ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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海水浴場美化司令(後編)

 大淀が合流してからしばらくすると長峰さんの声がメガホンでこちらまで聞こえてくる。

「業務連絡そろそろ昼休憩だ。各自キリのいいところで一旦作業を切り上げて海の家に集合して欲しい」

長峰さんの声を聞いた協会員の人たちは

「おっ、もうそんな時間か」

「うっしゃメシだメシ!」

「長峰のやつのメシだけは美味いからのぉ君らもなくならんうちにさっさと来た方がええぞ」

そんなことを言いながら作業をやめぞろぞろと海の家の方へ歩き始めた。

「でも私さっき来たばっかりなのにもう休憩を頂いてしまっていいのかしら・・・」

「何言ってんだよ。俺の代わりに書類の整理とかやっててくれたんだろ?何もしてなかったわけじゃないんだから休憩とったって誰も文句言うわけないだろ?それに長峰さんが料理上手いっていうのも結構以外で気になるし早く行こうぜ。それになんだ・・・飯食うときはお前も一緒の方がずっと美味しい・・・かもしれないだろ?」

なんとなく言ってみたけどなんかすごく恥ずかしいぞ・・・!?

俺はただ友達を飯に誘っただけのはずなのになんでこんなに恥ずかしいんだよ・・・

「もう何よそれ。でも謙がそう言うならお言葉に甘えようかしら。それに・・・・」

「ん?それに?」

「私も・・謙と一緒にご飯食べた方が美味しいと思うから・・・」

大淀は頬を赤くしてぼそりと言った。

なんだか大淀にそう言ってもらえるとすごく嬉しい。

多分だけど大淀も今の俺と同じ気持ちなんじゃないだろうか?

そうと決まれば飯だ飯!

「そう・・・かそれじゃあ急がないとな!」

俺は照れ隠しも含めて大淀の手を引いて海の家に向かって走った。

「きゃぁっ!そんな急にっ・・・!引っ張らないでよ!」

とっさに掴んだ大淀の手は以前にもましてすべすべしていて本当に女の子の手を握っているような感じだ。と言っても女の子の手なんか握ったことないんだけど・・・

 

そして海の家へ入ってみると既に阿賀野や吹雪達が席についていてお盆の上には食べかけのご飯と魚のフライが置いてあった。

「あっ、お兄ちゃん・・・じゃなかった司令官こっちです!」

吹雪がこちらに気づいて手を振ってくる。

「吹雪あなたもう隠す気ないでしょそれ・・・」

吹雪を横で見ていた天津風が呆れていた。

そんな吹雪達が居るテーブルには××鎮守府ご一行様と書かれた立て札が置いてある。

どうやらそこは俺たち鎮守府の面々専用に設けられた座席のようなので俺と大淀もそこに座った。

しかしそこには金剛や愛宕さん高雄さんの姿が見えない。

たしかここで作業をしていたはずなのにどこに行ったんだろう?

「愛宕さん達は?」

俺がそうたずねると阿賀野が指を指した。

「むしゃむしゃ愛宕達ならむしゃむしゃむしゃむしゃあそこだよ提督さんあむっ」

「おいおいせめて飯食うか喋るかどっちかに・・・ってなんだあれ?」

阿賀野が指を指した方向を見てみるとなにやら人だかりができていて協会の人たちがひしめき合い、我先にと何かを囲んで居るようだった。

「お兄さんたち欲しがり屋さんねぇ〜でもいっぱいあるからそんなに焦らなくても大丈夫よぉ?そんなに押し合っちゃダ・メ♡」

そんな声が人だかりの中心から聞こえてくる。

だ・・・誰なんだ!?

なんだかすごい色気のある声だ。きっとものすごい美人が居るに違いない。

そりゃ気になるじゃないですか!俺だってまだ19歳の健全な男子なんですよ!?

俺はそんな人だかりの声の主が一目見たくなって人だかりの方へ行ってみた。

「あんっ♡ダメよぉ〜そんな押したらお汁がこぼれちゃう♡」

人だかりの中からそんな声が聞こえて来た。

お汁!?一体どんなことが行われて居るんだ!?

