ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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探照灯を調達せよ

 せっかく海水浴場の警備やら手伝いも終わってゆっくりできると思っていたのに鎮守府は今日も祭りの手伝いの準備やらで大忙しだ。

なにやら高雄さんたちが

「今年もこの時期が来たわね・・・」

とかなんとか言って最近ずっとソナーの整備ばっかりしている。

一体なにが起こるんだ・・・?

愛宕さんに聞いても

「もう少ししてからのお楽しみ♡」

とか言ってちゃんと教えてくれない。

一応元ここの提督なんだからそれくらい教えてくれたって良いだろ・・・

ま、考えていても仕方ない。

今俺にできるのはただ目の前の書類を片付けることだけだ。

さっさと終わらせて今日はゆっくりさせてもらえると良いなぁ。

俺は大淀が入れてくれた少し冷めた紅茶を一口飲んで書類の確認やら片付けをする手を早めた。

 

それからしばらくしてドアをノックする音がして

「提督〜?ちょっと良いかしら?」

愛宕さんが執務室に入ってくる。

なんだかいつにもまして肌にツヤもあるし声色も明るいように思えた。

「なんですか?」

「高雄から伝言なんだけど倉庫にある探照灯を6個くらい工廠まで持っていってほしいの」

「えなんで俺が・・・俺まだ書類の片付けとか終わってないんですけど。愛宕さん申し訳ないんですけどやっといてもらえません?」

「あ〜それがねぇ、私今からお祭りの件で観光協会の方たちに会いに行かなきゃいけないのよ〜それじゃあ行ってきまぁす」

愛宕さんはそう言って出ていってしまった。

そう言えば今日はなんか打ち合わせがあるとか聞いたような気もするしなんだかいつもより化粧に気合が入ってるように見えたのもそのせいか・・・

また漁港とか観光協会の人からお酒とかお土産もらって帰ってくるんだろうな。

きっと帰ってきたらいつもの愛宕さんに戻ってるだろうけどちやほやされるのはまんざらでもないんだろうか?

俺が愛宕さんだったとしたら年の離れたオッサンに女装して媚びへつらうなんてゴメンだけど愛宕さんがそうしてくれているおかげでこの鎮守府と☓☓町の人たちとの関係は良好だ。

帰ってきてあ”〜女のフリすんのマジだりぃわ〜とか媚びへつらった反動でさっきの面影もないくらい男に戻った愛宕さんは絶対街の人には見せられないな。

「ね、ねえ謙?もし疲れてたら私が行ってこようか?」

俺がそんなことを考えていると何か考え込んでいると思ったのか大淀が気を効かせてそう言ってくれた。

でも頼まれたのは俺な訳だし俺なんかよりずっと働いてる大淀にそんなことをさせるのも気が引ける。

「ああ良いよ良いよ。力仕事だし俺が行ってくるから書類任せて良いか?」

「で、でも1人じゃ大変じゃない?」

「そうだけど事務仕事がストップするのはマズイだろ?暇そうな艦娘探して手伝ってもらうよ」

「そ、そう・・・分かったわ。はいこれ倉庫の鍵ね」

「ああわかった。それじゃあ行ってくる」

俺は少しかっこを付け大淀から鍵を受け取って1人で執務室を飛び出した。

 

「えーっと探照灯ねぇ・・・」

見栄を張って執務室を飛び出してきちゃったけどそんなにいっぱい何に使うんだ?

幸いこの鎮守府では滅多に使わない艤装のハズなんだけど常備してる2個じゃ足りないどころか6個も出してこいだなんてそれだけヤバい海域にでも出撃しなきゃいけないってことなのか・・・?

祭りの手伝いもあるし今後も忙しくなりそうだなぁ・・・

そんな事を思いながら倉庫に向けて歩いているとその途中ベンチで天津風が菓子パンを1人頬張っていた。

天津風に頼んでみるか?

