ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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お待たせして申し訳ありません。
もう秋ですが艦これのイベントも夏イベントと言い張っていたのでまだ夏です。


××鎮守府サマーバケーション(中編)

 照りつける眩しい日差しに広がる砂浜と青い海!そして眼前では波間ではしゃぐ2人の美少女・・・(男)!!

こんな幸せな事があるだろうか?

思い返してみれば今までの夏といえば野郎だけで海に行ったり後半は部屋でゴロゴロしてただただ夏休みを浪費するような夏を送っていた気がする。

そんな悲しい青春時代の夏を過ごしていた俺が今直面している状況はその時のことを考えれば夢のような状況だ。

もしかすると今までで最高に夏を楽しんじゃってるんじゃないかとそんな気さえしてしまう。

そんなことをぼんやりと考えていると突然海水が俺の顔めがけて飛んできて口に少し入ったのか塩辛い海水の味が口に広がった。

「わぶっ!?しょっぺぇ!!」

「謙、何ぼーっとしてるの?せっかく今は私たちだけなんだから思いっきり楽しみましょうよ!」

水の飛んできた方向にいた大淀がそう言って笑っている。

いつも執務室で見ている真面目な大淀の姿ではなく完全にオフモードで波と戯れながら俺を呼ぶ大淀の姿がそこにはあった。

その楽しそうな彼女の姿はみる影もないはずなのにどことなく以前の彼の面影があったような気がした。

そういえば淀屋と海に行ったことはなかったな・・・

あいつは極力人との付き合いを避けるような奴だったせいかあまりクラスメイトの集まりには参加することはなかった。

遊ぶときはいつも俺と2人っきりかたまに無理やり割って入ってくる海斗のと3人でしぶしぶ遊んでいた感じだ。

そんなあいつも今や側から見れば眼鏡の美少女だし他の艦娘達ともそれなりの付き合いをしているんだから随分と変わったよな・・・

無表情で無愛想だったあいつが最近なんだか毎日楽しそうだ。

そう思うとなんだか嬉しくなって頬が緩んでしまう。

「なにじーっとしてるの?もしかして水変なところに入っちゃった!?それとも男なのにこんな水着着てるのやっぱり変だった?」

大淀がそんな俺を心配そうに見つめて来ている。

「い、いやそうじゃないんだ。お前も随分変わったな・・・って思ってさ。前まではたまにしか笑わなかったお前が笑ってるところをここ最近毎日のように見れるようになってそれだけでなんだか俺まで嬉しいんだよ」

「きゅ・・・急に何言い出すのよ謙!!そ、そんな」

俺の言葉を聞いた大淀の顔が徐々に赤さを増していく。

よし!今がチャンスだ!

「なんてな。ほいスキ有り」

俺は赤くなった大淀の顔めがけて水をかけてやった

「きゃぁ!け、謙そんな不意打ちなんてずるいよ!」

「真正面からかけてやったんだから不意打ちも何もないだろ?さっきのお返しだ!それにその真っ赤な顔ちょっとは冷やしたらどうだ」

「もー!謙ったら・・・って私赤くなんかなってないよ!」

大淀はそう言っていじけてみせる。

なんだかそんな仕草の一つ一つが愛おしいと思えてしまう自分がいた。

そういえば吹雪はどうしたんだろう・・・?

波打ち際の方に目をやると吹雪は海に入らず波をじっと見つめている。

「おーい吹雪ー何やってんだよお前も早く来いよ」

呼びかけてみるが吹雪は海に入るのを躊躇っているようだ。

「急にどうしたんだよ?さっきまであんなに海で泳ぐの楽しそうにしてたじゃないか」

心配になったので駆け寄って尋ねてみると

「う、うん・・・そうなんだけど足を海につけたら足が沈んじゃうの」

吹雪は小さな声で言った。

沈む?そりゃそうだろ。

「当たり前だろそんなの。それにこの辺りは足がつくんだから溺れたりしないって」

「う、うん・・・それが本当は当たり前なんだよね。でも私・・・いつも海の上で浮かんでるから足が水の中に沈んでそのまま海の底まで落ちちゃうんじゃないかって思ったら急に怖くなっちゃった」

