ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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阿賀野、那珂救出作戦開始数十分前

話は阿賀野、那珂救出作戦開始の数十分前に遡る。

愛宕率いる××第一艦隊はタンカーの護衛を着実に進めていた。

「深海棲艦が多数確認されてると聞いてましたが少数の駆逐艦だけでしたね。これなら私でもなんとかなりそうです!」

吹雪はそう言った。

「こらこら。こんなときこそ油断しちゃダメよ?」

愛宕はそんな吹雪を諌める。

「はい。すみません愛宕さん。吹雪、気を引き締め直します」

2人がそんな会話をしている中高雄は考え事をしていた。

(おかしい・・・大淀から貰った資料には他にも軽巡や雷巡、それに潜水艦の出現が報告されていると書いてあったはずなのだけれどいくらなんでも海が静か過ぎる。逆に気味が悪いわ。それに阿賀野の事も気になるし・・・・)

高雄がそんな事を思っているのを知ってか知らずか阿賀野は呑気に

「疲れた〜早く終わらせて帰りた〜い」

と不満をこぼしていた。それを聞いた高雄は

「もう!人がどれだけ心配してあげてると思ってるのよ!もう少しシャキッとしたらどうなの!」

と呆れた顔で阿賀野に言った。

それからしばらくして艦隊一行は遠回りになるが特に何も無い航路を取るのか近道にはなるが岩礁の多い航路を取るかどうかの岐路に立った。

「提督ぅ〜?どうしますかぁ?」

愛宕は謙の意見を求める

『うーん。やっぱり岩礁があると危険かもしれないしタンカーに負担がかかりかねないからここは遠回りの航路を取った方が良いんじゃないかなぁ・・・・』

提督はそう言うが

「うーん阿賀野は岩礁の方が良いと思うけどな〜」

と阿賀野は言った。

『理由は何だ?まさか早く帰りたいからとかそんな理由じゃないよな?』

謙は阿賀野に問いつめる

「違うの。岩礁が辛いのは深海棲艦も同じはずだからきっとそっちの方が無駄な交戦を避けれると思うの。どうかな?提督さん。」

『なるほど。言われてみればそうか。たまには良い事言うんだな阿賀野。それじゃあタンカーが岩礁でダメージを負わないように細心の注意を払ってくれ』

「も〜褒めてるんだか褒めてないんだか良くわからないよ提督さん。でも阿賀野の意見を聞いてくれてありがとう。こっちの航路ならきっと大丈夫。うん。きっと・・・」

こうして岩礁の航路を取る事になった一行

「阿賀野、あなたこっちのルートを選んだのは本当に敵が少なそうって理由だけなの?」

高雄が心配そうにして阿賀野に聞く。

「やだなぁ、高雄は本当に心配性なんだから。ただ、ただね・・・ここ来た事無いはずなのに見覚えがあるの。いや、見覚えなんて物じゃないもっと奥深くの何かがこの場所を知ってる・・・・ような気がするの。それであっちの航路だけは絶対に嫌だって私に言ってくるの」

阿賀野は少し表情を曇らせる。

「阿賀野、やっぱりあなた・・・」

高雄はさらに不安感を覚えた。

「でも大丈夫!この航路なら早く帰れるし。それに敵さんの数も少ない・・・はず。言う事無いでしょ?ね?」

阿賀野は高雄に心配をかけまいと明るく振る舞った。

「ええ、そうね。そうだと良いのだけれど・・・」

高雄は無理に心配をかけて逆に阿賀野の負担になっては行けないとそこで口を噤んだ。

 

そしてタンカーはそれ以降敵との交戦もなく目的地点に到達。

そんな一行の元に大淀から通信が入る

『トラック泊地の一艦隊が未確認の敵と接触、かろうじて撤退した物のまだ1隻の艦娘が取り残されているようです。至急救助に向かって欲しいとの事なのですが・・・』

その時阿賀野の頭の中にかかっていた霧のような物が徐々にではあるが薄れ始めていた。そして阿賀野は頭の中に一つ浮かんだ艦娘の名前を口にする。

「その取り残された艦娘って・・・もしかして那珂って娘・・・?」

阿賀野は謙に確認を取る。

『どうした阿賀野・・・。なあ大淀、取り残されてる艦娘はなんて艦娘なんだ?』

謙は大淀に聞く。

『えーっと・・・噓・・・そんな事って・・・』

大淀が声を詰まらせる

『どうした大淀』

謙は聞く

『取り残された艦娘は、軽巡洋艦川内型の三番艦・・・那珂』

その言葉を聞いた時阿賀野の頭の中の霧が一気に消し飛んだ。

そして阿賀野の頭の中で過去の艦の記憶がフラッシュバックする。

 

阿賀野は敵潜水艦の攻撃を受け轟沈寸前。そこに一人の艦娘が救援に向かおうとやって来た。その艦娘こそ軽巡洋艦川内型の三番艦の那珂であった。

「那珂ちゃん!来ちゃダメ!!逃げて!!!」

阿賀野は必死に伝えようとするが沈みゆく阿賀野の声はもう彼女に届かない。

いつも誰よりも明るかった彼女はぐしゃぐしゃになり泣きながら

「間に合わなかった・・・助けられなくてごめんね・・・・」

と阿賀野に言う。その刹那、彼女は追撃を仕掛けて来た敵艦載機の爆撃に包まれた。

 

そのビジョンは阿賀野が日夜苛まれていた悪夢そのものであった。

阿賀野は何度もその悪夢から目を背けようとしていた。しかし今目の前で阿賀野を助けようとして沈んでしまった彼女を見殺しにはできない。そう思った阿賀野は

「私・・・今全部思い出したんだ。阿賀野がどうやって沈んだのか・・・・なんでこんなタイミングで思い出しちゃったんだろ・・・・思い出さなければこんな気持ちにならなくて済んだのにね。阿賀野こうしちゃ居られない!早く那珂ちゃんを助けに行かせて!!」

と謙に進言する。

謙から帰って来た答えはNOであったが

「これだけは提督さんがなんて言っても曲げられない。ごめんなさい提督さん」

阿賀野はそう言い残しその制止を振り艦隊を離脱した。

(待ってて那珂ちゃん。今度は阿賀野が絶対に助けるから)

そして話は現在に戻る。

「救難信号が何処に出てるかもわからないまま飛び出して来ちゃったけど・・・」

阿賀野は無計画に飛び出した事を少し悔いていた。しかし後悔をしているヒマは無い。それに何故か不思議と那珂が居る場所が分かる気がする。そう思った阿賀野は先ほど通ってきた航路を通り、分岐した地点まで戻った。

「きっとこっちだ!」

阿賀野は先ほど行ってはいけないと感じた方の航路へ向けて舵を切った。

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