少年は頬を染めて言う
ーーー「我らが王は素晴らしい御方です。僕はあの方の様にはなれませんが、せめてお役に立てればと・・・」
青年は意地の悪い笑みで言う
ーーー「あの人をどう思うか、ですか?・・・敢えてまとめるなら黒歴史。・・・でしょうか。」
これは、糸が消えた後の更に後。
残された・・・否、遺された者の紡ぐ物語である。
◇ ◆ ◇
ぶちりと何かが引き抜かれる生々しい音が響く。
「え・・・?」
その音の発生源たる少女は幾度めかの思考の後その場に崩れ落ちた。
「あ、あれ?」
尚も少女はまだことの次第を受け入れられず疑問の声が聴こえる。
しかし、そんな少女の事などお構いなしに彼女の心臓の辺りから手を引き抜いた人影は口を開く。
「案外呆気ないものですね。」
もっと警戒心剥き出しの人形だと思っていたのですが。と、続ける人影にようやく少女は睨み付けるという動作をした。
「あ、あなた・・・は。いった・・・い。」
「おや、それをあなたが言いますか。
人影が目深に被っていたフードを脱ぐ。
そこにあったのは少女に似た人として完成された美貌とそれを彩る金髪。そして、神性を示す赤の瞳。
「まっ・・・さか」
驚く次第の顔を見て満足したのか人影・・・青年はくるりと向きを変えて歩き始める。
「あ、そうそう。これは別に貴女の寿命が縮むとかみたいな呪いのアイテムなんかじゃないのでご安心を、ただそのままだと十中八九人間でも人形でも無くなりますから。早くした方がいいですよ。」
では、と言って今度こそ姿を消す。
そこで少女の意識も途切れた。
次に目が覚めたときには同級生であり協力者であり一種利用していると言ってもいい少年の顔が心配そうにこちらを視ていた。
「大丈夫か?■■■。」
ーーーああ、まだ自分はここにいるのか。
安堵にも似た感情とともに頬を温かいものが伝った。
「え、ちょ。」
相手が慌て出す。どうやら泣いてしまっていたらしい。
「なんでも。本当になんでもないんです。」
言って微笑む。
ーーーこの人の為に、私は何が出来るのかな。
◇ ◆ ◇
「一番近い個体でもあれですか。」
まあ、近いだけの至らない存在にそこまで求める方が駄目なんですかね。っと嘯く青年は手元の、先程の少女から取った何か破片の様なものを見る。
その破片を背後に出現した波紋の中に収納し、彼は跳躍・・・もとい降下した。
下は広い公道になっており、現在は時間帯から帰宅ラッシュの様で自動車が行き交っている。
このまま落ちればただではすまないだろう。
そのとき、青年の足元・・・とは言っても空中なのだが。に穴が開く。そのまま青年は抵抗することなく穴へと落ちていった。
「さて、今度はどんな所に着くんですかね?」
クスクスと笑いながら吸い込まれる青年の名はウル・ルガル。
とある国の長子として生まれながらその全てを壊した暴君であり、同時に国を繁栄させた賢王である。
彼は自身のことをこう話す。
自身は功罪の子なのだと。
失敗作だけど白い特等みたいになれたらいいなーの番外編です。
よろしければ今後もよろしくお願いします。