黒澤家の長男です。   作:カイザウルス

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第12話+小話

Aqoursのライブから翌日。

無事に体育館を満員にすることが出来たようで、浦女でのスクールアイドル活動は認められたようだ。

曜や高海に桜内も嬉しそうにしていたのを、思い出す。

実は見られなかった事を話したら、次のライブは絶対に見てね!っと、高海に釘を刺された。

さてと、今日は部活も終わって曜の所に弁当も返したし家に帰るだけだ。

 

「バァウ!バァウバァウ!!」

「ん?」

 

声が聞こえた為、振り返ると大きな毛むくじゃらが飛びついてきた。

幸い怪我はないが、重い。

しかし何処かで触った感触…。

 

「バァウバァウ!!」

「…しいたけか?」

「バァウ!」

 

正体は高海家のしいたけだ。

俺はしいたけの頭を撫でながら、上から降ろした。

 

「お前…飼い主はどうした?」

 

しいたけは来た方向に振り向く。

すると高海が全力でこっちに向かってきた。

 

「ごめんなさい!うちのしいたけが……ルーくん!?」

「お~高海、リードはしっかり付けないとだめだぞ?」

「しいたけが急に走ったから、ビックリしたよ!ルーくんを見つけたんだね?」

「バァウ!」

 

会話からして、どうやら俺はしいたけになつかれているようだ。

嬉しくなりしいたけの頭をなで続ける。

 

「ルーくんは部活終わり?」

「おお、帰る前に小腹空いたからコンビニに行こうかなって」

「そうなんだ!…ねぇルーくん」

「ん?何?」

「うちでご飯食べていきなよ!迷惑かけたお詫びで」

 

迷惑?しいたけのことだろうか?腹が減っている俺からしたらありがたいが、お世話になるわけにはいかない。

丁重にここは断ろう。

 

「ありがたいんだけど、「志満姉がいいって!」最後まで話は聞こうね」

 

まぁ許可も貰ってしまったのなら仕方がないのか?俺も後で連絡入れておこう。

 

「それじゃ、よろしくお願いします?」

「えへへ!喜んで~!」

 

高海は嬉しそうに笑う。

俺は自転車を押し、高海と他愛のない会話をしながら高海の家へと向かった。

夕飯何が出るのかが、楽しみだ。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

夕飯が凄かった。

流石は旅館を経営しているだけの事はある。

 

「ごちそうさまでした。お皿洗わせて下さい」

「あらいいのよ~。まとめて洗うから」

 

志満さんが言うなら、置いておこう。

高海は美味しかった~っといいながら、その場で横になっている。

志満さんとは大違いだ、だらしがない。

本当に姉妹なのか?そういえば……

 

「今日、美渡さんは?」

「今日は残業みたいでね~、ほら千歌ちゃん!直ぐに横にならないの」

「は~い」

 

何気ない会話が続く。

夕飯もいただき、お暇しようと思ったときに、志満さんが冷蔵庫から2人分のケーキを出して、俺と高海の前に出してきた

 

「これ良かったら食べて?」

「いいんですか!ありがとうございます!」

「わぁ!ケーキだ!ルーくん部屋で食べよう!」

 

予想外のケーキに少し気持ちが高揚する。

高海も同じように、昂っっている様子だ。

とりあえず高海に言われた通りに部屋に移動する。

 

「私の部屋で~す!」

「いや何度も曜と来てるし、早く開けろよ」

「ぶ~」

 

何故か不貞腐れる高海。

しかし2人だけの状況というのは以外にも始めてではある。

俺と高海の出会いは、中学時代に曜の紹介だ。

以前から曜の飛び込みの大会に来ていたのは、知っていたのだが、ちゃんと話したのは中学時代からだった。

 

「ほらルーくん!こっちこっち」

 

高海は自分の隣のクッションを差しながら、誘導する。

言われた通りに座り、机の上にあるパソコンの画面に目が止まる。

そこにはスクールアイドルの事や、μ'sのことなんかも調べているようだ。

 

「ほら見て!昨日のライブ!本当に楽しかったな~」

「…途中で泣いていたけどな」

「んぐ!?あれはしょうがないじゃん!」

「まぁそうだけどもな、仮にもアイドル何だから笑顔は心掛けとけよ」

「は~い…ん~!ケーキうま~♪」

 

随分と美味そうに食べるものだ。

さて、俺も一口…美味い!クリームが溶けたぞ!

