最近隣人の嫌がらせがヒートアップして、わたくし激おこぷんぷん丸ですよ全く(`Δ´)
誰かトラブル解決の知恵貸してクレメンス……。
【サンヒエロニモ半島】
──ソ連軍病院──
「スネーク、院長室から声がする。敵かもしれない」
「よし、突入して鎮圧しよう。もしかしたら薬の行方を知っているかもしれない。可能な限り殺すな」
「了解」
現在、スネークはマラリアに感染したキャンベルを含めた幾人かの味方の治療のためにマラリアの薬を回収すべく、説得によって引き入れた現地ソ連兵とともに、以前彼がパトロールしていた区域にあるサンヒエロニモ半島のソ連基地の一角にある病院へと潜入していた。
あれ以降、未だ上陸を敢行してサンヒエロニモ基地を潰しながら進軍しているというアメリカ軍部隊を発見出来ないではいるものの、彼を含めた現地ソ連兵を味方に付けていき現在は分隊クラスまで味方を増やすことが出来た。
しかし新たな問題も発生していた。それがマラリアに感染し発症してしまったキャンベルだ。
彼がいつマラリアに感染したかは不明だが、マラリアは感染した場合即時的な致死に至る病気ではないものの、放っておけば衰弱していずれは死に至る。当然ながらスネークは彼を救うべく予防薬を投与したが、不幸にも彼が感染したマラリアは原虫が予防薬に耐性を持つ種類であった。
ここに潜入する前、スネークが始めにキャンベルと共に味方に引き入れたソ連兵に言っていた"主治医の先生"こと、パラメディックに指示を仰いでいた。
パラメディック────1963年のバーチャスミッション及びスネークイーター作戦において、ネイキッド・スネークのサバイバル・医療分野におけるサポートを務めた医師である。
スネークは彼女から原虫に聞く別の薬が必要だと言われ、現地をパトロールしていたソ連兵が薬が大量に運び込まれるのを見たという小さな病院に味方と共に潜入していたのだ。
またジーンに対抗する部隊を増やす上でも医療に知識を持つ兵士の勧誘が不可欠であったため、それも兼ねていた。
しかし探せど探せど薬は備蓄されておらず、ならば搬入記録を調べればと、今病院の院長室へと向かっていたのだ。
そこで、どうやら自分達より先に建物の2階にある院長室へと入っている謎の連中の声を味方が聞き付けたという訳である。
「よし、突入するぞ」
「いつでも、スネーク」
スネークは麻酔銃を構え、味方はAKMを手に扉前へと陣取る。
「今だ」
そしてスネークの合図で、扉を蹴破り室内へと突入した。
「動くな!」
突然のことに院長室にいた2人の覆面をした人間は驚くも、彼らも手にしていたM-16を即座に構えてスネークらを威圧する。
「何者だ!」
「敵か!」
「無駄な抵抗はやめろ」
「スネーク、足を撃ちますか?」
「撃つな。周りに響く」
互いに威圧し罵りが続くが、このままでは埒が開かないとスネークは話し合いに切り替えることにする。
「よし、お互い落ち着こうか。あんたらはソ連兵じゃないな。何者だ?」
「そちらから名乗れ」
「……スネークだ。ここへは医薬品を探しに来た」
「医薬品?」
「マラリアのだ。かなりの量がこの病院に搬入された筈だが、なかなか見当たらなくてな」
「お前たちもマラリアの薬を探しに来たのか?」
「ああ、そうだ。お前たちもか?」
「………」
相手は互いに顔を見合わせてから、銃を下ろす。そして覆面を外しながら彼らの内情を語りだした。
「我々はCIAの部隊だ。といっても、部隊というには僅かな人数だがな」
「CIA?」
「我々はゴースト・第4偵察隊。これでも一時はCIAお抱えの優秀な工作部隊だったんだがな……」
「CIA……ゴースト……まさかCIAの非合法工作暗殺部隊、ゴースト・カンパニーか?」
「……!?知っているのか、俺達を?」
「ああ、それで部隊が僅かとは一体?」
「こっちは、サンヒエロニモ半島で反乱を起こしたFOXの鎮圧のために来たんだ。数日前に島に部隊と装備を陸揚げしてから、かれこれ基地を3つほど潰しながら首謀者を探し回ってたんだが、先日、部隊の中からマラリア感染者が出た。手持ちの薬じゃ治療しようが無いんで、こうしてコソコソと家捜しさ」
「そうか、お前達が話に聞いたアメリカ軍の部隊だったのか。それで、仲間のためにマラリアの薬を探しにきたのか」
「ああ。だが見ての通り、スッカラカンだ。薬は影も形もなく消えている」
スネークは彼ら元ゴースト・カンパニーの部隊の話を聞くうちに、彼らを勧誘出来ないかと考え出した。
勧誘出来れば、その隊長以下上陸したという部隊丸ごとが味方に加わる。そうなれば一気に戦力が増え、戦術の幅も広がることになる。
「どうだ?お前たちの隊長を含めて、俺の部隊に合流して貰えないだろうか?俺達もお前達が探している反乱の首謀者に用がある」
