ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。 作:ゔぁいらす
俺は執務室に皆を集めて休み前の挨拶をしていた。
「それじゃあ休み明けにまた鎮守府で。各自充実した休みを送ってくれ!それじゃあ解散!」
俺はそう皆に言った。
「はぁい♪それじゃあ鎮守府の事は私と高雄に任せてね!」
愛宕さんが胸を張る。
「はい。お願いします。」
「それでは提督、吹雪ちゃん、大淀、阿賀野皆ゆっくり休んで来てね。」
高雄さんもそう言った。
「あの・・・・本当に良いんですか?休みなんか貰ってしまって」
吹雪は不安そうな顔をする。
「大丈夫よ吹雪ちゃん。この辺りは結構穏やかだし休める時に休むのも艦娘のお仕事なのよ。折角の機会なんだからいっぱい楽しんできてね」
愛宕さんは吹雪にそう言った。
「はい!わかりました。それじゃあ私行ってきます!」
吹雪は嬉しそうに執務室を後にする。
「提督、私は少し準備があるので先に出ていますね」
大淀もそう言って部屋を後にした。用意って何する事あんだろ・・・?
「じゃあ俺もそろそろ失礼します。高雄さん、愛宕さん、留守はお任せしました。じゃあ行ってきます」
俺も2人に挨拶して部屋を出ると。
「提督さんっ!」
後ろから付いて来た阿賀野に呼び止められる。
「何だ阿賀野?」
「あの・・・ね・・・?」
阿賀野はそこで言葉を詰まらせた。
「もしかして弟さん達の事か?」
「う・・・うん。そうなんだけど・・・・」
阿賀野は顔を伏せる。
「やっぱりまだ会うのは辛いか?無理な事言っちゃったかな俺・・・」
俺は阿賀野に尋ねる。
「ううんそんな事無いよ提督さん。でもいざ会うとなるとちょっと怖くなってきちゃった・・・でもこんな事がないともう弟達に会う機会も無かったと思うし阿賀野頑張ってみる。だからね・・・?」
阿賀野はそう言うとおもむろに俺の頬にキスをした
「なっなななななななななななななななあああああ!??!?!?!!?」
俺は顔を真っ赤にする。
「へへ〜んだ。そんな無茶な命令出した提督さんに仕・返・し♡阿賀野そろそろ行くね!それじゃあまた休み明けに!!」
阿賀野はしてやったりと言わんばかりの顔をして走り去っていった。
俺はその場に呆然と立ち尽くしそんな阿賀野の背中を見送った。
陸奥さんのもそうだったけど阿賀野の唇も柔らかかったなぁ・・・・っていやいやいやそうじゃなくて!もう最近感覚が麻痺して来ているような気がするが阿賀野も陸奥さんも男なんだから・・・そんな男にキスされて嬉しい訳が・・・ない・・・筈なんだけどなぁ・・・・
「そうだ!こんな事してる場合じゃない。俺も早く行かなきゃ!!」
俺は考えるのをやめて自室に荷物を取りに戻り言われた通り鎮守府の入り口で吹雪と共に大淀を待った。
「司令官、私とっても楽しみです!」
吹雪は目を輝かせて俺に言うので
「あー悪いんだけど吹雪が期待する程の物は無いぞ」
俺は吹雪にそう返す。
「いえ。私ずっと施設と鎮守府で暮らしていて。外をあまり見た事が無かったんです。だから私なんかを外に連れ出してくれて・・・外の世界を見せてくれただけでも私は本当に嬉しいんです!だから今回も楽しい思い出を作りましょうね!司令官!」
吹雪は笑顔でそう俺に言う。本当に吹雪はいい子だなぁ・・・
「ああわかった。それじゃあ吹雪が満足出来るように俺も頑張るよ。」
俺は吹雪の頭を撫でてやった。
「えへへ・・・嬉しいです司令官・・・・そういえば大淀さん遅いですね・・・」
吹雪がふと思い出したように言う
「そうだなぁ。アイツ準備があるからって真っ先に出て行ったのに何してるんだろ?」
俺がそうぼやいていると
「お待たせしましたぁ〜」
と大淀の声が聞こえる。
「お前遅いぞ何して・・・」
俺が声の方向を振り向くとメガネをかけた美少女が立っている。
「すみません提督折角のお出かけなんでちょっと気合い入れてきました!そっちの方が提督も喜んでくれると思って。どう・・・ですか・・・?」
その美少女は顔を赤らめて俺に言う。
「おっ・・・お前・・・淀っ・・・大淀ォ!?」
俺はその姿に驚愕する。もはや淀屋だった頃の面影など微塵も感じさせない程に可憐な美少女がそこに居たのだから。マジかよコイツ・・・結構艦娘になった現状を楽しんでんのか・・・・?