いや・・・でもちょっと気まずいしなぁ・・・

天津風はこの間のウイスキーボンボンの一件からあまり口を聞いてくれない。

確かに俺もあの時の事思い出すと恥ずかしいけどさ・・・

あのソラがあんなに色っぽく俺に迫ってくるなんて・・・・

っていかんいかん!また思い出してしまった。

別に何もなかったしあれは事故だ!

でもあいつも酔っ払ってはいたものの記憶はしっかりしてるみたいだったし多分あいつも死にたいくらい恥ずかしいんだろうなぁ・・・

そんなこんなでここ数日天津風とは気まずい雰囲気をずるずると引きずっていた。

でもお互い気まずいけどこのままって訳にも行かない

あれはあくまでも事故!

だからいい加減なんとかしないと・・・

せっかくいいチャンスなんだからこの機を活かして天津風との関係を改善しよう!

「よ、よお天津風・・・休憩か?」

勇気を出して声をかけてみるが

「ま、なによ・・・悪い?」

天津風は頬を赤らめ俺から露骨に目を反らした。

ああ・・・やっぱり昨日までと変わらない反応・・・

でもここで引き下がるわけにはいかない!

いい加減なんとかしないと!

「ああいや休憩中に悪いんだけどちょっと倉庫に用事があるから付き合ってくれないか?」

「倉庫!?付き合う!?」

天津風は何故か急に顔を真っ赤にする。

俺そんな変なこと言ったかな?

とにかくここは別に前のことなんて気にしてないってことを伝えなきゃ・・・

「あ、えーっと・・・あれだ!その・・・俺たちこのままじゃダメだと思うんだよ」

「へっ!?そ・・・それって・・・」

「ああ。この間の医務室でのことなんだけど・・・」

「あっ、あれはあなたが熱中症で倒れたから看病してただけで・・・」

天津風は更に顔を赤くしてそれに呼応するように頭の上に付いた煙突みたいなのからすごい勢いで煙が吹き上がる。

前から疑問だったけどあれ一体どういう原理なんだろう・・・?

今はそんな事はどうでもいい!

「いや・・・それだけならなんでそんな恥ずかしがってんだ?」

「そ・・・それは・・・」

どうやら本当に俺が熱中症でぶっ倒れたって事で押し通すつもりらしい。

少なくともぶっ倒れたのは多分天津風のせいなんだけどなぁ・・・

「それに俺は熱中症になんてなってないしちゃんと覚えてるからな?」

「なっ・・・ななな何のことかしら!?あたしが看病してあげた事?」

「ちげーよ!お前が愛宕さん用の酒が入ったチョコ食べて酔っ払ってそれから・・・」

「わーっ!それ以上言わないで!!あ、あたしだってあんな事本心で言ったわけじゃないしその後の事もどうしたら良いかわからなくなってつい・・・で、でも・・・あなた・・・」

あれ?

なんか今日の天津風意外と素直だな

「そうだよな〜男同士で赤ちゃんなんか出来るわけないしお前があんなに俺にべったりしてくるわけないもんな!それにお前も気が動転としてたんだろ?大丈夫だって!俺も気にしてないし連装砲くんを頭にぶつけられた事も怒ってないからさ?ま、天津風もそんなに気にすんなって!」

よし。ちゃんと伝えられたはずだしこれで天津風との変なわだかまりも解けるはず!

「はぁ!?」

あれ・・・?なんか反応が変だぞ・・・?

