ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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pixivに4話として投稿した物を手直しした物です。


久遠の別れ 

 「吹雪ィ!何処だぁぁぁぁ!」

俺は叫ぶ。

しかし当然返事はない。

俺はあれからアテも無くそこらじゅうを阿賀野と共に吹雪を探し走り彷徨っていた。

「はあ・・・はあ・・・ね、ねえ提督さん?アテも無く探しまわってたら見つかる物も見つからなくなると思うの・・・・」

阿賀野は息を上げている。

「そんな事言ったってどうすりゃ良いんだよ!」

阿賀野の言葉も焦燥感からか俺は素直に受け取ることができず俺は声を荒げてしまう。

なんせ俺たちが鎮守府を飛び出したのは16時頃。日が沈むまでの時間はあまり残されていない。鎮守府周辺を探してくれている愛宕さんが言うには出撃した形跡はないので海に出たとは考えにくいらしい。

今日着任したばかりでこの辺りの地理が全くと言って良いほど無い俺はアテも無く走り回る他無かったのだ。

すると阿賀野は

「確かにそうだけど提督さんちょっと落ち着こうよ。こんな山道に吹雪ちゃんが居るとは思えないんだけど・・・・」

「そんな事言ったって何処にいるかわかんねーんだから探すしかないだろ!」

俺は焦燥感や自分に対する憤りに駆られ半ば話を聞かずに走る。

すると

「ちょっと提督さんそれにしたって急ぎす・・・きゃっ!」

阿賀野が盛大にすっ転んだ。

流石にそのまま置いて行く訳にもいかないので阿賀野の元へ駆け寄る。

「大丈夫か!?」

「あいててて膝擦りむいちゃったみたい・・・ごめんなさい・・・阿賀野鈍臭くって」

阿賀野は俺を心配させないようにと笑ってみせるが見た所結構な擦り傷だった。

阿賀野のケガを見て確かに無鉄砲に走り回っていても無駄に時間と体力を消耗するだけだと悟った。

「ごめん・・・阿賀野。俺、吹雪の事で頭がいっぱいになってた。確かにお前の言う通り少し落ち着かなきゃいけないみたいだ」

俺は無計画に突っ走った事を後悔するが落ち着いている時間などある訳がないぞと言わんばかりに太陽はどんどんと沈み続けている。

「阿賀野、俺が背負ってやるから乗ってくれ」

俺は阿賀野に背を差し出した。

「提督さん・・・良いの?それじゃあ・・・」

阿賀野は申し訳なさそうに俺の背中に負ぶさる。

背中には胸の感触腕にはやわらかい尻と太ももの感触が俺に伝わる。こんなのが男だなんて・・・・と一瞬思ったが腰辺りに何か膨らんでいる物が当たっている感触がすべてを物語る。

それにしても一大事にこんな事を思う俺はつくづく最低な奴だと思った。

「提督さん。今エッチな事考えてたでしょ!」

阿賀野が頬を膨らませて言う

「そそそそんなわけないじゃぁないか!だだだ第一お前は男で・・・」

俺は焦って返事をする。

「あ〜図星ね!やっぱり思ってたんだ。提督さんウソ付くの下手だね。でもそういうわかりやすい所阿賀野好きよ」

い・・・今なんて!?

すすすすきってどういう事なんですかね?????likeなの?そそそそれとも!!!!!!いやまて阿賀野は男で・・・いや・・・でもこの際・・・いやいやいやそれはないない!!!

