ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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手紙

 「提督、付き合って頂けませんか?」

高雄さんの発した言葉に俺は困惑する。いきなりそんな神妙な表情で付き合ってくれだなって言われたら仮に相手が男だったとしてもこれだけ見た目がこれだけ美人なんだから期待せざるをえないだろ・・・いやいやでも高雄さんは男でだな・・・しかしそんな表情で付き合ってくれだなって言われたのは多分幼稚園の年長の頃くらい振りなので緊張してしまう。いや、単にトイレットペーパーがないとかそこいらで一人で買物に行くのが寂しいから付き合って欲しいとかそういう感じなのかもしれない。ここは期待せずにいこう。

「えーっとあの・・・付き合ってとはどのように?」

俺は慎重に聞き返す。すると

「会って欲しい人が居るんです・・・・」

そう高雄さんは言った。 会って欲しい人?誰だろう?

「誰にですか?」

「私の母です。」

俺が質問をすると高雄さんは答えた。えっ!母ァ!?いやいやいくらなんでも気が早過ぎやしませんかね???流石にまだ俺と高雄さんはそんな関係じゃないし・・・

てかまず第一高雄さんは男な訳でそんな・・・・

などと俺が半ば意味の分からない憶測を頭の中で走らせていると

「実は母が危篤状態らしいのですが、私、艦娘になった事を秘密にしていて会うに会えない状態なんです。でも最期に一目会いに行きたくて・・・迷惑ですよね?」

と高雄さんが遠慮がちに続ける。

以前過去なんか忘れてしまえば良いと言っていた高雄さんがここまで頼んでくると言う事は相当な事なのだろう。しかし何故俺まで一緒に行かなければならないのかがよくわからないので聞いてみる事にした

「いや、別に迷惑とかではないんですけどなんで俺なんですか?」

「それは・・・」

俺が質問すると高雄さんは少し言葉に詰まったが続けて

「私は実はこの鎮守府で整備士をやってるってずっと母に噓を付いてきたんです。今までずっと仕送りと手紙のやり取りをしていたのですが今回こんな事になってしまって、でもこの姿で面と向かって母と会うのが怖くて・・・そこで私が仕事で忙しくて会いに行けないから代わりに提督が代理人として会いに来た事にしてもらって、私はそこに付き添いの艦娘として同行するのでそれで母と一目会えればそれで良いと思ったんですが・・・」

高雄さんの胸の内を聞いた俺は特に断る理由も無いし自分自身もじいちゃんが死んだ時死に目に会えず、何故もっと早く会いに行けなかったのかと後悔し、未だに心のどこかで引っかかっているのでそんな後悔をさせるのは悪いと思い承諾する事にした。

「わかりました。でも会いに行くだけで良いんですか?流石に他に何か伝言とかそういうのは無くても?」

「本当ですか?ありがとうございます!!!伝言の件に関しては手紙を用意したのでそれを私の代わりに母に手渡してくれればそれで良いです」

高雄さんは嬉しそうにそう言った。

「でもそうなると今からでも出なきゃいけないんじゃないんですか?高雄さんの親御さんはどの辺に居るんでしょうか?」

俺はこれだけは外せないと思ったので聞いた。

「そのことならここからバスで1時間くらいの所にある病院に入院しています。出来れば今すぐにでも出発したいのですがこちらも準備が出来ていないので1時間後に出発したいのですが」