吹雪は海で泳ぐのは初めてだと言っていたしそれにいつもは海の上で浮いているのが当たり前でそんな状況で体が沈むなんてことはたしかに死に直結するような事態だ。

「泳ぎとか習わなかったのか?」

「う、うん・・・施設にいるときに水泳も教えてもらえたんだけど私こんな身体だから他の子に見られたくなくてずっと嘘ついて休んでたの」

「そうだったのか・・・」

それじゃあ吹雪は生まれてこのかた泳いだこともないってことか・・・

「無理するなよ?もし怖いなら無理やり泳がなくたっていいんだぞ?」

「う、うん・・・でも私・・・せっかくお兄ちゃんに水着も買ってもらったし自分の身体のこと気にしないで水遊びができるのは嬉しいのに・・・私情けないね」

吹雪は肩を落とした。

せっかくさっきまであんなに嬉しそうだった吹雪の表情が曇ってしまい俺はやるせない気持ちになる。

そんな俺と吹雪を心配してか大淀がこちらに駆け寄ってきた。

「吹雪ちゃんどうしたの?」

「お姉ちゃん・・・私ね・・・」

吹雪は俺に話したことをそのまま大淀にも伝えた。

「そうだったの・・・よし!それならお姉さんに任せて!」

大淀は胸を張った。

「私と謙が付いてるから!とりあえず水に慣れることから始めましょう!」

「お姉ちゃん・・・私どうしたらいいの?」

「謙、吹雪ちゃんと手を繋いであげて」

大淀がそういうので俺は吹雪に手を差し伸べた。

「それじゃあ吹雪ちゃん。ゆっくりでいいから水に足をつけてみて。謙が手を繋いでるから絶対に溺れたりしないわ」

「う、うん・・・!なんだかお兄ちゃんとお姉ちゃんに言われたら大丈夫な気がしてきた!」

吹雪は恐る恐る足を海につけた。

「ひぅっ!冷たい・・・」

「大丈夫。そのままゆっくり前に進んで私の方に向かって歩いてみて!」

大淀は少し俺たちから離れて膝が浸かる辺りの深さの場所まで移動した。

「う、うん・・・!うわぁ!サンダルに砂入ってくる!」

吹雪が大淀の方へ行こうとした時砂に足を取られてバランスを崩して転びそうになったので俺はすかさず手を引いた。

「あ、ありがとうお兄ちゃん・・・」

「な、大丈夫だろ?絶対手は離さないから大淀の方まで行ってみようぜ」

「う、うん!」

吹雪は俺の手を握ると恐る恐る大淀の方へ歩いていく。

そして吹雪はやっとの事で大淀のいる場所までたどり着いた。

「はいよくできました」

大淀はまだ少し不安そうな吹雪の頭を撫でる。

「な?大丈夫だったろ?このくらいの深さならもう平気か?」

「う、うん!」

吹雪は深く頷いて俺から手を離して大淀に抱きついた。

「お、お姉ちゃんありがとう!私怖くなくなってきた」

「はぅわ・・・!ふ、吹雪ちゃんそそそんな・・・誰かに見られちゃうから・・・」

大淀は顔を赤くしてあたふたとしている。

そんな大淀に少しジェラシーを感じながらも吹雪が楽しそうだから良しとすることにした。

「そ、それじゃあ吹雪ちゃん、ここまでこれたんだしわた・・・・お姉ちゃん達と遊びましょう!」

大淀は吹雪を優しい目で見つめた。

あいつのあんな顔見るのも久しぶりだな・・・

そんな顔を見て俺は初めてあいつに声をかけた時のことを思い出す。

その時も淀屋はこんな顔をしていたからだ。

教室では一切見せなかったそんなあいつの優しそうな顔を見て俺は話しかける気になったんだっけ・・・

昔のことをを思い出したら自然と笑みが溢れていた。

するとまた俺の顔めがけてどこからか水が飛んできて・・・

「うわぁ!また大淀かよ!」

「水の方向を見て見ると吹雪がクスクスと笑っていた」

「私もお兄ちゃんたちがやってた事やりたい!えいっ!」

吹雪はそういうと手ですくい上げた水をこちらに向かってかけてくる。

どうやら水をかけてきたのは吹雪だったようだ。

「よ〜しその調子なら大丈夫そうだな!俺も手加減しないからな」

口ではそう言いつつも少し優しめに吹雪めがけて水をかける

「きゃぁ!冷たいよお兄ちゃん・・・!でもなんだか楽しいっ海って怖いだけじゃないんだね!えいっ!」

吹雪は笑いながら水を両手で水をまた俺にかけてくる。

一時はどうなるかと思ったけど吹雪がまた笑ってくれてよかった。

それからしばらく浅瀬で3人で水を掛け合っていると

「きゃっ!」

大淀が足を砂に取られてこけそうになりこちらに倒れこんできたので俺はとっさに抱きかかえた。

「大丈夫か?」

「う、うん・・・ありがとう謙」

大淀はそういうと俺に寄りかかってきた

「お、大淀!?」

「ごめんなさい謙。少し足がふらついちゃって」

大淀はそういうが体重がどんどん俺の方にかかってくる。

そして胸と胸がひっついて大淀の水着越しに柔らかい感触が俺の胸に伝わってきた。

「お、おい大淀!!」

「ちょっとだけこうしてて・・・いいでしょ?」

大淀はそう耳元で囁いてくる。

「あ、ああ・・・・わかった」

吹雪が心配そうにこちらを見ているが大淀は離れようとはしなかった。

「謙・・・謙もぎゅってしてほしいな」

大淀はまた囁いてきた

「え、ええ!?」

「ぎゅってしてくれないと私このまま倒れちゃう・・・かも?」

かも?ってなんだよおい!

なんか今日の大淀めちゃくちゃ積極的じゃないか!?

お、落ち着け俺

今は吹雪にしか見られてないし・・・・

いいやでも吹雪にまじまじと見られるのも恥ずかしい・・・

えーい!どうにでもなれ!

