魔法少女リリカルなのは➖プリズン➖   作:幽閉者

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ども〜

更新は遅めですがよろしくお願いします!


プロローグ《壊れた日常》

これは私……高町なのはが初めて死にたいと思った日々の始まり。その日、私がヴィヴィオやフェイトちゃんといつも通りの夕飯をしていた時の事だ。

 

「うん! 今日も美味しいよ、なのはママ! フェイトママ! 」

 

「ありがとうヴィヴィオ」

「そう言ってもらえると私もなのはも頑張った甲斐があるね」

 

「そう言えばフェイトママ? フェイトママの旦那様はいいの? 」

 

「あ、うん。今日は仕事だって言ってたから」

 

本当にいつも通り。

 

 

 

いつも通りな筈だった。

 

 

でも……それは違った。

 

しばらくして、誰かが訪ねて来たのだ。だが別に遅い時間ではない。だから何も不思議がらずに私は玄関を開ける。しかしその瞬間、私は数名の緑色の見慣れない制服を着た管理局員に取り押さえられた。当然、急な事で反応できず、小さな悲鳴をあげて床に顔を押しつけられる。けどフェイトちゃんとヴィヴィオがその悲鳴を聞きつけて玄関に来てくれた。

 

「なのはママ!? 」

「なのは!? ……一体どういう事ですか! 」

 

「我々は管理局内部の犯罪を取り締まる部隊だ」

 

「内部の? でもそれとなのはと何の関係があるの? なのはは犯罪なんて犯してない! 」

 

「罪状は殺人及び、その隠蔽だ! 」

「え……そんな馬鹿な事……何かの間違いだ!! なのは? やってないよね? そんな事する筈が」

 

「……ぐっ……わ、私は……そんな事……して……ない」

 

押さえつけられ、普通にしゃべる事ができない私は何とか声を絞り出した。でもそれで拘束が緩む事はない。そして、私は両手を二人の男に押さえ込まれながら立たせられた。

 

「離して! 」

 

「残念だがそういう訳にはいかない! いい訳は裁判で話す事だ」

「待って!? なのは!! 」

 

「なのはママ! 」

 

「フェ、フェイト……ちゃん、ヴィヴィオ!? 」

 

私はそのまま見覚えのない牢屋に入れられ、それから数日後に裁判にかけられた。そこにはフェイトちゃんやヴィヴィオ、はやてちゃんとヴィータちゃんの姿も見られる。だがそれ以上に私はおかしいと思った。この裁判は何かがおかしい。そう思わざる終えない。法廷や場所の作りは同じだが裁判官が管理局の制服を着た人間ではなく、あの緑色の管理局員。しかも見覚えのある顔。

 

「では、裁判を始める。当方、罪状を殺人及びその隠蔽。殺されたのはイナミ・ガンドウ。高町なのは、何か弁明する事はあるか? 」

 

「弁明も何も私はそんな事してませんし、その人の事も知りません! 何かの間違えです! 」

 

裁判官を務めるのは最近管理局のトップに上り詰めた人間。名をレクター・フラグ。リンディさん達と肩を並べる程のお偉いさんだ。あった事はないが、とても優秀でその活躍はミッドチルダにあっという間にとどろくほど。でも私はあった事はない。

 

「では反省する意思はないと? では……致し方ない。判決! 」

「なっ!? ちょ、ちょっと待ってください!? こんなの裁判じゃない!? こんな一方的な! キチンとした裁判を」

 

「罪人、高町なのは。 当方は、『エターナル』にて無期懲役! そして、今後他者との面会を一切禁ずる」

 

「え…………」

 

私は一瞬何を言われたのか理解できなかった。ただ、耳に残るようにしてこだまするその判決。不当。どこまでも不当な裁判。いや、もはや裁判というものですらない。

 

「嫌……」

 

