伝説の超日本人一夏君   作:A.K

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??「あの一夏君の姿......何処か我が息子に似ていたが気のせいだろうか」

??「司令官様。例の機体の仕上げ完了致しましたじゃ」

??「タコサァン!?遂にアレを搭載した最新機が完成したのか?」

??「勿論ですじゃ。アレを搭載した機体ならば1対1なら無敵ですじゃ!」

??「ではボーデヴィッヒ少佐を呼ぶのです!」

??「ですが......一つだけ問題がありますじゃ 」

??「んん?なにかな」

??「実はあの機体の開発中にきな臭い物が有りました。それに関与してるのが例の派閥ですじゃ」

??「例のブリュンヒルデ信仰派閥か。で、そのきな臭い物の出処がその派閥で構成される研究所の者達か?」

??「そうですじゃ。正体不明の妙な機械が一つ設置されている事も確認しましたじゃ。しかも、それを外せばすぐ機体ごと......下手すればコア自体も自壊するというものですじゃ」

??「なんだと?ボーデヴィッヒ少佐は我が娘......いや我ら、このドイツ軍の大事な娘そのものだ。科学者、何が何でもあの子を守る為に早急に手を打つのです!」

??「パラg......いえ、司令官様。既にその機械が作動時の手段は施してラウラ様の身の保護は出来ておりますじゃ!しかし、機械は一度作動させないと取り外しも、壊すこともできませんじゃ」

??「コアも貴重であるが少佐の命の方が大事だからな......。それでこの事は少佐には?」

??「いえ、自らの愛機になりますじゃ。その愛機に不安を感じさせないようにまだ言っておりません。」

??「......そうか。ならIS学園の織斑氏に連絡をしたまえ。話をしておくべきだ。」


伝説の超日本人一夏君9話

 

 時は流れ1週間後の事だ。

 第一アリーナAピットにて俺は届けられた専用機もとい拘束具を身に纏う。その姿は超化でも無く通常形態で、ISを纏っている。

 

 

「......」

 

 

 身長がほぼ変わらない腕・足部分限定装着型ISと言うのは珍しい。機体速度とパワー出力に超特化し、尚且つ珍しい金属素材であるカッチン鋼を使っている為に腕・足部の装甲の硬度はISの中でもトップクラスだ。その装甲にはさらに光線......レーザー耐性もある。

 

 

「ふむ。動きは悪くない......」

 

 

 上半身は特性の対Gおよび対実弾・光線耐性製のISスーツを、下半身は学園に来た時に履いていた物を着用している。提供元は『ラビット工業』とされていたが......まあいいか。

 

 

「織斑」

 

 

 背後から姉から声が掛かる。珍しく真面目な教師状態......恐らくこの戦いに公平を保つ為、肩入れするわけにはいかんからだろう。

 

 

「なんだァ......」

「体の異常は無いな?」

「問題無い」

「試合開始時間になったら山田先生から通信が入る。

 開放回線及び個人間秘匿通信のやり方は理解出来てるな?」

「勿論だ。」

 

 

 視線認証で悪人のステータスを表示命令を出し、すぐ様視界の中央に現れた機体情報欄に目を通す。

 

 

IS名︰悪人(デビルマン)

分類︰第一世代特殊試作弐拾六型(腕・脚部限定装備)

SE量︰850

装甲︰カッチン鋼・光線耐性液体塗装複合装甲

武装︰無し

防御展開機構︰全機構稼働状態

 

 

 

『織斑君、試合準備が整いました。

 カタパルトより発進してください。方法はわかりますか?』

「大丈夫です。既に何回かやりましたから。」

『分かりました。では、発進タイミングはパイロットに譲渡します。』

 

 

 一夏は山田先生からの指示に従い、カタパルトに足をつけた。これも何回かやったから慣れたが、足を固定されたまま前に押し出されるのに最初は慣れなくて苦労したのはいい思い出だ。