そう高雄さんは言った

「わかりました。1時間後ですね」

「はい。1時間経ったら鎮守府の入り口で待っていてくださいね。ではまた1時間後」

そう言うと高雄さんはその場を去ってしまった

俺はひとまず足下に置いていたスーパーで買った物が入っている袋を拾い上げ、食堂へ向かうことにした。

「あっ、提督さん。買物お疲れさま〜今日の晩ご飯は愛宕さんの代わりに提督さんが作ってくれるの?」

そこには阿賀野が居た。こいついつも食堂に居るな。

「いや。今日は急用ができたからカップ麺な。はいこれ」

俺はレジ袋から買って来たカップ麺を取り出し阿賀野に手渡す。すると

「え〜カップ麺〜やだやだ〜こんなんじゃ足りないよ〜」

と不満そうに阿賀野は言った

「お前は昼間っから菓子をぼりぼり食ってただろうが!たまにはこれ位で良いんだよ。それに食い過ぎたら太って制服着れなくなるぞ!」

「むむ〜阿賀野の一番気にしてる事をそんな平然と〜セクハラだよ!?それにこれでも一応運動はしてるんだからね!!」

阿賀野は頬を膨らませそう言った。

「あーはいはい。それとレトルトのお粥も買ってあるから後で愛宕さんに作って持って行ってやってくれ。今日はこんな雑なので申し訳ないとは一応思ってるんだ。そのうち埋め合わせはするから」

そう俺が言うと阿賀野は目を輝かせ

「ほんとぉ?阿賀野提督さん大好き!今日はこれで我慢する!!」

そう言って抱きついて来た。なんてチョロい奴なんだコイツは・・・まだ会って1ヶ月も経っていないがたまに本気で心配になる事がある。あっ、そうだ。

「阿賀野おまえお粥は絶対食うなよ!」

俺はひとまず阿賀野を振りほどき釘を刺す。

「も〜阿賀野そんなに卑しい娘じゃないもん!!」

阿賀野はまた頬を膨らませた。要所要所であざといんだよなぁ阿賀野・・・たまに男だって忘れてしまいそうになってしまう。

「あ〜わかったわかった。じゃあ頼むな。行ってくる。」

「は〜いお土産待ってるね〜☆」

やれやれ厚かましい奴だ。俺はそんな事を思いながら食堂を後にする。

そして一人で射撃訓練をしていた吹雪に

「吹雪ーちょっと出かけてくる。遅くなるかもしれないから先に寝といてくれていいぞ。晩飯は食堂に置いてあるから悪いけど適当に済ませといてくれ。」

と伝える。

「はい!わかりましたお兄・・・司令官!」

「ああだからお兄ちゃんはやめろって」

「すみません司令官!どこかに行かれるんですか?」

「ああちょっと野暮用でな。」

「そうですか。いってらっしゃい司令官!」

吹雪は少し寂しそうに言った。

「ああ行ってくる。」

俺は演習場を後にし、次は執務室へ向かった。

「あっ、提督おかえりなさい」

大淀は頭をぺこりと下げる。

「ああ大淀、帰って来てすぐで悪いんだけどちょっと高雄さんと出掛ける事になってさ」

俺がそう言うと

「高雄さんと?謙!?一体こんな時間から高雄さんとどこ行くのよ!?不純異性交遊は秘書官として私の目の黒いうちは認めませんよ!!」

大淀は血相を変えて俺を問いつめた。異性交遊て・・・同性交遊の間違いだし俺にそんな気はない。俺は大淀に巡を追って説明をした。

「そ・・・そうでしたか。先走ってしまって恥ずかしいです・・・」

大淀は顔を赤らめて言った。

「ま、まあ勘違いなんて誰にでもあるだろ。だから今日は愛宕さんもあんな感じだしカップ麺でガマンしててくれ。ここに置いとくからな。お前好きだっただろペ●ング」

俺は机に大盛りのペ●ングを置いた。

「ありがとうございます提督。最近食べてなかったんですよねぇ・・・」

大淀はそう言った。

「それじゃあ俺そろそろ行くからさ。後は任せたぞ」

「はい。提督行ってらっしゃいませ」

大淀は俺の事を見送ってくれた。

そして俺は自室で服を着替えて一服した。それから少しして約束の時間になったので約束通り鎮守府の入り口付近で待っていると、何処からとも無くバイクのハウリング音がこちらに近付いて来た。

そして俺の目の前で今日の昼間見たバイクが止まりそれに乗っていた女性がヘルメットを外すと中から高雄さんの顔が現れる。

「お待たせしました提督」

そのバイクの持ち主が高雄さんだったらしい。それにしてもライダースーツが高雄さんの豊満だがメリハリのある肢体を強調して非常にけしからんですねはい。股間が少しもっこりしている事に目をつぶればではあるが・・・

