ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。 作:ゔぁいらす
あの人ならきっと何か良い助言をしてくれる。そう思った俺は鎮守府を飛び出した。
しかし勢い良く飛び出したは良い物のイマイチあそこに行くまでの道のりを覚えていない。どうした物か・・・
そんな時である。
「あっ、提督のお兄さんだ。どうしたの?」
急に声をかけられる。いつかスーパーに買物をしに行った時に出くわした少年だ。その後何回か会ううちに懐かれてしまったようで会うたびに声をかけてくる。
「おおソラじゃないか。何か用か?」
「いや、なんか走って来たと思ったら急に立ち止まってきょろきょろしてて挙動不審だったからさ。鎮守府で何かあったの?」
お前は職質するときの警察官かよ・・・まあいい。そんな鎮守府の内情を話して彼の夢を壊す訳にもいかないし
「いや、特に何も無いけど?」
適当に返事を返す。すると
「いや。そんな訳ないよ。いつもパッとしない顔してるけど今日は尚更パッとしない顔してるよ?」
ソラは平然と皮肉めいた事を言ってくるが不思議と憎めない奴だ。
「いつもパッとしてないは余計だろ。まあちょっと色々あってな・・・」
「ふーん。まあどうでも良いんだけどね。」
「どうでもいいのかよ!!」
俺は思わず叫んでしまうと
「ハハハ。そんな怒んないでよ。」
ソラはそう言って笑った。年下にここまで馬鹿にされるとは一応社会人なんだぞ俺・・・そんなに威厳無いのか?
「ソラお前友達居なくなるぞそんなに人をからかってると」
俺は苦し紛れにソラにそう言った。すると
「そっ、そんな事無いよ!!ハハハ何言ってるの提督のお兄さん。僕に友達が居ないって!!そんなことは・・・・」
図星だなコイツ・・・
「おい、ソラ俺はあくまで友達が居なくなるって言っただけで友達居ないだろとは言ってないぞ?はは〜ん?さては本当に居ないんだな?ん?」
自分でも大人げないとは思ったが俺はここぞとばかりに追求した。
「ぐっ・・・そんな事は・・・・」
ソラは少し言葉を詰まらせる。
「まあ安心しろよ。友達ならここに居るだろ?俺がソラの友達になってやるよ!」
俺は少しかわいそうになって来たのでそう言ってやる。すると
「・・・・・」
ソラは黙り込んだ。
「ん?どうした?感動のあまり言葉も出ないか?」
俺がそう言うと
「いや、それは無い。」
と彼は即答する。そこは即答なのか・・・・
「いやー年下の子供にそんな事言うなんて・・・正直ドン引きだよお兄さん。こんな年下の子供と友達になろうだなんて下手すると事案だよ?もしかしてお兄さんも同年代の友達いないんでしょ?」
クソッこの野郎人の気遣いも知らないでホントに可愛気の無い奴だ・・・・
「ちっ・・・ちげーし・・・地元にはちゃんと友達いるし・・・」
俺はそう反論するがどうでもいいといったような顔をして彼は続ける
「でも、ほんのちょっとなら考えてあげてもいいかな〜って思ったよ。」
何で上から目線な上に素直じゃないんだコイツは・・・まあでも多少彼の表情は明るくなったからまあ良しとしよう。
「そう言えば提督のお兄さん、こんなところで油売ってていいの?」
お前が呼び止めたんだろうが!と言おうとしたがそうだ。こんなところでのんびり喋ってる場合じゃない
「そうなんだよ。俺、居酒屋おおとりって所にいかなきゃいけないんだけどソラ、どこかわかるか?」
俺は地元民なら知っているかも知れないとソラに聞く。
「お兄さんこんな昼間から飲みに行くの・・・?それ提督としてどうかと思うよ?」
何処まで嫌味な事を言うんだこのクソガキは・・・
「ちげーよ!単に女将さんに用事があるだけだよ!それに俺はまだ未成年だぞ」
俺がそう言うと
「ええ!まだ未成年なの!?幸薄そうだしてっきり二十代中盤くらいだと思ってたよ」
と彼はわざとらしい程のオーバーリアクションでそう言ってくる
「余計なお世話だ!ほっといてくれ!!」
「ごめんごめんお兄さん反応が面白いからついつい弄っちゃうんだ〜おおとりの場所なら知ってるよ。」
ソラは笑いながらそう言う。
「おおとりはそこの道路をまっすぐ言って道路沿いに進んで行った所にあるよ」
とソラは指を指し俺に行き方を教えてくれた。
「おおそうかありがとう。じゃあまたな!」