俺は大淀を抱きかかえたまま吹雪に背を向けるように180度回転し吹雪に見られないように大淀をぎゅっと抱いた。

大淀のしなやかな肌の感触が直接俺に伝わってくる。

「謙・・・」

「大淀・・・」

大淀は至近距離でこちらを見つめてきた。

あれ・・・こいつこんな綺麗だったっけ・・・?

大淀の眼鏡越しに見える吸い込まれそうな瞳やつややかな肌に見とれてしまっている自分がいた。

それに心臓がバクバクする

や、やばい・・・なんで俺こんなドキドキしてるんだ!?

これ以上は俺・・・淀屋のこと本当に・・・

「な、なあ大淀・・・もういいだろ?」

「もうちょっとだけ・・・今日はいつもよりワガママになっちゃおっかな」

大淀は一向に離してくれず、そうこうしている間にも心拍数はどんどん上がっていく。

ああもうだめだ!

俺は耐えられなくなって大淀から目をそらし砂浜の方に目をやると可愛らしい水着を着た天津風がこちらを睨みつけていた。

「あ・・・天津風・・・!?お、おはよう」

その声で大淀も気づいたのかとっさに俺から離れて何事もなかったように挨拶をしてみるが

「こんな朝の早くに公共の場で秘書官とそんなことしてるなんてどういうことかしら?」

天津風はこちらに軽蔑の眼差しを向けてきている

ち・・違う誤解だ!

って何が誤解なんだ?

完全に俺と大淀なんかいかがわしいことしちゃってたよね・・・!?

いや今現在進行形でやっちゃってるよねぇ!?

今自分がしていることを再認識してしまい一気に顔が熱くなる。

「い、いやこれはただ大淀がこけそうになったから支えてるだけで!そうだよな大淀」

「え!?ええそうよ天津風ちゃん!私ったらうっかり転んじゃって・・・あ〜私吹雪ちゃんのこと見にいってますね提督!さぁ吹雪ちゃん、もうちょっと深いところまで行ってみましょ〜」

大淀も恥ずかしくなったのか体制を立て直して誤魔化すように笑ってそのままダッシュで逃げ出した

「あっちょっと待て大淀!!」

くそぉぉぉぉ俺だけ置き去りにされた!!

恐る恐る天津風の表情を伺うがさっきと全く変わらぬ表情で俺を睨みつけてくる・

「ふぅ〜ん・・・その割にはなんだか2人とも転んだだけには見えなかったけど?」

まずい・・・なんとかこの状況を脱さなくては・・・

そうだ!長峰さんのことはどうなったんだろ?

「な、なあ天津風・・・もう長峰さんとは話せたのか?」

俺は話題を逸らそうと天津風に尋ねてみる

「質問に質問で返さないでくれる?はぁ・・・」

天津風は呆れたようにため息をついた。

「す・・すまん・・・!じゃなくて俺も心配してるんだよ。ちゃんと話はできたのか?」

「し・・・心配・・・!?そ、そうね・・・まだ話はできてないけど・・・・ね、ねえ・・・他に何か私に言うこと・・・ない?」

天津風はもじもじとそう尋ねて来た

「え?他に?さっきのことあやまって欲しい・・・とか?」

「はぁ!?そんな訳ないでしょ?それにただの事故なのになんで謝る必要があるのかしら・・・?」

「うっ・・・そ、それは・・・」

くそっ!鎌かけられたのか俺・・・

「はぁ・・・本当に何もわかってないんだから・・・」

天津風はまた大きなため息を一つついた。

一体他に天津風に言うことってなんなんだよ

「な、なぁ・・・で、俺に何をして欲しいんだよ・・・?」

「もういいわよ!」

天津風はそう言うと何かを俺の顔面に投げつけて来た。

「うわっ!なんだこれ」

顔に張り付いたそれを手に取ってみるとしぼんだエアーマットだった

「これをどうしろってんだ?」

「それくらいわかるでしょ?膨らませてよ!そしたらさっき見たことは他の人には黙っててあげるから」

「なんで俺が・・・それにさっきのは事故だって!」

「ふぅ〜ん。みんなより早めに海に来て大淀さんと抱き合ってたなんて言ったら阿賀野さんや金剛さんたちは事故だなんて思うかしらね・・・?」

天津風は不敵な笑みを浮かべる。

確かに阿賀野たちにそんなこと知られたら色々とめんどくさいことになりそうだし大人しく従う方が身のためだろう

「わ・・・わかったよ。それじゃあ立ちながらってのもあれだからちょっとついて来いよ」

俺は天津風を連れてさっきゴザを敷いたところまで戻ってエアーマットを膨らませることにした。

「あら、準備がいいのね。これどうしたの?」

天津風がゴザとパラソルについて尋ねてくる

「ああこれ?海の家で借りたんだよ。まさか金取られるとは思わなかったけどな」

「あらそうなの。それじゃあさっさと膨らませてくれない?私も早く海行きたいんだけど」

天津風は興味なさげに言った。

はぁ・・・こっちも相変わらず可愛げがないというか今日は一段と酷いような・・・

長峰さんのことで無理してるのか?

