ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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××鎮守府サマーバケーション(前編)

 暑い・・・まるで寝ている間にサウナに連れていかれたかのような暑さだ。

タイマーをいつもより短めにセットしてしまったのか寝ている間にクーラーが切れてしまっている。

せっかくなんだか楽しい夢を見ていた気がするのに今となっては頭も重いし瞼も重くて目覚めは最悪だ。

早い事起きて水でも飲まないと死んでしまいそうだ。

でも体を動かすのもだるい・・・

というかなんか息苦しいぞ・・・?

何かが体の上に乗っているような・・・

「・・・・・て・・・きて・・・・起きてよお兄ちゃん!!」

そんな声が聞こえてくるので重い瞼をゆっくりと開くと誰かが俺の腹の上に乗っかっている。

通りで苦しいわけだ。

徐々に視界がはっきりとしてきて腹の上に乗っているのは吹雪だということがわかってくる。

というかこの部屋には俺と吹雪以外いないんだから当然だよな・・・

しかしなんで吹雪は俺の腹の上なんかに乗ってるんだ?

それになんで・・・

「ななななななんで吹雪お前なんで水着なんだ!?」

なぜか吹雪は昨日買ってきた水着を着て俺の腹の上に乗っているのだ。

「あっ、お兄ちゃんおはよう!」

「お、おはよう・・・ってそうじゃない!なんで部屋の中で水着なんか着てるんだよ」

「あっ、これ?なんだか海に行くのが楽しみで早く目が覚めたから我慢できなくて着ちゃった」

吹雪はこんなクソ暑い朝から元気だなぁ・・・

「そ、そうか・・・それはわかったけどなんで腹の上に乗ってるんだ?」

「お兄ちゃんがなかなか起きないからこうやったら起きるかな〜って思って」

吹雪が俺の腹の上で動くたびに股の付け根くらいのところから柔らかいものがくにくにと俺の腹に当たる。

それが何かは言うまでもないがこの間俺はあれに触ったんだよな・・・

俺はあの時手に触れた吹雪の柔らかいそれの感触を思い出してしまった。

思い出すとなんだかとてもいけないことをしてしまったと言う罪悪感やら恥ずかしさやらがどっと押し寄せてくる。

「お兄ちゃんぼーっとしてどうしたの?そんなお兄ちゃんには・・・えいっ!」

吹雪は腹の上で軽く一跳ねしてまた俺の胸に柔らかい吹雪のアレがむにゅりと当たる。

くそっ!なんで吹雪の玉袋をこんな意識しちまうんだ俺はァァァァ!!!!

「ごふっ!!!」

「あっ、ごめんお兄ちゃん大丈夫!?」

「あ・・・ああ大丈夫・・・起きるから・・・起きるからそこを退いてくれ・・・」

「はーい」

吹雪は残念そうに俺から降りた。

はぁ・・・朝から心臓に悪いなぁ・・・

そんなことを思いながら俺も重い体を起こしベッドを降りて大きなあくびを一つして時計を見るとまだ7時。いつもより早い起床になってしまった。

「うう・・・吹雪幾ら何でも張り切りすぎだぞ?」

「え〜そうかな・・・みんなで海で遊ぶんだよ!?私海で遊ぶのは初めてだから!」

「初めて?いつも行ってるじゃないか」

「あれは違うの!あれはお仕事だし・・・もしかしたら誰かが傷ついちゃうかもしれないし・・・それにいつもは海に浮いてるけど海に浸かるなんて大破した時か沈む時だけだと思ってたから・・・だからそんなことを考えないでみんなで海で遊べるのが嬉しいの!本当はそれが普通なんだよね。でも私にとってはすごいことなの!」

吹雪はぴょこぴょこと飛び跳ねて見せた。

余程海で遊ぶのが楽しみだろう。

それに言われてみれば確かにそうだ。

少し前に吹雪が大破してしまった時のことを思い出した。

いくらこの辺りの海域が静かだからとは言え戦闘になれば命をかけなければいけないんだ。

そんな境遇にこんな小さな子が置かれていてそれを吹雪が普通だと思っている現状にやるせない気持ちになってしまう。

「吹雪・・・お前海は怖くないのか?」

「ううん!怖くないよ!海があるから・・・私が艦娘だからお兄ちゃんに会えたんだもん!今日はお兄ちゃんたちと艦娘としてじゃなくて女の子として一緒に海で遊べるなんて私すっごく嬉しいの!」

