ある日、いつものように家で学校の課題をこなしていると、ココアから電話がかかってきた。
「もしもし、ココア?」
「もしもし、奏人君?ごめんね、こんな遅くに」
「いいって。俺もちょうど課題やってたとこだから。で、どうかした?また答え教えてくれとかじゃないだろうなー?」
「ううん、違うよ。…あのさ奏人君はさ、明日暇?」
「明日?まぁバイトもないし、暇かな」
「やった!じゃあ、明日久しぶりに二人でどこかに出かけない?」
「あぁ、いいよ。どこで待ち合わせする?」
「じゃあ、ラビットハウス近くの公園でいい?」
「OK、じゃあまた明日な。おやすみ」
「うん、おやすみ!」
電話を切り、ベッドについたココアは部屋1面に貼られた奏人の写真を眺めながら眠りについた。
一方その頃、奏人はココアとの電話が終わっても学校の課題に没頭していた。
翌朝
「やっべ!もうこんな時間かよ!」
昨日課題に夢中になりすぎて少しばかり夜更かしをしてしまったのか、約束の時間に遅れてしまった。
「ごめん、ココア!待った?」
「ううん、私も今ちょうど来たとこだから」
「そっか」
「それよりも、早く行こ!今日は一日中奏人君に付き合ってもらうよ!」
「はいはい、わかったよ。で、どこに行くんだ?」
「う~ん、どうしよ!」
「考えてなかったのかよ…。じゃあ、喫茶店で軽くお茶でもするか?」
「うん!」
「この辺の喫茶店ならシャロのとこか、千夜の店があるけどどうする?」
「たまには違うところでもいいんじゃないかな?ほら、あそことか!」
「じゃあ、あそこでいっか」
俺達が最初に向かったのはすぐ近くにあるこじんまりとした落ち着きのある喫茶店だった。中もそこそこお洒落だったが、客は俺達しかいなかった。マスターはと言うと、タカヒロさんのようにかっこよく渋い系のおじさん…ではなく、結構年もいったおじいちゃんマスターだった。俺はコーヒーのブラック、ココアはカプチーノを注文し待ち時間の間は二人でたくさんの事を話した。学校の事や、交友関係など色々な事を話したが、何故かチノの話をするとココアは不機嫌そうな顔になった。その理由を問い詰めようとしたら、注文した品が出て来てしまったため、聞けなかった。
その後、買い物とお昼ご飯を済ませると、ココアから少し公園で散歩しないかと誘われた。特に断る理由も無かったので承諾した。それが、俺の過ちだった。まさかあんなことになってしまうとは思わなかった。
公園をある程度徘徊して、二人してベンチに腰かけるとココアが1枚の写真を見せながらハイライトのない目で俺に問い詰めた。
「ねぇ、これどういうこと?」
その写真は以前俺がチノに監禁された際に、両手両足を縛られ上半身裸の俺にチノが抱きついて寝ているという写真だった。
「なんだよ…これ…」
「とぼけないでよ。これに写ってるの奏人君でしょ?なんでチノちゃんと寝てるの?」
「そうじゃなくて!なんで俺がチノに監禁された時の写真があるんだって聞いてるんだ!」
「君をずっと見ていたからだよ」
「え…」
「君がいつラビットハウスに来てもいいように監視カメラを仕掛けておいたんだ♪」
「な…。じ、じゃあこの写真はなんなんだ?これはチノの部屋だろ?」
「なんで写真見ただけでチノちゃんの部屋ってわかるのかなー?」
「!?」
「ふふっ、冗談だよ。ちゃんとチノちゃんの部屋にも監視カメラは仕掛けてあるから。もちろん、奏人が来たときだけだけど♪」
「おかしい…」
「おかしい?私のどこがおかしいの?好きな人の写真をとって持っているだけで何がおかしいの?」
「やめろ…」
「愛しい人の写真を部屋に貼り付けて毎日眺めていることのどこがおかしいの?」
「やめてくれ…」
「貴方の部屋に監視カメラを仕掛けることのどこがオカシイノ?」
「ああああああ…!!!」
「ネェ、オシエテクレルカナ?カナトクン」
年内は恐らくこれでおしまいになると思います。(別の作品も進めなければならないので…)また何か良い案があったら書いていこうと思います。来年もよろしくです!merry Christmas!& A happy new year!