「わかったからそう急かすなよ」

俺はしぶしぶエアーマットに息を吹き込んで見るが一向に膨らむ気配がない。

やはり人力でやるには相当時間がかかりそうだし膨らましてるうちに暑さと酸欠のダブルパンチでどんどん頭がクラクラしてくる

「ぶはぁ!もうダメだこんなのやってられるか!!」

俺はまだシワが残ったふにゃふにゃのエアーマットから口を離した

「はぁ・・・ほんと情けないわね」

そんな俺を天津風は冷めた目で見つめてくる

「いやいやこれ人の息だけで膨らますもんじゃないだろ!」

「だって空気入れなんて便利なもの持ってないし・・・」

「そりゃわかってるけどさ・・・お前もちょっと膨らませてみろよ!絶対無理だって思うから」

俺はエアーマットの空気線を天津風の方に向けると

「きゃぁ!そんな汚いものこっちに向けないでよ!!」

天津風は身をこわばらせる。

「はぁ?ここまで膨らませてやったのに汚いはないだろ?」

「で・・・でもそんなの・・・か・・・間接・・・き・・・・」

天津風が突然モジモジとしはじめた

「はぁ?かんせつなんだって?」

「うるさいわね!さっさとやらないとか・・・・関節技決めるって言ったのよ!」

天津風はすかさず俺の腕を掴んであらぬ方向に曲げ始める

「あいだだだだだだだ!わかったわかったからキブ・・・!ギブだって!!奥田さんに空気入れ借りれないか聞いてくるから!!」

「最初からそうしなさい!」

天津風はゆっくりと俺の腕から手を離してため息をついた。

「ふぅ・・・それじゃあちょっと行ってくるから待っててくれよ」

 

俺は膨らみかけのエアーマットを担いで海の家に向かうと

「あらいらっしゃい。次は何の用かな?」

奥田さんが営業スマイルで尋ねてくる

「これ膨らませたいんですけど空気入れとか貸してもらえませんか?」

「空気入れ?そんなめんどくさいもの使わなくてもこれがあるよ」

奥田さんは棚から小型のエアーコンプレッサーを取り出した。

「おお!これなら一瞬で膨らませられそうですね!ありがとうございます!」

俺が頭を下げた次の瞬間

「はい百円」

奥田さんは手のひらをこちらに向けてくる

「えっ・・・?それも金取るんですか?」

「そりゃ当たり前だよ。結構高かったんだよこれ。むしろ百円で使えるなんて安いものだと思うけどなぁ〜」

うう・・・やっぱりそう来たか・・・

でもこれ以上天津風を待たせたらまたどやされそうだし口で膨らませるのはしんどいし仕方ないか・・・

「わかりましたよ・・・」

俺はしぶしぶ小銭入れから100円を出して渡した

「はい毎度あり!それじゃあすぐに膨らませてあげるね」

奥田さんは空気栓にエアーコンプレッサーのノズルを差し込んでスイッチを入れた。

するとみるみるうちにエアーマットは膨らんでいき空気が満タンになった。

「よし!これで出来上がりだね」

奥田さんはニッコリと笑ってエアーマットを渡してくれた

「あ、ありがとうございます」

お礼を言って天津風のいる方へ戻ろうとした時

「はぁ・・・はぁ・・・これくらいでいいなの?」

息を上げた育田さんが浮き輪を何個か担いで海の家に入ってくる

「あらご苦労様」

奥田さんは少し高めのトーンで言った。

「ご苦労様・・じゃないの!なんでイク有給使ってまでレンタル用浮き輪を膨らませなくちゃいけないの!?あー!それこの間テレビショッピングでやってたエアーコンプレサーなの!!そんな便利なものがあるのになんでイクが足で踏む空気入れなんか使わなきゃいけないのー!?」

