仕事も落ち着き体調も何とか復活しましたので、リメイク版を投稿させていただきます。
お待たせしすぎて申し訳ございませんでした!!
それではリメイク版をどうぞよろしくお願いします。
プロローグ
水は生き物だ。
飛び込めば、牙をむいて襲いかかってくる。
だが――拒まず、恐れず、身を委ねれば。
水は、静かで美しい生き物になる。
俺はこの言葉を、昔通っていたスイミングスクールのコーチから教わった。
そして今でも、その意味がよくわかる。
あの冷たいようで温かい、透明でいて深い世界。
水の中にいると、余計なものが全部消えて、自分だけがはっきりする。
だから、俺は――水が好きだ。
どんなときも、裏切らずに俺を包んでくれる。
それが、俺の知っている「水」だ。
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朝の浴室。立ち上る湯気の中、静かに目を閉じて湯に浸かる。
どうも初めまして。黒澤瑠璃――俺です。
朝風呂は、俺の毎日のルーティンのひとつ。
まだ陽も登りきっていない時間、誰にも邪魔されないこの空間が、俺にとっては一番落ち着ける時間だ。
「……まずい、眠気が……」
じわじわと温まる体と一緒に、意識まで溶けていく。
このまま二度寝してしまいそうな――そんな静けさだった。
「瑠璃!!いつまで浴槽につかっていますの!!」
――ガチャッ!!
突然、ドアが開く音とともに、キレのある声が響いた。
案の定というか、やっぱりというか。
ノックもせずに勝手に入ってくるのは、我が姉・黒澤ダイヤ。
黒澤家の長女にして、家族内でもっとも厳格な性格を持つお方。
朝から声がデカい。
「……なあ、何度も言ってるけど、ノックぐらいしてくれよ」
「しましたわよ。あなたが気づかなかっただけですわ!」
「いやしてないだろ絶対……」
言い返しても無駄だ。
始まるダイヤの小言。
もう慣れたもんだ。
一応これでも、将来的に黒澤家の網元を継ぐことになっている俺。
……大丈夫か、うちの家系?
まあ俺が心配することじゃない。
ダイヤの説教を右から左へ受け流しながら、俺は立ち上がった。
「ちょっ!? 瑠璃!!女性がいるのですからいきなり立ち上がるのはやめなさい!」
顔を真っ赤にしながら、バタンと勢いよくドアを閉めていった。
それよりも、ちゃんと確認してほしいものだ。
「……水着、着てるんだけどな」
俺の朝風呂は、水着着用。
昔の習慣が抜けなくて、そのまま日課になってしまった。
まあ、これも俺なりのこだわりだ。
「さて、さっさと着替えるか」
湯から上がり、タオルで体を拭いて制服に袖を通す。
そのとき――控えめなノックの音が扉越しに響いた。
「お……お兄ちゃん?」
声の主は、妹のルビィ。
気が弱くて、泣き虫で、だけど本当に大事な妹だ。
「おはよ、ルビィ」
「お……おはよ。またお姉ちゃんと喧嘩したの?」
「いつものことさ。風呂に入ってたらいきなり来て、裸見て赤くなって飛び出してった」
「そ、そうなんだ……ふふっ」
ルビィの小さな笑いが、朝の空気を少しだけ和らげる。
俺はネクタイを締めながら扉を開け、突然出てきた俺にびっくりして「ぴぎぃっ」と小さく叫ぶルビィの頭をくしゃりと撫でた。
「じゃ、朝練行ってくる」
「……今日も、ご飯食べていかないの?」
「……」
高校に上がってから、家で食事をとることがほとんどなくなった。
理由は――ただの反発。
黒澤家の「当主」へのな。
俺がそれに背を向けてるだけ。
けど、ルビィにとっては、それもきっと寂しいことなんだろう。
「ルビィ、何をしている?早く着替えなさい」
「ぴぎぃ!?は、はい!お父様!」
廊下の奥から現れたのは、黒澤家の当主――つまり、俺とルビィの父親。
その姿に、ルビィは瞬時に反応し、自室へ逃げるように走っていった。
その背中を見送りながら、俺と親父の間に沈黙が流れる。
……目も合わせてこない。いつも通りだ。
無言のまま去っていく父親の背に、何も言えず、何も言わず。
俺はただ、靴を履き、扉に手をかける。
「行ってきます」
その一言に、返事はない。
でも、それでいい。
朝の冷たい空気が、火照った体に心地いい。
俺の心にある、やり場のない感情も、少しだけ冷やしてくれるような気がした。
これが――黒澤瑠璃の、朝の日常。
オリ主設定
黒澤 瑠璃(くろさわ るり)
浦の星男子高等学校2年
178cm 68kg
部活 水泳部
種目 自由形(フリー)
趣味 銭湯巡り
特技 水泳
好きなもの 水
嫌いなもの 父親 オクラ
容姿 深い青色の髪の毛を持つ青年。
目つきが鋭いが優しい顔立ちをしている。
性格 非常に練習熱心で何事にも本気で挑む熱い心を持っているが、昔は姉である黒澤ダイヤの後ろによく隠れていた泣き虫。