やはり俺のToLOVEるな日常はまちがっている。 作:スキート
「彩南高校のみなさーん。遠い所よくぞいらっしゃいました〜〜〜‼︎」
俺たち彩南生は臨海学校の宿泊先の旅館に着いた。
「おおっ! 美人
近くにいた猿山が言う。すると──────
「高美ちゃーん♡ 会いたかったよォーーーー♡♡」
いきなり飛び込んできた校長に女将がパンチをお見舞いする。どこでも校長は変わらないな…。
「こちらが大広間でェーす」
俺たちは女将に案内され大広間に向かった。
─×─×─×─
《えーーー、今日から三日間の臨海学校‼︎ みんな自然と大いに触れあって楽しい思い出を作ってください‼︎》
福寿の間と呼ばれる大広間で、校長の声が響く。
《というワケで今夜はさっそく恒例の肝試し大会があります‼︎ お楽しみに〜〜〜〜‼︎》
「ねェーーー高美ちゃん♡」
またも女将に飛び込み殴られる校長。ていうかこのおっさん女将に会うためだけに臨海学校の宿泊先の旅館をここにしてるんじゃ……。
─×─×─×─
「んじゃ、さっそくフロ行くか」
「そーだな」
そう言ったのは猿山とリト。俺は、リト、猿山、他の二人と同じ班である。
「女子も今頃入ってるんだろうな〜〜〜〜」
「ここはやはり男としてやっとくべきかね?」
「お前ら…何を…⁉︎」
猿山と男子1人の会話にリトが反応する。
〝決まってんだろ ノ・ゾ・キだよ〟
その二人の顔から言わなくても想像がついた。
「「よし行くぞ‼︎」」
「お、おい! 待てよ、何でオレまで‼︎」
「ちょっと、待て、何で俺の腕も掴む。おい。猿山」
─×─×─×─
「お…おい。やっぱやめよーぜのぞきなんて」
「バカ ここまで来て何言ってんだ」
「リトだってホントは見たいだろ? 西連寺のハダカ!」
「な‼︎ 何言ってん…」
猿山たちにからかわれたリトがつい大声を出す。
「静かにしろバカ」
すると、女子風呂の方から声が聞こえてくる。
「でもさ────けっこうバカにもできないかもよ。 知ってる? この肝だめしのジンクス」
「ジンクス?」
「この臨海学校の肝だめしで最後までたどり着けた勇気あるペアはね、必ずその後結ばれてカップルになっちゃうんだって‼︎」
「えーーー? ウソ〜〜〜〜」
「マジだって! 去年も一昨年もこれでカップル誕生したらしいよ!」
と、そんな会話が聞こえてくる。へぇ、そんなジンクスがあんのか。まぁ俺には関係ないけどな。今リトは春菜ちゃんと!とか思ってそう。
まぁ、いいや俺はふつうに風呂に入ろう。ノゾキばれても面倒だしな。リト、強く生きろよ。
。。。
《さて‼︎ では今から肝だめしのペアをくじ引きで決めまーす! 各クラス男女それぞれでくじを引き同じ番号同士がペアでーす‼︎》
最後まで辿りつければカップルか…。まぁ俺には関係ないな、そんな相手もいないし。
そして、俺は自分の番になりくじを引く。番号は5番だった。できれば知ってる女子の方がいいけど俺と関わりのある女子なんてほとんどいないからな。
「は、八幡くんも5番?」
「お、おう。春菜もか?」
「う、うん。私たちペアだね」
「ああ、そうだな」
……あかん。会話が続かねぇ。知らない女子じゃなかったのが唯一の救いだけど、知ってる女子でも結局気まずいのかよ…。
「では、肝だめし大会スタート‼︎」
俺らがなんやかんやしてるうちに、校長の掛け声とともに肝だめし大会が始まった。
─×─×─×─
「お、俺たちの番か」
「う、うん。そうだね」
ついに俺たちの番が来て、出発する。
「は、八幡くんはこういうの大丈夫?」
「まぁ、驚いたりはすると思うけど幽霊とか信じてないから大丈夫な方だとは思う。春菜は?」
「私はオバケとかが怖いから、ほんとは肝だめしなんてしたくなかったんだけどね…」
「そ、そうだったのか?」
「うん。だから…、こ、怖いから手…繋いでもいい?」
「…ガチか?」
「う、うん」
そう言い春菜は涙目+上目遣いをしてくる。そのコンボはずるいだろ…。俺じゃなかったらイチコロだぞ…。
「わ、わかった…」
「それにしても真っ暗だね」
「この道を500
そんな話をしていると俺たちより先に行った奴らが慌ててこちらに向かってスタート地点まで走っている。
少し、不思議がりながら俺たちは進むと、いきなり草むらから「うらめしや〜」といきなり出てくる。
「うおっ」
「きゃーーーーーーーーーーーーー‼︎‼︎‼︎」
すると、いきなり春菜は叫びながら走り去ってしまう。
「いや、ほんともうちょっとちゃんと手を繋げばよかったか…」
そう言いながら俺は、走り出す。きっと春菜にとってここは地獄のようなところなのだろう。早く見つけてゴールをしてしまわないと………
……いや、別に春菜と恋人になりたいわけじゃないからね? そのためにゴールするわけじゃないからね? 流石に俺はペアを見捨ててゴール地点に行くほど外道なことはしない。増してやその娘がオバケが嫌いだと事前に聞いていたわけだし、見捨てるわけにはいかないだろう。
俺が走っている途中にもオバケたちが脅かしてきているが、今はそんなのに構っている暇はない。すまん、オバケ役の人たち。
すると、草むらからガサゴソと音がしたので、そこに向かう。
そこにいたのは、涙が目元から溢れている春菜の姿だった。
「よかった。ここにいたのか…」
そう近づくといきなり春菜が俺に抱きついてくる。
「お、おい。春菜。大丈夫だから、な?」
なんで俺は小さい子に話しかける時みたいな口調になったんだよ…。
「怖いよぅ…。無理なのぉオバケ…」
「ほら、泣き止めって、俺がいるから、な?」
「ほんとうに?」
「ああ。本当だから。ほら、ゴールに向かうぞ」
「うん」
すると春菜は俺の手をぎゅっと強く握りしめる。痛い…。
この様子だとオバケが出るごとにこうなる可能性が高い。どうしたもんか…と、思っている矢先にオバケが草むらから出てきた。
「うらめし「あ〝?」ひっ、す、すみません…」
俺がギロっとオバケ役の人を睨むと逆にオバケ役の人が怯えて謝ってきた。えぇーこの眼がこんなところで役立っちゃうのかよ…。なんか悲しいわ…。
「は、八幡くん…もうそろそろ着く?」
「あ、ああ。多分な」
結局その後も睨んだらオバケの方が怯んでしまい、何事もなくゴールに着く。
「ゴールおめでとーーーー‼︎ 今年の肝だめし大会の始めての達成者は君たちだ‼︎」
「あ、忘れてた」
「あ、あれ、これって確かゴールできたら恋人になるってやつだったっけ?」
「…あ」
そのことを思い出し、春菜は顔を赤くする。多分俺も赤くなってるだろう。いや、ほんとこんなジンクスいらないから……。
そして、俺たちが少し気まずくなった頃に、大きな爆発音とともにリトとララのペアが突っ込んでくる。
またララの発明品が失敗したなと思った俺だった。……まじで気まずかった俺と春菜の元に来てくれたのは助かった。……リトも大変だな。