ーーーささやかな雑念が心地よい。
ーーー清濁を溶かした混沌に胸が躍る。
ーーー嗚呼、嗚呼。まるで母の胎の中の様。
ーーーこの果ての見えぬ一面の闇すら愛おしい。
そんな感想を心内に秘めつつ、青年ウル・ルガルは丁度いいと言わんばかりに微睡み始めた。
視界の端・・・というより感覚の末端と言った方がいいのだろうか。に、何かが落ちてきた。放り出されたかのような不格好なそれ。
ーーーなんだこれは。
思わず素に戻りかけながら首を傾げる。
いまだ幼く、何もかもが稚拙な。すぐに死にそうなそれは、けれども、必死に足掻いていた。
僅かな、届かぬ
消える間際だというのに尚も忘れないという。
ただ消えたくないという生物としての
「ーーーー。」
愚かというよりいっそ惨めだと言った方が合っているだろうそれに気まぐれに声を掛けてみる。
「・・・稚拙な造形に剥き出しの
その
「本当なら僕の姿を無断で見たその時点で首を切っている所ですが・・・まあ、今回はそんな面白い登場をして頂いたので見逃してあげましょう。」
自身を見る少女の型を取ったそれは目を見開いて沈黙している。
それが口を開くとほぼ同時に発言する。
「おや?僕が許可したのは僕を見ることだけのはずですが?どうして勝手に僕に話しかけようとしているのですか?」
開いていたそれの口が堅く結ばれると大きな瞳がこちらをひたすらに見つめてくる。
そんな意思の強そうな瞳に心中で疼くものがあるが、それをそのままに更に言葉を続けた。
「君はマスターでしょう。なら、それらしくしなさい。さあ。」
早くしないと埋もれちゃいますよと茶化すとワタワタと慌てだした。
面白いな。コレ。
「私に貴方と接する権利をっ。」
少女のだした答えに薄い笑みを浮かべてこちらも答える。
「ふ、ふふっどこまで欲深なのか・・・いいでしょう。令呪二つを対価に僕に接する権利を与えましょう。さあ誰かさん。そろそろ起きる時間ですよ。」
え。と短い呟きと共に少女の姿・・・正確には宙が歪んでいく。
助けてくれるんじゃないのかと言わんばかりの少女の姿に首を傾げた。
「?助けるも何も。僕が助けるんじゃありません。貴方が勝手に助かるだけです。では、僕は一足先に向こうに行っていますから。」
それではと声を掛けてその場を退場した。
◇ ◆ ◇
長い茶髪を揺らしながら少女。岸波白野はサーヴァントが待機しているであろう教室を目指し歩く。
ーーーここ、だよね。
暫し立ち止まり思考した後、思いきって扉を開いた。
そこにいたのは
赤い少女剣士/青い獣耳の妖艶な女性でも
赤いニヒルな弓兵/黄金の悪鬼のごとき王でもなく
金髪赤目の少年だった。
年は■回戦の■■■くらいだろうか。
ーーー子ども?
「あ、お姉さん。よかった、迷わずに来れたんですね。」
僕心配しちゃいました。と言って笑顔で駆け寄ってくる。
年相応の笑顔が眩しい。ってそうじゃなくて。
確か、此処に来る前に対面したのは
「お姉さん?」
少年が不思議そうに首を傾げる。
「あ、いや。なんでもない、けど・・・。」
こんな健気な少年にこんなことを聞いていいのかと迷う。と、少年がああ、と何か納得したかのように眉を下げて申し訳なさげな表情になる。
「驚かすつもりはなかったんです・・・ごめんなさい。期待外れかもしれませんが僕はお姉さんが此処に来る前に遭った人で間違いないですよ。・・・今は事情があって
「え、」
この健気な少年がさっきの悪魔みたいなサーヴァント?
大切な令呪二画を犠牲にした?
そうだ、すっかり忘れてました。とさっきまでのしゅんとした雰囲気とうってかわって楽しげに目の前の少年は言う。
「改めまして。僕はウル・ルガル。ウルでも、ルルでもお好きなように呼んでください。これからよろしくお願いしますね。マスター。」
少年は華のように笑ってお辞儀をひとつする。
「は、はい?」
どうやら前途多難なお話はこれから更に続くらしかった。
と言うわけでcccから始めようと思います。一応失敗作のと少し関わりがありますが読まなくとも大丈夫なように・・・できる、のか?できる、よね?
では、これからよろしくお願いします。