朝の海の香りを嗅ぎながら目的の場所へ自転車で向かう。
大好きな内浦の海を見ると朝から漁師の方々がせっせと働いている。
「お~い!瑠璃く~ん!!」
目的の場所には既に友人がおり、こちらに気づくと笑顔で手を振ってくる。
友人の目の前に自転車を止め。
「おはよ曜。今日も元気だな」
「おはヨーソロー!私は何時でも元気であります!」
渡辺 曜ワタナベ ヨウ。
彼女とは小学校から同じスイミングスクールで、今でも関わりがある友達だ。
いわゆる幼馴染と言ったものだ。
「はいこれ!どうせ今日も朝ごはん食べてないでしょ?」
「いつも悪いな」
俺が家で食事を取らない事を知っている曜は、定期的に弁当に包んで渡してくれる。
最初はコンビニなんかで済ましていたが曜がそれを許してくれなかった。
受け取った包みを鞄に入れて、自転車の後ろをトントンと叩く。
「今日も高海の家までだろ?送る」
「うん!ありがと!」
曜が後ろに座ったことを確認し、自転車を漕いだ。※
高海の家までだいたい15分ってところだ。
「瑠璃くん!最近、水泳はどう?」
「ん?まぁボチボチだな。今年こそ全国決勝行きたいしな、曜は高飛び込みどうなんだ?」
「今年の目標は全国大会出場!!は行けると思う!」
「ははっ!それは楽しみだ」
こんな感じでお互いの近況や部活の話をしながら自転車を漕いでいたら、15分はあっという間だ。
大きな旅館の前に到着し自転車を降りる。
「相変わらず立派な旅館だよな」
「千歌ちゃん家は旅館経営だからね~。瑠璃くんも千歌ちゃんに会ってく?」
「高海はどうでもいいけど、しいたけには挨拶しとこうかな」
「ひど~い!」
曜はケラケラ笑いながら答える。
そしてそんな高海家には大きな犬がいる。
「バァウ!!」
毛むくじゃらで目元まで長い体毛の大きな犬だ。
「おお、しいたけ元気か~??相変わらずモフモフしてるな~」
「バァウ!バァウ!」
しいたけの頭を撫でながらスキンシップをとる。
「瑠璃くんはしいたけ好きだよね~」
「このモフモフ感やばいだろ」
犬好きの俺からしたら、しいたけは理想に近い犬だ。
俺も将来は大型犬でモフモフした犬と暮らすんだ!!
「お待たせ~!曜ちゃんにルーくんおはよ!!」
アホ毛を揺らし橙色の髪をした高海が玄関から元気よくでてきた。
彼女の名前が、高海 千歌。
彼女とは曜経由で紹介された中学からの知り合いだ。
「千歌ちゃんおはヨーソロー!」
「おはよ高海、うるさいぐらい元気だな」
「ルーくんいまバカにしたでしょ!?」
おっと口が滑ってしまった。
まぁこれくらいの軽口はいつも通りだ。
「曜はここから高海とバスだよな?」
「うん、いつも送ってくれてありがとね」
「弁当作ってもらっているし、たいしたことない」
「ルーくんいいなぁ!曜ちゃんの弁当」
高海が羨ましそうにこちらを見る。
その視線に少し自慢したくなる。
「いいだろ?マジで曜の弁当は美味いからな!毎日作って欲しいぐらいだ」
「ま…毎日!?」
何故かそこに反応する曜。
ん?なんか顔赤い?そんな姿を見た高海はニヤニヤしながら。
「曜ちゃん毎日だって~!良かったね~」
「う…うるさい…」
「?」
まだ顔が赤いが熱はなさそうだし大丈夫だろう。
自転車に跨ぎ、曜と高海に
「そんじゃ俺は学校向かうよ…朝練ももうすぐだし」
「う…うん!朝練ファイトであります!!」
「また明日ねルーくん!」
俺は朝練に間に合うようスピードをだした。
今日も1日頑張るか。
※自転車の2人乗りで公道を走る事は道路交通法で禁止されています。あくまでフィクションとしてお楽しみください。
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