ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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大淀視点のおまけシナリオです。


side:大淀 フキゲンのワケ

 海水浴場の清掃があった次の日、私はいつものように謙と書類を片付けていた。

今日はいつもより量が多いがそれでも謙と一緒ならへっちゃらだ。

あの女(?)がどれだけ謙に擦り寄ろうとも私には同じ空間で共同作業をしていると言う何にも勝るアドバンテージがある。だからあんなことくらいでむすっとしてしまったことは反省しなきゃ・・・

でもまさか急に海水浴だなんて・・・・一応女性用の水着は念のため用意してはおいたけど・・・・でも心配だわ・・・

そうだ!今日この書類の整理が終わったら謙にショッピングモールで水着を選んでもらいましょう!

きっと今持ってる水着より謙に選んでもらった水着を着た方が謙は喜んでくれるはずだから!

そうと決まれば誘わなくっちゃ!

「あの提督・・・」

私が声をかけようとした瞬間バァンとドアが勢いよく開き

「提督!居る?」

と天津風ちゃんが執務室に入ってきた。

なんて最悪なタイミングなの?

そんなことを考えていると

「ご大淀さん、ちょっとこいつ今日だけ借りていいですか?」

私にそう尋ねてきた。

「え?急にどうしたの天津風ちゃん?」

「ちょっと用事があるの。ダメかしら?」

こんな時に用事って何かしら?

でもそんな大したことでもないでしょう。

「そうですか。わかりました」

私が承諾するや否や天津風ちゃんは謙を部屋の外へと連れ出した。

はぁ・・・帰って来たらちゃんと誘おう。

そう心に決め1人寂しく書類の整理を続けているとしばらくして謙が帰ってきた。

「あら?天津風ちゃんもう行っちゃったの?で、用事ってなんだったの?」

「おおおお大淀!?いっ・・・いやなんでもない。ちょっと見たい映画があるから一人で行くのも怖いから付き合ってほしいんだと。だから書類整理終わったら出かけるわ俺」

まさか先に先約を取られちゃったの!?

はぁ・・・でも謙のことだし絶対そんな誘いは断らないわよね・・・それに艦娘とのコミュニケーションは提督のお仕事だし・・・

しょうがない。今日は天津風ちゃんに譲ってあげましょう。

「そ、そうなんだ・・・わかったわ。それなら早く終わらせなきゃね!」

本当は私だって・・・・でも今は秘書官としての勤めを全うしなくっちゃ!私は自分の感情を押し殺して謙を鼓舞した。

「あ、うん・・・そうだなありがとう」

私たちはまた書類の整理を再開する。

しかし暑さと書類整理が捗らないこともあいまってだんだんと誘いを我慢した自分と天津風ちゃんと出かけることになった謙に腹が立ってきてしまった。

なんで私じゃなくて天津風ちゃんと・・・

そんなイライラを抱えたまま書類の整理を続けているうちに少しでも長引かせればその間は謙と一緒にいられるんじゃないか?なんてことも頭によぎったがそんな身勝手な理由で謙の足を引っ張るわけにはいかない。

こんなことでイライラした上にそんなことを思いつく自分になおさら腹が立ってくる。

そして書類の整理も終わりいつもの様にアイスティーを淹れて謙に出したが苛立ちのせいで少し力が入ってしまいゴンと音を立てておいてしまった。

謙もそれを察したらしく遠慮がちに

「な、なあ大淀」

と声をかけてきた。

どうしようやっぱり怒ってると思われてる・・・!?

ここはせめて怒ってない感じで返事しなくっちゃ!これ以上謙に気を使わせるわけにはいかない!!

そんな努力が裏目に出てしまい

「なんですか?」

笑顔で返事をしようと思ったが顔がこわばってしまった。

なんでこんな肝心な時に・・・!私のバカ!!

そんな私を見た謙はやっぱり怒っていると思っているのか

「なあ・・・もしかして昨日のことまだ怒ってるのか・・・?」

そんな的外れな質問をしてくる謙に少し苛立ちを覚えてしまった私は

「違います!」

と強めに答えてしまった。

「じゃ・・・じゃあなんでそんな怒ってんだ?」

理由なんて決まってるじゃない・・・!私が謙と買い物に行きたかったのを我慢してるからよ!