脳内で2つの勢力が争いを始めたが今はそれどころじゃない事を思い出す。

「ご、ごほん・・・・そ、そんな事より吹雪を探しに行かないと!」

俺は軽く咳払いをし、誤摩化す様にそう言った。しかしどうすればいいんだ?アテも無く探したって下手をすると俺たちが遭難してしまいかねない。

太陽も既に紅に染まり、辺りは暗くなって来ている。そんな時何処からとも無くプロペラの音が聞こえて来た。

「阿賀野、何か聞こえないか?」

「うん。聞こえるよ提督さん。これは艦載機の音!」

阿賀野がそう言うので空を見上げると夕日の向こうからプロペラを備えた小さな飛行機がこちらに飛んでくるのが見えた。

どうやら艦娘が発艦させる艦載機のようだ。

「阿賀野アレなんだか分かるか?ウチの鎮守府からか?」

「いや、ウチの鎮守府には空母は居ないからウチのじゃないと思うけど・・・・」

じゃあ一体どこから・・・?

そんなことを考えていると俺たちの頭上でその飛行機は旋回を始めた。

阿賀野はぶら下げていた双眼鏡を覗き込み

「間違いない。アレは零戦!それに中に乗ってる妖精さんが着いてこいって言ってるわ!」

と言った。

「それは本当なのか?じゃあ俺はこの零戦にかけるぞ。」

半信半疑だったが藁にもすがる思いでその零戦に着いていくことにした。

この声を聞くや否や零戦は旋回をやめてある方向へ一直線に飛び始めた。

「さあ提督さん!あの零戦を追いかけるのよ!出発進行!なんちゃって☆」

阿賀野は俺の背中の上で零戦の進行方向を指差し、俺はその零戦を追いかけた。

しかし山道を抜け道路に出た辺りで零戦は突然見えなくなり無情にも日は沈みきってしまった。

「クソッ!見失った!!どうすりゃ良いんだよ!それにもしアレを追いかけても吹雪を見つけられる確証なんて何処にも無かったのに!!このままじゃ本当に吹雪が死んじまう!」