「吹雪・・・・でも遊びだからって気を抜いてたら溺れちまうぞ?それだけは気をつけてくれよ?今日はいつもみたいに浮かないんだからな?」

「うんっ!お兄ちゃんのそばにいるから大丈夫だよ」

吹雪はそう言って俺に抱きついてきた。

「うわぁっ!吹雪!?」

「えへへ〜朝のお兄ちゃんの匂いだぁ」

吹雪は俺に顔を埋めた。

「あっ、こら嗅ぐな!」

なんだかこの間一緒に風呂に入ってからと言うもの吹雪との距離がさらに縮まってしまったような気がする。

本当は距離を徐々に離していかなきゃいけないはずなのに・・・

でも俺は吹雪を突き放すことができなかった。

「な、なぁ吹雪・・・とりあえずその格好でうろうろするのはやめよう・・・な?」

「えっ・・・?」

「海水浴場まで遠くはないけどそれまで一般の道を歩くんだぜ?そんな格好で歩いたら色々やばいだろ?着替えは向こうで出来るって書いてあったしさ・・・」

「そ、そうだねお兄ちゃん。私ちょっと浮かれすぎてたかも・・・ごめんなさい」

吹雪はしゅんとして下を向いた。

言い過ぎちゃったか・・・?

「いやいやそんなことはないぞ。今日くらい艦娘のことなんか忘れて浮かれててもいいよ」

「お兄ちゃん・・・うん!わかった!それじゃあ着替えてくるね」

吹雪はそう言うと洗面所に行ってしまった。

さあ吹雪が洗面所にいる間に俺も服を着替えてしまおう。

俺は汗ばんだ服を脱ぎ、半袖に半ズボンに着替え以前から用意していた水着やらをまとめたバックの中身を最終確認した。

「・・・・俺の分はこれで良し・・・と。あとは・・・」

気がかりなのは天津風だ。

あいつ昨日はあんな感じだったけど本当に大丈夫なんだろうか?

「ごめん吹雪!ちょっと俺用事思い出したから行ってくるわ!」

洗面所にいる吹雪にそう言い残して天津風の様子を見に行くことにした。

 

 そして天津風の部屋にたどり着き軽くノックをしてみるが返事はない。

「お〜い・・・天津風起きてるか?」

やっぱりまだ寝てるのか・・・?

そう思い引き返そうとした時ゆっくりと扉が開いて天津風がぬっと顔を出した。

「・・・なに?人が気持ちよく寝てたのに」

皮肉混じりにそう言った天津風の目は少し腫れている。

寝起きにしては赤すぎるし昨日はずっと泣いてたのかもしれない。

「ごめん天津風・・・その・・・気分はどうだ?」

「気分?あなたに起こされて最悪なんだけど?」

「い、いやそう言うことじゃなくてさ・・・その・・・長峰さんのこと黙ってて悪かったな」

「謝ることないわよ。長峰さんからそうするように言われたんでしょ?私だって似たようなものだったし」

「それで今日は大丈夫なのか?もし辛いならまた日を改めたって・・・」

「何言ってるの?今日はこのモヤモヤを全部取っ払って精一杯遊んでやるわよ。これ以上逃げてたって結局いつかは向き合わなくっちゃいけない事だったと思うし」

「お前・・・結構肝座ってるんだな・・・」

「何?そんな私がヤワに見えるわけ?自分で言うのもなんだけどこう見えてもあなたなんかよりずっと壮絶な人生を歩んでる自負があるのよ?それに私こんなになっても男の子なんだからこんな事でずっとくよくよしてるわけにはいかないの」

天津風はそう言ってみせるが声が少し震えている。きっと強がって自分に言い聞かせているのだろう。

「お前がそうしたいなら俺は全力で後押ししてやるだけだ。長峰さんとのわだかまり解けたらいいな」

「・・・ええ。そうね。それじゃあ私は準備があるからこれで。何処かの誰かさんに起こされて疲れちゃったしさっさと帰ったらどうなの?」

「あ、ああすまん。それじゃあまた後でな」

俺は天津風の部屋を後にした。

 

部屋に戻る途中初雪が何やら大荷物を抱えて歩いているのに出くわした。

いつもは昼間くらいにならないと起きないのにこんな朝の早くから何してるんだろう?

