ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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謙と少年

 まったく・・・とんだ災難だ。愛宕さんに夕飯の買い出しを押し付けられてしまった。

「あーめんどくさい。なんで引き受けちゃったんだろ・・・・」

俺は中身が沢山詰ったレジ袋を両手に持ち、安請け合いした事を後悔していた。

何故こうなったかって?話は数時間前に遡る。

 

「何?昼食が無い??」

食堂はがらんどうで誰もおらず、阿賀野が一人でお菓子をほうばっていた。

「ほへへへほほほほへへほほ」

阿賀野はお菓子を食べながら何か言っている。

「阿賀野、せめて飲み込んでから喋ってくれ」

俺は呆れてそう言う

「んっ・・・ぐっ・・・・うっ!!!げほっげほっ!!!」

阿賀野は一気に食べているお菓子を飲み込んだので喉に詰まったようだ

「大丈夫か阿賀野・・・たっくしょうがねぇな。水持って来てやるからそれまで死ぬんじゃないぞ。」

俺は冗談混じりにそう言って水を用意して阿賀野に渡す。

「ぷはー死ぬかと思ったよー」

呑気な奴だ。俺はさっき食べながら話していて全く聞き取れなかったので

「で、なんで食堂にだれも居ないんだ?何かさっき言ってたけどもっかい言ってくれ。」

と阿賀野に質問する。

「今日の当番は愛宕みたいなんだけど、当番すっぽかしててそれどころか部屋から出てきてないみたいなの。」

阿賀野はそう答える。部屋から出てない?一体どういうことだろうか。

「それってもしかしてヤバいんじゃないか?阿賀野、お前ちょっと様子を見に行って見てくれないか?鍵は大淀から借りてくるからさ。」

俺は阿賀野に頼んでみる。曲がりなりにも女性(厳密に言えばそうではないのだが)の部屋に男の俺がずかずか入って行く訳にもいかないのでとりあえず阿賀野に頼んでみる。

「え〜やだ〜」

即答!?なんて薄情な奴だ!さっき喉をつまらせてたのを助けてやったと言うのに!!

「なんでだよ!」

俺は少し怒り気味に阿賀野に尋ねる。

「え〜だってめんどくさいし行っても無駄だと思うし阿賀野いまお菓子食べてるし〜」

なんなんだよコイツ・・・

「だって今近くに居るのお前だけだしなんせ俺が愛宕さんの部屋にズカズカ入って行くのも悪いだろ!それに飯食えなくても良いのかよ!!」

俺は必死に説得を試みるが

「同性の部屋に入るのになに躊躇ってるの提督さん?それに愛宕が出てこなくなるのは今に始まった事じゃないし。それに阿賀野にはお菓子があるから大丈夫だし〜あっ、いくら提督さんでもこれはあげないからね!!」

なんて奴だ・・・都合のいいときだけ性別を盾にしてお菓子をむしゃむしゃ食いやがって俺は空腹で無一文で鎮守府の飯がライフラインだと言うのに!

「ああもうわかったよ!!俺が行けば良いんだろ俺が行けば!!!!!」

空腹でイライラしていた上にこれ以上何を言ってもムダだと思ったので仕方なく俺が愛宕さんの部屋へ行く事にした

そして俺は執務室にいる大淀に鍵を借り、愛宕さんの部屋の前に居る。

どうすればいいんだろう・・・やはりまずここはノックしてから・・・・

俺はコンコンコンとノックをした後

「愛宕さーん、大丈夫っすか?」

ひとまずそう声をかけてみると・・・

「あ゛〜〜」

となにやらうめき声のような声が聞こえたので居ても立っても居られなくなり戸を開ける

「大丈夫ですか!?入りますよ!!!どうしたんですか愛宕さ・・・・くっさ!!なにこれ!?酒くっさ!!!」

俺はあまりの酒臭さに鼻をつまんだ

「あ゛〜でいどぐ〜」

目を凝らすと真っ裸でうつぶせになって倒れている愛宕さんが居た

「どどどどうしたんですか愛宕さん!!」

俺は驚いてひとまず愛宕さんに声をかける

「ん〜?生理・・・・うっ・・・・ゔぉえええええええ」

そう言うと突然愛宕さんは置いてあったビニール袋に何か(オブラートに包んだ表現)を吐き出した。

はえー生理って大変なんだな〜・・・・・ダウト。ちょっと待てそんな訳無いだろ。落ち着いて薄暗い辺りを見渡すとそこらじゅうにビールやらの酒の入っていたであろう空き缶やビンが散乱していた。

もしかして愛宕さんは昨日の夜中にこれを全部飲んでたってのか?