「……そいつは隊長に聞かないといけないから、すぐに返事は出来ない。少し待ってくれ」
兵士はそうスネークに言うと、胸元の無線機を使って連絡を取り出した。
「私です、今病院に……そうです………そうですか……。いえ、今とある男から……そうです。首謀者の捕縛には協力すれば……相手はスネークと………分かりました、伝えます。隊長から許可が出た。我々と隊長はあんたらに合流する」
「ああ、ところでだがお前達の味方は今どこに居るんだ?必要なら迎えを行かせるが」
「いや、必要ない。先ほど隊長から連絡があった。マラリアにやられていた2人が、万が一薬が見つからなかった時に隊長に迷惑を掛けたくないと、命を絶ったらしい」
「……そうか」
「早まった真似だが……厄介な枷は取れた。隊長はこれから部隊を率いてあんたに合流する。使える頭数が減りはしたが、作戦中に被る被害想定の範囲内だから問題は無い」
「済まない。余計なことを聞いたな」
「大丈夫だ。さて、改めてだが、こんなモノがあった。どうやら薬の行き先らしい」
「資材搬出リスト……研究所行き?これは一体………ん?全員、隠れろ!」
彼らが差し出してきた書類に気になる単語を見つけたスネークは書類をよく見ようとしたが、外から響いてきた空気が唸るような音に気付くと、即座に指示を出して自身も窓の側へと張り付いた。
スネークについてきた現地ソ連兵は指示を受けて壁際に身を隠し、ゴースト・カンパニーの兵士達は既にドア付近に隠れつつ、万が一の脱出に備えていた。
(よく訓練されているな。動きに無駄が少ない。この分なら彼らの部隊も当てに出来るだろう)
兵士達の動きに感心しながらスネークは窓から顔を覗かせて音の主を探す。するとそこには、基地の上空を1機のハインドが通過しているところであった。
だがその動きは哨戒飛行にしては高速であり、また定期的なホバリングもしていない。恐らくは哨戒や偵察ではなく通常の目的地へ向けた飛行なのだろう。
(あのハインド、どこへ向かって………!?)
スネークは上空のハインドの行き先を見定めようと視線を向けていた。だが突然言い表せない妙な感覚が自分へと降り注いだ。
見られている……そんな雰囲気にスネークは直ぐ様身体を窓から離して壁に身を隠した。
(何だ、この感覚は?)
どうやらまだまだ厄介な事になりそうだと、スネークは不可解な感覚に対して思った。
「大丈夫か?」
「ああ、問題ない。だがあのハインドの行き先が気になるな。消えた大量の薬品に"研究所"という単語───何かあるな」
「そうか。ひとまず我々は一度原隊に戻る。数日後には隊長と一緒にあんたらのとこに合流する予定だ。連絡用に通信無線の周波数を合わせておこう」
「分かった」
「ではまた、BIGBOSS」
「スネーク、あのアメリカ軍部隊だが……信用出来るのか?」
「さてな………信用は出来るが、信頼出来るかは分からんな」
解散した今のゴースト・カンパニーの裏は分からないが、スネークの知る本来のゴースト・カンパニーは様々な上層部の思惑が絡まって生まれた部隊だ。
大戦の悪夢の元凶を守護するべく創設された、悪魔の組織────
その組織から生まれた実力者揃いの精強かつ慈悲を知らない部隊────
そんな部隊から選び抜かれ、身体を弄られ、悪夢を振り撒くことを任務とした非人道的な実験の産物による兵士達────
彼らは足掻いて足掻いて、大戦を生き延びた。そして彼らを率いる存在は、平和を求めてスネークの師たるザ・ボスの口添えと共にアメリカに渡り、アメリカは野望のために彼らに武器と装備を与え、利用した。
そんな彼らが今、このサンヒエロニモにてどのような思惑から動いているのか分からない内は、信用は出来ても信頼は出来ないというのがスネークの内心であった。
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「さて、病院にはマラリアの治療薬は無かった……ただの1瓶もだ」
「ああ、だが病院の院長室の記録によれば例の大量の薬品や医療用資材はその一切合財が運び出された。行き先は"研究所"………怪しいな」
「だが俺達はツいていた。ヘリの飛び去る先を確認して何人かを送ったところ、例の研究所を発見出来た。あそこは外部から見つかりにくい地形にある。何の手掛かりも無しに発見することはほぼ不可能だった」
「よし、ならば早速作戦開始と行こうか。俺はこれから研究所に潜入する。何があっても治療薬を探しだしてくるさ」
「頼むよ、スネーク。それと合流することになったというアメリカ軍部隊に関しては俺に任せてくれ。それなりの大所帯になるなら、来た連中に"はい、いらっしゃい"だけじゃ問題が起きる。作戦や指揮権限、装備・食い物の割り当てなんかで折衝をつける必要があるからな」
「ああ、そっちに関しては頼んだぞ。では出撃する」