ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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初雪部屋から脱出ス!

 俺は大淀に押し付けられた・・・もとい自分がやらなければいけなかった書類を一人で寂しく片付けていた。

ふう・・・ほんとに一人でこれ全部片付けるのは大変だな・・・

いつもは高雄さんと大淀が整理して渡してくれてるけどそれすらされてないし・・・

俺はまず本陣やら自治体から届く書類を分別してサインや筆記が必要な物を一つづつこなしていった。

そしてふと一枚の書類を目に留める

「ん?なんだこれ?」

そこには

【本年の海水浴場警備のお願い】

と書かれていた。

「海水浴場の警備?」

それって鎮守府の仕事なんだろうか?

まあいいやとりあえず中身を確認しよう

【本年も海水浴のシーズンが近付いて来ました。

××鎮守府の皆様には××海水浴場の警備を本年も宜しくお願いします。

シフトを組んで長峰まで提出してください。

××観光協会会長 長峰大門】

 

長門さんそんな事もやってたのか・・・

とりあえずこれは後で愛宕さんにでも聞くとしよう。

そして引き続き書類を片付けているとコンコンと扉を叩く音がした。

「入っていいぞ」

俺がそう言うと

「お兄ちゃん!お帰りなさい!!」

と吹雪が勢いよく俺の胸に飛びこんでくる

「うわっ!?吹雪?」

「お兄ちゃん・・・!また居なくなっちゃって私・・・とっても心配してたんだよ?」

「あ、ああ・・・心配かけたな・・・ごめん」

俺は吹雪の頭を撫でてやった。

「そうだ、昨日は天津風の部屋に泊めてもらったのか?」

「うん!昨日は春風ちゃんと一緒に天津風ちゃんのお部屋でお泊り会したの。この間はお兄ちゃんが急に居なくなって心配で寝れなかったけど昨日の夜はお兄ちゃんがちゃんと大丈夫だって言ってくれたからちゃんと寝れたよ!でも寂しかった・・・だから今日はいつもより甘えさせてもらうんだ〜」

吹雪はそう言って俺に頬擦りをしてきた

本当に吹雪は可愛いなぁ・・・

そんな事を考えていると自然と頬が緩んでくる。

「おいおいやめろよ〜まだ仕事残ってるんだって〜」

口ではそう言いながらもまんざらではない俺は甘えてくる吹雪に骨抜きにされていた。

そんな時扉がまた開き

「はあ・・・はあ・・・吹雪!訓練中に大淀さんから提督が帰ってきたって聞いた側から急に走って行っちゃうんだから・・・・・って帰ってきて早々何やってんのよあなたは!?」

息をあげて天津風が執務室に入ってくるなり俺を見て顔を真っ赤にしてこちらを見ていた。

「あ・・・・・天津風!?ノックくらいしろって言ってるだろ!!」

「ノックもクソもあるかこの馬鹿!」

天津風はそう怒鳴るなり俺の顔面に向けてドロップキックを放ってきた。

「むぶっ!痛てぇ!!!」

俺にそのキックはクリーンヒットして壁に打ち付けられる。

ギャグパートでなければ即死だった。

「はぁ・・・急に居なくなったと思ったら帰ってきて早々何やってんのよ全く・・・」

「うう・・・ずびばぜん・・・・」

「すみませんで済んだら艦娘なんか要らないわよ!!!吹雪!?もう大丈夫よ!何もされてない?」

天津風は俺の事等知らないと言わんばかりにそ吹雪に駆け寄る

「ち・・・違うんだ天津風・・・」

「そうだよ天津風ちゃん!私が勝手におにいちゃ・・・・司令官に甘えてただけで・・・」

「それでもあなた今職務中でしょ?職務中にそんなことして良いと思ってる訳!?吹雪もあんまり甘やかしちゃダメよ?こう言うのは甘やかしたらすぐにつけあがるんだからね?」

なんか今日の天津風いつもに増して当たりがきついぞ・・・

提督業を蔑ろにして突然居なくなったりして怒られたのにまた同じ様な事やっちゃった俺が悪いんだけどいくらなんでもやりすぎだろ・・・なんでこいつこんなにカリカリしてるんだ?