「ど、どうかしたか?」

「それだけ・・・なの・・・?倉庫に付き合ってくれって言ってたわよね?」

「あ?ああ。ちょっと倉庫から荷物運び出すのを手伝ってもらおうと思って声かけたんだけど」

「本当にそれだけ?」

「え?うん。あれからちゃんと話しもできなかったからさ。その話のついでにもし手が開いてるなら手伝ってもらおうかと思って」

俺がそう答えると天津風は黙り込んでしまった

「どうした?」

「どうしたもこうしたも無いわよ!ちゃんと話聞いてあげて損したわ絶対手伝ってあげない!お兄さんのバーカ!」

天津風はそう吐き捨ててて走り去ってしまった。

俺なんかあいつを怒らせる事言ったかな・・・

「はぁ・・・手伝ってもらう奴早いところ探さなきゃ」

「ねえねえ提督ぅ〜」

ため息をつくと突然後ろから声をかけられた

「な、那珂ちゃん!?」

「はーい!那珂ちゃんだよ〜一部始終見てたけど天津風ちゃんのこと怒らせちゃったね〜」

「見てたのか?」

「うんっ!何があったかは知らないけど提督が天津風ちゃんのこと怒らせちゃってたね〜何があったのか那珂ちゃんにおしえておしえて〜」

「え、ああそれは・・・」

俺はここ数日起こった事をとりあえず天津風の名誉のためにも一部はぼかして那珂ちゃんに話した。

「へぇ〜天津風ちゃん酔っ払っちゃったんだ」

「ああ。酔っ払ったところを見られたのが恥ずかしかったみたいでさ・・・俺は気にしてないって言っただけなんだけど・・・」

「そうだったんだ〜でも那珂ちゃんにはそれだけに見えなかったけどな〜」

「それだけに見えなかった・・・?」

「え〜だってその酔っ払ってた日の事吹雪ちゃんから聞いたけど天津風ちゃんすっごく嬉しそうに提督に抱っこされてたって聞いたよ」

「で、でもそれはあいつが酔っ払ってたから・・・」

「ホントにそれだけだったのかな〜」

那珂ちゃんの曖昧な返事で俺の中のもやもやが更に濃さを深めていく

俺は一体何をしてやればよかったんだ?

「な、那珂ちゃん・・・俺は一体どうしてやればよかったんだ?もっと謝ったりすればよかったのか?」

「違うよ〜ほんと提督はオトメゴコロがわかってないんだから」

「乙女心ってあいつは男だぞ!?」

「も〜提督そういうところだゾ!」

「ゾ・・・って」

「那珂ちゃんたちは確かに身体はオトコノコだけどさ〜提督とか男の人のかっこいいところにはキュンってなんちゃうものなの〜これは艦娘になる前からそうだったのか那珂ちゃんになったからそうなったのかはわかんないけどね〜それに天津風ちゃんなんか思春期真っ只中なんだよ?ただでさえ自分の性にビンカンになるお年頃な子なんだよ?そこで艦娘になっちゃってさ〜艦と艦娘の天津風としての記憶と心も背負い込んじゃってるわけ。だからあのお年頃の子は不安定なんだよ〜オトコノコだからなおさらね」

「確かに不安定になるとは聞いてたけどさ・・・そこまで言われたら俺はあいつにどうやって接してやれば良いのかわからないよ・・・出来るだけ前みたいな関係で居たいけどさ・・・」

「前?天津風ちゃんと艦娘になる前から知り合いだったの?そういえば着任してきた時もモメてたし何か訳ありな感じ?那珂ちゃん気になるぅ〜」

那珂ちゃんはオーバーリアクション気味に尋ねてくる。

ここではぐらかしてもうざったい追求が待ってるだけだろうし・・・

「あ、ああ・・・一応知り合いというかこの辺に住んでた俺の話し相手になってくれる子だったんだよ。それが急に艦娘になってて・・・」

「ふぅ〜ん・・・あの子この辺に元々住んでた子だったんだ〜緒に買い出しとか行った時近道とか喫茶店とか知ってて不思議だったんだけどそういうことだったんだ」

「ああ・・・那珂ちゃんが来る前・・・・というか来てからもそうなんだけどここって普通の男って居ないじゃん?みんな女の子にしか見えなくて落ち着かなくて・・・そんな環境で唯一ちゃんとした同性として話せる子だったんだよ」