どうやら育田さんは空気入れで浮き輪に空気を入れていたようだ。

それにしても断ればいいのに文句言いながらしっかり頼まれたことはやってのける育田さんって相当お人好しなんだな・・・

「だってこれバッテリーそこまで持たないのよ。あなたが使う分でバッテリー切れちゃったら儲け・・・・ゲフン!お客さんが使えなくなっちゃうでしょ?」

「そ、そうなの・・・でももう準備も終わったからもうイクも泳いで来ていいの?」

育田さんは目を輝かせて奥田さんに尋ねるが

「まだだーめ。イクちゃんにはもう少しお手伝いしてもらわなきゃいけないことがあるの」

「ええーまだあるのー・・・で、それはなんなの?さっさと終わらせてイクも泳ぐのね!」

「ああそれじゃあそこのクーラーボックスに野菜が入ってるから切ってくれないかしら?」

「わかったの!すぐに片付けるの!!」

奥田さんの指示を受けるとまんざらでもなさそうに育田さんはクーラーボックスの置いてある方へ走っていった。

「ふぅ・・・イクちゃんほんとよく働くからついついコキ使いたくなっちゃうのよね〜長門もずっとあんな感じだし遊びに来てくれて助かったわ〜」

育田さんがいなくなったのを見計らって奥田さんはそう呟く。

なんて人使いが荒いんだこの人は

育田さんが置いていった浮き輪を見て俺はふと吹雪に浮き輪を使わせる約束をしたことを思い出した。

これを借りて吹雪に持って行ってやろう

「奥田さん。浮き輪一つ借りれませんか?」

吹雪に合いそうなサイズで南国っぽい花がの絵がプリントされた浮き輪を指さすと

「1つ400円ね」

奥田さんはすかさずそう返してくる。

やっぱりタダでは貸してくれないよな。

「はいはいわかりましたよ」

俺はまた小銭入れからお金を取り出して奥田さんに手渡した

「毎度あり〜♡また何かあったらお姉さ・・・お兄さんに言ってね」

「あの・・・奥田さん?」

「ん?何かな」

「別に俺たちしか居ないんだから男の振りなんかしなくていいんじゃないですか?」

「そうなんだけど外では誰が見てるかわからないからこうしろって長門がうるさいのよ」

奥田さんは俺に耳打ちをしてきた。

「そ、そうなんですか・・・それじゃあ俺行きますね。空気入れありがとうございました。」

そう言って海の家を後にしようとした瞬間

「あっ、提督くんちょっと待って!」

奥田さんが俺を呼び止める

「なんです?」

「この辺り波は穏やかなんだけどくれぐれも離岸流には気をつけてね。浮き輪とか使ってたら知らない間に沖まで流されちゃうかもしれないから。まあそうなってもわた・・・僕たちが助けてあげるけどね。お金次第で」

奥田さんは不敵な笑みを浮かべて親指と人差し指で輪っかを作ってみせる。

「はぁ!?それもお金取るんですか!?」

「嘘嘘冗談!やっぱりからかい甲斐があっておもしろいよ君」

奥田さんはくすくすと笑う

さっきまでのこともあるしほんと冗談きついよこの人・・・

「全然冗談に聞こえませんよ!」

「それくらい気をつけてねってこと。それとくれぐれも天津風ちゃんのことよろしく。こっちもなんとかお昼までには長門を引っ張り出してくるから」

「は、はい。わかりました。それじゃあ」

俺は海の家を後にして天津風が待っているところまで戻ろうとすると

「あーっ!提督さん!」

後ろから阿賀野の声がしたので振り向いてみると更衣室から出て来たところであろう水着姿の阿賀野と那珂ちゃんと春風にばったり鉢合わせた。

「提督ぅ〜おっはよ〜ございまーす!キャハ☆」

「司令官様おはようございます」

「ああおはよう」

「おはようじゃないよ阿賀野の事置いていくなんてひどい!」

阿賀野は少しふくれっ面をする。

「お、置いていく?」

「だって阿賀野提督さんと一緒に更衣室に・・・・・・・あれ?阿賀野ここにくる前に提督さんと会ってなかったっけ?あれ〜?思い出せないよ・・・ここはだれ・・・?私はどこ〜????」

阿賀野は頭を抱えて首を傾げた。

どうやらさっきの大淀の水筒が相当効いたらしく記憶があやふやなようだ。

多分そのことは知らない方が阿賀野も幸せだろうし黙っておくことにした

「き、気のせいじゃないか?俺今日初めて阿賀野に会ったぞ・・・?」

「え〜そんなぁ・・・!朝提督さんが大淀ちゃんたちと出ていくのを見かけたから追いかけたはずなんだけど・・・」

そんなところから見られてたのかよ!

「でもそんな訳ないよね!だって今日の集合時間は10時半だったけど提督さんたちを見かけたのは確か・・・9時過ぎだったはずだし幾ら何でも早すぎるもんね。阿賀野の勘違いだったのかな・・・?」

よかった。なんとか勘違いの方向で納得してくれたようだ。

でも確かに少し早く来すぎたような・・・

なんで大淀はそんなに俺のこと早く連れ出したんだ?

「阿賀野ちゃんったらしっかりしてよ!ねえねえ聞いてよ提督!阿賀野ちゃんってば那珂ちゃんたちがくる前から女子更衣室でいびきかいて寝てたんだよ〜?」

「も〜那珂ちゃん!恥ずかしいから言わないでよ〜!」

「だってぇ〜あんまりにも気持ちよさそうに寝てたんだもん!提督さんも見る?阿賀野ちゃんの寝顔」

那珂ちゃんがはそう言うとおもむろに防水のカバンから携帯電話を取り出してこちらに見せてくる。

画面には口からよだれを垂らしながら仰向けで眠っている阿賀野の顔がバッチリと写っていた

「いやー!!いつ撮ったの那珂ちゃん!消して!消してよぉ〜!」

「やーだー!せっかくこんな可愛い顔の阿賀野ちゃんが取れたんだから消すなんて勿体無いよぉ〜」

阿賀野は那珂ちゃんの携帯を必死に奪い取ろうとするが那珂ちゃんは華麗にそれを躱している

阿賀野が携帯を取ろうと飛びつくたび水着に包まれた阿賀野の胸がぶるんと揺れる。

いつもより露出度の高いそれは男に付いているものと頭ではわかっていてもどうしても目がいってしまう

や、やばい・・・相変わらずなんて胸してやがるんだ・・・

もしこんなところでマイサンが大きくなりでもしたら何をされるかわかったもんじゃない。

いくら布的に余裕のある水着だからとはいえへんな膨らみがあれば一瞬でバレてしまうだろう。

そ、そうだ!阿賀野は男!!股間を見て現実を見よう!それで多少は収まるは・・・・ず!?