「すまん・・・天津風にも心配かけたし面倒もかけたもんな・・・昨日は吹雪の事泊めてやってくれてありがとう」

「全くよ!でも・・・私もちょっとは心配してたんだから」

天津風は頬を赤くして小さい声で言った。

ほんとにコイツ素直じゃないなぁ

「ん〜?今なんか言ったかぁ?聞こえなかったなぁ」

俺はわざとらしく天津風に聞き返す

「べっ・・・別になんでも無いわよ!!もう一発蹴るわよ!?」

天津風は俺を睨みつけてくる。

「いっ・・・いや・・・結構です・・・」

「ふんっ!これに懲りたらもう急に居なくなったりしないでよ?」

「あ、ああ・・・約束する」

「分かれば良いのよ!それじゃあ吹雪、演習途中でほっぽり出しちゃってるし戻るわよ!」

「う・・・うん・・・それじゃあ司令官・・・失礼します・・・」

天津風は吹雪を連れて出て行ってしまった。

はあ・・・まだちょっと蹴られた所はジンジンするけどコメディー補正のおかげでそこまでの深手を負わずに済んだみたいだ・・・

さあ・・・さっさと書類の処理を終わらせよう。

俺は書類の処理を再開させた。

 

それからしばらくして

「ふう・・・やっと終わったぁ!」

俺は一人伸びをした。

いつもこれを最小限まで整理しといてくれてる高雄さんと大淀に感謝しなきゃいけないな・・・・

とりあえず作業も終わったし何をしようかな・・・

そうだ初雪の様子を見に行ってやろう。

結局あの後全然話しにいけてないしあいつの姿も見ていない。

俺は椅子から立ち上がり執務室を後にして初雪の部屋に向かった。

 

初雪の部屋の扉には相変わらずいつみても物々しい進入禁止の文字が書かれたテープがびっしりと貼られている。

俺はとりあえずそんな物々しい扉をこんこんと叩く

「おーい!初雪起きてるか?」

扉の先に居るであろう初雪に呼びかけるが返事が無い。

でも鍵も閉まってるし部屋に居る事は確かなはずだ。

俺は諦めずに扉をノックし続けているとなにやら扉の先でかちゃりと何かが外れる音がして扉がゆっくりと開き

「何・・・?寝てたんだけど」

と不機嫌そうな顔をした初雪がぬっと顔を出して来た

「ああごめん・・・起こしちゃったか」

「あやまらなくていい・・・丁度お腹空いてたし・・・で、何の用?」

「あれから結局初雪とちゃんと話出来てなかったからな。どうしてるか気になってさ。雲人さんに頼まれた以上俺にも責任あるし」

「そっか・・・あの・・・私・・・ここに居ても良いんだよね・・・?」

なにやら小さな声で初雪はそう尋ねて来た

「もちろん。初雪がそうしたいのならな」

「・・・ありがと。私も明日からがんばらなきゃ・・・」

「そこは今日からじゃないんだな」

「だって寝起きだしお腹空いてるし・・・」

「ああわかったわかった。それじゃあ食堂でも行くか?なんかあるだろ多分」

「う・・・うん。ちょっとまって・・・」

初雪がそう言って戸を閉めたので少し待っていると

「・・・お・・・・おまたせ・・・しま・・・した」

吹雪に似た少しサイズがキツそうなセーラー服に着替えた初雪がゆっくり部屋から出て来た。

「あのさ、その服サイズあってないんじゃないか?」

「だ・・・だって5年前の服だし・・・これしか人前に出れる様な服・・・持ってないし・・・一応・・・制服だし・・・」

「そうか。なら新しい服頼んどかなきゃいけないな」

「そうしてくれると・・・・助かる」

「それじゃあ行こうか」

「う・・・うん・・・」

俺はそう小さく返事をした初雪を連れて食堂へ向かった。

そこには丁度演習を切り上げて休憩をしていたのだろうか?吹雪、春風、天津風の三人がテーブルを囲んで食事をしていた。

それを見た初雪は俺の後ろにすっと隠れる。

するととこちらに気付いたのか吹雪が食事をすっぽかしてこちらに駆け寄って来た

「おにいちゃ・・・いえ!司令官、お仕事終わったんですか!?」

吹雪はそう言って目を輝かせて俺を見つめてくる

「吹雪!食事中に歩き回るなんて行儀悪いでしょ?」

座っていた天津風が吹雪を注意した。

「良いじゃないですか天津風。昨日だって司令官様が居ないからってずっと寂しそうにしてたんですから。それにサンドウィッチなんてそんなお行儀良く食べる物でもないですし」