「噓付け!!って愛宕さん・・・もしかして二日酔いですか?」

恐る恐る聞いてみる事にする

「え・・・ええ。昨日陸奥に貰ったおつまみが美味しくてついお酒が進んじゃって・・・うっ・・・・・」

ああもうそれ以上喋るとまた吐いてしまいそうだったからそっとしておいてあげようと思ったが飯がない。

「あの・・・愛宕さん・・・?いくらなんでも当番すっぽかすのはどうかな〜って・・・・」

俺は苦笑いして愛宕さんに言う

「だって〜こうなっちゃった物はしょうがないじゃな〜い」

なんてだらしないお姉さんなんだ・・・いやこのガサツさはもはやオッサ・・・そんな事を考えるや否や

「今ガサツでだらしないって思ったでしょ?」

コ、コイツニューハーf・・・じゃなかったニュータ○プか!?

「い、いえそそそそんなことないじゃないですか嫌だな〜ハハハハ〜・・・・」

俺は苦し紛れに誤摩化したがこんな誤摩化しが効くはずもなく・・・

「もー提督のいじわる〜」

と愛宕さんはへそを曲げたかと思うと

「オロロロロロロロロロロロロ」

あーあまた吐いちゃったよこの人・・・いつもは綺麗で頼りがいのある人に見えるんだけどお酒入ると酷いなぁ・・・

「あーわかりましたよ。じゃあ俺がかわりに今日の当番変わってあげますよ。でも今度は絶対にちゃんとやってくださいね。」

流石にこんなゲロ(ド直球)吐きまくってる人を働かせる訳にもいかないししょうがないか。すると

「本当ですかぁ?提督大好き!ふふっ♪」

と言いながら愛宕さんが抱きついて来た。なんて調子のいい人なんだろうそれにしても色んなモノが当たってるぞオイ・・・それに凄く酒臭いです・・・

「あの・・すいません・・・当たってるんですけど」

俺は控えめにそう言う

「当たり前じゃない!当ててるんだからぁ」

愛宕さんはそう言って更に俺に胸を押し付けてくる。

しかし俺が気にしているのは胸の方ではない。いや胸も十分に気になるのだが

「いっ・・・いえ胸の方じゃなくて・・・俺の太ももの部分になんか当たってるんですけど・・・・・・・」

そう。確実にアレが当たっているのだ。デカい・・・じゃなくて正直良い気はしない。

「あらごめんなさい。それじゃあお任せして良いですか提督?」

愛宕さんはなにやら嬉しそうにそう言って俺を解放した。絶対からかってるよこの人・・・

「じゃ、じゃあ変わりに買い出しとか行ってくるんでせめて服くらい着てから寝てくださいよ。お大事に。」

俺は半ば逃げる様に部屋を後にする。

「はぁい提督〜おやすみなさ〜い」

と後ろで愛宕さんの呑気な声がした。

こうしてほぼ強引に当番を押し付けられた俺は近所のスーパーで買物を済ませ一息ついていた。

 

「はあー結構重いな。」

俺は荷物を降ろし近くのベンチに腰掛け、安売りだった上にお金が余ったのでこっそり買ったアイスを食べようと袋の中をがさごそと探ってアイスを取り出した。いやぁまだ暖かくはないけど海を見ながらアイスを食べられるとはなかなかに良い所だなぁここ。