俺は自分の非力さに悔しくなって跪き地面を叩く。

「提督さんあれ!」

急に跪いた俺から飛び降りた阿賀野はある一点を指差した。

阿賀野の指差す方にはぽつんと小さな建物と看板が建っている

「居酒屋・・・おおとり・・・・?」

こんな何もないところに居酒屋なんか作ってやっていけてるのか不安になったが取りあえず電気が点いているので中には誰かが居るだろう。

もしかしたら吹雪を見かけているかもしれない。

一か八かその居酒屋の主に吹雪を見ていないか聞いてみる事にした。 

「阿賀野はここで待っててくれ!」

阿賀野を置いて俺は一人でその居酒屋の戸を開けた。

「すみませーん!!」

俺は息を上げつつ戸を開けると中にはまさに大和撫子という言葉がふさわしい着物を着た女性が居た。

俺はこの人にどこか懐かしいずっと前にあった事が有るようなそんな気がした。

「あらいらっしゃい可愛いお客さん。何かご用かしら?」

どうやらこの人はここの女将さんらしい。

「すみません・・・この辺でこれくらいの背丈の女の子を見かけませんでしたか?とても危険な状態なんです!」

俺はジェスチャーで吹雪の大体の大きさを伝える。

吹雪は厳密に言うと女の子ではないがいちいち説明するのもまどろっこしかったのでここは女の子で通す事にした。

「ええ。この先で倒れていたからそこに寝かせていますよ。それにしてもずっと苦しそうで私にはどうする事も出来なくて・・・」

女将さんは悲しそうにそう言ってふすまを指差す。

「それは本当ですか?吹雪!吹雪なのか!?吹雪!!」

俺は頼むから吹雪であってくれと願いながら襖を開けるとそこには布団の上で苦しそうにうなだれている吹雪が居た。

「吹雪!吹雪!!悪かった!俺のせいでこんな事になっちまうなんて・・・薬!薬は持って来た!今飲ませてやるからなんとかなってくれ!」

俺はジャージのポケットから薬を取り出し吹雪の口に入れる。

「う・・・・うう・・・・・」

吹雪が苦しそうなのは変わらなかった。

しかし医務室でもどうする事も出来ないからとにかく吹雪を見つけたらこの薬を飲ませる様にと高雄さんに言われたので俺はただただ祈る事しか出来なかった。

すると入り口の戸の開く音がして

「提督さん吹雪ちゃんは居たの?」

と阿賀野の声が聞こえた。

「まあ酷い怪我!今消毒してあげるから待っててね!」

と続けざまに女将さんの声が聞こえる。

どうやら女将さんは相当な世話焼きらしい。

それからしばらくして阿賀野が俺の居る部屋の襖を開け、部屋に飛び込んで来た。

「吹雪ちゃん!吹雪ちゃん!!ごめんね・・・・阿賀野がしっかりお話ししてなかったからごめんね・・・・・ごめんね・・・・・」

阿賀野は泣きながら吹雪に許しを乞う。

元はと言えば俺のせいなのに阿賀野に怪我だけでなくこんな思いをさせてしまったことに対して自責の念に駆られた

するとまた襖が開き、女将さんが入ってくる。

「何があったのかは知らないけどもう薬は飲ませてあげたんでしょう?ここに運んで来た時よりはマシになっているから少しゆっくりさせてあげなさい。大した物はないけどカウンターまでいらっしゃい。もし良かったらごちそうしてあげるわ」