「そうだったんだ〜それが急に艦娘になってよりにもよってこの鎮守府に着任してきたなんてすっごい偶然だね〜」

「そうなんだよな・・・でも俺はまたあいつに会えて嬉しかったんだよ。でもあいつはそうでもなかったみたいでさ」

「ほんとかな〜?きっと天津風ちゃんも嬉しかったって那珂ちゃんは思うけどな〜」

「そうだと良いんだけどさ・・・」

「まあそんなの当の本人しかわかんないんだけど!でも天津風ちゃんは自分でも提督にどうやって接したら良いのかわからないんじゃないかな〜さっきもお兄さんって呼ばれてたし提督のことそれなりに尊敬してるんじゃない?」

尊敬?

いつも仕事しろだとか情けないとか言われまくってる俺があいつに尊敬されてる?

そんな訳無いだろ・・・

初めてあった時ですら幸が薄そうだとかなんとか言われてたし・・・

「ないない!あいつに限ってそんな事ある訳・・・」

「ふぅ〜んそっかぁ・・・でもね、天津風ちゃんは今自分が誰を好きになるかで揺れてるんだと思うの。今までは普通のオトコノコだったけどそこに急に艦娘としての記憶とか想いが流れ込んでくる訳だからきっと提督への気持ちが尊敬なのか好意なのか・・・それとももっと違った感情なのかちゃんと自分でもわかってないんだよ思うんだ。だから那珂ちゃんには今の自分の訳のわからない状況から助けて欲しいって言ってる様に見えてるんだよね〜」

「そう・・・かな・・・」

天津風として再びあいつと会って早速いろんなことがあってその時に多少は解決したんじゃないかって思ってたけどまだまだ全然解決なんてしてなかったんだな。

俺だけがそんな気分で居たからなおさらあいつの事を俺との関わり方の事で悩ませてたのかもしれない。

そう考えると那珂ちゃんの言う様に乙女心なのかはわからないけど少し無神経な面があったんじゃないかって思えてきた。

「俺・・・もっとちゃんとしてやらなきゃ提督失格だよな」

「う〜ん・・・そこまで思いつめなくても良いんじゃない?きっとそんな急にかしこまって解決を急いでも良い結果は得られないって那珂ちゃん思うんだ〜だからちょっとそこに気をつけてゆっくり時間と共に解決する問題だと那珂ちゃんは思うよ」

「そ、そうか・・・那珂ちゃんたまには良いこと言うな」

「なにそれひっどーい!いつもは真面目じゃないみたいな言い方じゃない!そういうところだよ〜」

「ごめんごめん。でもおかげで少しは目が覚めたよ。ありがとうなかちゃん」

「うんうん!わかってくれたみたいで那珂ちゃん嬉しいっ!キャハッ」

那珂ちゃんはまたオーバーリアクション気味にポーズを決めてきた

だからそういうところが真面目じゃないって言いたいんだけど・・・

今言うと更に説教されそうだし黙ってよう

「でねでね提督〜何か手伝って欲しい事あるんじゃないの?」

「あっ、そうだった!なんか倉庫から探照灯を持ってくるようにって高雄さんから言われてるんだけど結構な量でさ・・・誰かに手伝ってもらおうと思ってて」

「それなら那珂ちゃんにおまかせだよ〜!きらびやかなだけじゃなくて裏方のお仕事を知るのもアイドルには必要な事だからね〜」

「あーはいはいわかったわかった」

「も〜ノリ悪いなぁ提督は〜手伝ってあげないよ?」

「ごめんごめん・・・で、手伝ってくれるのか?」

「うんっ!那珂ちゃん丁度オフでヒマしてたからね〜」

「そっか・・・じゃあお言葉に甘えるよ」

「それじゃあレッツゴーだよ!どうせ大淀ちゃん待たせてるんでしょ〜?」

「あ、ああ・・・ありがとう那珂ちゃん」

 