阿賀野の股間部を見た俺の目には信じられないものが映っていた。

いつもはあるはずのもっこりとした膨らみはなくそこにはフラットなラインがただあるだけだ。

おかしいだろ!?

大淀たちみたいにパレオで隠してる訳でもないし余裕のある水着ならまだしもあんなに肌にフィットしてそうな女性用水着で阿賀野のその・・・・そこそこ大きめなアレが目立たない訳がない!

それなのになんで膨らんでないどころかあんなにフラットなんだ!?これじゃあただの女の子じゃないか!

阿賀野のアレは一体どこへ!?

「きゃはっ☆那珂ちゃんのステップ最高でしょ?」

「も〜早く消してよー!!」

那珂ちゃんの舞うような動きに翻弄されるたびにぶるんと揺れる阿賀野の胸。

そしてどれだけ動こうとも全く変化を見せない股間・・・

一体どうなってんだよ!?暑さ頭でもやられちゃったのか!?

「あ・・・阿賀野!?お前そこはどうしたんだよ・・・・」

恐る恐る阿賀野の股間を指差して尋ねた。

すると阿賀野は那珂ちゃんを追いかけるのを止め

「やぁん提督さんのえっちぃ〜!そんなに阿賀野のここが気になるの〜?」

不敵な笑みを浮かべて見せつけるように自分の股間を指で撫でてくる

「べ・・・別に・・・お前のそこになんかきょきょきょ興味ねーよ・・・ただなんでそんな水着きてて全然もっこりしてないのか気になって・・・」

「やっぱり気になってるんじゃない!すごいでしょ〜?イクちゃん先輩に教えてもらった方法でオチンチンを目立たなくしてるの!どう?これで水着でも女の子に見えるでしょ?うふっ」

阿賀野はポーズを取ってみせてきた。

俺の頭に一気に血が昇ってくる。

暑さと相まって頭が沸騰しそうだ

「いいい一体どうやってんだよそんなの・・・!質量保存の法則からいっておかしいだろ!!!」

俺は目の前のそれを受け入れられずに苦し紛れに問い詰めて見ると

「ええ〜?今提督さんの見てる物が事実だよ〜!そうだ!いいこと思いついた提督さんも試してみる?ちょうど阿賀野の去年の水着残ってるしせっかくだから提督さんの身体で教えてあ・げ・る♡」

阿賀野はニヤリと笑みを浮かべて耳元で囁いてきた。

これ以上深入りすると女物の水着を着せられてビーチに放り出されそうだ。

「い、いや・・・遠慮しとくよ」

「え〜まだ阿賀野のおっぱいが大きくない時の水着だから提督さんが着れば可愛いと思うんだけどな〜」

「なんで俺がそんなの着なきゃいけないんだよ!」

「あっ、そうだ!イクちゃん先輩はもう来てるの?」

「あ、ああ。海の家に居たぞ」

「そっか!それじゃあちょっと会ってくるね!それじゃあ提督さんまた後で!」

阿賀野は海の家の方へ走っていった。

「あっ、阿賀野ちゃん置いてかないでよ〜!提督、それじゃあまた後でねっ!」

それを那珂ちゃんも追いかけていく

相変わらず忙しいやつだなぁ・・・

そしてその場にポツンと春風だけが立っている

「司令官様?先ほど阿賀野さんと一体何をお話になられていたのですか?」

「あ、ああいやなんでもないよ・・・」

「そうですか・・・そういえば愛宕さんたちはもう来られているのですか?」

愛宕さん・・・?そういえば今日は見かけないな・・・

高雄さんも居なかったし2人で何処かに行ってるのか?それならそう言ってくれればよかったのに

「いいや見てないな。宿舎でも見かけなかったぞ?」

「そうですか・・・」

春風は残念そうな顔をした。

「何をそんなに落ち込んでるんだ?」

「い、いえ!落ち込んでなどいません!断じて!!」

「そ、そうか・・・」

春風の圧に俺は押し負けてしまう。

「ところでわたくしの水着・・・変ではありませんか?女性ものの衣服を着る事には抵抗はないのですが水着というものは初めてで・・・・少し股間が食い込んでなんだか変な心地です・・・」