「え・・・?いいんですか・・・?」

こんな見ず知らずの俺たちにそこまでしてもらって良いのだろうかと考えていると

「は〜い!いただきます!!」

阿賀野はそう即答して部屋を出て行く。

確かにここで座っていても何も起こらないと思った俺は阿賀野と一緒に女将さんのお言葉に甘える事にした。

そして席に着くと

「はい。召し上がれ」

女将さんはお茶と肉じゃがとご飯を出してくれた。そう言えば今日は色んな事があって朝からなんにも食べてなかったっけ。

俺は目の前の肉じゃがとご飯を搔き込む。

初めて食べるはずなのに何故かずっと前にこれを食べた気がして、とても懐かしい気分になって自然と目から涙がこぼれていた。

「お・・・美味しい・・です。」

すると女将さんは嬉しそうに

「泣くほど美味しかったの?ほら涙拭いて」

ときれいな布巾を渡してくれた。

横で阿賀野は我を忘れて肉じゃがにがっついている。なんて男らしい食べっぷりなんだ・・・・

「うまいっ!!女将さん!!おかわり!!!!」

阿賀野は元気よく茶碗を差し出す。

「元気な娘ね。でも女の子なんだからもっと上品に食べなくっちゃね」

女将さんはと優しく阿賀野を諌めた。

「はい!すみません!でも私実はおt・・・」

阿賀野はなにやらものすごい勢いで凄まじい事を言おうとしてるので

「あー!すみません!!俺もおかわりください!!!」

俺は大声で割り込む。すると女将さんは笑って

「うふふ・・・。元気でよろしい。私も作った甲斐があったわ。ちょっと待っててね。」

そう言うと女将さんはご飯よそいに行ったのですかさず

「おい阿賀野お前何無関係の人にあっさりとんでもないカミングアウトしようとしてんだよ」

と阿賀野に小声で耳打ちすると阿賀野はハッとなって

「やだ!阿賀野この肉じゃがが美味し過ぎてすごい事言っちゃう所だった・・・肉じゃが恐るべし・・・」

と感嘆の声を洩す。

「はぁいお待たせ。ご飯のおかわりよ。まだあるからたくさん食べてね。」

と女将さんがおかわりを持って来てくれた。

そして

「えーっと阿賀野ちゃん?だっけ?さっき私に何か言いたげだったけど何だったの?」

と聞いて来た。これはマズい・・・なんとか誤摩化さないと・・・・

「あー!こっこいつ実は××町の大食い大会の優勝者なんですよ!なぁ?阿賀野!」

俺は適当な事を言っておいた

「そそそそうなんですよ見かけによらずよく食べるんですよ私〜ハハハ・・・」

よかった阿賀野もいい感じに俺に乗ってくれた・・・・

「そんな大会あったかしら?でもそれならもっと大きな器の方が良かったかしら?」

女将さんは笑いながらそう言った。

「あっ!はい!じゃんじゃん持って来てください!!」

阿賀野は嬉々としてそう返す。

「よかった。二人とも元気になってくれたみたいで。私も嬉しいわ。あっ、肉じゃがも用意するわね」

女将さんは安堵のな表情でいい肉じゃがをよそいに行く。よく見ると女将さんは左足を引きずっている様に見えた。

「女将さん・・・足・・・・」

俺は自然に口から言葉が出てしまっていた。

すると女将さんは

「ああ。これ?昔ちょっとね・・・今は義足なの。びっくりさせちゃったかしら?」

と少し悲しさを混じらせた様な笑顔で言う。

「いえ!こちらこそ無粋なことを聞いてしまったみたいで・・・すみません。」

「良いの良いの気にしないで。それより肉じゃがのおかわりどうぞ。阿賀野ちゃんはこっちね。」

ズシンと阿賀野の前に30センチくらいある皿によそわれた肉じゃがが出て来た

「うわぁ・・・・い、いただきます・・・・」

阿賀野はびっくりしつつも肉じゃがに橋をつける

 

そして・・・

「げぇーっぷ 食べた食べた〜」

げっぷをして腹がパンパンになった阿賀野。

良く食い切ったな・・・しかもあの後2回もおかわりするなんて・・・・

阿賀野の食欲に恐怖心すら抱いた俺だったがふと吹雪の事を思い出す。

「そうだ!女将さん!吹雪は!?」

女将さんは襖をそっと開け、中を覗くと、

「どうやら薬が効いた様ねぐっすり眠っているわ。」

俺も襖の間から中を覗くと先ほどまでの苦しそうな表情から一変。すやすやと眠っている吹雪が見えたのでそっと胸を撫で下ろした。

すると

「もうこの辺は真っ暗でこの夜道を帰ると危ないし貴方達疲れてるでしょうから今日はよかったら泊まって行きなさいな。お布団敷いてあげるから吹雪ちゃんのそばにいてあげて」