 

 

「織斑一夏、悪人出るぞ」

 

 

 腕部と脚部のみの特殊なISだが、その重さは通常ISの二機分の重量を誇る。開示されてない一夏の視界にだけ表示される機体資料にそれは乗っている。これはIS委員会側の悪戯でもある。

 カッチン鋼を使う上で一番重要なのはその重さであり、ISのパワーアシストでも紛らわす事が出来ない程の重量であり、本来カッチン鋼は装甲材質としてはほんの少し入れれば良い。しかし、この悪人は装甲にカッチン鋼をこれでもかと使ったのである。その為、見た目以上に重過ぎてパワーアシストを使ったとしてもパイロットに甚大な疲労を与えるので短時間のみの戦闘になってしまう。一般搭乗者では1分、熟練搭乗者でも5分程しかまともに動かす事が出来ない。

 これはIS学園側に提供した資料に載ってないため千冬達教師陣は一夏の悪人がどれ程の劣悪品である事を理解していなかったし、一般的にカッチン鋼は使っても材質の数%程度の為にたとえ使ったとしても大丈夫だろうと言う気持ちがあったのだ。

 その超絶的な重さの為......メコォという音が鳴る。

 

 

 『重量オーバーです』

 

 

 カタパルトに足を乗せても重量オーバーの表記と共に発進が止まってしまう。一夏本人は『全く問題ない』のだが、こういった機械類は耐えきれず駄目だったようだ。

 

 

「......しょうがない。山田先生、このまま出ます。」

 

 

 一夏はそう言ってISのPICと舞空術を合わせてその場にふわりと浮き上がり、アリーナの中に飛翔した。しかし、その飛翔した速度は瞬間的に音速まで上がったのである。その結果、一瞬でアリーナ内にて滞空していたオルコットの目前まで移動し、そこから一夏は90度、つまり直角に下方向へ曲がり地面に着地した。余りの勢いのためかアリーナが少し揺れ、砂煙と地面が割れる。

 

 

「オルコット、貴様を血祭りにあげにきたぞ」

 

 

 その目でISと呼ぶにはあまりにも相応しくないモノを、見てオルコットは「その様な機体で出来るとでも?」と言ってからさらに言い放つ。

 

 

「チャンスをあげますわ」

「チャンスだと?」

「貴方のそのISでは私には勝てるはずがありません。いくら貴方が強いだろうと、ISにおいては初心者の中の初心者......動かすので精一杯でしょう?

 このまま惨たらしい敗北をさせないようにする為の私からの優しい降伏勧告ですわ。」

 

 

 上からそう言い放つオルコット、それを聞いた一夏は「それもそうか」と言ってオルコットは「やはりこの男も......」と考えた────その時だ。

 

 コンマ0.1程の時間で一夏は小さな気弾を作り上げ、それをアリーナ中に撒き散らし、アリーナに激震が走る。試合開始の合図は既に鳴っている。故にこれは反則では無いので、オルコットは虚をつかれた行動に呆然とする。 それに丁寧にオルコットにはなんにも影響がないようにして、それに気付いたので何も言えない。

 

 

「侮るなよ小娘────そのちっぽけなお前を血祭りに上げてやる!」

 

 

 一夏は全力で地面を蹴った。

 

 

 

 一夏はアリーナに展開されているシールドバリアを足場に、ISには考えられない異常とも呼べる動きでオルコットに牙を向いた。跳躍とISのPICによる滞空、それに加えた舞空術による完全不規則な動きはアリーナにいる誰もが目を疑った。 オルコットはその人々よりも更に驚愕しており、理由としてはその動きのキレである。その体のこなし、ISの機能の使い方が劇的に上達しているのだ。最初の方はまだ目で捉えていたが、現状ではもう目でギリギリ追えるまでに至っている。

 数回動かした────それは初心者の領域を脱してない者であると証明していた。だが、現実はどうだ?