春風はワンピースタイプの水着の食い込みを気にしているようだった。

確かに少し股間部にはもっこりとした膨らみが見て取れる。

「だ、大丈夫じゃないか?それに今日は俺たちしか居ない訳だし誰も春風が男だって事も気にしないだろ」

「そ、そうですか・・・よかったです!本当は最後まで殿方が着る水着を来てこようか迷って居たのですが・・・」

どうやら選択を誤れば大変な事になって居たようだ。

そして股間も気になるが膨らんだ胸にも目がいってしまう。

春風は女装しているときは大和撫子の言葉がこれ以上ないほど似合うような少女だが服を脱げば年相応の少年の体付きをしていていつも胸にはパッドを詰めているのだ。

「水着時も胸にパッド入れるんだな」

「はい。これで気休め程度ですが体付きをごまかせますから・・・それにこの詰め物空気で膨らんでるんです!ですから溺れた時も安心ですよ。ふふっ!」

春風は得意げに言って胸を軽く揉んでみせた。

「そ、そうか・・・それじゃあそろそろ長話もアレだし天津風が待ってるんだ。一緒に来るか?」

「はい!ご一緒します!」

春風と共に天津風の待っている場所へ向かうと天津風は不満そうにパラソルでできた日陰で体育座りをしていた。

そしてこちらに気づいたのか

「随分遅かったじゃない。どこで油売ってたの?」

また天津風に睨みつけられてしまった。

「わ、悪い・・・でもちゃんと膨らませてもらって来たぞ」

俺はエアーマットを天津風に渡す。

「あ、ありがとう・・・でもあなたね、レディーを炎天下で待たせるなんて事するから彼女1人できないのよ!?」

「なはぁ!?べべべべつに彼女ができたらもっと大事にするし?男としてエスコートするし?というか俺に彼女ができなかったのは男子校だったからだっての!!」

俺は必死に反論するが我ながらなんか虚しくなってきたぞ・・・

「その反論からしてダメダメじゃない・・・ダサっ」

天津風は呆れたのかそう吐き捨て

「あら司令官様・・・彼女がいらたたことがないんですね・・・ふふっ」

春風は何やら優しそうな目でこちらを見つめてくる

やめろ!その目がなんか逆に心の弱いところに刺さるかからぁ!

「う、うるせぇ余計なお世話だ!それに第一お前レディーじゃねぇだろうが!」

苦し紛れに天津風に言った。

「そ、そうだけど・・・・ああもう細かいことはいいわ!それじゃあ私これで優雅に海を楽しんで来るから・・・ふんっ!そんな女の子の扱いもわからないあなたとなんか遊んであげない」

天津風はエアーマットを抱えて海の方へ1人で歩いて行ってしまった

「あ、天津風!!待ってください」

そんな天津風を春風は追いかけて行きぽつりと俺だけが残されてしまった。

俺なんか悪いことしたか・・・?

ダメだ全然心当たりがない・・・本当にモテる奴は何がダメなのかわかるのかなぁ・・・

俺は大きなため息を一つついた。

そうだ。この浮き輪早く吹雪に渡してやらなきゃ。

天津風は春風が付いてくれているし大丈夫だろうしあれだけ大きいエアーマットを持っているんだから遠巻きでも見てやれるだろう。

 

そして俺は浮き輪を持って吹雪と大淀がいた所まで行ってみると吹雪はもう胸まで水に浸かるような場所で大淀と戯れていた。

「おーい吹雪!浮き輪借りてきたぞー」

そう声をかけると吹雪はこちらに歩いて来た

「わぁ!これ私の知ってる浮き輪より可愛い!」

確かに赤と白の二色の浮き輪しか知らない吹雪からすればこの花柄の浮き輪は新鮮かもしれないな。

「使い方は変わらないから使ってみろよ」

「うんっ!ありがとうお兄ちゃん」

浮き輪を手渡すと吹雪はそれを身につけた。

「出撃した時みたいじゃないけどちゃんと浮いてる!これならもっと深いところでも行けちゃいそう」

吹雪はなんだか嬉しそうだ

「おいおいだからってあんまり遠くまで行ったら泳いで帰れなくなっちゃうから1人で遠くに行くんじゃないぞ」

「はーい。」

「よーしそれじゃあもうちょっと深いところまで行ってみるか!」

「あっ、謙待って私も行く!」

俺と大淀は吹雪の浮き輪を手で持ってもう少し深い場所まで泳いで行ってみることにした。

そしてしばらく泳いでいると

「提督さーん!」

聞き覚えのある声が背後から聞こえてくる

大淀はその声を聞いて苦虫を噛み潰したような顔をした。

振り向くと案の定阿賀野が浮き輪をつけてこちらに向かって来ている。

「け、謙逃げよっ!」

大淀が俺の手を引っ張ってきた

「えっ!?逃げるってなんで?」

「なんでもよ!どうせロクなことにならないでしょ!?それに・・・」

「それになんだよ」

「えーっと・・・なんでもない!とにかく逃げるよ!」

大淀は吹雪の浮き輪をぎゅっと握って阿賀野がくる方とは真逆の方向に全力でバタ足を始める。

しかし波もあるのでうまく前に進めず、結局そこそこのスピードで泳いで来た阿賀野に追いつかれてしまった。

「はぁ・・・はぁ・・・やっと追いついた・・・ひどいよー阿賀野から逃げるなんて!」

「別に逃げてません。ただ泳ぎたくなっただけです」

大淀は淡白な口調でそう返した。

そういえば那珂ちゃんがいないな

「な、なあ阿賀野・・・那珂ちゃんはどうしたんだ?」

「那珂ちゃんねー日に焼けるのがいやだからって今砂浜で優雅にバカンス気分を味わってるよー!あっ、そうだー!阿賀野ー日焼け止め塗り忘れちゃったかもー提督さん、一回上がって塗ってほしいなー」

