ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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pixivで7話として投稿していたものに加筆修正をしたものです。


はじめての出撃

 オッス俺大和田謙!今俺は何故か漁船の上に居るぜ!!そしてめちゃくちゃ吐きそうだぜ!おえっぷ・・・・

 

どうしてこうなってしまったのか?それは2日前にさかのぼる・・・・

 

「あーやべえ!この間のショッピングモールでハメ外して遊びすぎたせいで手持ちがほぼゼロに近い。最寄りのATMまで歩いて1時間位先のコンビニまで行かなきゃならないしバス代もない・・・初任給もまだまだ先だしどうすりゃいいんだ!」

俺は金欠で苦しんでいた。まあ金がなくてもご飯は出るし問題は今のところ無いと言えば無いのだが、後軽く1ヶ月近くを所持金12円で過ごすと言うのも無理な話である。

そんな事を考えていた折、俺は大淀に執務室へ呼び出された。

「提督、××漁港より任務が届いています」

任務の報告だったらしい。なんだかんだで提督らしい事を今まで何もやっていなかったなと思いながら

「で?任務の内容は?」

と俺は大淀に尋ねる。

「はい。最近この近海の深海棲艦の動きが活発になって来ている様で現在網を破られる等の被害が報告されていて、その真相の調査と漁船の護衛、それと漁のお手伝いです。」

大淀は淡々と答える。

「なるほど。で、俺はここから指示を出せば良いのか?」

俺は更に大淀に尋ねる。すると大淀は

「いえ。提督には漁の手伝いをしてもらいます。」

は?今なんと言った?それって提督の仕事じゃないような・・・

「あの〜大淀さん最後になんて言いました?」

俺は念のため聞き返す。

「ですから提督には漁のお手伝いをしてもらいます。」

大淀はさっきと全く同じ事を言う

「なんで俺が漁の手伝いなんかしなきゃいけないんだよ!なんせ漁なんかした事ないぞ俺」

俺はとりあえず理屈をこねると大淀は答える

「どうも風邪が流行ったそうで漁師さんが皆休んでるそうなんですよ。ですから猫の手も借りたい状態だそうで」

風邪かぁ・・・それにしてもなぁ・・・と考えていると

「日給2万円。それと出来高払いで追加報酬が出るみたいですよ。」

そう大淀は続ける

「やります。」

俺は二つ返事で任務を了承した。所持金12円の俺にとって2万円は大金だった。

「それはよかったです。それでは提督、明後日の午前4時に××漁港集合なので明日は早く寝てくださいね。艦娘たちは海から合流しますので。」

大淀はニッコリ笑ってそう言った。

「それと提督、当作戦のブリーフィングを行うので明日執務室に全員を集めてくださいね。」

大淀は続けた。

次の日ブリーフィングは特に問題無く終わり、俺は早めに床についた。

そして作戦決行当日の午前三時。横で寝ていた吹雪を起こしつつ俺は執務室へ向かった

「提督おはようございます。愛宕、高雄、阿賀野の三名は既に出撃準備中です。こちらをどうぞ。」

既に執務室には大淀の姿があり、紅茶を持って来てくれた。

「おはよう。大淀、お前は出撃準備しなくていいのか?」

書類を片付けている大淀に俺は尋ねる。

「ええ。どうも本当に人が足りないようなので私も船上でお手伝いです。」

大淀は答える

「ああそうか。」

俺は紅茶を飲みながら大淀の話を聞いている。しかしこの紅茶とても飲みやすい。いつも俺は砂糖を4本入れるのだがどうやら淀屋・・・いや大淀はそれを覚えていてくれていたらしい。

