黒澤家の長男です。   作:カイザウルス

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第3話

桜内との騒動から次の日の朝。

いつも通りに曜の家に向かう。

 

「高海がスクールアイドルか…」

 

前日の高海との会話を思い出す。

高海は曜と同じ浦の星女学院に通っていたはずだ。

さらにそこの生徒会長は俺の姉である、黒澤 ダイヤだ。

ダイヤがスクールアイドルを了承するとは思えないが、大丈夫なのだろうか…。

そんなことを思いながら、曜の家に到着。

玄関には既に曜が立っていた。

 

「お…おはよ~!はい弁当」

「おはよ。いつも悪いな」

 

気のせいだろうか、何だか曜の様子がおかしい。

とりあえず弁当を受け取り鞄にしまう。

そして曜は、俺の後ろに座り。

 

「ぜ…全速前進!」

「お…お~」

 

ペダルを漕ぎ前へ進む。

目指すは高海家なのだが、なんだが変だ。

 

「…何かあったの?」

「へ!?な…何が!?」

「いや、明らかに様子が変だから聞いたんだけど」

「何でもないよ!?」

「……まぁ別にいいけど、何か相談があれば何時でも話せよ」

 

聞かれたくない事なのだろう。

これ以上深掘りしないでおこうと思い、俺は自転車の運転に集中した。

すると後ろから深呼吸をして何か覚悟を決めた曜が俺に話しかけてきた。

 

「ふ~…ねぇ瑠璃くん」

「ん~?」

「私ね、千歌ちゃんの始めようとしているスクールアイドル…やろうかな~って思ってるんだよね~」

「ふ~ん……はぁ!?」

「うわっとと!!」

 

まさか曜からスクールアイドルの話がでて驚いた。

自転車を急ブレーキして、曜を見る。

 

「曜がスクールアイドル!?」

「…ちょっと…その反応は何さ」

 

何故か不服そうにこちらを見る曜。

言い方に不満でもあったのだろうか?それよりも、俺は本題を切り出す。

 

「お前…高飛びどうするの?」

「ああ…そっちね…もちろん!続ける予定だよ!」

 

どんな意味で捉えたのだろうか?まぁ高跳びは続けるのか…。

俺は曜が高飛びを楽しそうにしているのが好きだ。

それを辞めてしまったら少し悲しい。

とりあえず自転車を漕ぎだす。

 

「まぁ続けるならよかったけど…。そっちってなにが?」

「ん?」

「いや、さっきそっちか~って言ったじゃん」

「!?いや、何でもないよ!?」

 

いきなり顔を赤くする曜。

赤くなる理由が分からないが、赤くしている曜はまた珍しい。

 

「何でもないはないだろ?気になるし」

「う~~~……かわいくないから似合ってないって思われたかと思ったの!!!」

「…はい?」

 

曜は恥ずかしいのか、顔を先ほどより赤くして答える。

可愛くない?曜が?何を言っているんだこいつは。

 

「お前さ…もうちょい自信持てよ。曜はちゃんと可愛いぞ」

「え!?」

 

曜は両手で頬を抑え、顔をさらに赤くした。

珍しく恥ずかしがっている曜に、少しちょっかいかけたくなる。

 

「まだまだあるぞ?いつもはボーイッシュな曜だが俺のために作ってくれている弁当が嫁度を引き出している」

「は…はぁ!?きゅ…急になに!?」

「実は乙女な一面もあるのがまたギャップを感じさせて可愛い」

「わ…わかったから…もう」

「隠していると思うけど、実は制服オタクなのも知っている」

「何で知ってるの!?」

「曜ママに教えてもらった」

「何で教えてるのお母さん!!」

「まだあるけど…言っとく??」

「もう…大丈夫…です」

 

今の曜は真っ赤と言う言葉がぴったりなぐらい顔赤い。

たまには曜をいじるのも楽しいなと思いながら自転車を漕ぎ、高海の家に到着した。

 

「到着~」

「ん、ありがと」

 

少し不機嫌な顔を見せる曜。

ちょっかいをかけすぎたようだ。

 

「え~っと…曜?」

「…なに」

「なんだ…すまなかった。流石にデリカシーなかった」

 

よくよく考えたら、女性…ましてや曜にかわいいと公共の場で言ったのはデリカシーがないような気がする。

曜が可愛いのは変わりないのだが。

 

「そんなこと…」

「これから気を付ける」

 

自転車にまたがり、俺は学校へ向かおうと漕ごうとした瞬間。

曜がうつむいた状態で俺の腕を掴んだ。

 

「瑠璃くん…私いままでそういう風に言われたのが初めてで…その恥ずかしかったけど」

 

うつむいていた顔が上がり、俺と目が合う。

その顔は変わらず赤くなっていたが笑顔だった。

 

「嬉しかった…その、ありがと」

「っ!?」

 

その笑顔は変わらず愛しく、不覚にもドキッとしてしまった。

徐々に胸から何かがこみ上げて来るのを察した。

 

「そ…そか!うれしかったならよかった!俺もう行くな!」

「うん!いってらっしゃい!」

 

何とかその場を後にしたが、俺の心はざわめいていた。

 

「ちくしょう…やっぱり可愛いじゃねーか…」

 

学校に着くまで、4月の冷たい海風で火照った顔を冷やすことにした。

顔が赤くなったのバレてないよな?

 

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