俺はそう言い残しその場を後にする。
そして道路に沿って歩いていくと居酒屋おおとりと書かれた看板が目についた。この間ここに来たときは吹雪を探して路を外れていたから気付かなかったが結構鎮守府からそう遠くない距離にあったのか。
しかしこんな時間から開いているか心配だったが女将さんはここに住んでいると言っていたのでとりあえずインターホンを押してみる事にした。
インターホンを押してしばらくすると戸が開き
「はーい」
と言いながら女将さんが出て来た。
「あら、謙くん。こんな時間に何か用かしら?でもごめんね。まだ準備中で料理は出してないのよ」
女将さんは俺に申し訳なさそうにそう言った。
「いえ、少し相談事があって来たんです。何故かわからないんですが女将さんに話せば楽になれるような気がして・・・・」
俺がそう言うと
「そうだったの。その為にこんなところまでわざわざ来てくれたんだからどうぞ上がってちょうだい。特にお構いはできないけど・・・」
そう言って女将さんは俺を店に上げてくれた。
「お邪魔しまーす。」
俺はカウンター席に座ると女将さんはお茶を持って来た。
「今はこんな物しか出せないけどどうぞ。それで、相談って何?こんな私でいいならなんでも言ってちょうだいね」
そう女将さんは笑顔で言ってくれた。この笑顔を見るとどこか懐かしいような不思議な気分になる。
「まずこの間は吹雪を助けてくれてありがとうございましたまだちゃんとお礼を言えてなかったので・・・」
俺は深々とこの間の一件のお礼を言い頭を下げた。
「謙くん頭上げて、私はただ吹雪ちゃんを寝かせてあげただけで謙くんがこなかったらあの子は助かってなかったんだからあれは私のおかげじゃなくて貴方のがんばりよ」
女将さんは謙遜してそう言う。そして
「で、吹雪ちゃん今は元気でやってるの?」
と女将さんは続けたので
「はい!おかげさまで」
と俺は返事を返す。
「それは良かった。そうだ謙くん阿賀野ちゃんはどうしてるの?」
女将さんが更に聞いて来た。
「あーその事なんですけど・・・」
俺は阿賀野が今どうなっているか現状を女将さんに打ち明けた。
「阿賀野は今過去のトラウマと向き合わなくちゃいけない状況にいるんです。アイツは相当苦しんでて、アイツのあんな顔見たの始めてで俺、アイツにどういってやればいいのかわからなくて・・・・ダメですね、俺。肝心な時に何もできやしないんです・・・・」
俺は女将さんに打ち明けた。何故だろうこの人にならなんでも話せるような気がするのは
そして女将さんが少し悩んでから口を開いた。
「ごめんなさい。私も阿賀野ちゃんの力になってあげる事はできないわ。詳しい事までは聞かないけど過去のトラウマに縛り付けられているとしても阿賀野ちゃんは今を生きているの。過去に縛られていては駄目。その事をしっかり彼女に伝えてあげて。それに私は何もできないけど謙くん、あなたならきっと吹雪ちゃんを救えたように阿賀野ちゃんの心の支えになってあげる事ができるわ。それでも最後の最後は阿賀野ちゃん次第なのだけれど」
女将さんはそう言った。
たしかに沈んだのは阿賀野ではなく先代の艦娘の阿賀野と先々代の軽巡としての阿賀野であって俺の知っている阿賀野自身ではないのだ。きっとその運命は変える方法はあるはずだ。帰って阿賀野と話をしなければ・・・・おれがそんな事を考えていると女将さんはなにやらゴソゴソと戸棚から箱を取り出し俺の前に置いた。
「この中にはね、私の大切な人がくれたお守りが入っているの」
女将さんはそう言うとその箱を開けた。中にはなにやら小さな袋のような物が入っている。
「これを貸してあげる」
そう言って女将さんはその袋を俺に手渡そうとして来た。
「そんな大切な物俺には受け取れません!」
俺はもちろんそんな女将さんの大切そうな物をもらう訳にも行かず断るが
「いいえ、今これは私が持っていても意味の無い物。だから謙くんに持っていって欲しいの。阿賀野ちゃんの事、大切に思っているんでしょう?」
女将さんはそう言った。俺が阿賀野を・・・?確かに初めて会った時は可愛いと思ったけどアイツは男で・・・でももう1ヶ月もアイツと一緒に居て感じもしなかったがアイツが俺にとってかけがえのない存在になりつつあるのだと言う事を今の一言で認識せざるを得なかった。××鎮守府での大切な仲間。今はそう言う事にしておこう。そんなアイツに・・・阿賀野には居なくなって欲しくないしこれからも同じ時間の中を過ごしていたい俺は心の底からそう思える。アイツがどう思ってるかは知らないが帰ったらアイツに俺のこの思いを伝えよう。