それからしばらくして

「遅くなってすみません!吹雪出撃準備完了です!」

「と言う訳だから全員準備完了よ〜」

「提督。それでは私たちは先に漁港へ向かっていますね。」

「提督さんまたあとでね〜」

と準備中だった4人から入電が入る。

「よし。じゃあ俺たちも行くか。」

俺と大淀は街頭だけが照らす暗闇の中××漁港へと向かった。

「なあ。こういう事してると高校時代を思い出すな!俺たちが18歳未満なのがバレてゲーセン追い出されてさ。とぼとぼ3駅位歩いて帰ったよな懐かしいなぁ・・・・」

俺は淀屋と終電を逃して家まで歩いて帰った事を思い出す。

「そうですね提督。忘れもしません。」

大淀はそう答える。二人きりでも俺の事を謙と呼んでくれない事に少し寂しさを覚えた。

そうこうしているうちに俺たちは××漁港に到着した。

「おはようございます。本日はよろしくお願いします。」

大淀が漁港の人に頭を下げたので

「よろしくお願いします。提督の大和田です。」

と続けて頭を下げる。

「君が新しい提督か。愛宕から話は聞いている。私が任務を依頼した長峰だ。今日はよろしく頼む。早速で悪いが船に乗り込んでくれ。」

長峰と名乗る一見ゴツそうだが顔は整った男性はそう言って俺たちを船まで案内した。

そこには既に高雄さんたちが居た。

彼女(?)たちとの朝の挨拶もすませたところで一人の男性がこちらに走ってくる。

「ごめん大門!寝坊した〜。ん?こちらの方が例の提督?奥田って言います。今日はよろしくね」

なにやらチャラそうな兄ちゃんという感じの印象を受けた。

「遅いぞ陸!それじゃあ提督君。船に乗り込んでくれ。これが私たちの船。暁丸だ。」

俺は長峰さんにそう言われ船に乗った。なにやら後ろにブルーシートで包まれた何かが目についたがそれ以外は少し小さめの漁船だ。俺はそれよりも気になる事があったので聞いてみる

「あのー・・・長峰さん?もしかしてこの船に居る関係者って長峰さんと奥田さんだけなんです?」

すると長峰さんは

「ああそうだ。だから君たちを呼んだんだが?」

そう淡々と返す。愛想の無い人だなぁ・・・・ちょっと怖い。

そして船は港を出港。そこから30分程船に揺られていると・・・・

「うっぷ・・・オエ・・・・」

酔いました・・・・

「提督!?大丈夫ですか?部屋があるみたいなのでそっちで休んで良いと長峰さんが言っているのでそちらでお休みになってください」

大淀は心配そうに俺に駆け寄る

情けねえな俺・・・しかし身体は正直だったのでとりあえず大淀から貰った吐き気止めの薬を飲んで横にならせて貰う事にした。そして部屋に移動する際船の後ろ側に何やらブルーシートで包まれた物体が2つ目に付いた。なんだろうアレ?漁で使う道具か何かだろうか?俺はそんな事を思ったが今はそれを調べる様な気にもならないので部屋へ向かいそこで横になった。

横になって数十分程居るとなれて来たのか薬が効いて来たのか楽になったような気がして来た。

そんな時である。突然爆発音がしたと思ったら船が尋常じゃない程揺れる。

「おえっぷ!なんだよ折角マシになって来たと思って来たのに・・・・」

俺は口を手で押さえながら外でなにが起こっているのか知るため甲板に出た。

「提督くん・・・・囲まれたようだぞ。」

長峰さんは苦虫を噛んだような顔でそう言った。

「提督、もう大丈夫なんですか?」

大淀は心配そうに俺に聞いた

「ああ。さっきの揺れでちょいとぶり返したけど・・・ところで何があったんだ?」

俺は大淀に聞き返す。

「報告します。敵駆逐艦イ級フラグシップが1隻、他駆逐艦イ級3隻とロ級2隻前方に出現しました。既に吹雪、高雄、愛宕、阿賀野の4隻が交戦中です!」

そこに愛宕から通信が入る。

「これ位私たちにかかればちょちょいのちょいだから提督はそこで待っててくださいね。総員!撃てぇ〜い!」

遠目でみると4人が何やら大きな魚のような物体と火花を散らし戦っているのが見えた。

あれが深海棲艦か・・・資料で読んだりテレビで見た事はあったが生で見たのは初めてだ。その姿は思っていた以上に巨大だった。

それから10分程で敵部隊は全滅した

「なんて早さだ・・・・」

俺は感嘆の声を洩す。そんな時である

「電探と偵察機に反応!6時の方向?駆逐艦イ級が1隻!それに続いて雷巡チ級が3隻と重巡リ級が2隻?このままだと後ろから来たイ級に追突されます!間に合いません!噓・・・・この海域では駆逐艦クラスしか目撃されてなかったはずなのに・・・・ダメ・・・こんなはずじゃ・・・・これじゃあ謙を助けられない・・・・」