女将さんはそう言って吹雪が寝ている部屋の押入れの方へ歩いて行く

「はぁ〜い阿賀野ここから動けないので賛成〜」

と呑気な声が後ろから聞こえた。

「良いんですか?女将さん・・・なにからなにまでやってもらって・・・・」

流石にそこまでしてもらって大丈夫なのだろうかと心配になったが

「良いの良いの!私が好きでやってるだけだからお家とかに電話しなくていい?電話はそこの角曲がった所よ。」

女将さんはそんな心配をかき消す様な笑顔でそう言って電話の場所も教えてくれた。

「ありがとうございます。」

俺は一言お礼を言ってとりあえず鎮守府に電話を入れる事にした

電話が取れる音がしたので

「あ〜もしもし大和田だけど・・・?」

と言うや否や

『謙!!コホン・・・いえ提督!大丈夫なんですか!?今何処に居るんです!?それに吹雪ちゃんはどうなったんですか?』

受話器から大淀の声が聞こえてくる。

あいつ心配性な所も変わってないな・・・・

「あ、ああ吹雪も見つかって今ご厚意で寝かせてもらってるよ。ただ吹雪はまだ動ける様な状態じゃなさそうだし俺もここで泊まる事になったから明日帰るよ」

『寝かせてもらってる!?泊まる!?何処ですかそれは!?』

大淀はすごい勢いで聞いてくるので

「あ、ああこの辺の事はよくわからないから具体的にどこかは分からないんだけど・・・居酒屋おおとりって所」

『居酒屋鳳ですね!わかりました!!明日朝一番に迎えに行きますから待っててください!!!』

大淀がそう言うとぶつりと電話が切れてしまった。

あいつやっぱり淀屋だわ・・・そう再認識する俺であった。

すると

「貴方。お布団吹雪ちゃんの隣に引いておいたから近くに居てあげてね。阿賀野ちゃんは・・・もう寝てるわね。このままお布団かけておいてあげましょう」

という女将さんの声。

それにしても今日は長い一日だったなそう思いながら俺も吹雪の隣で横になる。

「じゃあ私は明日の仕込みがあるから何かあったら呼んでね」

女将さんはそう言うと俺たちの部屋の電気を消し襖を閉じた。

「吹雪・・・・」

俺は心配して手元にあった電気スタンドを点けて吹雪の顔を伺うと吹雪はすやすや眠っている。

でもこのまま吹雪が起きなかったらどうしよう?そんな不安が俺の中をよぎる。

それからどれくらい経っただろうか?俺は結局吹雪が心配で眠れなかった。

するとまぶたがピクリと動きゆっくりと吹雪は目を覚ました。

「う・・・うーん 一体ここはここは?ボクどうして・・・・」

「吹雪!よかった。目を覚ましたんだな!!ここは居酒屋鳳。お前を見つけたここの女将さんが介抱してくれてたんだ。悪かった!全部俺のせいだ許してくれ!!」

俺は思わず吹雪に抱きつく。

よかった・・・あの薬が効いたんだ!

「し、司令官!?どうしてここに?離してください!ボクはもうあそこには居れないんです!」

吹雪が俺を突き放す。

それになんだか様子が変だ。

「な・・・なんで居れないんだ?やっぱり俺のせいか・・・?それにお前ボクって・・・」

「ボクは皆さんを騙していたんです。ボクを助けてくれた阿賀野さん達にまで・・・・」

騙す?いったいどういうことなんだろう?聞いてみる事にした。

「騙すって一体全体どういう事だよ?もっと詳しく話してくれよ!」

俺は吹雪を問いつめると

「司令官さんも見たでしょ?ボクは皆とは違う!ボクは艦娘なのに男なんだ!それにあんなアザだらけの身体を見られたら嫌いになるにきまってるじゃないですか・・・きっと司令官もそう思ったでしょう?」

吹雪は泣きながらそう言った。そう言えば阿賀野はまだあの事を吹雪に話して無いって言ってたな・・・・

「あ、あの・・・吹雪・・・その事なんだけど・・・」

俺は言い辛かったが話を切りだそうとするが

「やめてください司令官!ボクなんか居ない方がいいんだ!さようなら!」

吹雪は立ち上がって出て行こうとするので俺はとっさに吹雪の両肩を掴む

「まだ言ってなかったけど阿賀野も高雄さんも愛宕さんもみーんなお前と同じで男なんだよ!!」

吹雪は呆気にとられた顔をしてしばらく黙り込んだ後

「ウソだ!そんなでまかせ信じられる訳ないでしょう?」

吹雪が俺をを振りほどこうと暴れる。

それならば百聞は一見にしかずだ!阿賀野には悪いけど・・・

「分からず屋だなお前!こっち来てみろよ!!」

「な・・・何するんですか・・・離せっ!離してください!!」

俺は吹雪を無理矢理引っ張って居酒屋のカウンターまで連れていった。

「ぐごごごごぉーぷすぅ〜・・・・・・ぐごごごごぉーぷすぅ・・・ふごっ・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐごごごごぉぷすぅ〜」

そこでは椅子にふんぞり返って気持ち良さそうに阿賀野がいびきをかいて寝ていた。

それにしてもすんげぇいびきだなこいつ。

幸運にも女将さんは既に寝ているようだ。よかったこれで心置きなくやれる。

「ほら!吹雪!!よく見ろ!!!!!」

すまん阿賀野!こうするしか吹雪を納得させられる手立てはないんだ許せ!