ずっとインドア派だと思ってたけど初雪も海で遊ぶのが楽しみだったりして

「おはよう初雪。今日はこんな朝の早くから珍しいな」

軽く挨拶をしてみると

「なにそれ皮肉・・・?」

小さな声で返された

「い、いやそういう訳じゃないんだこんな朝の早くからそんな荷物抱えて海で遊ぶ準備でもしてるのかなって」

「そんなのするわけない・・・こんな暑いのに外に出るなんておかしい・・・この荷物は海とは関係ない・・・うん・・・断じて・・・全くもって関係ない・・・!」

初雪が何やら圧のある念の押し方をして来た。

私物だろうし中身は聞いても答えてくれそうにない。

「そ、そうか・・・それじゃあお前は海には来ないのか?」

「・・・当たり前・・・海なんか嫌でも行けるしせっかくの休みはお部屋でゲームするに限るよ・・・それじゃあ初雪は忙しいから・・・」

初雪はそう言い残すと荷物を抱えて自室のある方へ歩いて行った。

一体あの荷物はなんなんだ?まあいいや。別に強制参加の行事がないんだし無理やり連れ出すこともないか。

 

 

そして部屋に戻ると普段着に着替えた吹雪が俺を出迎えてくれた。

「あっ、おかえりお兄ちゃんどこ行ってたの?」

「ああちょっとな・・・それより準備はできてるのか?」

「え?準備」

「ほら。水着以外にも色々あるだろ?浮き輪とかさ」

「浮き輪・・・?誰かが溺れた時にでも使うの?」

「いや・・・浮き輪をつけて泳いだりするだろ?」

「え・・・?そうなの?」

吹雪は不思議そうに首を傾げる。

吹雪本当に海で遊ぶ方法を知らないのか?

たしかにいつも海の上で浮いてたら浮き輪なんか必要だとも思わないか・・・

「あのな吹雪・・・浮き輪ってのは救助の時に使うやつじゃなくて海で遊ぶ時に使うやつもあるんだよ」

「そうなんだ!私使ってみたい」

吹雪は目を輝かせる

「浮き輪かぁ・・・残念ながら俺は持ってないんだよ。もしかしたら誰か持ってるかもしれないし借りようか」

「うん!」

 

それからしばらくしてドアをノックする音が聞こえたのでドアを開けるとそこには大淀が立っていた。

「謙・・・おはよう」

「おはよう」

「あのね・・・よかったら一緒に海水浴場まで行かない?」

「ああいいぞ。それじゃあそろそろ出る用意するからちょっと待ってくれ。おーい吹雪、そろそろ行くぞ」

俺はまとめていた荷物を手に持ち吹雪を呼ぶと吹雪もせっせと水着が入ったかばんを持って出てきた。

「大淀お姉ちゃんお待たせ!」

「それじゃあ行こうぜ」

「ええ。」

 

俺は吹雪と大淀と3人で海水浴場へ向かうと××鎮守府御一行様更衣室はこちらと書かれている立て札があったのでその方へ行ってみると海の家の隣に小さな更衣室があった。

よかったちゃんと男女で分かれてる・・・

なんだか今の環境に慣れすぎていてそんな普通なことに安心してしまう自分がいた。

しかし逆に大淀たちはどっちで着替えればいいんだろう・・・?

いや待てよ・・・?逆に男の方に入ったら愛宕さんが着替えてるとかそんなんじゃないよな・・・?

うーむどうしたもんか・・・

「な、なあ大淀・・・お前こういう時どっち入るんだ・・・?」

「え、えーっと・・・この身体になってからはいつも共有のトイレとかに入ってるんだけど・・・更衣室に入るのは初めてだし長峰さんが何かしらの配慮をしてくれてるものだと思ってたから・・・」

「そ。そうか・・・どうすりゃいいんだ?」

「あ、あのね・・・?私、別に謙となら・・・」

大淀が何かを言いたげにしていたその時

「あ〜提督さんも来てたんだ〜おはよ〜」

阿賀野が薄いシャツにショートパンツというなんとも開放的な格好でこちらに歩いてきた。

それになんか胸の先が尖ってるぞ・・・?

まさかノーブラ!?