大淀が膝から崩れ落ちる。

その瞬間大きな口を開けたイ級が漁船目がけて飛びかかって来た。

あっ・・・もうダメだ・・・・この物量でぶつかられたりなんかしたら漁船は耐えきれないだろうし何よりアイツの体当たりをまともにくらったら船もろとも俺達はお陀仏だ。せめて大淀だけでもなんとかして助けてやりたいが酔いで足下はおぼつかないしこのまま大淀を抱えて海に飛び込む程の余力もない。

「クソッ!」俺は自分の無力感にそう吐き捨て甲板に拳を叩き付け、よろついた足を奮い立たせ

「淀屋ァァァ!」

俺は友の名前を叫びとっさに膝をつき動かなくなった彼を庇うようにして覆い被さった。

せめて・・・せめてコイツだけでも・・・コイツだけでも助かってくれ・・・・俺はただただそう願い静かに目を閉じる。

俺、こんなところで死ぬのか・・・・せめて彼女の1人や2人は作りたかったなぁ・・・・

そんな事を思ったその瞬間

後ろからゴンと何かがぶつかったような大きく鈍い音がした。

「あれ?生きてる・・・?」

俺は目を開けその音のした方向へ振り向く。

そこではなんと長峰さんがイ級を拳で殴り飛ばしていたのだ。

「そんな・・・生身の人間が深海棲艦を素手で殴り飛ばすなんて・・・」

俺は目の前で起こった事が信じられなかった。

「生身の人間?ああ半分は合っているが半分は間違いだ。陸奥!」

長峰さんが操縦席にいた奥田さんにそう声をかける。

「はいはーい。こんな事もあろうかと41センチ砲整備しといたわよ長門。」

操縦席の奥田さんがそう言う・・・全く何のこっちゃ分からんぞ長門・・・?陸奥・・・・?

「ありがたい。それでは久々に暴れさせてもらう!元ビックセブンの実力思い知れ!!」

そう言うと長峰さんは船の後方に積まれていたブルーシートで包まれた物体からブルーシートを引きはがす。そこには艦娘の艤装だろうか4つの砲の付いた鉄塊がその姿を現し、長峰さんは服を脱ぎ捨てた。漁師服で隠れていた彼の身体からは割れた腹筋に美しい肌そして膨らんだ胸があらわになる。そして鉄塊を装着するや否や長峰さんは海へと飛び込む。

「えっ?女ァ!?長峰さん女だったの!?えっ?えっ?」

俺は酔いも吹き飛ぶ程訳が分からなくなった。

「あらあら?愛宕たちからきいてなかったの?私たちも彼女達と同業者だったのよ。ちょっと大淀ちゃん!そんなとこでへたり込んでないで船の操縦任せたわよ!」

そう良いながら現れたのは豊満な胸を持ったミニスカートをはいた奥田さんだった

「えっ!?奥田さんも!?????」

もう空いた口が塞がらない。こんな事鎮守府に着任した当日以来だ。鎮守府に着任した当日・・・・?もしかして・・・

「私たちも"元"艦娘いえ。元艦シーメールと言った方がいいかしら?それじゃあ船の番は任せるわね。」

奥田さんはそう言って大淀の肩を叩いた。そして大淀は我に帰り

「は・・・・はい!了解しました!」

と船の操縦に向かった。てかあいつ船の運転も出来るのかよ・・・免許いつ取ったんだろ?

それにしてもやっぱりか。しかし元艦娘で更に元男でそれから今は漁師で男装してるってなんてややこしい事をしてるんだこの二人は・・・

そんな事を思っていると奥田さんも艤装を装着して長峰さんのところへ向かい

「久しぶりの戦闘だ。胸が熱いな!戦艦長門、出撃する!」

「ええそうね私も第三砲塔が疼いちゃうわ。戦艦陸奥出撃よ!」

「おいおい縁起でもない事を言わないでくれ陸奥、行くぞ!」

「はぁ〜い。選り取り見取りね、撃てぇ!」

そう言うと2人は向かってくる深海棲艦に対して一斉に攻撃を浴びせる

「すごい・・・一撃で深海棲艦達を木っ端微塵に・・・」

俺は目の前で行われている事をただただ見ていた。長門、陸奥・・・余り詳しくない俺でもこの2隻は凄まじく強い戦艦だという事はニュース等で良く耳にしていたので知っている。