 この何処が初心者だというのだろうか。

 

 

「くっ、この......ちょこまかと!」

 

 

 オルコットは自らの専用機『ブルー・ティアーズ』の主兵装であるスターライトMk-IIIで一夏を撃とうとするが、その照準に入る前に既にあらぬ方向にいる為に手出しが出来ない。

 

 

「卑怯ですわよ!

 男なら正々堂々勝負するんじゃないですの!?」

「戦いに綺麗も汚いもあるものか。

 そぅれッッッ、当ててみろォ!」

「ぐぬぬぬ......こうなればティアーズ!」

 

 

 オルコットは特殊兵装『ブルー・ティアーズ』を展開する。その腰部の四枚の青い板が一夏に向かう。

 

 第三世代型IS『ブルー・ティアーズ』

 英国のティアーズ型の発展機にして、搭乗者の思考で稼働させる兵装操作技術『イメージ・インター・フェイス』を採用し、無線操作型射撃兵装『ブルー・ティアーズ』搭載の試験機である。オルコットが持つのは1から3号機まである内の1号機。

 無線兵装であるブルーティアーズを操る為のBT適正値が英国の中でも一番高い為に選ばれた。言わばオルコットはエリートなのであるのだが、その根は努力家であるので実力もある故に『エリート・努力家・美少女』三つを揃えている彼女は国内での評判は良い。そうしてオルコットは英国の代表候補生の中でも首位に経つ程まで上り詰めた。

 このブルーティアーズは複数の砲台による同時攻撃が可能であり、時間差・収束射撃......理論上は湾曲射撃も可能である。

 英国代表候補生セシリア・オルコットと言えば、次世代の中でも、また世界からも注目されている新星の一人......だがその相手が悪かった。

 

 

「落ちろカトンボ!」

 

 

 放出された4基のティアーズの内2つは一夏の手から放たれた光弾によりすぐ様撃ち払われる。光弾はティアーズを撃ち払った勢いのままアリーナのバリアに接触し、激しいスパークと共に爆発した。それでもズズンとアリーナが揺れ、その威力の高さを物語っていた。 オルコットは一夏の手から出る光弾が、ISの武装ではないことを見抜いた......しかしそれならばあの光弾は何なのか?そう考えた所で思考を切り替える。

 

 

「(彼は......あの男は強いッ)

 認めましょう。貴方は強い......だから認識を改めますわ。貴方は────全力を持って倒すべき敵です!」

 

 

 一夏はここで最初の奇襲から続いていたオルコットの気の乱れが落ち着き、気配が変わったのを察知した。体から無駄な固さが無くなったオルコットの様子に戦況が変わると予想する。

 その予想はすぐに当たることとなった。オルコットは2基のティアーズを回収し、スターライトMk-IIIによる射撃を行う。それまで淡々と撃つものではなかった。

 

 

「踊りなさい!私が奏でるワルツで!」

「ぬう!?」

 

 

 突然の連射に一夏は思わず避けるが、避けた場所に丁度のタイミングでレーザーが襲った。予想外の事に防御が遅れてモロに直撃し、SEがこの試合で初めて大幅に削られた。

 

 

────ほう?面白い事になってきたなァ

「ちぃっ!?」

「まだ行きますわよ......ついてこれますか!」

 

 

 一夏にとって初めて見るその攻撃に戸惑いを隠せない。行動を起こそうとした一夏だが既にオルコットは一夏に向けてスターライトを向け、その銃口からは光が放たれ一夏に殺到していた。 今度は気弾を放ち打ち砕いたが、爆炎による煙でオルコットの姿が見えなくなる。気でオルコットが居ることは感知出来るが、そのまま突撃しても狙撃される可能性があることを理解しているがこのままでは埒が明かない事も理解している。その上で一夏は突撃という手段を決行。

 

 

(奴の弱点は先程の行動で分かるが、今はまだISに慣れてない分下手に攻めてもダメだな......)