俺は必死に人だかりの後ろの方で背伸びをしたり飛び跳ねたりして中心部を覗いてみると・・・

「はーいお兄さんお疲れさまぁ♡はぁい、と・ん・じ・る♡どうぞ♡は〜い次の人にも入れてあげるわね〜」

えっ・・・愛宕さん・・・!?

そこでは愛宕さんが大きな鍋から豚汁をよそって協会の人たちに手渡していた。

なんかいつもより色っぽいと言うかあのだらしないオッサンがすごく色気のあるお姉さんにしか見えないぞ・・・!?

それに豚汁がすごくエロい言葉に聞こえる・・・・!

しかもなんて際どい格好してるんだ!裸エプロン・・・!?いやよく見たらエプロンの下にショートパンツとタンクトップ!?すごく際どい・・・見ようによっては裸エプロンに見えなくもない・・・

それにあの胸の膨らみの先端に見える突起物はまさか・・・・

ノーブラ・・・だと・・・!?

いやいやいや愛宕さんは男なんだぞ?

別にそんなの見たって別に嬉しくもなんとも・・・・

と頭では思っていても豚汁をよそうたびにたゆんと揺れるそれを俺は必死に見ようとなんども背伸びをしていた。

しかしあの愛宕さんがなんであんなことを・・・!?

一体どうなってるんだよ!?

というかあれほんとに愛宕さんかよ!?

俺がそんな愛宕さんの姿にドキドキしながらも困惑して居ると

「ケンも見てしまったデース・・・?」

後ろからそんな声が聞こえたので声の方に振り向くとそこには金剛が居た。

「あっ、金剛いたのか。全然気づかなかった」

「もー!ずっと居たデース!横でライスとメインディッシュのフライを配ってるヨー!」

金剛がそう言って指を指した方向には机の上に大きな炊飯器とエビや魚のフライやらが置かれていて、その横では高雄さんが頭を抱えていた。

あれだけの人だかりができて居る豚汁の列に比べて全くと言っていいほど人がいないどころか食器が山積みになっている。

「一体何が起こってるんだ?」

「あのーデスネ・・・かくかくしかじかデース」

金剛が言うには愛宕さんは協会の男性達を喜ばせるとそこそこのリターンが返ってくるらしくあんなことをしているらしい。

さすが中身がオッサンだけあって男が何をすれば喜ぶのかを完全にわかっていらっしゃる・・・愛宕さん恐るべし。

「でもケン〜あんなに必死にアタゴの事ルックするなんてやっぱりエッチネー!別にケンにならあれくらいしてあげてもいいんだヨー?」

金剛がそんなことを言って胸を強調して来た

「ああわかったわかったから・・・とりあえずそう言うのはいいからフライとご飯くれよ」

少し勿体無い気もしたがここで金剛に抱きつかれたらそれこそ大淀に何されるかわからないので軽くあしらった。

「む〜ケン冷たいデース・・・でも誰も居なくて暇してたんデース!いっぱい入れてあげマース!ささどうぞどうぞ〜」

金剛はそう言うと炊飯器の置いてある机の方に戻って俺にご飯をよそってくれた。

横で高雄さんからフライをもらおうとすると

「ごめんなさい・・・うちの愛宕があんな節操なしで・・・はぁ・・・」

と大きなため息をついている

「で・・・でもなんだかあれも愛宕さんらしくて悪くないと言うか・・・なんというか・・・」

「流石にあんなのやりすぎよ!でも愛宕のおかげで協会に参加してくれる人も増えたからなんとも言えないのよね・・・・そこは流石としか言えないわ・・・私には無理だわあんなの」

「そ、そうですね・・・」

俺は苦笑いしてご飯とフライを受け取った。

「そうだ。大淀の分もお願いします」

「わかったわ。ほら金剛、ご飯もう一つ追加よ」

「わかったネー!」

金剛と高雄さんはもう一つお盆を取り出してご飯とフライの入った皿を乗せてくれた。

しかし豚汁の列はいつまでたっても空きそうにないのでひとまず二人分のお盆を持って大淀達が待つテーブルに戻った。

「大淀遅くなってすまん。お前の分も持って来たぞ。豚汁はあとで空いてから取りに行ってくれ」

「あっ、ありがとうございます提督・・・で、なんで豚汁の列だけあんなことになってるんですか?必死にのぞいてたみたいですけど?」

大淀に尋ねられた。流石にあの中で愛宕さんがすごいことになってるとは言えないし・・・

「あ・・・えーっとそれは・・・・」

答えあぐねて居ると

「あのね〜大淀〜あの中で愛宕がえっちぃカッコして豚汁配ってるの〜多分提督さんはそんな愛宕を見ようとして必死だったんだと思うよ〜?やっぱりおっきいおっぱいが好きなんだよねぇ〜て・い・と・く・さん?」