こうして那珂ちゃんに手伝ってもらう事になって倉庫へ向かったんだけど・・・

「おっもーい!こんなの持ち上げたら腕太くなっちゃうよー」

早々探照灯を台車に乗せるのに大苦戦していた。

「ええ・・・いつもこれより重い艤装背負ってるだろ?それにこれだって艤装じゃないか。なんでそんな持てないんだよ・・・確かに重いけど」

「当たり前じゃん!那珂ちゃん達艦娘がすっごいパワーを発揮できるのは海の上で艤装を接続してる時だけなの〜!だから今の那珂ちゃんは非力でか弱いオ・ト・メなんだよ〜!」

「乙女って那珂ちゃんは男で・・・」

「も〜ほんと提督はそんなんだから天津風ちゃんも怒らせちゃうんだよ」

「ご、ごめんなさい・・・」

「じゃあ一緒に持ち上げてよ〜」

「あ、ああわかった・・・」

なんかこれ手伝ってもらわなくても俺一人で良かったんじゃないか・・・?

そんな事を思いながら那珂ちゃんと二人でに探照灯を持ち上げ二台の台車に3個づつ探照灯を載せていった。

一人で持てない重さでは無いけど確かに重い。

艦娘のみんながこれ以上に色んなものを背負って海の上で戦えるのは凄いことなのだと再認識させられる。

そして最後の一つを積み終えると

「ふぅ〜全部積み終えたね〜あっつ〜い」

那珂ちゃんは汗を滴らせて服の胸元をパタパタと動かして風を送っている

確かに倉庫の中は天窓のせいで日も入ってくるし蒸し暑い。

すると次の瞬間那珂ちゃんは服を脱ぎ始めた

「ふぅ〜汗かいちゃった」

「ちょっ!?な、那珂ちゃん?何して・・・」

「え〜だって汗かいちゃったしここなら誰も見てないから着替えちゃおうと思って。まだ暑いしいつも着替え持ち歩いてるんだ〜」

「だ、誰も見てないって俺が居るじゃないか!」

「え〜別にオトコの裸なんかキョーミないんでしょ?」

「きょ・・・・興味とかそういうんじゃなくて・・・・」

確かに那珂ちゃんの上半身は胸が少し膨らんでいるものの骨張っていて男に見えなくもない。

それにしたって顔は自意識過剰でオーバーリアクション気味なその仕草を正当化させるくらいには綺麗だし下着はもちろん女性用だ。

そんなの直視できるわけ・・・

いやまず男同士だったとしても着替えを凝視するのはおかしいだろ!?

「アハッ!提督、顔真っ赤だよ?やっぱり那珂ちゃんの裸気になってる?」

那珂ちゃんはそんな俺の反応を面白がっているのかそう言ってこちらに近づいてくる。

「こっ、これは倉庫が暑いからで・・・もういいからさっさと服着替えろよ!!」

「ウソだぁ〜ボクの裸気になってるんでしょ?」

「な、那珂ちゃん!?またボクって・・・」

「だからボクはボクだって言ってるじゃん提督ふたりっきりだしありのままのボクで居たって良いでしょ?ボクだって普通の男の人と普通のオトコノコとして話したいときだってあるんだよー」

口調は全然変わらないはずなのに一人称が変わるだけでなんで俺はこんなに緊張してるんだ・・・!?

「普通の男の子は裸で迫ってきたりしねぇよ!」

「え〜ホントは興味あるんでしょ〜?ボクの・・・ボク達オトコノコの艦娘のハ・ダ・カ♡だってここに着任する前にボクとあがのんがお風呂入ってるところ覗こうとしてたんでしょ〜?」

その言葉をかけられて心臓が一瞬止まった様な気がした。

あ、あれは阿賀野が心配になって・・・

断じて裸が見たかったなんてわけじゃ・・・

「うっ・・・そ、それは那珂ちゃんが女の子だと思って男の阿賀野が一緒に風呂に入るなんてことになったらどうなるか心配になって・・・ってそれなんで知ってるんだよ!?」

「あがのんがお風呂で言ってたよ〜提督さんが覗きに来てたって」

畜生阿賀野の奴!!那珂ちゃんに言ってたのかよ!