「このバイク高雄さんのだったんですね。それにしても以外です。高雄さんがバイクに乗るなんて」

「ええ。高雄になる前から少しかじってたんですがこれだけは忘れられなくて」

高雄さんはごまかすように笑ってみせた。

「提督、これヘルメットです。被って後ろに乗ってください」

そう言って高雄さんは俺にもう一つのヘルメットを取り出し手渡してきたので、俺はそれを被り後ろに乗った。このヘルメットなんだかいい匂いがするなぁ・・・誰が使ってたんだろ?いや待てよ、このままだと確実に振り落とされる訳でどこかに捉まらなきゃいけない。つまり高雄さんに捉まらなきゃいけないって事だろうけどちょっと心の準備が・・・等と思っていると

「提督、なにしてるんですか?飛ばしますからしっかり捉まっててくださいね」

「えっ、でっでもまだ心の準備が・・・ちょっ・・・どわあああああああああああああああ!!!!!」

その事を知ってか知らずか高雄さんはバイクを発進させ凄まじく加速させたので俺はやむなく高雄さんに捉まる事にした。柔らかい。これが本当に男なのだろうかいやしかし早くない??ちょっとこれ早くない????

それからはそんな事を考えている暇もなくただただしがみつく事に精一杯な状態が20分程続き・・・

「おつかれさまです提督。この病院です。私はバイクを停めに行って着替えてくるので少々待っていてください。」

「あ、ああ・・・」

やっと病院に着いたらしい。しかしバスで1時間程度の距離を20分足らずと言う事は相当なスピードを出していたと言う事になるのではないか。見かけに寄らず凄まじい事をするなぁと思いながらもその場に俺はスピードに対する恐怖と安心感からかその場にへたり込んでしまった。

それから10分程で服をいつもの制服に着替えた高雄さんが戻って来た。

「お待たせしました提督。病室まで案内しますので着いて来てくださいね」

そこからは高雄さんの案内で高雄さんの母親が入院している病室の前へとたどり着いた。

病室のプレートには高山 夏海と書かれている。

なんでも一度生死の狭間を彷徨った物の奇跡的に回復し、今は面会も話も出来る状態だという。しかし見ず知らずの人のお見舞いに行くなんて事は今まで経験した事が無かったのでとても緊張する。高雄さんも顔は平静を装っている物のどこか落ち着きの無い様子だ。

しかしここで尻込みをしていても始まらない。俺は意を決して病室のドアを開ける

「失礼します。」

すると

「あんた誰よ?」

と高雄さんの母親らしき人に警戒心丸出しの声をかけられる。怖ええ・・・

「あっ、えーっとですね、自分は息子さんの勤務している××鎮守府の提督をやってます。大和田と言う物です。こっちは付き添いの艦娘の高雄です」

俺がそう言うと高雄さんは軽く頭を下げた。

「その提督さんが何の用よ?それにしても今はこんな若い子でも提督になれるのね。見た感じ馬鹿息子より年下じゃない!どうなってるのかしら」

やっぱ怖ええ・・・高雄さんも目が泳ぎまくっている。しかし萎縮してるだけじゃアレだし目的を果たして足早に退散しよう・・・

「えーっとですね。息子さんが艤装のメンテナンスで忙しくてここまで来れないので代わりに来ました。手紙を預かっていますのでそれを渡して欲しいと」

俺はそう言って高雄さんから預かった手紙を渡す。

「馬鹿息子はこんな私が時にも顔も見せにこないのね。ここ何年も全く顔見せないでとんだ親不孝物ね!親の顔が見てみたいわ!!!」

えーっと親は貴女なんじゃ・・・とツッコミを入れたかったが突っ込んだら何を言われるかわかったもんじゃないので黙っておこう。実は割とお茶目な人何じゃないのかこの人・・・・

それにしても横に居る高雄さんも顔が青ざめている。これはあまり長居出来る雰囲気ではない。

「あの・・・これだけ渡しに来ただけなのでそろそろ失礼いたします。お大事になさってください。失礼します。」

俺がその場を立ち去ろうとすると

「あら、もう帰っちゃうのね。どうしようもない息子だけどこれからも息子をよろしく頼むわね」

一瞬寂しそうな表情をした高雄さんの母親はそう言った。

そして俺達が部屋を出ようとすると

「ちょっとアンタ!」

急に俺は呼び止められる。ヤバい・・・俺何かしたかな・・・?

