歯車戦記   作:アインズ・ウール・ゴウン魔導王

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いや〜、久々。皆さん、すいませんでした。駄文作品復帰致しました。

オプスってなかなかに他キャラクターを絡ませにくいことに、今さらながら痛感させられてます。


第34話

─ラングレー(CIA)─

 

 

 

 

 

「…さて、セレブリャコーフ中尉…昨日の召喚で国防総省にて国防長官に釈明はしたが、現状は非常に不味い。同僚のCIA情報員も証人として色々やってはくれたが、やはり首謀者を捕まえないことには我々は犯罪者への転落は免れない」

 

「では少佐殿、やはりサンヒエロニモ半島へ?」

 

「そうだ。現時点で我々が動かせる兵士と物資をかき集めてサンヒエロニモで首謀者を捕らえるか、無理ならば殺害する。我々の無実をペンタゴンに認めてもらうには首謀者の身柄か首…どちらかを持ち帰らねばならない」

 

「了解致しました。では現状で動かせる人員と軍需物資を見繕いますので、本日丸1日、業務を外れさせて頂きます」

 

「ああ、頼んだ中尉」

 

 

頼もしい副官がその手腕を発揮すればたった1日で兵士と物資を揃えられるというのだから、冗談抜きにセレブリャコーフ中尉には頭が上がらない。

 

以前から戦闘でも潜入でも事務でも彼女は献身的に尽くしてくれている。

いずれきちんと苦労を労ってやりたいものだ。

 

さて、優秀な副官が人員と物資を見繕ってくれている間に、私は私の仕事をこなさねばならないな…。

 

 

…もっともCIA所属というだけで既に解散した部隊の───しかもデスク勤務が仕事になっている元指揮官が動かせる人員と物資などたかが知れている…。

 

武器は僅か、味方は少数───こんな作戦、まともな人間ならば選択する筈はない。

どう考えても新兵器という切り札付きの現役FOX部隊と現地ソ連部隊を相手取るには些か不安要素が大きい。

 

しかし、置かれている現状と残された時間を考えれば、万全を期す準備に費やす暇はない。

例え崖から身投げするような任務でも、やらねばならないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【サンヒエロニモ半島】

 

 

 

 

 

「…人違いで連れてこられた訳ではなさそうだな…あんたは?」

 

「俺はカニンガム中尉だ。4週間前まではCIAにいた」

 

「カニンガム…FOXの捕虜尋問官?」

 

「知っていてくれたとは光栄だよ、スネーク…」

 

「俺を襲ってきたのも、FOXの隊員なのか?」

 

「そうだな…今はそういうことにしておこう」

 

「…FOXを除隊した俺に今更何の用だ?同窓会にしてはずいぶん手荒い歓迎だが…」

 

「除隊したか…表向きはそうなっているな。お前に新しいミッション(任務)を与えるつもりはない…簡単な質問をするだけだ」

 

「質問?」

 

「6年前、全面核戦争の危機から世界を救った。真の愛国者として大統領から表彰され、BIGBOSSの称号を送られた…しかしそれから間もなく、お前はFOXを除隊した。地位も名誉も投げ捨てて……実に奇妙な話だ。お前はあの任務で…グロズニィグラードでなにを見た?」

 

「………」

 

 

カニンガムの言葉に、スネークは無言を貫く。

 

あの任務で、スネークは己が信じてきた全てを否定された。

 

 

 

命を掛けて忠を尽くす者への祖国の裏切り。

 

悪と断じられた存在が忠を見せ、正義を名乗る存在が忠を蔑ろにする。

 

相対的な敵故の、政治の指針・国の在り方で移り変わり続ける敵と味方。

 

 

 

しかしカニンガムはスネークの見たものに初めから興味を抱いていなかったのか、答えを返さないスネークに別の質問を掛ける。

 

 

「"遺産"はどこだ?」

 

「"賢者の遺産"のことか……?」

 

「そうだ。第二次大戦中に集められたという三大国の莫大な秘密資金だよ」

 

「"遺産"ならCIAが手に入れた。6年前のミッションでな」

 

「嘘をつくな」

 

 

スネークは自分が知る答えをカニンガムに言うと、返ってきたのはスネークの言葉を嘘と断じるカニンガムの声。

そして彼の義足による痛みであった。

 

「<正確な苦痛>を<正確な場所>に<正確な量>というのが、効果的な尋問を行うための俺のポリシーでな!」

 