「これにて当法廷を終了する」

「待って!? 待ってよ!? こんなのおかしい!? 嫌!? 助けて、フェイトちゃん、ヴィヴィオ!? 」

 

「なのは!! 」

「なのはママ! 」

 

フェイトちゃん達に手を伸ばす私。しかしその手は無残にも押さえ付けられ、私はこの場から連行される。だが、私がやったという確たる証拠や証言。その全てが、明確な証拠、それが提示されてない。こんな不当で理不尽な裁判があっていいものだろうか。すると…………

 

 

法廷に1人の叫び声が響き渡った。

 

 

「静粛に! 一体何かな? 八神はやて」

 

「フラグ裁判長! あまりにもこの裁判は不当なものに感じます。彼女がやったという証拠もなしに判決を下すのは少々軽率ではないやろうかと思います。是非、もう一度裁判の仕切り直しを! 」

 

「その必要はない。罪人、高町なのはがやったという事実は変わらん」

「私の友人を罪人呼ばわりするんやない!!! 」

 

「ほぉ〜? 」

 

「もし彼女が本当にやったとおっしゃるんであれば、その証拠を提示して…………なんや……それ……な、なんで……なん」

 

突然法廷の中心に現れた巨大なモニター。そしてそこには、見ず知らずの男が私に魔法で撃ち抜かれている映像だった。しかし私には映像の場所も知らなければ男の事も知らない。だがこの映像で法廷中の人間が私を犯人だと決めつけ始める。何かがおかしい、確実に何かがおかしかった。

 

身に覚えがない。今場所も状況も。私は知らない。私の脳は今見ている映像を機に完全に停止した。私ではない誰かが、私の格好をして誰かを殺した。そんな感覚。それが私に考えられた唯一の答えと抵抗だった。

 

「これで言い逃れはできない。連れて行け! 」

 

「なのはちゃん!? くっ……これは……どうなってるんや!!! 」

 

「なのは……ママ…………」

「ヴィヴィオ……。なのは」

 

私はそれ以上言葉も出ずにその場から連行された。その時のフェイトちゃんやヴィヴィオ、はやてちゃん達の顔は今でも覚えている。こうして……私は冤罪で刑務所へと入れられた。

 

いつ出られるか、一生出られないとさえ思えたこの出来事は、後に私にとって地獄の始まり。

 

そして……ある1人の……彼と出会うキッカケだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

なのはママが刑務所へと入れられて早1週間。私は何もやる気が起きず、悲しみにくれていた。友達ともあまり喋らなくなり、1人公園でブランコに揺られる。

 

「なのは……ママ…………」

「参ったな……」

 

「え? 」

 

私はふと……聞こえたその声の方へ顔を上げる。するとそこには何かを探している男の人がいた。かなり筋肉のついた二の腕。鍛えているのだろうとわかる体。そしてなのはママ達と同じ世界の人を彷彿とさせる黒い瞳と髪。短髪で少しだけ癖毛でボサボサしている。

 

「あの! 」

 

「ん? 」

「どうかしましたか? 」

 

「ああ、ごめんな。落し物しちゃって。まぁ〜飴一個なんだけどさ。妹分にあげようかと思ってたんだよ」

 

「飴……あ! あ、あの!これでよければ」

 

「え? でも……いいのか? 」

「はい! その人にあげてください」

 

「いや〜悪いね、助かるよ。……(ふ〜ん……この子)よければ相談に乗ろうか? 」

 

「はい? 」

「いや、君も困ってるみたいだからさ。飴のお礼って事で……」

 

相談と言われたが、こんな事を見ず知らずの人に相談してなんとかなるのだろうかと私は思った。しかしこのお兄さんの顔を見ていた私はなんだか話してしまいたくなり、まるで今まで溜まっていた物を吐き出すかの如くお兄さんに話した。

 

溜まりに溜まった私の想い。それをこの人は一言も逃さず聞いてくれた。

 

「そっか……でもママは冤罪なんだろ? 」

 