「あ、阿賀野お前・・・・」

「あなたどこから湧いて出たんですか!?」

大淀が敵愾心むき出しで阿賀野を睨みつける

「も〜人を虫みたいに言わないでよ〜阿賀野も着替えに来たの!それじゃあ提督さんっ!着替えに行こっか!」

阿賀野はそう言うと俺の手を掴んでなんのためらいもなく男子更衣室の方へ入ろうとする

「いやいやいや待て待て待て待て!お前なんで平然と男子更衣室に入ろうとしてるんだよ」

「え?当たり前じゃない?阿賀野男だし」

「いやそうだけどさ・・・・って違うだろ!どう考えてもこっちに入るのはおかしいだろ!?」

「え〜だってぇ〜提督さんも俺のこと男だって思ってくれてるんでしょ?」

「こんな都合のいい時だけ俺とか言ってもダメだ!!」

だって阿賀野のアレめちゃくちゃ大きくて裸見るたびに自身なくすんだもん。

ってそうじゃない!まずこの凶悪な胸だ。こんな胸が男に付いてるという事実を受け入れられずに脳がこの暑さも相まってショートするわ!!

でも女子更衣室の方を使えとも言えないしどうすれば・・・

「え〜提督さんのイジワルぅ〜別にいいじゃないの男の私と一緒に着替えるだけで何も減るもんじゃなんだから〜」

「そんなかわい子ぶってもダメなもんはダメだ!!」

うう・・・どうしよう・・・大淀がまたこっち睨んでるし・・・

「長峰さん達が阿賀野達専用の更衣室を用意しなかったのが悪いんだってば!だからね?いいでしょだからほ〜ら。水着は提督さんに一番に見て欲しいし阿賀野とお着替えしy・・・・ぎゃんっ!!!」

阿賀野が言いかけた途端何かがゴンと金属音を立てて阿賀野の後頭部に命中してその場に倒れ込む。

ぶっ倒れた阿賀野の近くには水筒が一本転がっていて大淀の方を見ると大淀は不敵な笑みを浮かべていた。

「あら〜ごめんなさい阿賀野さん。私少しお水を飲もうとしただけなんですけど手が滑っちゃいました〜あっ!ここに本日貸切の為艦娘の方は女子更衣室をお使いくださいって書いてるじゃないですか!それでは提督、私達はこっちで着替えて来ますね〜さあ吹雪ちゃん私たちは安心して女子更衣室をつかいましょう!」

「う、うん・・・そうだね大淀お姉ちゃん」

大淀は水筒を拾い上げて倒れた阿賀野を引きずって女子更衣室へと入っていき、吹雪もそれに付いて行った。

あいつ絶対わざとぶん投げただろ・・・

ま、まあ阿賀野と一緒に着替えることもなくなったし大淀の着替える場所もしっかり確保されたんだから良しとしよう。

確認してみると確かに大淀の言う通り【本日貸切の為艦娘の方は女子更衣室をお使いください 長峰】と綺麗に筆ペンか何かで書かれた張り紙がちょうど男子更衣室と女子更衣室の間に貼り付けてあった。

しかしあの人意外と綺麗な字書くんだなあ・・・

っと感心してる場合じゃない!いくら張り紙がしてあっても愛宕さんとかが入ってくる可能性はゼロじゃないしさっさと着替えちゃわないとな。

俺はひとまず男子更衣室の中を恐る恐る覗き込んだが幸い誰もいなかったので足を踏み入れる。

なんで男子更衣室を恐る恐る覗かなきゃいけないんだろう・・・?

やっぱり相当ここでの生活に毒されてるなぁ俺・・・

そんなことを考えながらそそくさと水着に着替えて更衣室を出てからしばらくすると吹雪が女子更衣室から飛び出して来た。

「お兄ちゃん!お姉ちゃんが水着似合ってるって褒めてくれたの!」

吹雪も嬉しそうだし買って来た甲斐があったなぁ・・・

そういや大淀はどうしたんだろう?