 

「嘘ではない……あのスネーク・イーター作戦で……ある人物がCIAに遺産を……遺産のデータを渡した筈だ……」

 

 

足の傷口を的確に義足で踏みつけてくるカニンガムに、スネークが痛みに耐えながらそう返すが、カニンガムの口から出たのはスネークも知らない事実であった。

 

 

「嘘だな…スネークイーター作戦でCIAがソ連から奪った"賢者の遺産"は半分だけだった。残り半分の資金の行方をおまえは知っているはずだ」

 

「CIAが手に入れた"遺産"が半分……!?」

 

「芝居はよせ。ザ・ボスと戦って生き延びたお前は、"遺産"の残り半分の行方を知っているはず。"遺産"の在処を教えて貰おう、スネーク」

 

「悪いが、初耳だ」

 

「素直に協力してくれれば、俺もかつての仲間を尋問するような真似はせずに済むのだが……な!」

 

 

カニンガムの手に握られた電撃棒が振るわれ、スネークの体に金属棒の鈍痛と電撃の痛みが走る。

 

 

「まあ良い。まだ時間はある。ゆっくりと思い出してもらうとしよう」

 

 

しかしそこでカニンガムは尋問を切り上げると、部屋から出ていく。だがスネークはまだ聞かねばならないことがあった。

 

 

「おい、これは正規の任務じゃないな!ゼロ少佐はどうした!?本当のことを言え!」

 

「……これが正規のFOXの任務だ。今はな……」

 

 

だがカニンガムはそれだけを言うと、スネークとの会話を打ち切り、監獄から離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諸君、間いよいよ我々はサンヒエロニモ半島に上陸する。目的は言うまでもなく、反乱の首謀者の捕縛もしくは殺害だ。そして、この任務を達成することこそが我々の身の潔白を証明するということである」

 

「「「イエス、マム!」」」

 

「失敗すれば皆で仲良くサンヒエロニモの土壌を潤す肥料になるか、祖国で反逆者のレッテル付きで一生檻の中だ。嫌か?嫌ならば死力を尽くせ。首をもがれても首謀者の玉を握り潰すつもりでな!!」

 

「「「イエス、マム!!!」」」

 

 

あの日から1週間、我々は祖国から不条理に被せられた反逆者という名の汚水を洗い流すべく、件の土地、サンヒエロニモ半島へと来ていた。

 

セレブリャコーフ中尉が色々とかき集めてくれた結果、それなりの兵士で構成される3個小隊分の兵力と3日間は撃ちまくれるだけの武器・弾薬が集まった。

しかも彼女はどこから手に入れてきたのか、イギリスのMBTであるチーフテンを2両も用意してくれたのである。

 

気のきく副官に感謝しながら、私は揚陸艇の1隻に乗り込んでいく。

 

作戦は単純だ。夜間に乗じて揚陸艇で兵員を浜に送り込み、浜を確保した後小型輸送船で戦車と装甲車を陸揚げした後、敵拠点を順次潰しながら首謀者を探しだす。

 

 

……ああ、言われなくとも分かっている。作戦としては酷く不安が残るものだというのはな。

 

だが仕方ないのだ。祖国から睨まれた私達には副官がかき集めてくれた物以外は一切の支援が無いのだから。裏切者が万が一馬脚を現した場合にと言わんばかりに、兵員も武器・弾薬も情報すら全て回されない。

 

土地の詳しい地理も敵拠点位置も敵の数や装備、首謀者の情報すら皆無だ。

 

だから正しく、これは作戦という名の自殺なのだ。だがやらなければどちらにせよ、私は汚名つきで国を追われる。

 

刑務所だって御免被る。理性のタガが外れかけている犯罪者共が多数収監されている場所に放り込まれれば、私の予想では間違いなく"若い女なら何でも良い"とばかりに押し寄せてくる馬鹿どもと取っ組み合いを無限に続ける羽目になる。

 

勿論逃げ出すのは簡単だが、私は安寧が欲しいのだ。職務を常に真面目にやってきたのだって、その為である。だから取り戻すには、このような現状だろうが首に縄を括られようが首謀者をとっ捕まえるしかないのである。

 

 

 

 

 

 

「時間だ!作戦開始!」

 

 

 

 

 

 

 

私の号令と共に、揚陸艇が動き出す。

 

目指すは1つ……サンヒエロニモ半島に潜む敵首魁。

 




数日中にまた投稿致します。
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