ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。 作:ゔぁいらす
「ここが俺の着任する鎮守府かぁ」
桜の舞い散る建物の前に俺はぽつりと立っている。
思っていたものよりこじんまりしていたそれを眺めて呟いた。
俺は大和田 謙(オオワダ・ケン)。急に提督の資質があるとかなんとかで春から大学生になるはずだったのに打って変わって急に提督になってしまった。高校時代は男子校で女っ気のない環境で汗臭い青春を過ごしてしまった俺はやっとこの春適当に大学に入って彼女を作って最高のキャンパスライフを謳歌しようと思った矢先の出来事だった。高校の卒業式の日「急に欠員ができて、大和田には提督の資質があるから××鎮守府に4月付けで着任するように」と、突然担任に言われて折角受かっていた大学の合格も取り消され半ば強引に着任させられた。
話によると突然前任の提督が姿をくらましてしまったらしい。
しかし艦娘と言うだけあって女性ばかりの職場で働ける上に受かっていた大学もマークシートを適当に書いたくらいで受かれるようなレベルの大学だったのでどうせ就職は難しいと思っていた節もあったので就職難のこのご時世に職にありつけた上に女性だらけの職場で働けるのだとプラスに考えるしかこの状況を乗り切る方法はなかった。
すると
「あの・・・ここで何をしているんですか?」
突然声をかけられたので振り向くと後ろには中学生くらいの女の子が立っていた家族以外の異性と話すことなんて久しぶりだった俺は焦って返事をした。
「あっあのえーっとぼっ、ぼくはこっここここのちちち鎮守府にちゃっ着任した新しい提督なんだけどきっ、君はここの艦娘なのかな?」
終わった・・・・・いくらなんでもキョドりすぎだろ俺・・・・
早速この気まずい雰囲気の中この娘とやってかないといけないのか・・・・そう思った瞬間
「貴方がここの司令官なんですね!初めまして!ぼっ・・・いえ私吹雪って言いますよろしくお願いしますっ!私も今日付けで着任したんです。私と一緒ですねこれから一緒に頑張りましょうね司令官!」
頭を下げ吹雪と名乗った女の子はそれに続けて満面の笑みを浮かべてくれた。
ええ子や・・・さっきまでの不安が吹き飛ぶ様な笑顔だった。
それに何故かこの娘となら上手くやっていけそうなそんな気すらしてくる。
「あ、ああよろしく」
俺はそう返事をした。
よかった・・・ちゃんと女子とも喋れるじゃんか俺・・・
俺はそっと胸を撫で下ろす。
「あっ、いけない。私は一度ドックの方へいかないといけないのでまた後で会いましょうね司令官!」
吹雪は何かを思い出した様に鎮守府の方へ走って行ってしまった。
「天使だ・・・」
女性と長らくまともに喋っていなかった俺は走って行く吹雪の後ろ姿を見送り、呆然と立ち尽くしていた。
「はっ・・・!いけないいけない・・・俺も行かなくちゃ」
我に返りこんなところでぼーっと突っ立っている場合ではなく執務室へ一度行かなきゃならない。
吹雪は可愛いし優しかったしあんな子と一緒ならこれからきっと華々しい提督ライフが送れるに違いない。
俺は胸をときめかせて鎮守府へ足を踏み入れた。
俺はその時この鎮守府に隠された重大な秘密を知る由もなかった・・・