「女将さん。今の一言でよくわかりました。阿賀野は俺にとってかけがえのない存在だって事」
俺がそう言うと
「ふふっ、じゃあこれ受け取ってくれるわね?きっと阿賀野ちゃんと謙くんを守ってくれるわ」
そう言って女将さんは俺に小さな袋を手渡した。
そしてそのお守りに触れたその時だった。何やら俺の頭の奥底で何かがフラッシュバックしなにやら頭の中でヴィジョンの様な物が見える。
「・・・・■翔さん、これを持っていてください」
「ありがとう□□これは?」
「私の手作りのお守りです。これを私だと思って持っていてください。」
「□□・・・」
「大丈夫です■翔さん。私は必ず帰ってきます。貴女はこの場所を・・・私の帰る場所を守っていてください。」
「□□・・・わかったわ。きっと帰って来てね・・・・」
「もちろんですよ■翔さん。それでは平和なこの場所で・・・静かな海でいつかきっと会いましょう」
「ええ。またきっと会いましょう□□。私肉じゃがを作って待っているわ。」
・・・・さようなら鳳翔さん。貴女だけでも生き延びてください。
そこで突然俺の目の前が真っ暗になり、暗闇から何か声が聞こえる
・・・・・・・・・・
・・・・・くん?・・・・
「・・・・・くん?・・・・謙くん?大丈夫?」
女将さんの声で正気に戻る。何だったんだ今の?誰かの記憶なのか?片方は女将さんに良く似た女性だったような・・・
「すみません。ちょっとぼーっとしちゃってて・・・・疲れてるのかな」
俺は簡単にごまかす。
「そう、それなら良いのだけれど。あっ、そうだ」
女将さんが何かを思い出したかの様に言う
「何ですか女将さん?」
「阿賀野ちゃん、倒れちゃったんでしょ?昨日の残り物の肉じゃがが有るの。持っていってあげて。」
そう言うと冷蔵庫からタッパーを取り出す女将さん。そして手慣れた手つきでそれを包んで俺に渡して来た。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます鳳翔さん」
鳳翔・・・?いま俺の口からナチュラルにその言葉はこぼれ落ちた。この人が鳳翔と呼ばれていたあの女性・・・・?いやいやそんなはずは・・・・しかし髪を結っていないだけで鳳翔と呼ばれていた女性と女将さんはうり2つだった。そんな事を考えながら俺は女将さんの顔を伺うとなにやら驚いたような顔をして
「懐かしい名前ね。どこでその名前を?」
と言った。
「すすすすみません!なんか口からぽろっと出ちゃったんですよ!!どうしちゃったのかな〜はははは・・・・」
俺はまたごまかすように笑ってみる。すると
「そう。不思議な事もあるものね。私の名前を当てるだなんて」
女将さんが鳳翔?それじゃあさっき見たあの記憶は・・・・でも確証が持てない。珍しい名前ではあるが名前が同じだけで別人かもしれないし。俺は自分の頭に浮かんだ考えを否定するようにかき消した。
「えっ、女将さんの名前鳳翔って言うんですか。不思議だな〜何でわかったんだろうな〜?」
俺は適当にすっとぼけた
「まあ今その名前で呼ぶ人はそうそう居ないんだけどね」
女将さんは笑ってそう言った。しかしさっきのヴィジョンは一体なんだったのか俺の胸に引っかかる。
「女将さん・・・一つ良いですか?その大切な人って言うのは・・・」
俺がそう聞こうとすると
「その話はまた今度ね。それにこんなところで油を売ってないで早く阿賀野ちゃんの所へ行ってあげなさい。それとお守りは貸すだけなんだからしっかり今度くる時には阿賀野ちゃんと一緒に返しに来てちょうだい。またなにかご馳走してあげるから」
と軽く一蹴されてしまった。そうだ。今はそんな事より阿賀野をなんとかしてやらなきゃいけない。
「わかりました女将さん!また来ます。話に付き合わせてすみませんでした。今度はきっと阿賀野も一緒に連れてきます!ありがとうございました!!」
「少しでも力になれたなら嬉しいわ。それじゃあまたね。待ってるから」
俺は手を振り見おくってくれている女将さんを背に鎮守府へと走った。