「まだワルツは終わっておりませんわよ!」

「ぬあっ!?」

 

 

 煙を突き抜け殺到するレーザーを腕あてで防ぎきった瞬間に、脚部を狙撃されていた。この時、初めて訪れたチャンスにオルコットはブルーティアーズ4基を稼働させ、さらにスターライトMk-IIIで持てる技全てを掛けて畳み掛けた。

 

 

────一夏、ISのSEとやらが枯渇しかけているぞ

「へアッ!?」

「強くてもやはり初心者。私のようにISでの戦闘経験がある者ならまずならない、初心者(ルーキー)特有の失敗ですわよ!」

 

 

 オルコットの相手は世界唯一の男性IS操縦者、そして世界最強の唯一の家族である織斑一夏。

 ISを動かしたのは数回......それだけならオルコットにすぐ様負けるのは誰もが思う事だ。今回の様な事は稀にあるが、殆どは最後にSEの確認不足という初心者にある失敗による敗北は多々ある。それは今回も当てはまる。普通ならこの状況を覆す事はもはや不可能とも呼べるのだが、一夏にはこれを覆す要因があった。

 

       『戦闘民族サイヤ人』

 生きる=戦闘である彼らサイヤ人。その中でも伝説の超サイヤ人であるブロリーの細胞をその身に宿し、尚且つ改造された人間である織斑一夏の戦闘力はまさに化け物だったのだ。

 織斑一夏が元々有していた戦闘における驚異的な成長速度に、サイヤ人の戦闘特化された能力と戦いながら進化する能力も加わったのだ。それはもう1×1=1000とも呼べる程に少しの情報で莫大な戦闘経験を得て超速度の成長を果たすのだ。ここまで得た情報と、実際に受けて体を動かした一夏は直感的に理解する。最大火力が来ると────

 

 

「お行きなさい!」

 

 

 滞空しているティアーズ2基に加え、先程回収したティアーズ2基を再発進させレーザーを連続発射させる。さらに腰部にあるティアーズ実弾搭載2基からミサイルを発射した。レーザーに至っては一夏を囲うように撃たれ、例えそれを突破しようが次に追尾性のあるミサイル二つが一夏を襲う。それを打ち破っても最後にオルコットのスターライトMk-IIIによる狙撃が待ちかねている。

 

 

「改めて言いますが、貴方は強いですわ......その戦闘における能力は私より遥かに高い。だからこそ、貴方に謝ります......そして私の全力を謝罪代わりにさせて頂きます!」

 

 

 誰もがこれを見て一夏の敗北を察した。普通なら第一膜のレーザーの雨で大体のISパイロットは落ちるか、大ダメージを負う。これがオルコットが持つ奥手の技にして必殺技とも呼べる戦法......その名は

 

 

「青の雫────ブルーティアーズッ!」

 

 

 オルコットは自らの能力をフル活用し、確実に相手を落とす方法で早期決戦を決めたのだ。この戦法こそ今の彼女における瞬間的最大火力であり、今まで多くの敵対した者達を倒して来た一撃である。

 そう、それは今までは────という話である。レーザーの雨に囲われた一夏は大声で叫ぶ。

 

 

この程度で俺を倒す事など......出来ぬぅ!

 

 

 

 オルコットはハイパーセンサーによって一夏の体の周りに緑色の光の幕のようなものが浮かび上がったのを目撃したのと、その一夏から膨大な熱源反応を確認したのである。次の瞬間ティアーズ全機の反応がロスト、オルコットは強大な圧を感じ、気付いたら地面に叩きつけられていた。

 

 

「かっ......ぁっ......!?」

 

 

アリーナにて見ていた者達はオルコットの一撃の後、爆発が『2回』起きたと感じたらいつの間にか地面に叩きつけられていたオルコットと、それに対して無傷の一夏......さらにひび割れが起きているアリーナのシールドに騒ぎ出した。