「うん……なのはママがそんな事する筈……ないもん…………」

「ふふ。なら大丈夫。時間はかかるかもしれないけど。絶対出てこれるから」

 

「本当? 」

「ああ、俺が保証するよ。……にしても君はツイてる」

 

「え? 」

「ああ、こっちの話だ。気にしなくていい」

 

そう言ってお兄さんは私の頭を優しく撫でる。この事をまともに話したのはお兄さんが初めてだった。そして、何やら吹っ切れた私は、お兄さんにお礼をいい、お礼を言われ、家へと帰った。

 

来るまでとは違い、とても晴れやかな気分で。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「あの子……誰ですか? 」

 

「なんだ……来てたのか? 」

「来てたのかって自分が呼んだくせに!? はぁ……それよりお帰りなさい」

 

「ああ、ただいま。ほれ! 」

 

「えっ、ちょっ!? とっ!? ……投げないでください!? あ……飴? 」

 

私は14歳の女の子。しかし立派に働いている。仕事は説明する事はできないが彼の補佐だ。そしてそういう彼は私のBOSS。BOSSと言っても私達2人だけの会社だ。私達は少し特殊な仕事をしている。勿論犯罪になる事ではない。

 

「さっきの子がくれた奴だ。お前飴好きだろ? 」

 

「好きは……好きですけどぉ……」

「ヨダレ」

 

「!? よ、ヨダレなんかたらしてません!? え、どこ行くんですか? 」

 

「仕事だ。たった今はいった……な」

 

「し、仕事!? 仕事ってBOSS今日帰って来たばかりじゃないですか! あ、待ってくださいよ!? 半年くらい休むって言ってたのにぃぃーーー! 」

 

BOSSはそう言うと私を置いてどこかへ歩き出す。だから私も置いて行かれないようにBOSSについていった。この人はいつも勝手で、それでいて超が付くぐらいのお人好し。そんな人だ。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

「はやてどう? 」

 

「ダメ、全然ダメや。手がかりなし。と言うか……もうなのはちゃんがやったとしか考えられへん証拠ばかり出てきて……」

「そんな!? なのはは! 」

 

「わかっとる! なのはちゃんがこんな事をする筈がない言うのは……わかってるんや……けど。フェイトちゃんは何かわかったんか? 」

 

「うん……あの法廷直属の局員最近できたらしい。それでなんだけど……実践があるからお義母さんやクロノも何も言えないらしいの。ただやり方が強引だってあの法廷を経験してる人は言ってた」

 

私とはやては管理局の一室であの法廷についての詳しい組織体制となのはの無罪を証明する為に動いていた。だが出てくるのはなのはがやったというわけのわからない資料ばかり。もうショックと疲労で心が折れそうだった私達だが、なのはの為にやめるわけにはいかない。クロノとお義母さんからもその件で集中してできるようはからってもらい。今は事実上の有給だ。

 

「フェイトちゃん、ヴィヴィオは平気なんか? 」

 

「うん……一昨日までふさぎこんでたけど、昨日帰ってきたら少し元気になってた。なんかスッキリした感じで」

 

「そうか……ヴィヴィオの為にも、なのはちゃん為にも必ず冤罪を証明せな」

 

「失礼する!! 」

 

「「っ!? 」」

 

私達が頭を悩ませているとガタイのいい男が扉を壊すんじゃないかというくらい思いっきりドアを開けて入ってきた。男に見覚えはない。だから私もはやても混乱する。すると男の後ろから赤髪のツインテールをした少女が顔を出す。私達はますます男の素性がわからなくなった。

 

「事情は理解している。管理局のエースオブエース、高町なのは冤罪について話をしたい」

 

「なん……やて? 」

 

「どうしてその事を知って……これはまだ報道もされてなければ情報も出回ってないはずなのに…………」

 

「ま! そこら辺の事情は置いといてだ。あんたらにビジネスの話を持ってきた」

 

