目が覚めた。
己が目覚めたことを理解する。それと共にすぐ様バイタルチェックと周辺に敵が居ないかチェックを開始する。これも数年間の施設での訓練で身に付けたものだ。
今己がまた何処かの施設に居ることを理解、己はベッドらしき物に鎖かなにかで拘束されている。手や足も同様に肌触りからして金属製の物で拘束されていた。と言うことは......またもや監禁室らしき部屋に居るのでは?と一夏は考えた。そうとなると脱出するべし
「ん......動きづらいな、これ」
一夏は拘束具を簡単に引きちぎり、全身を伸ばす。息をするかのように軽く気を放出する。それによって部屋の壁にヒビが、部屋の出入口と思われる扉が吹っ飛んだ。今の一夏の身体面が超常的な領域になってるのもそうだが、無限に溢れかえる気が更にタチ悪い。
極稀に気を扱う者もいるが、その扱える者はほんの僅かな気しか扱えない。それに気は使えば減るのが当たり前だ。そんな前提を覆しているのが今の一夏だ。減るどころか溢れかえる始末とはもうなにこの化m(ポーヒー)......ドワアァァァァァァァァァァァァァァァァ!?
「んんん......千冬ットォォ!!」
ギュピギュピと、独特な足音を鳴らしながら部屋から出た。無論この時点でサイレンが鳴り響き、この施設内に居る人々が慌ただしく動いていた。一夏はそれを知らんとばかりにゆっくりと歩いていく。一夏は進む。壁が目の前に有ろうが、鋼鉄製の扉があろうが歩いてぶち壊す......後にこの光景は『悪魔前進』と呼ばれるようになった。
独特な足音を鳴らし、歩いて施設の外に出た。俺は体に付いていた壁や扉の破片を払い、辺りを見回す。視界には黒いISが数機、それと何故か己の姉が居た────黒いIS数機の前に立って。
姉は俺が弟だと理解しているのか、単純にありえない光景を見てるのか呆然としている。そんな事より、俺は今やるべき事がある。
「千冬ットォォ......!」
口がかって動く。何故か『ット』と付けて喋ってしまう。それでも俺は......真っ直ぐ千冬姉に向けて全力疾走する。腕は全力で振り、太ももを高く上げ地面を思いっきり蹴る理想的な走りだ。黒いISが千冬姉を囲む様にフォーメーションをとり、千冬姉から俺を遠ざけようとする。通常この世界において最強と呼ばれるパワードスーツ『Infinite Stratos』────通称『IS』に向けて、この様な事をするのは自爆行為だ。しかし、今の俺には何故か出来る気がした。だから躊躇無く蹴り上げた。
『『『クソマァ!?』』』
ポーヒー
『『『サラダバー!?』』』
デデーン☆
蹴りあげたISを纏っていた連中に、軽く練った極大気弾をぶち当てた。そのまま上空で爆発を起こし、ISを纏っていた連中は髪の毛がアフロヘアーになってふらふらしながら落ちてきたが無視。なぜアフロなのかは無☆視(ハァ☆)
この光景に呆然としている千冬姉を庇うかのように立つ、黒いISを纏う銀髪の少女に向けてラリアットを喰らわす。
「ふおぉぉ!?」
そのまま気で空を飛ぶ術......名付けて『舞空術』で、いつの間にか近くにあった『岩盤』に叩きつける。ISごとめり込んだ少女は気絶、ナムサン!
「一夏、一夏なのだな!」
一夏はこの岩盤が何処から出て来たのか、黒いISを纏う少女を更に岩盤にめり込ませながら考えていたらそんな声が聞こえた。
「会いたかったぞォォォ!」
俺が襲いかかろうとしたのに、何故か近付いてきた。ここで説明しておくが、俺は姉の事を嫌っているが姉は俺の事が大好きなのである。もうベタベタと鬱陶しい......このことは以前言ったが、姉は極稀に性的な意味で襲い掛かって来る。以前あったのが小学6年の夏の頃で、その時何故か近所にある『篠ノ之神社』を経営する篠ノ之家の長女兼天才の束さんに助けてもらった為助かった。
それ以来、束さんは何かと俺の事を気にかけてくれる。その為か実の姉より姉らしい束さんの事が俺は好きだ。
「来るなァ!」
「door!?」
全力疾走でやってくる姉を殴り抜く。姉はバウンドしながらまた近くに出現した岩盤にめり込んだ。さっきからなんだこの岩盤は?