俺は勢いよく阿賀野のスカートを捲りパンツをずらした。

そこには今日の昼間大浴場で見たものと寸分違わぬイチモツがしっかりとぶら下がっている。やっぱり俺よりもデカい。なんか凹むわ・・・

「うわぁ!ししし司令官!?急に何を!!」

吹雪は目の前で起こったことが理解できなかったのかとっさに顔を手で覆った。

「吹雪・・・よーく見てみろ!」

「見てみろって・・・えっ・・・・なにこれ・・・本当に???」

恐る恐る指の隙間から阿賀野のそれを見た吹雪は鳩が豆鉄砲をくらった様な顔をした。

「ここじゃアレだ外で話すか?俺もお前の事を聞きたい」

「え、はぁ・・・・はい・・・」

阿賀野の名誉の為にとりあえずパンツをもとの位置まで戻し、俺は吹雪を外へ連れ出した。

それにしても阿賀野の奴あんだけやっても全く起きなかったな・・・・

外はまだ四月な上に山奥だったのでとても肌寒かったが頭上には満点の星空が広がっていた。

丁度店の手前にベンチがあったのでそこに腰掛けて話すことにした。

「吹雪、寒いだろ?ジャージ羽織るか?」

俺はジャージを脱ぎ吹雪にそのジャージを着せてやる。

「ありがとうございます司令官。とっても温かいです。ところでえっと・・・アレは一体・・・・」

吹雪が不安そうに尋ねてくる

「ああ。だからさっき言った通りあの鎮守府の艦娘はみんな男だったんだよ・・・」

俺は吹雪に出来心で覗きをしてしまった事。

その後のごたごたで皆のイチモツを見てしまった事を吹雪に話した。

「なんですかそれ!そんな漫画みたいな事が現実に有るんですね!!」

吹雪が笑ってくれた。

暗かったが星と月の光で彼女の表情を窺い知る事は出来た。

「そうだろ?俺もびっくりしたんだよ本当に」

俺も笑いながらそう返し続ける。

「だからお前が男だったなんて事誰も気にしやしないし。皆それを知った上でお前をこの鎮守府に呼んだんだ。だからお前はここに居ても良いんだよ・・・いや居てくれ!誰がなんて言ったって俺がお前のそばにいてやる!だから・・・そう!これは俺の提督としての命令だ・・・・って提督面しちゃダメ・・・かな?」

提督になったら言ってみたかった言葉をこんなところでまさか野郎に使う事になるとは思っても居なかったけど・・・

すると

「そっか・・・そうだったんだ・・・ボクは・・・」

吹雪ははっと何かに気づいた様にそう呟いた。

「ど・・・どうした吹雪?」

「ありがとう。そこまで言ってくれてすごく嬉しいです司令官・・・・でも・・・・それならボクはもう要りませんね」

「おい・・・俺の話聞いてたか?」

吹雪は何かを悟った表情をしている。

その表情を見ているとなんだかこのままでは何故か吹雪が遠い所に行ってしまいそうなそんな気がした。

「ボク、思い出したんです。ボクは"吹雪(わたし)”が作り出した虚像なんだって。」

は、はあ?俺は吹雪が何を言っているのか分からないぞ?

「えーっと・・・どう言うことなんだ?」

「ボクは・・・・」

吹雪は自分が施設の生まれでその施設の中で自分だけが男だった事。

そして前の鎮守府での辛い過去の事を話してくれた。

「ボクは"吹雪(わたし)”が身体の性のズレ違和感を感じなくする為、このコンプレックスを乗り越える為に元より男だったと思い込んで作り出した人格だったんですよ。なんでこんな簡単な事にも気付けなかったんだろう・・・今までずっとボクが"吹雪(わたし)”を演じている。そう思っていました。でも本当はその逆だったんです。だからやっぱりボクはいてはいけないんですよ。もうボクの役目は終わったのだから。あなたになら安心して"吹雪(わたし)”のことを任せられます。」

吹雪が悲しそうに笑う。

「だからもうボクは要らない。後は本当の"吹雪(わたし)”に全て任せます。司令官。ボクが居なくなっても"吹雪(わたし)”のことををよろしくお願いします。貴方に会えて本当によかった・・・でも最後にボクの事もう一度だけ抱きしめてもらっても良いですか・・・?」