阿賀野は胸をぎゅっと寄せて不敵な笑みを浮かべた。

「なっ・・・阿賀野!?」

ちくしょうこいつ・・・!

「ほう・・・?詳しく聞かせてもらいましょうか提督?」

大淀はにっこりと笑ってこちらを見つめてくる

怖いっ!笑ってるはずなのに全然目が怖いから!!

「あ、阿賀野おまっ・・・!!ち・・違うんだ大淀!俺はただ中で何が起こってるのか気になっただけで・・・!」

「へぇ・・・そうなんですか。そうですよね。け・・・提督は大きいおっぱいの女の子が好きだなんてことずっとずっとずーっと前から知ってますし別に怒るようなことでも無いですから。あっ、阿賀野さんはもしかしてご存知なかったんですか?」

大淀のやつ張り合いやがった・・・!

胸の大きさでなく俺との関係の長さというアドバンテージでッ!

「ふ・・・ふーんそうなんだ・・・!でも阿賀野は提督さんと一緒にお風呂入ったもんね!裸のお付き合いだってしてるもん!その時提督さん阿賀野のこのおっぱいガン見してたんだから!」

ああやめろ阿賀野ォ!このままじゃどんどんエスカレートして・・・

「は?謙なにそれ!?って私だってお風呂くらい一緒に入ったことありますし!そのあと抱きしめてもらいましたし!!どうせあなたのことだから無理やり押しかけただけでしょう?」

うわあああああ!!!それ以上言わないでくれ!!

天津風と吹雪の視線がどんどん鋭くなって来てるからそれ以上はやめてえええええええ!!!!

「えーっと・・・その話はまた今度にしよう・・・な・・・?今は飯の時間だし・・・」

「謙はだまってて!」「提督さんは黙っててよ!」

二人同時にそう言われ俺はその迫力にすくんでしまった。

それに結構息ぴったりだなこの二人・・・

そのまま二人はにらみ合いまさに一触即発というかすでに何発も俺の過去のことがばらまかれててやばいんですけど・・・・・このままだと俺の微々たる提督としての威厳が・・・

唯一俺を睨んでいないで二人を楽しそうに傍観している那珂ちゃんに助けを求めた

「な・・・那珂ちゃん頼む・・・二人を止めてくれよ・・・」

「え〜だって面白いじゃない!那珂ちゃんこういうのすきー」

ダメだ完全に楽しんでやがる・・・

「は・・・・初雪!」

もうお前しか居ない!お前だけが頼りだ。

「しーらない・・・」

初雪もそう言ったっきり顔を合わせてくれない。

どうしよう・・・・どうしよう・・・このままじゃ本当に俺が社会的にというか提督的に終わる・・・

しかしその戦いは思わぬ幕切れを起こすことになる。

「ま、いいですよそれくらい。せっかく持って来てもらったのに冷めてしまっては料理を作ってくださった長峰さんにも提督にも失礼ですから私はこのて・い・と・くが持って来てくださったこのフライをいただきますのでこの辺でやめておきますね。それではいただきます」

大淀はそう言って阿賀野の話をぶった切りエビフライを手始めに口に放り込んだ。

「ああ〜美味しいです!とても。提督に持って来ていただいたからでしょうか?」

大淀は阿賀野を尻目にオーバーリアクションで料理を食べ進めた。

「ぐぬぬぬぬぬ・・・・・」

阿賀野は悔しそうに大淀がフライを頬張る姿を睨みつける。

うう・・・気まずい・・・吹雪と天津風になんて説明すれば・・・ってあれ?春風が居ない?

