいものだと思われる。......だが、私にとってはこうして話す事は初めてだ。故に油断が出来ない。

 

 

「名はなんだ?」

「俺の名はブロリー。かつてこことは違う宇宙にて『南の銀河』を破壊尽くした伝説の超サイヤ人だ。」

 

 

 名前とついでと言わんばかりにボディーブローを決めてきた。

 こことは違う宇宙?『南の銀河』を破壊尽くした?それに伝説の超サイヤ人?

 

 

「訳が分からん!!なんなんだ、貴様は私を馬鹿にしてるのか!?」

 

 

 私の絶叫に近い叫びを目の前の一夏......ブロリーは無愛想な表情で「信じないならそれでいい。」と言って1連の単語について説明した。

 戦闘民族サイヤ人、南の銀河という4つの銀河の内の一つを破壊尽くしたこと。

 

 

「普通そんな話されても信じられるか......」

 

 

 SFじみた話だ。これは束の奴が聞いたら飛びつくような話だろうに......

 そうしてブロリーは私が知らない数年に渡る一夏の改造手術の一連のことについて話した。私という存在のせいで誘拐され、この星に落下したブロリーの身体を使用して地球人とサイヤ人の強制融合体として改造されたことを。そして、それらが私を越えるために行われていたという事を。一夏から話は聞いていたが、やはり殺意を覚えるしかない。改造を施した奴らも、己に対しても。

 

 

「時間が無い。俺も何時までもこの体を操れるわけじゃないから話を進めるぞ。」

 

 

 そうしてブロリーは見慣れた緑髪白目、それに2mを優に超える巨体へと変身した。

 

 

「やはりこの姿の方が落ち着くな......そんなことはどうでもいいか。

 今回オレがこうして出てきた目的は一つ。

 今日の試合が終わる直前この星の近く、地球人達が呼ぶ名で言うなら......『木星』と呼ばれる星か。木星付近で俺には遠く及ばないが強大な気を持った者が出現した。 気の感じからして恐らくオレがいた世界から来たのだろう。」

 

 

 千冬はその言葉を聞いてなんだと?と言ってしまった。それもしょうがない。なにせブロリーの様な強い者がいる世界から強い奴がこちらの世界にやって来たと聞いたら、驚かない方が有り得ない。

 

 

「このオレ程では無いが、この星の住民にとって星の存亡を掛けるほどの敵だ。

 ISとやらで叶う敵ではない。」

 

 

 千冬はやはりそうかと思った。

 ブロリーの世界と聞いたからには人外魔境がさ迷う異常世界、世界としての強さとしてのレベルが違うのだ。こちらとは。

 

 

 

「もう既に少しずつだがこの星に向けて動き始めている。

 速度的に言うなら......確か臨海学校とやらがあるそうだが、その辺りには地球近辺にまで来るだろう。最低でも貴様レベルの人間が必要だ。最高でも貴様の数十倍は欲しいところだなァ」

「あと、三ヶ月程で迎え撃つ準備をせねばならんのか......!!しかも、最低でも私レベルとは!!」

 

 

 世界最強。その字の如く千冬はISでも、生身でも世界最強である。この世界でも強い者はいる。だが、最低でも千冬と同等か少し上、上限が今の千冬の数十倍。

 

 

「駄目だ......思い浮かぶやつが居ない......!」

 

 

 裏の社会にもある程度立場の関係で知識はあり、様々な分野で強い強者の存在は知っている。だが、総合的に強い者は限りなくゼロに近い。

 裏の社会の人間達はあくまで武器や暗殺といった特殊な分野で強いが、ブロリーのような強力な人間に必要な真正面から打ち勝つスキルを持つような人間は極わずか。その上裏の社会にも通用する千冬級の強さを持つ人間というのはさらに減って、片手で数え切れるだけの人数だ。その人数になっても上限にたどり着く人間はいなかった。

 十年前までなら話は変わっただろうが、ISが出て来てから裏の社会でも悪影響が出ている。暗殺は流石に人間の方が勝つが、それ以外の裏の社会での仕事はISが担ってしまった。その結果裏の社会から次々に去っていくもの達が増加し、僅か十年という期間で裏の社会の人間は3分の2程にまで減少した。一時的にではない。完全引退だ。

 

 