そんな事を思いながらアイスを食べ始めようとしたそんな時

「お兄さん見ない顔だね。」

突然後ろから声をかけられた。そこには銀髪の小学生くらいの見た目は中性的だったが服装と髪型からするに少年なんだろうと言うような少年が居た。

「あ、ああここ最近越して来たばっかりだからな。」

俺はアイスを食べながら答える

「こんなところに越してくるなんて物好きだね。何しに来たの?」

少年は不思議そうに尋ねてくる。

「ああ。仕事だよ」

そう言うとその少年は目を輝かせ

「仕事・・・?もしかしてお兄さん最近あそこの鎮守府に来たって言う新しい提督さんなの?」

と聞いてくるので

「ああ。何を隠そう××鎮守府に着任した提督の大和田謙って者だけど?」

と得意げに返事をしてやる。すると

「わー!すごい!!でも最初幸薄そうだしぱっとしないから都会に絶望して田舎暮らしがしたい人かと思ったよ〜」

余計なお世話だクソガキ。そう思っていると

「僕の将来の夢は提督になる事なんだ!いや夢じゃなくて絶対なるんだ」

そう表情を強張らせて続けた。俺は気になったので

「少年、なにやら事情がありそうだけどもし差し支えがなかったら俺に聞かせてくれるか?」

と聞いてみる事にした。すると彼は語り始める。

「僕のお父さんとお母さんはとある鎮守府で技術者として働いてたんだ。でも二人とも突然鎮守府に空襲が来て死んじゃったんだ。だから僕も鎮守府に務めてお父さんとお母さんの仇を討つんだってそう思ったんだ。」

ああ地雷踏んだな。俺は確信した。しかしここは少し恰好を付けてやろうと思ったので

「残念ながら君の夢は叶わないなぁ」

俺はそう言った

「えっ、どうして?」

少年は少し泣きそうになりながら聞いて来た

「理由?そんなの簡単さ。俺の代で深海棲艦との戦いを終わらせてやるからだ。俺が少年の仇も一緒にとってやるから安心しろ。少年、君は復讐なんて物に捕われないでもっと未来を明るく出来るような大人になるんだよ」

俺はキメ顔で言った。決まった・・・・我ながらクッソかっこいい事言ったんじゃない????などと思っていると少年はクスクスと笑い出し、

「提督のお兄さん格好付けようとしてるんだろうけどスベってるよ。クスクス。でも少しかっこいいと思った。ありがとう。少し気が楽になった気がするよ。じゃあ頑張ってね提督のお兄さん」

いちいち突き刺さる事を言ってくるガキだなほんと・・・しかし少しは元気になったようなので良しとしよう。

「ああ。この海の平和は俺と××鎮守府の皆が全力で守ってやるから安心してな!!」

そう少年に告げると

「うん!わかった!!じゃあねぱっとしない提督のお兄さん!僕の名前は(そら)って言うんだ!また会ったら次は鎮守府の話聞かせてね!!」

そう言うと天と名乗る少年は走って行ってしまった。

はあ〜提督って艦娘以外に呼ばれるのは初めてかも知んないけどああいう人たちの為にも頑張らなきゃな!

俺は決意を新たにした所で膝に何か冷たい物が垂れた感触を覚える。俺は恐る恐る膝を確認するとそこには見るも無惨に溶けたアイスが付いていた。

「ああああああアイス食うの忘れてたああ!!」

俺の悲痛な叫びが

はあ・・・今日は付いてねぇなぁ・・・

そんな事を思いながら鎮守府帰る帰り道での事、鎮守府のガレージに何やらかっこいいバイクが置いてあるのが見えた。バイクに詳しくない俺でも聞いた事がある。たしかニン○ャとかいうバイクだ。いやーあまりバイクには興味は無いけどこういうの見るとかっこいいしテンション上がるなぁ・・・しかし誰のバイクなんだろう?そんな事を思いながら鎮守府に戻ると高雄さんに話しかけられた。

「阿賀野から聞きましたが今日は災難でしたね提督・・・ごめんなさい。私他の用事で手一杯で手伝えなくって・・・愛宕いつもお酒飲むとああなのよ。私からキツく言っておきますね。愛宕の代わりに謝っておきます。すみません提督・・・」

高雄さんに頭を下げられる。

「ああいいですよそんなに頭下げなくても・・・」

俺は高雄さんをなだめる。

すると

「あの・・・それとは別に提督にお話があるのですが・・・」

と高雄さんが話を切り出した

「はい。なんでしょう?」

俺がそう聞くと高雄さんは神妙な面持ちで

「提督、付き合って頂けませんか?」

と言った。

えっ・・・?今何と言った??付き合えって言ったか?いやそんな れれれ冷静になれ俺・・・・第一高雄さんは男で・・・いやでもこんだけ美人なら男でも・・・いやいやそこは超えちゃいけないラインでしょ・・・

俺の頭の中で様々な考えが交錯する。一体俺はどうなってしまうんだろう?

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