そんな天津風を春風が諌めた。

「な・・・・なによ!私何も間違った事言ってないでしょ!?私だって・・・」

「その・・・なんでしょうか?貴方も司令官様に甘えたいのなら行ってこれば良いのではないですか?」

「ち・・・ちが・・・・そんなんじゃないわよ!!私はただ・・・食事中に歩き回るのは良くないって思っただけでそんな羨ましいだなんて思ってないんだから・・・」

「ふふっ!本当に貴方は素直じゃありませんね」

テーブルで顔を真っ赤にした天津風を見てクスクスと春風は笑っていた。

なんだかんだで上手くやってるみたいだよな天津風達・・・最初はどうなるかと思ったけど

そんな事を思っていると吹雪が俺の後ろに隠れていた初雪に気付き

「あっ、初雪・・・お姉ちゃん!」

と声を上げた

「初雪?誰よそれ!?」

そんな声を聞いて後ろに隠れていた初雪は俺の服をぎゅっと握って

「う・・・駆逐艦いっぱいいる・・・・こわい・・・」

と小声で言った

「お前も駆逐艦なんだろ・・・?それにお前一応先輩なんだからさ・・・挨拶くらい出来ないか?」

俺は初雪に小声でそう伝える

そんな初雪を見た吹雪も

「そうだよ初雪お姉ちゃん!私達怖くないよ?ほら!行こっ!初雪お姉ちゃん!!」

吹雪はそう言うと俺の後ろに居た初雪の手を引っ張ってテーブルの方へ連れていった

「うわっちょ・・・やめ・・・・私まだ心の準備が・・・たすけて司令官・・・・」

そんな初雪の悲痛な声がどんどん俺から遠ざかっていった。

ここは俺がどうにかするより吹雪に任せた方がなんとかなりそうな気がしたので俺はそのまま優しく見守る事にした。

そしてテーブルの席に初雪を座らせると

「この人が初雪お姉ちゃん!吹雪型3番艦だけど私より先輩だからお姉ちゃんなの!」

吹雪は天津風と春風にそう初雪の事を紹介した

「初雪・・・です・・・最近までずっとずっと引きこもってたけど・・・・私もずっと前からここの艦娘・・・・よろしく・・・」

初雪はそう小さな声で言った。

すると

「貴方が初雪さんですか。お話は吹雪から聞いていました。わたくしたちの先輩なのですよね?わたくしは春風と申しますこれからよろしくお願い致しますね」

「そ・・・そうなの?私は聞いてなかったけど・・・でも先輩なの?駆逐艦の先輩が出来るのは心強いわ!私は天津風。よろしくお願いしますね先輩」

天津風と春風は初雪にそう言って頭を下げた

「そ・・・そんな・・・・先輩・・・だなんて・・・・でも・・・悪い気は・・・しない・・・よろしく・・・」

先輩と呼ばれた初雪はまんざらでも無さそうな表情を浮かべている。

よかった・・・なんとかなりそうだ・・・

俺はもう大丈夫だろうと安心してテーブルの方へ向かった

「さっき吹雪が紹介した通りだ。5年前ここで艦娘をやってたんだけど色々あってまたここで艦娘として生きて行きたいって頼まれたんでまた艦娘としてここで生活する事になったんだ。5年のブランクも有ると思うけど仲良くしてやって欲しい」