「はっ!はい!!!まだ何か!?」

俺が恐る恐る返事をすると

「アンタじゃないの!そこの艦娘さんにだけ話があるからアンタは先に出てて」

高雄さんの母親はそう俺を部屋の外へ出るように言うので

「わかりましたー!!!!」

その迫力に押され、俺は高雄さんを置いて病室の外へ出る。そして俺は戸をすごい勢いで閉めて壁に耳を当て中で何が起こっているのか聞く事にした

「ちょっとアンタ・・・」

「はっ、はいなんでしょう?」

高雄さんは困惑しているようだ

「あんた隼雄でしょ。最初からそんな気はしてたけど緊張すると左の親指で人差し指の付け根を掻く癖でわかったわよ」

バレてんじゃん病床だというのに凄い洞察力だ・・・てか高雄さん隼雄って言うのか。

「い、いえ・・・何の事でしょう・・・・」

高雄さんはなんとかやり過ごすつもりのようだ。しかし

「しらばっくれるんじゃないわよ!!噓付くとき右下にうつむく所もまんま隼雄じゃないの!!」

「やっぱり母さんは騙せないな」

高雄さんは嘘をつくのを諦めた様でいつもとは違う口調でたどたどしくそう言った。

「アンタがなんでそんな恰好してるのか聞く気もないけどしっかりやってんの?何年も顔一つ出さないから心配してたのよ!」

「あ、ああなんとかね」

それから十数分母と息子の会話は続き

「じゃあそろそろ提督さんも待たせてるだろうから行きなさい。じゃあね。それと提督さんにキツく言い過ぎちゃったから代わりに謝っておいてね」

「ああわかったよ。またね母さん」

「じゃあがんばんなさいよ高雄さん」

「はい失礼します」

そう言うと高雄さんがドアを開けて出て来た。

「お待たせしました提督。母が無礼を言って申し訳ないです。それでは行きましょうか」

高雄さんは少し寂しそうにそう言った。

「ああ。帰りは安全運転でお願いしますよ」

そしてん病院を後にした俺は再びバイクの後ろに乗る。

バイクへの慣れとさっきよりもゆっくり走っているからかどうも落ち着かないし気まずい。ここはなにか軽く話題を振ってみよう。俺はヘルメットに付いていたインカムの電源を付け話を切り出す。

「あの〜高雄さん?」

「はいなんでしょう」

「いやぁ最初付き合って欲しいって言われたときは告白かと思いましたよ〜ハハハ・・・」

俺がそう言うと

「その心配は無いですよ提督」

と即答された。

「えっ、なんでです?」

すると

「私、既に付き合ってる人が居るので」

「えっ、だっ誰ですか!?」

俺はすかさず聞き返してしまった

「あれ?言ってませんでしたっけ?私愛宕と付き合ってるんですよ」

えっ、今何と言った・・・愛宕ってあの愛宕さんか?姉妹艦レズホモカップルって事なのか・・・・?なんか凄まじい力を感じるワードだなぁ。

「まあ付き合ってるって言っても愛宕一人じゃ心配だからって言うのが大きくて。でも私、提督の事も嫌いじゃないですしどちらかと言うと・・・・」

そこで高雄さんは突然インカムの電源を落とした。

えっ、最後なんて言ったの???めちゃくちゃ気になるんだけど!????

「あらごめんなさいインカムの電池がきれちゃったみたい!」

高雄さんはわざとらしそうにそう謝る

「いやいや絶対わざとでしょ!なんて言ったかめちゃくちゃ気になるんですけど!!」

「ナイショです!ふふふ。」

高雄さんはそう笑うとバイクを速度を上げた。

「うわぁあああ!だから早いですってばー!!」

俺は半泣きになりながら高雄さんに必死にしがみついた。

 

そして次の日何故か阿賀野が高雄さんに凄まじい剣幕で怒られていたのだがそれはまた別の話・・・




高雄と謙が居ない間の鎮守府の様子を書いたサブストーリーもありますのでそちらもよろしくお願いします。
こちらはR-18なので注意https://novel.syosetu.org/119455/1.html
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