さっきまでいたはずなのにいつのまに

でも春風がどこに居るかなんて聞いても誰も答えてくれそうにないしな・・・

俺は仕方なく魚のフライを一口頬張った。

美味い・・・すごく美味いぞこれ!

作ってから時間が経ってるはずなのに衣はサクッとしていて味もソースをつけなくてもちょうどいいくらいに下味が付いててすごく美味い!!

長峰さんこんなに料理上手なのか・・・

俺はそんなフライを堪能したかったがその場に居づらくなったので足早に食べ終え

「あっ、俺ちょっと外の空気吸ってくるわー」

そう言って逃げるように海の家を立ち去った。

そして外に出ると海の家に併設されてあった仮設トイレから春風が出て来た

「おお春風、どこ行ってたのかと思ったらトイレか」

「え、ええそうです・・・けど・・・」

春風の顔はどこか赤い。

それになんだか息も荒いし体調でも悪いのか?

「春風?なんか顔赤いけど大丈夫か!?もしかして外で作業してたから焼けちゃったのか?!」

「え、ええ!?いえ・・・わたくしは大丈夫です!別に悪いところもありませんしやましいこともして居ませんから・・・!それでは!!」

春風は走って海の家に戻って行ってしまった。

本当に大丈夫なのか春風・・・

まあいいや。とりあえず外の空気でも吸って落ち着こう。

俺は一回深く深呼吸をした。

しかし大淀がまさかあんなことを言うとはなぁ・・・

それに吹雪と天津風になんて弁解するか考えなきゃ・・・

ああ・・先が思いやられる

そのまま吹雪たちへの弁解を考えていると

「それでは午後の作業に取り掛かってくれ!ヒトナナマルマルにテント前に集合だ。それまでに作業は終わらせられるように各自努力してくれ。それでは以上だ」

という長峰さんの声がしたので俺は渋々作業場に戻った。

作業場に戻るとすでに大淀が作業をして居たので俺は何事もなかったかのように声をかけてみることにする

「よ、よぉ大淀・・・早かったんだな」

「提督が遅いだけでは?それに私は作業に集中して居るので話しかけないでください。邪魔です」

大淀はそっぽを向き、黙々と作業を続ける

ダメだ・・・完全にさっきのこと怒ってる・・・

すると

「どうした新人の提督くんよ?大淀ちゃんとは仲が悪いのかのぉ?」

さっき大淀の尻を触ろうとした爺さんが声をかけてきた

「い・・・いやそう言うわけじゃないですけどちょっと色々ありまして・・・」

「色々・・・か。まあ深くは聞かんでおいてやるわい。そうじゃ。長峰の作った飯と愛宕ちゃんの豚汁はうまかったじゃろ?」

爺さんは察してくれたのか話題を変えてきた。

「は、はい。すごく美味しかったです」

正直それどころではなかったんだけど・・・

「いやしかし長峰には驚かされるのぉ・・・そうじゃ手を動かしたままでええから少し年寄りの長話を聞いてはくれんか?長峰のことじゃ」

突然爺さんが聞いてくる。

「あ、はい」

正直気分を紛らわせたかったので爺さんの話に耳を傾けた

「長峰と奥田の二人。あの若造急にこの街にやってきてこの街を立て直すために来たなんて抜かすもんじゃから最初はワシらも生意気なよそ者じゃ。どうせ利益しか求めないしすぐに出て行くじゃろうと敬遠しておったんじゃ。じゃがあやつらの働きは認めざるを得んかったし津山さんという人のお孫さんを津山さんが亡くなった時一番に引き取ると名乗り出たんじゃ。そうやってあやつらに賛同するこの街の人間がじわじわと増えていっていまではこうしてワシも委員会の一人としてゴミ拾いに勤しんでおる」

「そ・・・そうなんですか」

長峰さんたちも大変だったんだろうな・・・・

「しかしのぉ仕事が忙しいのもわかるがいい歳して二人で男二人で同居しておるし全く二人の女関係の噂を聞かんのじゃ。ワシが言うのもなんじゃがよくできた男じゃと思うんじゃがなぁ・・・お見合い相手を何回か紹介しようとしたこともあったんじゃが全部破断になってしもうたわい・・・」