「う・・・だからあれは阿賀野が男だってバレたら大変だと思って心配で・・・」

「ふぅん・・・それじゃあボクのことオンナノコだと思ってくれてたんだぁ」

「あ、当たり前だ!?艦娘が男だなんて普通思わないだろ?」

「覗きに来た理由は本当にそれだけかなぁ?オンナノコだと思ってたボクの裸も見たかったんじゃない?」

期待していなかったと言えば嘘になるし自分でも手段を選ばなさ過ぎだったと反省しなきゃいけない・・・

でもそれは那珂ちゃんのことを女の子だと思ったからであって・・・

「ほら・・・ボクのおっぱい見て?小さいけどちゃんとオンナノコみたいに膨らんで・・・柔らかいんだよ・・・?」

那珂ちゃんは俺に見せつけるように胸を両手で強調してみせる。

確かに控えめな膨らみしか無いものの両手で寄せられた胸は確かにもっちりと柔らかそうに見えるし俺の目はそんな胸に引きつけられていた。

男の胸のはずなのに・・・!

「な、那珂ちゃん・・・?俺にこんな事して一体何がしたいんだよ・・・」

「もしボクが提督の事がスキで提督の事を手篭めにしようとしてたら?」

そう言って那珂ちゃんは俺の顎を手で掴んで顔を近づけてきた

「!?!?!?!?ススススススススキ!?」

あまりにも急な出来事で俺は取り乱してしまう。

すると・・・

「あははっ!提督かわいい〜ボクがちょっとからかうだけでこんなに顔真っ赤にして取り乱しちゃうんだもん」

那珂ちゃん

「はぁ!?」

「あがのんから良く提督をからかったときの反応が面白いって聞いてるからボクも試したくなってみただけだよ〜ボクはみーんなの那珂ちゃんなんだしぃ〜冗談に決まってるじゃん!」

那珂ちゃんはそう言って笑った。

はぁ・・・寿命が何年か縮んだ気がする・・・

からかわれた俺だったが怒りよりも安心感を覚えていた。

「でも〜ボクの裸みてドキドキしたでしょ?」

「お、男の裸なんか見てドキドキする訳・・・」

「はいはい。それじゃあ今日はそういう事にしといてあげる〜。じゃあ着替えるね」

そう言って着替えが入っているであろう袋を取り出して俺から離れると那珂ちゃんは袋からジャージを取り出しす。

その時俺は那珂ちゃんの隣にあった棚の上に置いてあったダンボールが今にも落ちそうになっていることに気がついた。

あのままじゃ那珂ちゃんの頭上に落っこちてしまう。

しかし那珂ちゃんは袋から服を出そうとしていて気がついていないようだ。

「那珂ちゃん!あぶな・・うぉあぁ!!」

俺はとっさに那珂ちゃんの方へ走ったが薄暗い倉庫の中で急に走り出したもんだから何かに躓いて那珂ちゃんに思いっきり突っ込んでしまった。

するとガシャンと背中の方から大きな音がする。

よかった。なんとか怪我になることだけは防げたみたいだ。

「な、那珂ちゃん?大丈夫か?」

「て・・・・ててて提督・・・!?そりゃボクの身体が魅力的なのはわかるけど急に押し倒すなんて・・・もしかしてさっきボクがからかったこと怒ってる?」

とっさなことで気が付かなかったが俺の眼下のは顔を真赤にした裸の那珂ちゃんが居る。

どうやら俺は押し倒してしまっていた様で・・・

「あっ、ち・・・違・・・これは那珂ちゃんの頭の上にあのダンボールが落ちそうだったからであって・・・で、とっさに飛び出して躓いたらこんなことになってて・・・ごめん・・・怪我無いか?」