戦いは一瞬で終わった。いくら重巡洋艦とは言え戦艦クラスには敵わずそれだけでなく、遅れて援護にやって来た愛宕さん達の一斉射撃もあったからだ。

 

そして・・・・

 

「びっくりさせてしまったようだな提督君」

長峰いや長門さんはそう言って俺に寄ってくる

「えーっとなんでこんなややこしい事を?それになんで戦艦クラスのあなたがたがこんな漁師なんて事やってるんです?もし良かったらウチの鎮守府に来てくれませんか?ビックセブンが居てくれればどんな事があっても怖くないし心強いですよ!」

俺は尋ねる。

「私たちは5年程前の戦力補充計画の時に艦娘になったのだがその後あまりにも出番も無く、資材も嵩む為除名されたんだ。しかしどうも姿だけは元に戻らなくてな。それから色々あって陸奥とともにこの漁港で働いているんだ。漁業は男所帯と言う事もあるので一応男装してな。それに私たちは今の暮らしに満足している。私は陸奥と一緒にこのままやっていくつもりなんだ。だから提督君、すまないがその申し出を受ける事はできない。しかし困ったときはお互い様だ。アテにしてもらっては困るが最低限のサポートは約束しよう」

申し訳なさそうに俺の申し出を断った後長門さんは簡単にとある鎮守府を除名されてから今に至るまでを話してくれた。長門さんの話を聞く限り二人は手術は受けた物の肉体的な変化は手術による物でなく自然とこのような姿になっていたのだという。

「しかし提督君。元気になったようだから漁の手伝いをしてもらうぞ。」

俺は長門さんに肩を叩かれる。

 

それから俺は淡々と漁の手伝いをし、帰港した。ハードな仕事だったが結構な量の魚が捕れた。これなら給料も期待出来そうだ。

 

「今日は助かったよ提督君。また何かあったら頼む。お礼と言ってはなんだが今日取れた魚を入れておいたから皆で食べてくれ。」

そう言うと長門さんはずっしりと中身が入ったクーラーボックスを渡してくれた。

そんな事をしていると吹雪がこちらに駆け寄って来て

「ごめんなさい司令官!私あの時なにもできなくって・・・・私もっと強くなります!」

と泣きながら俺に謝って来た。

「まあそう泣くなよ。愛宕さん達は長峰さん達の事も知ってたみたいだし、吹雪も今日は頑張ってたじゃないか。十分に大活躍だったぞ。」

俺は吹雪をなだめた。

そこに

「はぁい提督君?これ今日のお給料ね。」

そう言って陸奥さんが封筒を持って来た。

「あっ、ありがとうございます・・・・」

男装していて分からなかったが相当な美人である。

「どうしたの提督君?顔赤いわよ?」

陸奥さんはそう言ってこっちに近付いてくる

「あのあのあのあの」

俺が口ごもっていると陸奥さんは俺の額に額を当てて

「熱は無いみたいね。でも疲れてるでしょうしゆっくり休んでね。おつかれさま提督君♡」

と言ったと思うと俺の頬にキスをした。ああ唇ってこんな感触だったんだ・・・柔らかい。でも陸奥さんは男で・・・・でもでもでもでも。俺はまた訳が分からなくなる。

「あ・・・・ああ・・・・あ・・・き・・・・き・・・す・・・・キスぅ!?」

吹雪と大淀が口を開けて唖然としてこちらを見ている中俺は

「ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

と奇声を上げてその場で鼻血を出して倒れてしまった。

「あらあら。こんな事で鼻血出して倒れちゃうなんてウブな提督さんね♡」

薄れる意識の中陸奥さんはそう言っていた。また情けない所見られちゃったなぁ・・・・意識が闇に落ちる瞬間俺はそう思った。

 