そりゃまああの二人は・・・・でもそれを隠し通してそこまでできるってすげぇな長峰さんたち・・・

俺は二人がこの街でして来たことがどれだけのことなのか、その片鱗を思い知った。

「あっ、これ長峰と奥田には話さんでくれよ。ワシらもあやつらを認めてはいるが直接褒めるのは恥ずかしいんじゃ。」

「は、はいわかりました」

 

そうして爺さんと話しながらゴミ拾いを続けるも結局そのまま夕方まで大淀とは話せないまま作業は終わった。

大淀が黙々と作業をしたからなのかゴミが大量に集まり砂浜は一気に綺麗になったのでなんとか時間までに終わった。

そしてテント前に集合すると長峰さんが話を始める。

「××鎮守府の皆のおかげで昨年までは2日間にかけて行なっていた海開きの準備だったが本年は1日で完了した。感謝する。

そこでお礼と言っては微々たるものだが明後日に君たちのためにこの海水浴場を解放することにした。もちろん貸切だ。と言っても最終安全確認も兼ねて居るが存分に楽しんでもらえるとありがたい。それでは解散だ。本日は本当にありがとう。××町民を代表して礼を言わせてもらう。」

長峰さんはそう言って頭を深々と下げそのまま俺たちは××鎮守府に戻った。

はぁ・・・脚が重い・・・吹雪と同室なのがこんなに嫌だったことがあるだろうか?

きっと帰ったら吹雪にも問い詰められるんだろうなぁ・・・

 

俺は足取り重く部屋に戻ったが部屋には吹雪は居なかった。

よし。それじゃあ今のうちに汗もかいたしシャワーでも浴びるか。

全部自業自得と言ってしまえばそれまでだがこの落ち込んだ気分も少しはマシになるかもしれない。

俺は服を脱ぎ捨て浴室へ入った。

そしてシャワーを浴びていると扉がゆっくりと開く音がして

「お兄ちゃん帰ってるの?」

吹雪の声がした

「お、おかえり吹雪!今シャワー浴びてるから俺が出たらお前も入ったらどうだ?すぐ出るから」

俺はまた何事もなかったかのように吹雪にそう言った。

すると

「うん。」

吹雪からそんな言葉が返って来た。

よかった・・・割と気にしてなかったんだ

俺はひとまず胸をなで下ろして頭についたシャンプーを洗い流していると突然浴室のドアがガラリと開き

「お兄ちゃん・・・私もシャワー浴びるね・・・」

そんな声が後ろからしたので俺は重思わずシャワーを止めて後ろを振り向くとそこには一糸まとわぬ吹雪が顔を赤らめて立っている。

「なっ?吹雪!?」

「あのね・・・私・・・身体を見られるのは嫌だけど・・・でも私もお兄ちゃんとお風呂に入りたいの・・・駄目・・・かな?」

「え・・・ええ・・・!?」

急なことに俺は言葉を失う

今まで寝るのは一緒でも風呂には一切一緒に入ろうとすることはおろか裸を極力見せないようにしていた吹雪が今俺の目の前に真っ裸で立っているんだから。

一度天津風と3人で風呂に入ったことはあれどあの時は天津風も一緒だったし俺が恥ずかしくて吹雪の事見れなかったんだよな・・・それにあの時ですら吹雪はバスタオルを浴槽に入っても一切取ろうとしなかったし

そんなこともあって久しぶりに間近で見る吹雪の裸は胸は真っ平らで体つきはどこか少年らしさを感じさせる。

それにいつも女物の服を着て、女の子の様に振舞っていることに少しも違和感を覚えることはなかったが彼女の股間にぶら下がった小さなそれが彼女の性を残酷なほどに物語っていた。

ここまで吹雪の一糸まとわぬ裸体を直視したのは初めてかもしれない。

別に見とれていたとかそんなわけではなく自分でも吹雪が男だという事はわかっていたつもりだったがその事実にこれほどまで向き合ったことは今までになかったからだ。

「嫌・・・あんまり見ないで・・・」

吹雪は股間と胸を手で隠す。

その声は今にも泣き出しそうだ。

「あっ・・・ご・・・ごめん・・・」

俺はとっさに振り向くのをやめるが俺の目の前にある曇った鏡には薄ぼんやりと俺の後ろにいる吹雪の姿を映し出す。

吹雪はそのまま近づいてきてぴたりと俺の背中にくっついてきた。

「お兄ちゃん・・・急にごめんね・・・びっくりしたよね?でも阿賀野さんや大淀お姉ちゃんにだけずるいよ・・・私も・・・・私も一緒に入りたい。お風呂でぎゅって抱きしめてもらいたいの・・・でもお兄ちゃんに私の身体を見られるのが怖くて・・・嫌われるのが怖くて・・・私・・・」