「「ビジネス? 」」

 

男のニヤリと笑うその顔に、私は少し腹がたった。私達はそんなくだらない話を聞いている時間はない。一刻も早くなのはを助けたいのだ。しかし次の瞬間、私達は話を聞かざるおえなくなった。

 

男が持ちかけたビジネスの話。

 

 

その……内容によって。

 

 

「高町なのはを収容されてるエターナルから脱獄させる」

 

 

「「なっ!? 」」

 

「俺が調べたところ、エターナルは普通の刑務所じゃない。かなりの法を無視した無法刑務所だ。そんな所にエースオブエース。どんな目にあわされてるか知らんぞ? 」

 

「そ、そんな事……なんでわかるや? それにどうやってそんな事するつもりで……外からなんて無理や、それにそもそも脱獄なんて犯罪やないか」

「それは刑務所が正当な物ならな? それに……無理だと? それは外からの話だろ? 」

 

「それはどういう意味なんですか? というか貴方は何者なの? 」

 

それが今私とはやてが聞きたい事だ。仮に仕事を頼むとして素性がわからなければ信用もできない。ビジネスと言うなら尚の事。

 

「俺は民間のセキュリティ会社の者だ」

 

「セキュリティ会社? 」

「後報酬だが、これだけ貰おう」

 

男はそう言うと人差し指を一本立てる。私達はそれを見て、妥当だと顔を見合わせた。管理局の管理施設とはいえかなり危ない橋を渡りそうな案件。だから私達は100万というその金額を妥当なものだと考えていた。しかし男のさす金額は私達の想像を超えていたのだ。

 

「100万ならこちらも用意できる。それで友人をや助けられるなら安いもんや」

「何をずれた事言ってるんだ? 」

 

「「え? 」」

 

「これは100万じゃない。1億だ」

「「はぁっ!? 」」

 

(うわぁ……BOSSも相当お人好しだぁ…………。まぁ〜この人達にその意味は理解できてないでしょうけど。あは、私だけが知ってるBOSSの事。なんか嬉しい)

 

ぶっ飛びすぎていた。あまりにもその金額はぶっ飛んでいる。いくらなんでも払えるわけがない。私達は震えた声でそれを突き返す。無理なものは無理だ。それは分かってもらいたい。しかし男はまげなかった。

そもそもそんな大金を払うだけの信用はこの男にはない。私達は完全に初対面なのだ。

 

「む、無理や!? そんな金どこから出せばいいんや? 出せへん…………」

 

「おいおい……親友の人生とお金、どっちを取るんだ? 」

 

「そ、そんな事言われてもぉ」

「ふざけないでください! 仮にその金額を払うとして、貴方が彼女を連れて来る保証がどこにあるんですか? 」

 

私達は必死に男の狙いやどんな人間かを見極めようとした。だが、変わらなかった。毅然とした態度で、まるで怖いものがないかのように腕を組みながら堂々と話している。そんな彼は嘘を言っているようには見えない。

こんな都合のいいことがあるのだろうか。金額はともかく、私達が困っているところへ、こんな都合のいい人間が訪れて来るなど、今でも信じられないことだ。

 

 

「俺はプロだ。報酬は高町なのはを脱獄させた時点で払ってもらう。後払いだ。それとな? 保証なんてものは無意味だ」

 

「? それはどう言う意味なんや? 」

 

「さっきも言っただろ? 外からは無理でも中からは可能だ。ふふ、この仕事、1度俺はエターナルに収容されてから開始する」

 

「なるほど……1度刑務所に……ん? 」

「い、今なんて? 」

 

「ん? 1度エターナルに収容されてから開始すると言ったんだが? 」

 

「「はいぃぃいっ!? 」」

 

 

これが私達とこの男。

 

かつて……『プリズンブレイカー』とまで言われた脱獄王との初めての出会いであった。

 

 

 

 




次回もよろしくお願いします。
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