「なあ吹雪、大淀はまだ着替えてるのか?」

「あれ?出るまでは一緒だったはずなんだけどどうしたのかな?ちょっと見てくるね」

吹雪が女子更衣室に戻ってしばらくすると

「ちょっと吹雪ちゃん!そんなに押さないで・・・きゃぁ!」

大淀が吹雪に押されて水着姿の大淀が現れた。

「け、謙・・・変じゃないかな・・・・?」

大淀は顔を赤らめて訪ねてくる。

確かに男がこんなビキニにパレオを巻いてるなんて聞けば普通は変だと思うだろうが俺の目の前にいる彼はもはや俺の知っている以前の彼ではなくなってしまったんだという寂しさを感じさせるくらいに違和感のない水着姿だった。

「変なんかじゃないよねーお兄ちゃん?」

「あ、ああ・・・よく似合ってると思う・・・ぞ?」

「ありがとう謙・・・私阿賀野さんみたいに胸も大きくないし・・・あんまり肌を出しすぎると男みたいな体つきが目立っちゃうかなって思ってたんだけど・・・でも少し思い切ってみてよかった!謙に似合ってるって言ってもらえて私すっごく嬉しい!」

大淀の笑顔が眩しい・・・

あれ?阿賀野・・・・?そうだ。阿賀野はあの後どうなったんだ?

「な、なあ大淀、阿賀野はどうしたんだ?」

「え?阿賀野さん艦娘があんな事くらいでダメになると思いますか?そのうち目を覚ましたら出てきますよ」

大淀は急に真顔になりメガネをくいっと上げた。

こ・・・こええ・・・・

「そ、そうかわかった・・・大丈夫なんだな」

「そんな事よりせっかくのお休みなんだから今日はいっぱい楽しもうね謙!」

大淀はそう言うや否や俺の腕に抱きついてくる

「お、おおおおお大淀!?」

大淀がまさか人前でこんなことをするとは思わなかったので俺は驚いてしまった

「今日はお休みだからハメ外しちゃう!今日は・・・今日だけは秘書官の大淀じゃなくて謙の大事な人として一緒に居たいな〜阿賀野さんばっかり謙にスキンシップしてるんだからこれくらいならいいよね?」

「あー!お姉ちゃんずるい!私も私も!!」

吹雪も大淀が抱きついた方とは逆の手をぎゅっと握りしめてきた。

ああ・・・水着姿の可愛い子2人に囲まれるなんて夢みたいだなぁ・・・

いやまあどっちも男・・・なんだけどこの際どうでもいいや!今日は俺も楽しんじゃうぞ!!!

「よ〜し大淀!吹雪!今日は遊びまくるぞ〜!!!」

俺の頭の中で何かが外れた気がするがこれも全部暑さのせいだ。

細かいこと気にしてたらせっかくの休みが楽しめないじゃあないか!

「よし!それじゃあ早速場所取りしようぜ・・・!と言っても今日は貸切なんだよな。レジャーシートとかパラソルとか貸してくれるのかな・・・」

ひとまず挨拶も兼ねて昨日昼食を食べた海の家に行ってみると奥田さんが既に何やら準備をしていて俺たちに気づいたのか

「あら、提督くん、それに大淀ちゃんに吹雪ちゃん。早かったわね・・・じゃなかった早かったね」

と声をかけて来た。

「おはようございます。今日は1人なんですか?」

「いや。大門もいるんだけどね・・・」

奥田さんが指をさした方の物陰から長峰さんがこちらを覗いているのが見えた。

「今朝からあんな感じで天津風ちゃんと会うのを怖がってるみたいなの。別にあそこまで身構えることないと思うんだけどね・・・結構ああ見えて繊細なところあるからあの子」

やはり昨日の天津風の一件で長峰さんもまだ心の整理が付いていないんだろう。

「ごめんなさい俺がちゃんとしてなかったばっかりに・・・」

「謙、何かあったの?」

大淀が尋ねてきたがこれ以上話をややこしくするわけにも変に気を使わせる訳にもいかないので俺は適当にごまかした。

そういえば育田さん来るって言ってたけどどうしてるんだろう・・・?

「そ、そうだ奥田さん!レジャーシートとかビーチパラソルとか貸してもらえませんか?急で用意できなくて」

「もちろん!ござは400円、ビーチパラソルとビーチベッドは1000円、テントは1500円でレンタルしてるよ」

奥田さんは笑顔で言った

「へ?金取るんですか?」

「当たり前でしょ?一応こっちも明日からの海開きに向けての最終確認も兼ねてる訳だし海水浴場は貸切なんだから他はしっかりお金払ってもらわなきゃ!それに昨日海水浴場清掃のお給料渡したでしょ?」

な・・・!?まさか昨日もらった分の給料を回収する魂胆だったのか!?