「え・・・」

「私のこんな身体・・・お兄ちゃんは見たくないよね・・・私・・・身体は男の子だし・・・それに阿賀野さんみたいにおっぱいだって大きくないし・・・そんな私の裸なんか見たら嫌いになっちゃうよね・・・」

背中にくっついている吹雪の表情を見ることはできないが震えた声できっと今にも泣きそうなんだと言うことがわかる。

俺は吹雪に出会ったあの日のことを思い出していた。

忘れもしないあの日のこと。

一時は自分を偽ってまで男の身体であることを正当化しようとしていた吹雪。

その時俺はここにいても良いと吹雪に言って吹雪も自分の身体と心に向き合って今まで一緒に生活して来たと勝手に思っていた。

しかしその時からずっと吹雪は自分が男だからいつか俺に嫌われるんじゃないかという一抹の不安をずっと今まで抱えて居たのかと思うとなんでもっと早くにそれに気づいてやれなかったのかという気分になってしまう。

もちろん今更吹雪が男だからって理由での関係を断とうとも思わないし嫌いになんかなれるわけがない。

「ふ・・・吹雪・・・俺はお前が男だろうが女だろうが嫌いにはならないって言ってるだろ・・・?」

「そんなことわかってるよ!でも・・・私怖いの・・・・私が男の子だからいつかお兄ちゃんに捨てられちゃうんじゃないかって・・・!こんな傷物で男の子の身体の私のこと・・・!ずっとそれが怖くて・・・今でも怖いの・・・!」

吹雪の声が浴室に反響する。

確かに今更吹雪のことを身体がどうとかで彼女のことを嫌いになったりはしないしそんな事は吹雪もわかっているはずだ。

しかし吹雪自身やはり自分の身体のことをコンプレックスに思っていることは事実で、

吹雪にここまでのことをさせてしまったんだから吹雪にとって昼間のアレは相当ショックだったんだと思う。

そう思うと俺は吹雪に辛い思いをさせてしまったのだと自責の念に駆られた。

だから俺は断れず

「ああ・・・わかった」

と言ってしまった。

「そう・・・なんだ・・・それじゃあお兄ちゃん・・・私の事・・・洗ってほしいな。」

吹雪は恐る恐るそう言った。

「おっ・・・!?お前を洗う!?」

「うん・・・私の身体に触ってほしいの・・・私の事・・・こんな身体でも嫌いにならないって私の男の子の身体にわからせて・・・ごめんね・・・私・・・頭ではわかってるつもりだけどそれでもそれくらいしてもらわないとこの怖い気持ちはなくならないと思うの・・・こんな私・・・やっぱり変だよね・・・嫌だよね・・・?」

吹雪はそう言って俺の方へ歩いて来た

「い・・・いやお前がそう言うなら俺はその言葉に答えるしかないな。そ・・・それじゃあ洗うから座ってくれ」

俺は座っていたシャワーチェアから立ち上がりそこに吹雪を座らせた。

「それじゃあお兄ちゃん・・・お願い・・・します・・・背中はあんまり見られたくないんだけど・・・・でもお兄ちゃんだから・・・」

吹雪の背中には前にいた鎮守府で受けた小さなアザがいくつかある。

それは言われなければわからない程度の小さなものだけど吹雪は自分からは見えない自分の背中のアザをもっと酷いものだと思い込んでいる様でそれを見せるのが嫌だから誰にも裸を見せたがらないのだ。