「あ、ああ良いと思うぞ・・・正直めちゃくちゃ可愛い・・・」
俺は正直な感想を彼に伝える。
「本当ですか!?ありがとうございます!おしゃれして来た甲斐がありました!!」
大淀は頭を下げた。うーんそれにしてもやっぱり淀屋の敬語はまだ慣れないなぁ・・・・
「それじゃあ皆揃ったし行こうか。」
俺達はひとまず駅を目指した。そして駅に着き電車に乗ろうとすると
「うわぁ〜!これが電車なんですね!かっこいいです!!」
吹雪が電車を見て子供のようにはしゃいでいた。
「吹雪・・・お前電車見た事無いのか?」
「はい!写真やテレビでは何度か見た事はあるんですが乗るのは初めてで。うわぁ〜凄いなぁ」
吹雪は目を輝かせていた。
そして電車に揺られ大きな駅でひとまず他の電車に乗り換えようとしたとき吹雪の腹が音を立てる。
「司令官・・・お腹空きませんか・・・?」
吹雪は顔を赤らめ俺にそう言った。
「あ、ああ。そろそろ良い時間だし何か食べようか。大淀は何か食べたいものあるか?」
「私は・・・なんでも良いですけど・・・折角なのでお弁当とかどうでしょう?」
「お弁当!?もしかして駅弁という奴ですか!?食べてみたいです!!」
吹雪が弁当という言葉に食いつく
「じゃあ俺が買って来てやるからちょっと待っててくれるか吹雪。」
「はい!司令官」
吹雪は嬉しそうに言った
「提督!買物なら私が・・・」
そう大淀も言う。やはり淀屋の敬語がとても引っかかる。おれはそこでふとある事を思いつく。
「あーあのさ、折角の休みなんだし俺とお前の中なんだから提督はやめようぜ。フツーに謙って呼んでくれていいからさ。後敬語も禁止な。別に2人っきりのときは最近敬語使ってないだろ?」
俺がそう言うと
「でっ・・・でも吹雪ちゃんが見てますし・・・」
大淀はすこしもじもじしてそう言った。
「別に良いだろ鎮守府の外なんだからさ。逆に休みにまで提督やら司令官やら言われるのも堅苦しくて疲れるだろ?」
俺は大淀を諭す。
「はい・・・じゃなかった。うん・・・わかった。謙がそう言うならそうする・・・」
大淀は少し恥ずかしそうにそう言ってくれた。
「じゃあ私も!司令官の事お兄ちゃんって呼んでもいい?」
吹雪も続いて俺に聞いて来るので。
「えっ!?ああ・・・うんいいぞ。ただしこの休みだけだぞ。」
俺はそう返してやった。
「わかった!ありがとうお兄ちゃん!」
吹雪は笑顔でそう言った。やっぱり天使だ。
「謙!もう何デレデレしてるの?」
大淀がそう言って俺の耳をひっぱる
「いでででで!そりゃお前だけじゃ不公平だろ!?」
「そうですよ大淀さん!あんまりお兄ちゃんをいじめないでください!」
吹雪は俺を庇ってくれる。
「そうだぞ大淀!いやもうめんどくさいし帰るの地元なんだからお前の事淀屋って呼んでも良いか?」
俺は大淀に尋ねる。
「ええ!?えっと・・・うん。謙がそう呼びたいならそう呼んで・・・・」
大淀もとい淀屋は少し考え込んだ後そう言った。よし。これで仕事の事を忘れてゆっくり出来るぞ。