 

 

「くっ、うぅ。

 これはエネルギーを纏った衝撃波ですの?」

 

 

 オルコットはアリーナの戦闘エリア内に充満する高密度のエネルギーを感知し、そこから今の謎の衝撃とティアーズ全機ロストから考えた結果がそれだった。 後に一夏から言われるがこれは高密度に集めた気を衝撃波として放つ『超衝撃爆波』と呼ばれる技である。

 

 

「今の攻撃......流石と褒めたい所だァ!」

 

 

 アリーナにて試合を見ていた者達は目を疑った。

 地上にいるオルコットに向かってゆっくりと降りて来る一夏。その一夏が近付くにつれてアリーナの攻撃によって砕かれた地面が浮び上がり、しまいにはアリーナのシールド天井部が自然に壊れたのである。

 これが、ただ一人の人間により起こった事なのか?────オルコットはそう思う。

 

 

「ば、化け物......!」

「俺が化け物?

 違う、俺は悪魔だァ」

 

 

 

 自然に一夏は意図せず超サイヤ人に変身し、その身から溢れ出す闘気・殺意は増大し、気のフレアが放たれた。それに気付いて一夏は笑い出した。

 

 

「ヘアハハハ!

 よもや俺にこの姿を引きずり出させるとは、貴様はISにおいては強いと褒めてやる。そこの所はな。」

 

 

 一夏のその表情は逆光の影響で見えないが、輝くその金色の髪と溢れ出る緑と金が混じったフレアが恐ろしい戦士にオルコットは一夏の言葉通り悪魔に見えた。 一夏から見たオルコットの顔は怯えが現れており、恐ろしい何かを見ているかのようだ。

 

 

「試合を終わらせてやる。なに、長い苦しみ等は無い。

 今────楽にしてやる」

 

 

 やけに透き通る声で一夏はそう言い、続けて右腕を上に掲げる。その行動にオルコットは疑問を抱いたがすぐ様それが何を起こすのかを生物的本能にて理解し、すぐ様スターライトMk-IIIによる射撃を開始する。

 

 

「なに、あれ......」

 

 

 誰かが言ったその言葉はこの場にいる全ての人間の感想である。一夏の掲げた右手......その掌底部分に緑色に光るナニカが集まっているのだ。

 

 

────────────────────────

 所変わってアリーナの管制室では千冬と山田先生がこの現象を急いで調査していた。

 

 

「織斑君の手から超高密度エネルギー反応を確認!

 まだエネルギー反応が増大してる!?」

「やめろ織斑!

 止めるんだ織斑!やめろぉぉぉぉ!」

 

 

 管制室はある意味パニック状態である。

 一夏から膨大なエネルギー反応が確認され、それがオルコットを一撃で消滅させることも出来、なおかつIS学園ごと消滅させることが可能な反応であるからだ。千冬に至っては開放回線を最大にして叫んでるので、アリーナ中に聞こえていた。

 

 

『今────楽にしてやる』

 

 

 教師二人はその声を聞いた瞬間、気温が下がった様な感覚を覚えた。千冬はそれが純粋な殺意である事を理解し、さらに叫ぶ。

 

 

「織斑一夏ッッッ!

 貴様はオルコットを殺すつもりか!?」

 

 

 

────────────────────────

 

 

「ふっふっふっ......はっはっはっ!」

 

 

 オルコットの射撃が一夏に直撃する。だがその体に当たる前に一夏の周りにある光の膜に阻まれ四散する。

 光は既に極光とも呼べる程にまで膨大で増大し、アリーナのバリア内は世紀末とも呼べるほどに荒れた大地に緊迫した空気を漂わせていた。そして、遂にそれは出来上がった。

 

 

「見るがいい」

 

 