そんな吹雪が俺に背中を向けてきている。

吹雪は自分ができる最大限の覚悟を決めてここに来たのがひしひしと伝わって来た。

「よし・・・じゃあやるぞ」

俺は大きな深呼吸を一回してから恐る恐る石鹸を泡だてて震える吹雪の背中に手を触れた。

「ひぅっ・・・!」

吹雪が声を上げる

「ふ・・・吹雪!?大丈夫か?」

「う・・・うん・・・ちょっとびっくりしただけ・・・んっ・・・!」

俺はそのまま吹雪の背中を優しく洗って肩や腕にも石鹸をつけてやった。

「そ・・・それじゃあ後は自分でできるだろ?」

「駄目・・・」

吹雪が小さな声で言う

「えっ・・・・?」

「お兄ちゃん・・・ここも・・・」

吹雪はおもむろに立ち上がってこちらを向いた。

「ここも・・・洗って・・・私の男の子のところ・・・」

吹雪の小さなそれが俺の目の前に現れる。

何度か見たことはあるがまじまじと見たのはこれが初めてかもしれない。

それは本当に年頃の少年のものか怪しいほどに小さかったがピクピクと脈打って上を向いていた

「お・・・お兄ちゃんに撫でられただけでこんなになっちゃうの・・・・私・・・女の子で居たいのにお兄ちゃんといるとどうしてもこうなっちゃうの・・・そんな私・・・嫌でしょ・・・?男の子の私なんか気持ち悪いし必要ないでしょ?」

吹雪は目に涙を浮かべている。

きっと最後の言葉は以前吹雪が投げかけられた言葉なのだろう。

それならばそんな吹雪に俺がしてやれることは一つだけだ。

俺はゆっくりとそれに手を伸ばした。

「そんなわけないだろ?」

俺は生唾をごくりと飲み込み恐る恐る吹雪のそれに手を伸ばす。

なんだかすごくドキドキするぞ!?

なんで男のアレを触るだけでこんなにドキドキしてるんだ俺・・・

っていやいやいや流石に男子校でも男のアレに直に触るなんてことはなかったしこんなのドキドキして当然だろ!!

俺はそのまま吹雪のそれにやさしく石鹸をつけ始める。

他人のモノを触ったことなんて小学生の頃にふざけあって触ったくらいでこんなに優しく撫でるように触ったことなんてなかったが吹雪のそれは小さく、そして柔らかかったがその小さなそれは上を向いて男のそれだと言うことを必死に主張しているようにも見えた。

「お・・・お兄ちゃんっ・・・!やめっ・・・私はただ確かめたかっただけで・・・んあうっ!そんなっ・・・そこっ汚いからっ・・・!お兄ちゃんが違うって言ってくれればそれで良かったのにっ・・・!あんっ!だめっ・・声・・・出ちゃうよぉ・・・」

吹雪は口をとっさに抑えた。

そして手を動かすたび吹雪はびくりと反応し息がどんどん荒くなっていく

「お前がやれって言ったんだろ?すぐ終わるから我慢しろ」

「はぁ・・・はぁ・・・お兄ちゃん・・・本当に私のこと・・・」

「ああ。吹雪は男だって女だって関係ないって。いらないなんて言わないし気持ち悪くもないから。だからそんな怖がらなくてもいいんだぞ?」

「・・・・・・・ありがとう・・・お兄ちゃん」

吹雪はかき消えそうなほど小さな声でそう言った。

「ああ。ずっと吹雪は不安だったんだよな?こっちこそ気づいてあげられなくてごめんな」

「そんな・・・お兄ちゃんは悪くないよ!悪いのは私が男の子だから・・・痛っ!」

俺は吹雪にデコピンをした

「な・・・何するの!?」

「言っただろ?お前は悪くないんだって。だからもうそんなこと考えなくてもいいんだよ。だからもう自分の身体のことを責めるのはやめろ。わかったか?」

「う・・・うん・・・ありがとうお兄ちゃん・・・私、ここに来て・・・お兄ちゃんに会えてよかった。大好き・・・」

吹雪は俺に抱きついて来た。

「ああ。俺もお前のこと・・・・大好きだから」

言葉にしてしまったら後戻りはできないだろうと言葉を発したあとに思ったが、本当に吹雪が愛おしくてこの言葉に代わる言葉が見つからなかった。

 