この前の漁の手伝いの時もそうだったけど奥田さん商魂たくましいというかお金にがめついというか・・・・・

「いっぱい出して欲しいなぁ。提督君のお・ち・ん・ぎ・ん♡」

奥田さんは妖艶な雰囲気の声で俺の耳元で囁いてきた。

「うわぁ!!ちょ・・・ちょっと!!その格好でそんなこと言わないでくださいよ」

目の前にいるのは男装した奥田さんなのにそのセクシーな声を聞くとそれが奥田さんから出ていることを脳が受け入れてくれないような状態に陥る。

「あはははは!冗談冗談。やっぱり提督君はからかい甲斐があるよ〜」

奥田さんはさっきの妖艶な声とは打って変わってニコニコと男らしい笑みを浮かべた。

本当にこの状態と陸奥さんの状態の差が凄いからもう訳がわからないぞ・・・

しかしここで尻込みしていても仕方ないし・・・

「はぁ・・・わかりましたよ。それじゃあパラソルとゴザ1組ずつ貸してください」

「はーい毎度あり!1400円ね」

うう・・・思わぬ出費だ。

でも遊ぶんだからこれくらいの出費は必要経費だと思うしかないはず・・・!

俺は渋々財布から1400円を取り出して渡した。

「で、そのゴザとテントはどこにあるんですか?」

「ああ今持って来させるよ。イクちゃーんゴザとテント用意してー」

奥田さんが名前を呼ぶと育田さんが畳まれたパラソルとゴザを持ってこちらにやって来た。

「うう〜相変わらず人使いが荒いのね〜」

「あっ、育田さんもう来てたんですね」

でもなんで海の家の手伝いなんかしてるんだろ・・・?

「もう来てたじゃないの!イクなんで有給とって休みもらった先で働かなきゃいけないのー!?イクもいっぱい泳ぎたいのねー!」

「ああはいはいわかったわかった。それじゃあ提督君、今日はいっぱいお金を落として・・・じゃなかった楽しんでいってね」

奥田さん本音が漏れてるよ・・・やっぱり昨日働いた分の給料を巻き上げるつもりだったんだ。

財布の口は硬くしとかないとなんだかものすごい勢いで搾り取られそうな気がするぞ・・・・?

まあいいや。ちょっと早くきすぎた気もするけど場所取りもこれでできるし海水浴場一番乗りだ!

「よし!それじゃあ吹雪、大淀!早く場所とって泳ぎに行こうぜ!」

「うん!」

「ええ!」

2人を連れて海の家を飛び出し海から少し離れた場所にゴザを敷いてパラソルを立てた。

「これでよしっと。それじゃあレッツ海水浴と行こうぜ!」

俺が荷物を置いて海へつっこもいうとした瞬間俺の右手を何かが引っ張る。

「うおっ!何するんだよ大淀」

「謙、泳ぐ前にはちゃんと準備体操しなくっちゃね」

はぁ・・・こういう変なところが真面目なところは本当に昔から変わらないなぁ。

やっぱり大淀のこう言う以前と変わらない一面を見ると少し安心する。

「はいはいわかったよ。それじゃあ準備体操するか」

「ちょっと待ってお兄ちゃん準備体操っていつも訓練の前にやってるのと同じでいいの?」

「ああ。多分そんな変わんないと思うぞ」

「そうなんだ。それじゃあいつも通りにやるね」

俺たちはそのまま簡単に準備運動を済ませた。

「よし!それじゃあ海水浴一番乗りだぁ!!」

俺は海に向かって一目散で走る

「あっ、ちょっと待ってよ謙!」

「あ〜お兄ちゃんとお姉ちゃんだけずるい!私も私も!!」

後ろからそんな2人の声が聞こえてくる。

天津風の事も気がかりだけど今日は1日めいっぱい楽しんでやろう。

天津風もちゃんと長峰さんたちとのわだかまりを解ければ良いけどな・・・

あれ・・・他にもなんか忘れてるような気がするけど・・・・まあいいや。

とりあえず天津風が来るまではこうして吹雪や大淀と楽しい一夏の思い出を作るとしよう。

俺は勢いよく波打ち際に足を踏み入れた。

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