 

「これ絶対に高い奴だろ!?」

「ね~!うま~♪……ねー、ルーくん」

「ん?」

 

高海が何かを聞こうとしている。

何だろう?何か悪いことでもしたか?

すると高海が少し深呼吸をしてから話だす。

 

「なんで、美渡姉や志満姉には名前で呼んでるのに、なんで私は高海って呼ぶの?」

「は?高海は高海だろ?」

「そうだけど…曜ちゃんには曜って下の名前で呼ぶじゃん」

 

何だ?つまり高海も下の名前で呼んで欲しいってことなのか?しかしな…。

 

「高海は…ほら!曜ほど関わりなかっただろ?」

「…じゃぁ、いつになったら呼んでくれるのさぁ…ちょっと悲しい」

 

高海を下の名前で呼ばない理由は、恥ずかしいからというのもある。

何だかんだ高海と関わるのも、曜を通じてだったりする。

ん~…まぁ何だかんだ中学からの付き合いだしな。

 

「お前は嫌じゃないんだな?」

「うん!千歌ちゃんでも千歌っちでもいいよ!!」

 

機嫌が良くなり、高海の目がキラキラしてる。

俺は少し勇気を振り絞る。

 

「わかったよ、呼べばいいんだろ?」

「うん!さぁ、ドンと来なさい!」

「わかったよ…千歌」

「―――ッ!?」

 

目の前にあるケーキを食べ落ち着く。

女の子を下の名前で呼ぶのは、やはり変な緊張するな。

…名前で呼んだのはいいが、高海…改め千歌から反応がない。

千歌に視線を向けると、顔を隠していた。

 

「千歌?」

「いや…あの…ちょっと恥ずかしいね?えへへへ…」

「ッ!?…自分から言って照れるなよ」

 

そこには顔を赤くして照れている千歌がいた。

自分から言ったのに?千歌がここまで照れると俺まで恥ずかしくなる。

お互い落ち着くまで、ケーキを食べ続けた。

その後、何とか落ち着きを取り戻し、スクールアイドルの話や学校での話をして時間を過ごした。

気が付いたら遅い時間だった為、帰ることに。

 

「お見送りまで悪いな、ありがと」

「ううん!またいつでも来てね」

「おう。それと自分から言ったんだから、名前呼び慣れてくれよ?」

「う…うん!頑張ります」

「なんで敬語なんだよ」

 

まだ千歌は少し恥ずかしそうにしている。

俺は自転車に跨りペダルに足をかけた。

 

「夕飯もごちそうさま、それじゃ!」

「うん、バイバイ……瑠璃くん」

「ちょ!?お前!?」

 

千歌から呼び慣れていない呼び名で呼ばれ、心臓が跳ねた。

そんな千歌はまるでイタズラが成功した子供のような笑みを俺に向ける。

この野郎……やられた。

俺は自転車を漕ぎ始め、夜の海の風で赤くなった頬を冷やそうと全力で自転車を漕いだ。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

≪蜜柑色の少女は隠す≫

 

ルーくんが顔を赤くしていたのがわかった。

私にだけ恥ずかしい思いをさせたからだ、ざまあみろ。

けど……ようやく名前で呼んでくれた。

ずっと“千歌”呼んでほしかった。

こんなに気持ちが昂るとは思わなかった。

けど………。

 

『曜ちゃんってルーくん好きだよね?』

『え!?…………う…うん…』

『そっか!それなら応援するね!』

『ち……千歌ちゃ~~ん!』

 

昔の記憶を思い出した。

応援したいという気持ちは本当だ。

名前で呼ばれる曜ちゃんが羨ましい、2人で話す姿が羨ましい。

 

『高海は、恋愛経験ないのか?』

 

聞かれたときは心臓が跳ねた。

私は“”をしている。

けどその相手は、幼馴染が片思いをしている相手。

だからこそ私は……この“”は心にしまわないとダメ。

そう心に誓ったんだ。

けど……少しだけ我儘を行ってもいいよね?

私はそう思いながら、夜風にあたり昂った気持ちを押さえ込んだ。

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