「それじゃあ淀屋。俺弁当買ってくるから荷物番頼むわ」
俺は大荷物を淀屋と吹雪に任せ、駅弁売り場へと向かう。
「うーん・・・どれがいいかなぁ・・・これにするか。淀屋肉好きだったし」
俺はとりあえずオーソドックスな焼き肉弁当を3つ買った。
そして俺が駅弁を買って戻ってくると何やら淀屋の顔が赤い。どうしたのか問いかけようとしたその時。
「謙っ!ちょっとこっち来て!あっ吹雪ちゃんはそこで待っててね」
と淀屋に引っ張られて吹雪から距離を離される。
「わっ!急になんだよ淀屋」
すると淀屋は俺に顔を近づけ
「謙・・・ずっとあんな子と一緒の部屋で寝てるのよね・・・?」
と耳打ちした。
「あ、ああ。超いい子だぞ?」
俺は淀屋に返してやる
「何あの可愛い生物・・・・天使じゃない」
淀屋は更にそう俺に耳打ちした
「どっどうしたんだよいきなり・・・」
俺がそう聞くと淀屋は俺が居ない間に起こった事を教えてくれた。
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私と吹雪ちゃんはぽつんと謙に取り残され静寂がその場を包む。そう言えばあんまり吹雪ちゃんと1対1で喋った事ないなぁ・・・何を喋れば良いのかしら?そんな事を思っていると
「淀屋・・・さん?」
吹雪ちゃんがよそよそしく私の昔の名前を呼ぶ
「ええ!?何吹雪ちゃん!」
唐突にその名を吹雪に呼ばれ私は驚く。
「それって大淀さんの昔の名前なんですよね?」
吹雪ちゃんは私に尋ねてきた。
「ええ。そうよ。私の大切なもう一つの名前」
そう。私と謙を繋ぐ大切な思い出の名前。
「良いですね・・・・名前。私はずっと吹雪だから・・・」
吹雪ちゃんそう言った。しかしどこか寂しそうだった。
「でも何でおに・・・司令官は大淀さんの昔の名前を知ってるんですか?」
「ああそれはね。私と謙が高校時代の同級生で親友だったからよ」
私は胸を張って言った。
「親友・・・羨ましいです。私にはなにも・・・」
吹雪の表情は更に重くなる。その姿は昔の私自身を見ている様で見るに耐えなくなって来たので、
「吹雪ちゃん。私も謙に出会うまでは友達なんて一人も居なかったし居なくても良いって思ってたの。でも謙に出会って変わったの。この人とずっと一緒に居たいって思ったの。だから吹雪ちゃんもそう気を落とさないで。あなたも謙に助けてもらったんでしょ?」
と吹雪ちゃんにそう言ってあげた。すると
「は、はい。そうですね・・・・私も司令官のおかげで寂しくなくなりましたし私の事を必要だって言ってくれた。私も司令官の側にずっと居たいです!」
吹雪ちゃんは力強くそう言った。やっぱりこの子は私と同じなんだな。そう感じた。
「ふふ・・・それじゃあ吹雪ちゃんと私はライバルね。謙自覚の無い人誑しだから・・・」
私はそ吹雪ちゃんにそう笑って言った。すると
「そんなライバルだなんて・・・と言う事は大淀さんも司令官の事・・・・」
あっ、ヤバい・これ以上言われると・・・・謙にバレちゃう!なんとか弁解しなきゃ・・・・!