 オルコットから見た一夏の手の平には、ビー玉程の大きさをした光球が確認出来た。そして、ISを通して見る視界にはその光球から異常と呼べる程のエネルギー反応が検出されている。

 

 

「名を────ギガンティック・レイ」

 

 

 

 一夏が考案し、ブロリーがかつて放った超絶的で究極の一撃を参考に作り上げた一撃。光球を一夏は細長く、先端を尖らせた槍の如き形状に変える。

 

 

「命乞いの準備は出来たか

 恐怖に怯え死ぬ準備は出来たか

 俺は倒せず敗北することを理解したか

 

 

 貴様はこれでも折れずに、まだ俺に勝とうなどと思っているのか?」

 

 

 一夏の眼前にいるオルコットはそれでも、まだ一夏に対して射撃を繰り出していた。その目には未だに戦う意志が宿っており、一夏を睨みつけている。

 

 

「それでも、と私は言います。

 貴方にたとえ勝てなくとも、私は最後までやらさせていただきます!」

 

 

 オルコットはスターライトMk-IIIの射撃設定を即座に弄り、収束照射射撃状態に変更しありったけのSEを注ぎ込み撃ち放つ。

 一夏はその姿勢、その闘志に対し面白い奴だと考えた。

 

 

「ふんっ!」

 

 

 それに対して一夏は軽くギガンティック・レイを撃ち放つ。投げ方としてはティッシュをゴミ箱に投げ入れるのと同じ要領であり、本当にゴミを投げ捨てるようなフォームで放ったのだ。

 

 一夏の手から離れたギガンティック・レイは一際強い光を放ち、一直線に、真っ直ぐにオルコット目掛けてゆっくりと突き進む。その姿はまるで宇宙からゆっくりと落ちてくる巨大な隕石のようだ。 それに対してオルコットのスターライトMk-IIIから放たれた極太レーザーが対峙し、両者は衝突し眩い光が発生した。

 

 

「嘘でしょう!?」

 

 

 スターライトMk-IIIが押し負けていた。アリーナに居る特定の人物を除いたほぼ全ての人々が、目の前の光景に驚愕していた。

 最新鋭の第三世代機の火力が、どう見ても第二世代機より前の旧型世代機に押し負けている光景なぞ誰が想像するか。二次移行か三次移行ならその可能性があるが、まだ一次移行だけの機体に負けるなぞ絶対に思わない。

 オルコットの極太レーザーは一夏のギガンティック・レイに対してただただ霧散するのみという結果になり、受け止めるということさえ叶わなかった。

 

 

 

『アリーナのシールドを最大出力にしろ!

 緊急用の実体防御璧も展開しろ、早く!』

『シールド出力最大、共に実体防御壁稼働展開します!』

『オルコット!貴様はシールドバリアの展開と、防御に専念しろ!』

 

 

 管制室にいる教師二人の声が聞こえる。アリーナのシールドは自壊した天井部以外の部分が、シールドバリアの向こう側にある観客席を覆うように実体防御壁が展開され始める。

 教師二人の慌て様に一夏はボリボリと頭をかいてからため息一つついてから言う。

 

 

「爆破だァ!」

 

 

 左手から出した小さな気弾を、ギガンティック・レイに向けて投げた。教師二人はこれを見て完全にオルコットを殺るのだと「もうダメだ…おしまいだぁ…」と考えて、次の瞬間には死ぬのだと覚悟したオルコットは目を閉じた。

 

 ギガンティック・レイに気弾が衝突した瞬間、天井部の空いた所から衝撃が天に昇った。アリーナの地面全体がクレーターのように凹み、バリアは罅が入り、オルコットは『アリーナの壁面に出現した岩盤』にめり込んでいた。観客席の方は防御壁が少しだけ開いてる状態で爆発が起きたが幸いに影響は無かった。

 それに対して一夏はヘアハハハ!と盛大に笑い上げ、超サイヤ人を解いて地面に降りてから言った。

 

 