それからどの位経ったか俺の意識がハッキリとしてくる。

「ハッ!」

俺は鎮守府の医務室で目を覚ます。そこには高雄さんが居た

「提督。目を覚ましましたか。あの後長門がここまで運んでくれたんですよ?」

と倒れてからここに来るまでの経緯を高雄さんは話してくれた。

そうだったのか。それにしても初キスがあんな事になるなんて・・・大人の女性って怖い・・・・厳密に言うと女性じゃないんだけど・・・・

「そう言えば提督。お給料袋そこに置いてますよ。」

高雄さんはベッド横の棚を指差す

「ああこれか。ありがとう高雄さん。いくら入ってるんだろ?」

俺は早速開けてみる事にする。するとコロンと500円が出て来た

「500円・・・?いや、そんなはずはない2万+出来高って言ってたし・・・・」

俺は封筒の中身を出して見るとなにやら手紙のような物が入っていた

【提督君。お給料なのですが、私たちの弾薬代と燃料費を差し引いたら1円も残らなかったのでとりあえず500円だけ入れておきます。お姉さんからのお小遣いだと思って大事に使ってね♡ P.Sまた漁港に来てね。ごちそうするわ。 陸奥】

流石に急に戦艦クラス2隻も出撃させたらそれ位の金は余裕で吹き飛ぶとは思ったし命あっての物種だから仕方ないとはいえまさか自腹を切られるとも思わなかったし500円しか入っていない事に対するショックから俺は叫んだ。

「くっそおぉ〜!今日1日の俺の労働は一体なんだったんだよおぉ!!結局無一文のままじゃねえかあぁぁ!」

俺の叫びは空しく鎮守府に響き渡った。それから数日間大淀と吹雪はなにやら不機嫌そうだったので大淀に理由を聞く事にした。

「な、なぁ大淀?」

俺は恐る恐る大淀に声をかける。

「何ですか提督?今忙しいので手短にお願いします。」

大淀はそうよそよそしくそう言った。

「いや〜なんか最近大淀冷たいな〜なんて・・・ハハハ・・・」

俺は愛想笑いをした。

「そんな事ありませんけど?」

大淀は言う。

「いっいやぁそれだったら良いんだけど・・・でも俺が陸奥さんにキスされてからそんな感じだなーって・・・」

俺は恐る恐る探りを入れる。すると

「べっ!別にそんな事無いですってば!!」

大淀は顔を赤くして言った。

「ん?じゃあ何でなんだよ?」

俺は更に追求する。

「えーっと・・・・その・・・別に羨ましいとかそう言うのじゃなくて・・・・ホントですよ!?別にそう言うのじゃなくて・・・」

大淀は恥ずかしそうに言った。ホントに噓が下手な奴だなぁコイツは。

「あーなるほど!お前も陸奥さんにキスしてもらいたかったんだな!いやーわかるぜ。男だけどめちゃくちゃ美人さんだったもんなぁ・・・わかるぜ」

俺はそう言って大淀の肩を叩いた。

「ええ!?あっ・・・はいそうです・・・・」

大淀は少し安心した様なそれでいてどこか残念そうな顔をしてそう言った。

「良かった。いつもの大淀に戻ってくれたな。いつかはちゃんと元の淀屋にも戻れると良いな。」

俺は大淀に言った。

「そっ・・・そうですね。それに・・・動けなくなった私の事・・・助けてくれてありがとうございました。あの時の謙・・・かっこ良かった」

大淀はそう言った。

「今俺の事謙って呼んでくれた!?」

とっさな時にしか俺の名前を呼んでくれなかった大淀がやっと普通に話している時に俺の名前を昔のように呼んでくれた。すると

「あっ!よっ・・・呼んでません気のせいですっ!」

大淀はまた顔を赤くして言った。

「ホントにお前は噓付くのヘタだなぁ・・・」

俺はそんな大淀を見て笑った。

「噓なんか付いてません!ホントに呼んでませんから!」

大淀は必死で否定する。

「またまたぁ〜」

俺はニヤニヤして大淀を見つめた

「ホントに呼んでませんって!もう謙のバカぁ!もう知らない!!」

大淀は顔を手で覆い隠して何処かへ走って行ってしまった。

「おっ・・・また謙って言った。アイツホントに変わんないなぁ・・・」

俺はそんな事を呟き走り去る大淀の背中をただただ見送った。

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