芝居掛かった口調で阿賀野は言った。

「そんなの自分で塗ればいいでしょう?け・・・・提督も私と泳ぎたいと言っていますし邪魔をしないであげてください」

い、いや俺は別にそこまで言ってないんだけど・・・

「えーでもでもー阿賀野背中とか手届かないしぃ〜ね〜いいでしょ提督さん」

「ダメです!」

俺が口を開けるよりも先に大淀が言った。

そんな2人をあたふたと吹雪は見ている。

このままじゃダメだ。せっかく吹雪が楽しそうにしてたのにこれじゃ台無しじゃないか・・・

どうすりゃいいんだ?

阿賀野も一筋縄じゃ行かなさそうだしだからって無視するわけにも行かないだろうし・・・

「むー・・・それじゃあ大淀ちゃん!阿賀野と勝負しない?勝ったほうが提督さんにお願い聞いてもらえるって事でどう?」

勝負!?それに俺に拒否権はないのか?

「勝負ですか・・・私もそろそろはっきりさせておきたかったんですよ。け・・・提督が誰のものなのかを」

いやいやいやいやそこまで阿賀野も言ってないからね!?

「ふぅん・・・結構乗り気なんだ。それじゃあ阿賀野とビーチバレーで決着付けましょ!ボールはもう用意してあるから!」

「ええわかりました受けて立ってやります。吠え面かかないでくださいよ?」

2人は火花を散らした。

「お、お兄ちゃん・・・なんだか2人とも怖いよ・・・」

吹雪が小さな声で話しかけて来た。

「あ、ああ。俺もそう思う」

 

そして吹雪を連れて一度砂浜に上がると那珂ちゃんが海の家近くの日陰にビーチベッドを置いて優雅にくつろいでいた

「あっ、大淀ちゃん!おっはよー!それに阿賀野ちゃんももう戻って来たんだ」

那珂ちゃんはかけていたサングラスを額に上げこちらに声をかけてきた

「お、おはようございます・・・」

「那珂ちゃん。これから阿賀野たち勝負するから審判お願いできる?」

「へっ・・・?勝負?」

「いまから大淀ちゃんと提督さんを巡った男と男・・・いいえオトメとオトメの勝負をするの!」

今完全に男って言ったよ!

「そ、そうなんだ・・・わかったよ」

那珂ちゃんも2人の熱気にたじろいでいるようだ。

そして阿賀野はその辺に落ちていた木の棒で砂浜に簡単なコートを描くと何かを探しているのかキョロキョロとあたりを見回した。

「うーん・・・あっ、そうだ!ちょっと待っててね」

阿賀野はそう言うと昨日俺たちが片付けた流木をまとめて置いてあった場所へ走って行ってそこそこな長さの木を引きずってこちらに持ってきた。

「よーしこれより低いボールはアウトだからね」

「それじゃあ早速始めましょ!ルールは先に10点取られた方の負け!それで勝った方は提督さんを好きにできるって事で」

と那珂ちゃんが寝ていたビーチベッドの横に置いてあったスイカの柄のビーチボールを拾い上げてコートの片側に立った。

俺に拒否権はないのか・・・

「ええ それでいいですよ 最初はネットもなしにビーチバレーなど馬鹿げていると思いましたがこれでちゃんとした勝負になりそうですね 提督・・・見ててくださいね!絶対負けませんから!」

はそう言うとコートの片側に立った。

「それじゃあ最初のサーブは大淀ちゃんに譲るわ」

阿賀野は大淀にボールを投げ、大淀はそれをキャッチする。

「ふぅん・・・この期に及んで敵に塩を送るんですか その余裕こいた顔がいつまで続きますかね?それではありがたく頂きます」

大淀は不敵な笑みを浮かべた。

あいつあんまりスポーツ得意なイメージないんだけど大丈夫なのか・・・?

でも阿賀野も鈍臭そうだし悪い意味でいい試合しそうだな・・・

「そ、それじゃあこほん・・・提督争奪☆ガチンコタイマンビーチバレー対決開始ぃ!」

なんだそのタイトル!?

那珂ちゃんが声を上げたのを聞いた大淀がボールを軽く投げてサーブの体制に入った。

「この勝負挑んだ事を後悔させてあげます!」

大淀はそういうとボールを勢いよく手で阿賀野のコートに向けて叩きつけ、2人のビーチバレー対決の火蓋が切って落とされたのであった・・・

えっ、この話まだ引っ張るの!?

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