「はあはあ......私は助かった」
昔から全力で攻撃しても何故か大したダメージを与えられない。普通に痛いと思われる攻撃をしても、笑ってるだけだった姉。まあ......伊達に世界最強、この体になる前から人外能力値を持つだけの人間だけはある。
「さ、流石我が弟......腐☆腐」
「しぶとい姉とはこういう事か」
もはやコントのようなやり取りに、いつの間にか復活していた黒いISを纏う銀髪の少女がポカンとしながら俺と姉を見ていた。
恐らく現在の姉の行動を見ての反応だろう。何時もは本当に冷静で、キリッとして常識人な姉。しかし、俺がいると常時この様な状態になるのである。その変な状態を初めて見た結果がこの銀髪の少女の様なことが起きたのだろう。その時、バァンと銃音が鳴り響く。どうやら胸部に当たった様だな。
姉はこれを見て「攻撃中止!攻撃中止!」と通信機を取り出し、何回も叫ぶ。俺は着弾してペチャンコになった銃弾をコネ、今撃った奴が居るだろう方角に向けて丸くなった弾丸を全力のデコピンで撃ち返す。バゴンという音と共に「ぎゃああ!?」という悲鳴が響く。
その直後、多方面から射撃が開始される。姉はISを纏った銀髪の少女に連れられて既に俺から離れていた。普通の人間ならミンチ確定の攻撃だ。幾ら姉だろうがこれには無理だ────が、俺はもう既にそんな事は無い。多少ビシビシと痛い程度で、頭に当たっても小石をぶつけられたぐらいの衝撃だ。しかし、これは流石に鬱陶しい......更に勢いが増したので怒った。
「落ちろカトンボ!」
一夏は気を解放し、緑色のフレアを放ち髪が逆立つ。それだけで周囲は暴風が吹き荒れ、地面が揺れて大気が震える。一夏は右手に小さな気弾を複数作り、それを勢い良く全方位に向けて投げる。飛ばされた小さな気弾は着弾と共に大爆発を起こし、基地を根こそぎ破壊し尽くす。
「き、基地が......ここまで破壊されてしまった。
最早何もかもお終いだァ」
哀れこの基地の司令官。
一夏は己がこの光景を見て気分が良くなっていくことに気付く。だからもう1度同じ事をやる。それにより更に基地は破壊され、爆炎に包まれる。やがて爆発が収まると────基地は何事も無かったように惨劇前の綺麗な状態になっていた。
「ハア☆」
それに対してこの場にいた多くの人間が『訳が分からないYO☆』と項垂れる。しかし、一夏は相変わらずのように愉悦に浸かっている。銀髪の少女は『これがジャパニーズ・ギャグ補正という奴か!』と、何故か狼狽える千冬の隣で感動していた。
「ふふふ......ふっははは!」
「あ、悪夢たん......」
誰かが言った。俺を悪魔だと......愉悦なり。これもあの施設にいた科学者達が言っていた『細胞』の影響なのだろう。
この後、また腹が減って気絶した。俺は悟ったのだ、腹が減っては何も出来ないことを。そして、姉が気絶する直前に襲い掛かってきた(性的な意味で)。なので気弾を喰らわせ空の彼方に吹き飛ばした。
一夏が気絶した後すぐ様空の彼方から戻って来たが、何処からともなく湧いた赤い髪に青い肌をしたマッチョマンに再び空の彼方へ吹き飛ばされた千冬であった。
「わあぁぁぁぁぁぁぁ............!?」
「きょ、教官がぁぁ!?教官そのものがァァァ!?」
この光景を銀髪の少女はただ見てるしかなかった。