それに謙が気づいてくれないことが少し腹立たしかったがそれを言ってしまえば謙は天津風ちゃんとの約束を破ることになってしまう。

私は自分だって謙と一緒にお出かけしたかったんだという気持ちを押し殺して

「別に怒ってません!それより早くしないと天津風ちゃんとの約束の時間に遅れてしまうのでは?せっかく張り切っていたんですからさっさと行ったらどうです?」

と吐き捨てた。

すると

「それじゃあ行ってくる・・・なんかわかんないけどごめん!」

謙は逃げる様に執務室を出て行ってしまった。

 

「はぁ・・・・」

ひとりぼっちの執務室に私のため息が響く

艦娘になって謙のことを以前よりずっと大切にに想う様になってから逆に謙に対して腹が立つこともずっと多くなってしまった自分が嫌いになりそうだ。

「いつのまにかめんどくさい奴になってるのかな私・・・・」

私は謙にあんな返事をしてしまったことを深く後悔した。

 

その日の夕飯・・・

謙は帰って来てからなんだか元気がないし天津風ちゃんは食堂に来ていなかった。

何かあったのかしら・・・・?

そんな時私はふとあることを思い出した。

そうだ!水着の試着をしてない・・・!

ああ私としたことが買ったはいいけれど買って満足してそれからなんだかんだで気恥ずかしくて一回も着てないんだった・・・

明日じゃ間に合わないし今日やらなきゃ・・・

サイズが合わなかったら夜中にここから1時間くらい行ったところにあるメチャ安の要塞ファンキホーテに買いに行きましょう。あそこなら水着くらいあるはずだし・・・

そして部屋に戻った私は押し入れの奥にしまっていた水着を取り出してまずはトップをつけてみた。

少しキツいような気もするが着れなくはない。

それに少しキツいと言うことは買った時よりも少し胸が大きくなっていると言うこと・・・それなら喜ばしいことだ。

次にショーツに脚を通そうとしたその瞬間

「な、なあ大淀今いいか?」

ドアをノックする音と謙の声が聞こえる

「えっ?謙!?ちょ・・・ちょっと待って!きゃうっ!」

私はいきなりだったので水着に足を引っ掛けてバランスを崩し、壁に額をぶつけてしまった。

今日はなんて間の悪い日なの!?

「いたたたたたた・・・」

謙こんな時間に何の用かしら・・・とりあえずこんな格好じゃ出られないし服着なくちゃ・・・

私はショーツをしっかりと履く。

よかった。こっちもサイズはちょうどいいみたい。

その上から水着を着る前に脱いだ服を着てドアを開けると謙がゲームセンターでもらえる袋を持って立っていた。

そして謙は赤くなった私の額を見て

「大丈夫か大淀」

と心配してくれた。

やっぱり謙はやさしいなぁ・・・

でも無駄に心配をかけさせるわけにもいかないし

「え、ええ。ちょっとバランス崩して壁にぶつかっただけだから・・・たんこぶとかにもなってないし大丈夫」

私は気丈に振る舞った。

「そ、そうか・・・それならよかった。あの・・・これ」

謙は袋を私に手渡してくる。

「なにこれ・・・?」

「まあ中身見てみろって」

謙に言われるまま袋の中に手を突っ込んでみると柔らかい感触がする

これってもしかしてぬいぐるみ?

私はその柔らかいものを掴んで袋から出してみると謙が私に初めてくれたぬいぐるみのシリーズの新作のぬいぐるみが姿を現した

「これ・・・どうしたの?」

「あ、ああ。なんか今日大淀機嫌悪かったしショッピングモールに行ったついでになんか機嫌が治りそうなものでも渡そうかなって思ってさ」

謙は申し訳なさそうに言った。

なんだかそこまでしてもらうと私がひとりよがりで勝手にイライラしていたことがなおさらバカバカしくなってきてしまう。

「ごめんね謙・・・なんか気を使わせちゃったみたいで」

「ああいや気にしないでくれ。なんにせよ多分俺に原因があったんだろうからさ」

「違うの。今回のことは私が勝手にイライラしてただけで・・・ごめんなさい」

「えっ、昨日のこと怒ってたわけじゃないのか?」

謙はやっぱりまだ昨日のことを怒っていると思っている様だ。

「うん。それとは関係ない話」

「そ、そうか・・・まあいいや。それじゃあ明日は久しぶりにめいいっぱい遊ぼうな!それじゃあおやすみ」

謙はそう言って自分の部屋に戻っていくので

「ええ。これありがとうね謙。おやすみなさい」

私は謙を見送って部屋に戻り、もらったぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。

抱きしめるとなんだか散々だった今日1日もなんだかどうでもいい様な気がしてきた。

そして私はまた服を脱いで水着姿で鏡の前に立ってみる。

謙・・・この水着気に入ってくれるかな・・・

少し前まで普通の男の子だった私の水着姿を見た謙はどう思うだろう?

そんな一抹の不安もあったが

「よし。完璧。これなら謙に見てもらっても恥ずかしくないわ!明日のために今日はもう寝ましょう!」

鏡に映った自分にそう言い聞かせ、寝巻きに着替えて謙からもらったぬいぐるみを抱いて眠りに落ちていった。

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