「一夏に頼ろうとしても今はまだ無駄だと思うぞ」

「なに?」

「アイツは今無意識下でこの星の者共を選別している。助けるか否かという事をなァ」

 

 

 そこで千冬は思い出す。一夏が日頃から言ってることを。一夏は今、この世界の現状に対して嫌気が差し尚且つ失望している。それに加え、殺意もとい怒りを覚えている。

 

 

「『この世界だからこそ』、一夏は......」

「そうだ。一夏はもう既に大体のことに関しては選別し、見限っている。精々守るとしても親しかったもの達だけだろう。

 一夏の記憶の中にいた『タバネ』とやらと同じようになァ」

 

 

 タバネ、私の親友にて『天災』と称されるIS開発者たる篠ノ之束だ。束も一夏同様に世界を嫌い、憎み、親しい者以外はどうなってもどうでもいいと考えている。原因はどちらもこの世界だ。

 

 

『『世界がどうなろうと知った事か。

大切な者だけ守ればそれ以外はどうでもいい。

  俺/私だけでどうにでもなるから』

 

 

 一夏と束は仲がいい。一夏は知らないが束は一夏の事が大好きで、ゾッコンもいいところだ。故に、影から日々一夏の支援をしていることは私は知っている。

 だから余計に思ってしまう。世界は今詰みに入っている。

 

 

「理解したようだな。

 なに、一夏の奴は最低でもドイツやこの日本、それにこのIS学園とやらは守る気でいる。」

 

 

 それはある意味選別した結果でもある。

 それ以外の人間には生かす価値が無いと今の所断言してる。

 

 

「......そうか。」

「そう心配するな。やつの戦闘力では精々『フルパワーで都市を一発の気弾で破壊尽くす』程、ただの雑魚だァ!」

「それはお前にとってだろう!?」

 

 

 これから来る脅威に対してもはや目の前が暗くなっていく。別次元の宇宙からやってる来る脅威。それがブロリー&一夏の様な生身での戦闘方法で、一発の気弾で都市を破壊尽くす......ど う し ろ と !?

 

 

「恐らく敵はオレの様に空を......確か音速というのだろう?音速で飛び、フルパワー気弾で都市を一発で破壊尽くす。通常の武器は効かず、IS程の武器でなら少し位は傷が付くぐらいの耐久性。

 一夏の知識を借りるならISを破壊可能な大型のレールガンとやらならISよりはダメージは稼げるだろう。だが、核兵器とやらではどう足掻いても逃げられるから威力はあっても無駄だなァ」

 

 

 ISなら少しだけ攻撃が通る。だが、その前にISごと破壊されるのが目に見えている。だからISでは勝機が無いのだとブロリーは言ったのだと理解する。だが、一つだけなら手は......

 

 

「だが、貴様にはとっておきのものがあるだろう?」

「──────────っ」

 

 

 ブロリーは千冬の表情を見て確信する。

 

 

「オレたちの世界では、気弾という『生命エネルギー弾』を戦いで使うことが多い。貴様が過去に使っていたISとやらが持つ......確か『単一仕様能力』たる『レイラクビャクヤ』だったかァ?

 そのとっておきとやらは、この世界で唯一無二の攻撃性を持つ『対エネルギー武装』なんだろう。」

 

 

 当たりだった。千冬はとある一件で使えなくなった専用機、白騎士以外で最強を冠する機体の1つ『暮桜』。その後継機を友人たる篠ノ之束と、世界の最高権利者達の許しを得て建造依頼を出した。そうして造られたISを持っている。

 

 

「ああそうだ。

 束が考案したT(トリプル)コアシステム採用の第5世代ISだ。」

 

 

 そう言って千冬は右手をブロリーに向けた。すると一瞬白く輝いた後、その中指に白銀のリングが付けられていた。

 

 

「Tコアシステム採用第5世代IS『白式』だ。貴様が言うようにこいつにはコアの関連上『単一仕様能力・零落白夜』が搭載され、さらに機体性能も文字通り次元が違う。はっきり言うと、貴様らが放つ弱めの気弾程度なら耐えれるし速度もある。火力においても最大稼働時ならどうなるか分からないほどにある。

 普段はこうして光学迷彩と機能封印状態にして、IS反応を消して誰からも見えないようにしている。」

 

 