「べっ別にそんなんじゃ無いわよ!!ただ謙一人だとすぐ何処かへ行っちゃいそうでほっとけないっていうか・・・その・・・」
私は苦し紛れにそう吹雪ちゃんに言い訳した。すると
「ふふっ。大淀さんは私の知らない司令官を知ってるんですね。それじゃあ私の先輩・・・・いえお姉ちゃんですね!」
吹雪ちゃんは笑顔でそう言った。えっ・・・今なんて言ったのこの子・・・・
「おっ!?お姉ちゃん!?!?!?!」
私は突然の出来事に愕然とする。
「ダメ・・・ですか?司令官だけお兄ちゃんって呼んで大淀さんだけ大淀さんって呼ぶのはなんだかよそよそしくて・・・それにもう司令官も大淀さんもみんなも家族みたいな物でしょう?だから・・・」
かっ!!?家族・・・?謙と私が・・・いやいやいやでもそんなお姉ちゃんだなんて呼ばせてしまったら私の面子が・・・
う〜ん・・・私がそんな考えを頭で巡らせていると
「嫌・・・でしたか?」
と吹雪ちゃんは申し訳なさそうに私を見つめてきた。私はそんな吹雪ちゃんの可愛さに押され
「えーっと・・・うん・・・良いわよ・・・・でも謙と一緒でこの休みだけね?」
と言ってしまった。
「やったぁ!ありがとうございます。お姉ちゃん!」
吹雪ちゃんは笑顔でそう言って私に抱きついて来た。
あっ、ヤバい何この子・・・ダメ・・・鼻血でちゃいそう・・・・
__________
「って事があったのよ。吹雪ちゃん・・・恐ろしい子」
淀屋はそう語った。
「あ、ああ。なんと言うかナチュラルに人に庇護欲を掻き立てさせるというかなんというか・・・」
俺もその意見に同意した。
「私・・・正気を保てるかしら・・・?母性的な物に目覚めてしまいそう・・・・」
淀屋はそう真剣な顔で言ったので
「母性本能って・・・お前にそんなのがあんのかよ」
と少し淀屋を小馬鹿にした。
「うっ!うるさいわね!!私だってもう・・・いえなんでも無いわ」
淀屋は何かを言いたそうにしたがそこで話をやめた
「なんだよそこまで言ったんなら最後まで言えよ」
「本当になんでも無いの!なんでも無いから!ほら吹雪ちゃんも待ってるし!」
淀屋はそう言って吹雪のもとに走っていった。
「あっ、おい待てよ!!」
俺もその後を追いかけ。地元行きの列車に乗り車内で弁当を開け3人で食べている。
「お姉ちゃんこれ美味しいね!」
「そうね吹雪ちゃん」
吹雪と淀屋は端から見れば仲睦まじい姉妹の様だ。どっちも本当は男だとは思えないなぁ・・・それに淀屋の奴お姉ちゃんって言われてちょっと浮つき過ぎじゃないか?まあ俺も人の事を言えた口ではないのだが。
「謙?どうしたの?ニヤニヤ吹雪ちゃんを見て」
淀屋に気付かれる。流石に見惚れていたなんて言えないしなぁ・・・・
「いやなんでも無い・・・」
俺はそう誤摩化した
「お兄ちゃん見て見て!景色すっごく綺麗だよ!」
吹雪は車窓に映る景色に目を奪われている。
「吹雪、そんなに珍しいか?」
俺はそう聞いてやる。
「うん!」
吹雪は嬉しそうだ。
「そうか。そりゃ良かった」
「お兄ちゃん!一緒に連れて来てくれて本当にありがとう!」
吹雪はそう言って笑った。やっぱり吹雪は笑ってる顔が一番可愛いや。
横ではそんな吹雪をにこやかに見つめる淀屋が居た。本当に妹を見ている姉のような顔つきだった。
そんなこんなで俺達は電車に揺られ。やっと地元へたどり着く。
「ここがお兄ちゃんの住んでた街かぁ・・・」
吹雪は辺りを興味津々に見回している。
「ああ。本当に大した物はなんにも無い街だけどな。いやぁ2ヶ月振りくらいだけどもう懐かしいなぁ・・・なぁ淀屋!」
俺は淀屋に声をかけた。
「ええそうね。本当に・・・懐かしい」
「それじゃあひとまず俺の家に向かうか」
「うん!お兄ちゃんのお家楽しみ!」
そして俺達は家の有る方向に足を進めた。