俺がそう言うと

「ふ〜ん・・・あなたにしては珍しく提督らしい事言うのね」

天津風は少し皮肉混じりにそう言って来た

「珍しくってなんだよ!!とにかく初雪を宜しく頼むぞ」

「ええ。わたくしたちも先輩にご教授頂けることがきっと沢山あると思います。なのでわたくしは大歓迎ですよ」

春風はそう言ってくれた

「うう・・・・すごいプレッシャー・・・・」

初雪はそんな春風の言葉を聞いてそう呟いてうつむいた

「大丈夫だって。ゆっくりなれていけば良いんだ」

「う・・うん・・・」

「そうだ。まだサンドイッチって残ってるのか?初雪何も食ってなくて腹減ってるんだってさ。俺もだけど」

「ええ。今日の当番の那珂さんがいっぱい作って冷蔵庫に入れてあるから取ってこれば?」

天津風はそう言って冷蔵庫を指差す。

「あ、ああ・・・それじゃあそれ食うか」

俺は冷蔵庫からサンドイッチを取ろうとすると

「司令官!私が取ってきますね!」

吹雪が駆け足で冷蔵庫からラップにつつまれたサンドイッチの入った皿を取って来てくれた

「ありがとう吹雪」

「ううん!お易いご用ですっ!」

「それじゃあ初雪、食うか?」

俺は皿のラップを外して尋ねると

「う・・うん・・・はむっ・・・」

初雪は少し遠慮がちにサンドイッチを食べ始め

「・・・おいしい・・・」

小さな声でそう言った。

「おっ、そうか!それじゃあ俺も」

俺もサンドイッチに手を伸ばして口へと運ぶ

冷蔵庫で冷やされてひんやりとはしていたが挟まれていたレタスはシャキシャキとしていてハムと相まってなかなか食べ応えのあるサンドイッチだ。

「美味いなこれ・・・」

俺がそう呟いていると

「あの・・・初雪先輩は女の方・・・なのでしょうか?」

「先輩はその・・・どれくらい実戦にでてたの!?」

春風と天津風が初雪に尋ねていた。

なんだか転校初日の転校生を見ている様だ。

「それは・・・その・・・・」

なんだか初雪も答え辛そうだったので

「初雪、こいつらも皆お前と同じ男だから気にしなくて良いぞ」

と初雪に言ってやった

「そ・・・・そうなの・・・・?」

「お前と同じって事は先輩も男の人なの!?よかった・・・・少し気を使わなくて済みそう!」

「貴方も殿方だったのですね・・・尚更男の艦娘としてどう生きて行くのか聞きたくなってまいりました」

天津風と春風は目を輝かせて初雪を見つめていた。

そして食事が終わる頃には

「私・・・これでも一応実践に何度も出てた・・・」

「そうなのですか!?それならば是非射撃訓練や魚雷発射のご教授を賜りたいです!」

「わ・・・私も!もっと強くならないと行けないし・・・!先輩!午後の私達の訓練・・・見てくれませんか!?」

天津風達はもう初雪と打ち解けた様だ。

でもこんなに頼まれて初雪は大丈夫だろうか?

俺は心配して初雪達を見ていると

「う・・・うん・・・わかった・・・・!初雪なんかでよかったら・・・」

初雪は少し鼻息を荒くしてそう答えていた。

その表情はなんだか嬉しそうだ。

後輩が出来たのが嬉しかったのかな?

まあなんにせよなんとかなりそうで良かった良かった・・・

それからしばらくして

「それでは司令官!これから午後の演習に戻りますね!それじゃあ初雪お姉ちゃん!色々私達に教えてね!!」

「お・・・お姉ちゃんは恥ずかしいから吹雪ちゃんも先輩ってよんでくれたら・・・嬉しい」

「そ・・・そうなの?それじゃあ初雪先輩!私達に色々教えてね!!」

吹雪は初雪に笑顔でそう言った

「吹雪に先輩って言われた・・・責任重大・・・がんばる・・・!で・・・でも少し司令官と話したいかああとで・・・行くね・・・」

「分かった!それじゃあ私達先に行ってるね!」

「それじゃあ先輩、早速先輩らしい所、見せてよね」

「お待ちしてますね先輩」

そう言って吹雪達三人は食堂を後にした

そして食堂に残った初雪は

「あの・・・・」

と話しかけてくる

「なんだ初雪・・・それにしてもあんな事請け負っちゃって大丈夫なのか?」

「うん・・・大丈夫・・・引きこもってるときもずっとFPSとかやってたから腕は鈍ってない・・・はず・・・いや・・・鈍ってても演習を見てあげる事位・・・できる・・・はず・・・」

初雪は胸を張って言った

FPSと実践って同一視していい物なのか・・・?

でも初雪は自信ありげだしここは信じてやるか。

「そうか・・・お前がそう言うなら俺としても尊重してやらなきゃな!でも無理はしちゃダメだぞ?」

「うん・・・わかってる・・・無理は私が一番嫌いな言葉・・・それじゃあ司令官・・・私・・・演習に行ってきます・・・!」

初雪はそう言って敬礼をした後食堂から出て行った。

ふう・・・なんとか初雪は他の3人に受け入れられたみたいだしそれに出撃は無理でも演習のコーチくらいなら出来るって言ってたし実戦経験の乏しい3人だけに演習を任せるより初雪に見てもらった方が良いかもしれない。

よかった。これで雲人さんにもしっかりやってるって言えそうだ。

俺は演習へ向かった初雪の背中を見て胸を撫で下ろした。

 

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