そして吹雪の身体をシャワーで流し、ついでに頭も洗ってやりそのまま俺たちは夕食に向かうと夕食の席でも阿賀野と大淀がにらみ合っていて話しかけられる様な雰囲気ではなく結局声をかけることはできなかった。

そんな二人を見ていると

「今日のことは私とお兄ちゃんだけの秘密。他の人には絶対に言わないから安心してねお兄ちゃん」

吹雪が俺にこっそりと囁く。

 

夕食を終えると吹雪が眠たそうにして居たので少し早いが寝ることにした。

きっと今日は色々あって疲れたんだな。

俺はいつもの様に吹雪と一緒にベッドに入って目を閉じた。

 

次の日

執務室へ向かうといつもの様に大淀が書類を整理している

「お・・・おはよう・・・」

俺は恐る恐る声をかけてみる

「おはよう謙・・・昨日は邪魔とか言ってごめんね」

「えっ・・・!?いや・・・あの・・・・」

予想外の言葉に俺は呆気にとられてしまう。

「薄々気づいてた。阿賀野も謙のことが好きなんだって・・・でもやっぱり阿賀野と謙が仲良くしてるのをみてたらカッとなっちゃって・・・本当にごめんなさい」

えっ・・・!?

どう言うことだ?

別に阿賀野は俺をからかって楽しんでるだけなんじゃ・・・

「え、ええ!?いやいやいやいやないないないない。ただあいつは面白がってるだけだってば」

「本当にそうかしら?でも私・・・おっぱいはあの子に比べたら小さいけど謙が好きな気持ちじゃ絶対負けないから・・・!」

「え・・・ああ・・・・うん・・・」

これから一体どうなってしまうんだろう・・・そんなことを考えていると

「提督!居る?」

天津風が勢いよく執務室のドアを開けた。

「うわぁ天津風!?せめてノックくらいしろよ」

「ごめんなさい・・・ってそうじゃないの。大淀さん、ちょっとこいつ今日だけ借りていいですか?」

「え?急にどうしたの天津風ちゃん?」

大淀は不思議そうに天津風を見つめた

「ちょっと用事があるの。ダメかしら?」

「そうですか。わかりました」

大淀は少し渋々と言った感じでうなづく

「それじゃあ今すぐちょっとだけ顔貸しなさい」

「えっ、今からか?まだ仕事終わってないんだけど」

「いいから!すぐ終わるからさっさとこっち来なさい!」

天津風に言われるがまま俺は執務室の外へ連れ出された

 

「な、なあ用事ってなんだよ天津風」

「明日・・・海水浴場で遊べるじゃない?」

「え、ああうん。」

「私ね・・・女の子用の水着を持ってなくて・・・こんな男か女かわからないような身体になっちゃったし男物の水着じゃ泳げないでしょ?だからね・・・?その・・・買いに行きたいからお兄さんについて来てほしいなって・・・・」

天津風は恥ずかしそうに言った。

確かに天津風の身体は以前のソラよりも格段に丸みを帯びて居てどこか女性的だったし胸だって少しふっくらしている。

さすがにそんな天津風を男物の水着で泳がせるわけにもいかないしだからと言って泳ぐなとも言えないし・・・

「ああ・・・わかった。俺でいいなら」

「そう・・・それじゃあ今日の書類整理が終わったら買い出しに付き合いなさい。私13時くらいに門の前で待ってるから!」

天津風はそう言い残すと走り去っていった。

はぁ・・・水着の買い出しに付き合いか

って水着・・・!?大淀に知れたら殺される

そんなことを思っていると執務室の扉が開いて

「あら?天津風ちゃんもう行っちゃったの?で、用事ってなんだったの?」

と大淀が尋ねてきた

「おおおお大淀!?いっ・・・いやなんでもない。ちょっと見たい映画があるから一人で行くのも怖いから付き合ってほしいんだと。だから書類整理終わったら出かけるわ俺」

俺は適当な嘘をついた

「そ、そうなんだ・・・わかったわ。それなら早く終わらせなきゃね!」

俺の言葉を聞いた大淀はそう言うと席に戻り書類の整理を再開する。

「あ、うん・・・そうだなありがとう」

そんな大淀の姿を見て、嘘をついてしまったという罪悪感に苛まれながら俺も書類の整理を再開した。

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