「誰が殺すと言った。

 俺は確かに血祭りに上げてやるとは言ったが、その意味は奴の『下らぬ思想の破壊』......現状のオルコットの思考を血祭りに上げるのが俺の目的だァ」

「ほう?そういう割には酷く凄まじい状況になったが?」

 

 

 いつの間にか背後に居た千冬が そう怒気を含んで言う。それを一夏は簡単に受け流して言う。

 

 

「だいたいだな......学生、教師、街、国────俺にとってそれぐらいなら片手間で俺は破壊し尽くす事が出来ると断言出来る。

 そもそも俺からすればISなんていう拘束具越しに殺るのは好きじゃあない。」

 

 

 IS越しで人を殺す────それだけでこの世界では重要な役割を持つISの最強の防御性を覆す事になる。それは世界において新たな火種の元になるかもしれないのだ。一夏の言葉を聞いた千冬はそれらを考慮してるのだからこれぐらいで済ませてやるとか?......そう思った。

 

 

「......教師として、家族として私は貴様に殺しはさせんし、させない。少なくとも学園にいる間だけは絶対にな。」

「ふん。まあせいぜい頑張るんだな。」

 

 

 一夏はそう言って歩む速度を上げた。それに対して千冬はその場に立ち止まり、管制室との通信用の小型インカムで管制室の山田先生へと繋げる。

 

 

「山田先生、試合終了の宣言だ。」

『オルコットさんのブルーティアーズSEエンプティ。

 試合は織斑君の勝利です。』

 

 

 一夏は岩盤の前まで歩み寄り、オルコットの前に立った。すると突如岩盤が消え去りオルコットが地面に向かって落ちる。一夏はその丸太の様な腕で落ちてくる気絶してるのか何もアクションを起こさないオルコットをキャッチ......すると展開されたブルーティアーズが光ったと思ったら消える。どうやら搭乗者を守り切り、完全に力尽きたのだろう。

 

 

「んっ......「目覚めたか」......きゃあ!?」

「ぬう!?そこまで驚かんでも良いだろうに」

 

 

 普通目覚めたら悪魔のような男に抱えられてたら驚くに決まって......(ポーヒー)......ウワァァァァァァ!?

 

 

「私は負けましたの?」

「その通りだ。最初から慢心も油断もせず、直ぐに俺を倒せていればこんな事にはならなかったんだろうがな。」

 

 

 一夏はオルコットから伝わる気から、試合途中まであった慢心と傲慢さが消え失せていた事を認識した。オルコットは一夏からの言葉で意気消沈しつつも呟いた。

 

 

「その通り、です。これは私の慢心と油断が原因ですわ。それに貴方を男であるという理由で見下して居たから、女である私の方が強いと思っていたからですわ。

 だからこそ、一週間前のあの日もあの様な行為をしてしまったのでしょう......貴方の言葉通りでした。」

「ほう?あの時の言葉を漸く理解したのかァ

 貴様の様に、今の世の女尊男卑思考に染まった女達はそうやって元の良さを、冷静さを男が居るだけ────という理由に失っている。」

「はい。そして、私にはこの後やらねばならない事が出来ましたわ。」

「......そこまで分かってるのであれば俺からは何も言わん。これ以上クラスでの立場を悪くしたくなければ、これからの行動を考えるのだな」

 

 

 そんな言葉を言った時に一夏は気付いた。今のオルコットを抱えている体勢......言わいるお姫様抱っこということに、オルコットは気づいているのか?と。 そう考えもう一度オルコットを見るが落ち込み過ぎてそれすら考えてない模様。 すると管制室から通信が入った。

 

 

『織斑。オルコットに動けるか聞いてみろ』

「オルコット、貴様歩けそうか?」

「......少し厳しいですわ。」

『やはりか。あんな馬鹿げた攻撃を喰らえば誰でもこうなるか......よし、織斑はそのままオルコットをBピットまで運べ。既に山田先生が待機している。』

「(了解だ。)」

 