「そ、そうなんだ・・・・そうだよね!うん!怪我は大丈夫だよ!それに提督がこんな事できる度胸なんかないもんね!」

「あ、当たり前だろ!?はぁ・・・怪我もなかったみたいだし他の誰にも見られて無くてよかっ・・・」

その時ふと倉庫が明るくなっている事に気づき光の先を見てみると閉まっていたはずの扉が開いていてその先には鬼の形相の天津風が立っていた

「ふぅん・・・少し気になって見に来たら仕事もしないで那珂さんを脱がせて押し倒してるなんて・・・」

「あ、天津風?これは事故で・・・」

「うるさいうるさい!!お兄さんのバカ!ド変態!!」

「ち、ちがうの天津風ちゃん!提督は那珂ちゃんを助けてくれたの!!」

那珂ちゃんは大急ぎで服を着て俺と一緒に天津風への弁明を始める。

それからやっとのことでさっきのことが事故であることを天津風理解してくれた。

「ごめんね天津風ちゃん・・・那珂ちゃんが提督のことちょっとからかおうとしてたからこんな事になっちゃって・・・」

「那珂さんもお兄さ・・・提督にあんまりえっちな事しないでくださいね?」

「は、はーい・・・」

「それじゃああたしは演習にもどるから。あなたも提督ならもっとしっかりしなきゃダメなんだからね?」

「う・・・ごめんなさい・・・」

「ほんとあたしまで情けないじゃない・・・」

天津風はそう吐き捨てると演習場の方へ歩いていってしまった。

「ごめんね提督・・・ボクもやりすぎたよ・・・」

「あ、ああ・・・もう済んだことだし誤解も一応解けたしいいよ」

「そっか・・・それじゃあさっさと探照灯を高雄さんに届けちゃおー☆」

那珂ちゃんはさっきまでの反省もどこ吹く風と言うような具合にそう言った。

「那珂ちゃんお前全然反省してねぇな!?」

「へへ〜どうかな〜?でも助けてくれた提督はちょっとだけかっこよかったよ〜それじゃあおっさきー!」

那珂ちゃんはそう言うと台車を押して倉庫から出ていってしまう

「あっ、待て!」

俺ももう一台の台車を押して倉庫を出てカギを閉めてから那珂ちゃんを追いかけた。

そして工廠に探照灯を運び込むと

「あら提督、探照灯を持ってきてくれたのね。ありがとう」

何やらソナーをいじっている高雄さんが手を止めてこちらに来てくれた

「那珂ちゃんも手伝ったんだよ〜」

「あらそうだったの。那珂ちゃんもお疲れ様。それじゃあこれが終わったら次はその探照灯の整備と点検ね・・・」

「あの・・・高雄さん?なんでこんなに探照灯とかソナーとか使うんですか?」

「あら?愛宕から聞いてないの?」

「はい何も・・・」

「はぁ・・・伝えといてって言ったのに・・・・ごめんなさいね提督。明日詳しい資料が届くと思うけどこれは秋刀魚漁支援用なの」

「サンマ・・・!?」

高雄さんが言うにはこの時期になるとサンマ漁を艦娘が手伝うのが一種のイベントみたいになっていて獲れたサンマはお祭りで振る舞われるそうで、漁火の代わりに探照灯を使ったりソナーで魚群を探知したりするために使うんだと高雄さんは教えてくれた。

 

その話を聞かされてから数日後、本当に漁場支援任務が始まった。

それからはなんで艦娘がサンマ漁なんてやらなきゃいけないんだなんて突っ込む余談も無いほどに鎮守府は大忙しな毎日を送っている。

もう当分サンマは見たくないな・・・

そんなこんなで漁場支援任務が終わると次は息もつかせずお祭りの準備が始まり海の家の時と同じ要領で神社周辺の掃除や屋台の設営なんかの手伝いを数日に分けて手伝った。

そしてお祭り前日を迎えた日の事・・・




大変おまたせしてしまい申し訳有りません。
今の書き方に限界を感じてきたので次回から少々リニューアルするかもしれません。
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