 ブロリーはそのリングから発せられる気配に「ほう?」と感嘆の声を漏らす。

 

 

「成程な。このISならば、もしかしたらの可能性があるかもしれないな。

 だが、使い手たる貴様が追い付いていないとはどういう事だ?」

 

 

 ブロリーは苛立ちを混ぜた声でそう言う。

 ブロリーから見てもこれまで見てきたISとは、一線どころか次元が違うISに興味を持った。だが、使い手たる千冬には到底扱える様なものじゃないと判断した。このISは地球人の手には有り余る程の性能がある。

 

 

「貴様がこの星の中では最強の部類に入る事は理解している。故にこのISは貴様にしか扱えん様な代物になっているのだろうが、それにしては扱う為の器として熟していない。

 そんな状態の貴様がオレたちサイヤ人の様な戦闘をしたところで、機体は良くても5分もしないで貴様が死ぬのみだ!無駄死にだ!

 オレはこの体の主たる一夏の事を気に入っているから気にかけているから言わせてもらうが、きたる戦いにおいて勝っても一夏を置いて死んでいくのか貴様!?」

 

 

 ブロリーにとって家族は父たるパラガスしかいなかった。ベジータ王に瀕死の重体になった幼いブロリーとパラガスは、ブロリーの手により滅びゆくベジータ星から脱出した。 その結果、幼い頃から唯一無二の仲間で家族のパラガスは大切だった。ベジータ王の復讐のためとはいえ大切にしてくれた、制御装置を付けるまでは優しくしてくれてある程度の自由をくれた親父。

 最終的には制御装置以降の憎しみとサイヤ人の本能に従いパラガスを殺したが、どこまで行っても結局のところ大切な存在だったのだ。生きる術を教えてくれたパラガスは、幼い頃のブロリーにとって失うことは何よりも怖かった。

 ブロリーはだからこそ一夏の記憶を覗いた時、口に出してはいないが姉たる千冬の事を大事にしているその心情に昔の自分を見ているように思え共感したのだ。

 そうした一夏の為に怒るブロリーの姿を見て千冬は安心した。一夏の味方でいてくれてありがとうと。千冬は口を開いた。

 

 

「───分かっているさ。ブロリー、いや......一夏が連れ去られた第2回モンドグロッソの時から。

 でも、この機体は私一人では到底練習出来ない暴龍でな。私同等かそれ以上の存在でないと訓練にならないのだ。」

 

 

 千冬はこの星にとってイレギュラー存在に近い。そもそもの根本的な所が違うのだが、それを外していても戦闘力において他を抜き過ぎた。だから白式の訓練に必要な手加減や戦闘相手がいなく、施設の訓練では施設側が壊れて訓練所ではなかった。だからこそぶっつけ本番でやるしかないのだと、その結果死んでしまってもしょうがないのだと諦めていたのだ。

 

 

「ならば貴様以上たるこのオレが貴様の訓練につきやってやる!」

 

 

 即座にそう言い返したブロリーに大し、千冬は面食らう。暴虐武人たるサイヤ人そのものであるブロリーが、まさか自分の為にそこまでするとは......

 

 

「勘違いするな。これはあくまで一夏の為だ!

 色々あったがこうして生きているのはこの一夏のおかげなのだからな!貴様が死ねば一夏が傷つく。だからこそだ!だから貴様は一夏に感謝するのだな!」

 

 

 いわいるツンデレというものだ。千冬は自分の抱えていた問題が一つ簡単に無くなった為か、それとも単純に面白かったのか「くくく」と笑う。それを受けてブロリーは慣れないことはするもんでないと、サイヤ人生において初めてやった行動に軽く後悔している。

 

 

「もうオレ以外では貴様しかこの星では頼りになるものは居ないのだろう!?明日からみっちり貴様を鍛えてやる!覚悟するんだな!」

 

 

 そう言って逃げるようにブロリーはどこかへ飛んでいった。千冬はやらなければならない対策と明日から始まる弟から受ける訓練に対し、やれやれと今まで数々の困難を乗り越えてきた時の様にこう呟いた。

 

 

「切り払ってみせるさ。」

 

 

 そう言った直後、千冬はくしゃみをした。

 深夜帯の寒い時間であることを忘れていた千冬は、そそくさと部屋に戻って行ったのであった。


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