吹雪は少し恥ずかしそうに言った。

「あ、ああ。わかった。」

俺は吹雪を抱きしめた。

「すごくあったかい・・・このあたたかさの中でなら"吹雪(わたし)”もきっとこの身体でもやっていける。そんな気がします。次に目を覚ました"吹雪(わたし)”に君ならきっと大丈夫だって伝えてあげてください。短い間でしたがありがとうございました。さよなら司令官・・・・ああ・・・人ってこんなにあったかかったんだ。」

そう言い残すと吹雪は魂が抜けた様にぐったりと俺の方へ倒れ込んでくる。

「おい・・・吹雪!?吹雪!?大丈夫か!?」

何度か呼びかけても吹雪から返事はない。

しかししばらくすると吹雪が再び目をゆっくりと開く。

「吹雪!」

俺は吹雪に呼びかけた。

すると吹雪は何かに気づいて急に立ち上がった。

「司令官!!"吹雪(ボク)”が・・・大切なもう一人の私が居なくなってしまったんです・・・!何を言っているかわからないと思いますが大切な子だったのに急にいなくなるなんて私これからどうしたら・・・」

吹雪は今にも泣き出しそうだった。

まるで大切なものを無くした子供の様に

きっとそんな彼女をもう一人の吹雪は自身が本当の吹雪だと思う事で沢山の辛い事から守り、助けていたのだろう。

それならばそんな彼のためにも俺は目の前の彼女を彼の分まで幸せにしてやらなければならないと心に誓った。

「話は大体アイツから聞かせてもらった。アイツは十分に頑張ったと俺は思うぞ?それにもうアイツが居なくても吹雪はここでやっていける。俺が保証する。吹雪もアイツの分まで精一杯頑張らないとな。それにお前には既に俺たちって言う家族が居るじゃないか。きっと吹雪はもう大丈夫さ。そうだ!アイツがお前に君なら大丈夫だって伝えてくれって言ってた。俺もそんなアイツの期待に応えてやりたい。」

それを聞いた吹雪は泣き出した。

「ありがとう"吹雪(ボク)” 私の辛い事はみんな貴方が背負い込んでくれていたんだね・・・でももう貴方は居ない。私これから貴方の分まで精一杯頑張ります。さようなら。ありがとうもう一人の私・・・」

どうやら吹雪は過去のトラウマを振り切ったらしい。とりあえず一安心だな。

「吹雪、俺と・・・いいや俺達とこれから色んな事をしような!きっと楽しいこともいっぱいあるはずだから。でも今日はもう遅いし明日の朝まで寝るか。お前も相当疲れてるだろ?」

「ありがとうございます司令官!こんな私ですが・・・どうか・・・よろしくお願いしますっ!」

吹雪は深々と頭を下げた。 

「それじゃあ寝ようか」

「はいっ!」

俺吹雪を負ぶさって居酒屋に戻り、阿賀野を起こさないように部屋に入って再び床に就く。

 

布団に入ると

「司令官、おやすみなさい!また明日」

吹雪は俺を見つめて笑ってくれた。

「ああ。お休み」

俺は返事をして手元の灯りを消し、安心感と今日1日の疲れからかすぐに眠りに落ちていった。

こうして俺と吹雪の長い一日は終わったのだった。

 

 

その頃・・・

「ぐごごごごぉーぷすぅ〜・・・・・・ぐごごごごぉーぷすぅ・・・おれ・・・じゃにゃかった・・・あがのもうこんなにたべられにゃい・・・・むにゃむにゃ・・・・ぐごごごごぉーぷすぅ〜・・・・・・ぐごごごごぉーぷすぅ・・・」




吹雪に色んな設定を乗せ過ぎたせいで凄いキャラになってしまったなぁと今になって思います。
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