 

 こうして後にクラス代表決定戦と呼ばれる織斑一夏のISにおける最初の戦いは幕を下ろした。

 

 

『織斑一夏はこの後アリーナの整備をしろ』

「へアッ!?」

『貴様のせいでアリーナの壁はボロボロ、シールドバリアは展開機器自体が故障......せめて地面ぐらいは整備しろ馬鹿者!』

「ぬぅぅぅ!?馬鹿なァァァァ!」

 

 

 暴れた結果この始末☆

 さてさて、この先どうなることやら




千冬「......お久しぶりです司令官。」

司令官「お久しぶりという訳だが、忙しい中済まないな織斑氏。今回は来月転入させるボーデヴィッヒ少佐の事についてです。」

千冬「彼女に何かあったのですか?」

司令官「我がドイツ軍最新鋭の第三世代型IS『シュヴァルツェア・レーゲン』が先日完成し、少佐は早速今日一日中その自らの愛機に早く慣れる為、隊員達と一生懸命訓練しております。少佐は今日も元気ですぞ!」

千冬「それは良かった......だが機体の完成は早いですね。私が居た時はロールアウトはもう少し先だと聞いておりましたが?」

司令官「優秀な人材が居るのでね。でだ織斑氏。その少佐の愛機であるシュヴァルツェア・レーゲンに問題が起きたのだよ。」

千冬「問題ですか?」

司令官「うむ。どうやら機体開発の一部を任せていた外部の者により、機体にきな臭いモノが取り付けられたようだ。 それを取ろうにその機械を作動させないと取れなく、無理やり取ろうとすると機体は勿論、コア自体も自壊するというのだよ。 部下が調べた結果、特定の状況と場合、それに特定の人物がその場に居るという条件が重なった時に自動的に作動する仕掛けなのだよ。そして、その条件の人物と言うのが君の弟である一夏君だ。」

千冬「なに!?もしや、あの私を信仰しているという......」

司令官「off course!! どうやらあそこの者達がそう仕組んだようだ。恐らくその機械は君の弟である一夏君と、少佐が『ISによる戦いにおいて接触した場合』に限り起動するかもしれないのだよ。事故で彼を殺めるというシナリオなのだろう......」

千冬「奴らめ......それで私にどうしろと?」

司令官「この事を念のため轡木氏と生徒会長であるロシアの代表に伝えておいてくれ。彼等ならもし起きた場合での各国への対処が早いだろう。それと、もしその機械が起動してしまった場合においては君に自動的にレーゲンの破壊権を渡す。」

千冬「破壊権を?......それと分かっているのですか?それはつまり最悪の場合、ラウラが死ぬという事ですよね!?」

司令官「分かっている!君が怒るのも理解出来る!だからその為に少佐を守る為の策は既に施してある。 悪いと思うが、私の立場上はこれが限界なのだよ。司令というトップの立場である故に、1人だけに集中して手を回す事が許されん。本当はこの件についてはさらに全力で取り組みたいが......分かってくれ。君も悔しいと思うが、私も同様に悔しいのだよ。分かっていても彼女を危険な目に遭わせてしまうこの私自身にね。」

千冬「......ッ、すみません!彼女について一番愛娘のように接していたのは貴方でしたね。......分かりました。では、この件については了解致しました。学園長やアイツにはその様に伝えておきます。」

司令官「済まないな織斑氏。その代わりとは言っていいが、また今度君の友人でも連れて基地に遊びに来るといい。我々が手厚く迎えよう。また部下達も君や一夏君に会いたがってるからな。」

千冬「彼らは一夏にとっては貴重な友人です。世間一般の様に軽蔑しないで、ちゃんと接してくれる......とても大事な友人ですよ。では、司令官」

司令官「うむ。こちらも頑張るが......よろしく頼むぞ」
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