スクールで無事にプールを借りることができた。
一通り調整もしたので、来週からの部活も大丈夫だろうと思った矢先だった。
携帯電話がなったため確認すると、画面には黒澤 ダイヤと書かれている。
ダイヤから電話が来るのは珍しいことだ。
特に思い当たる節もないが、ここで電話にでなければ後々面倒でもある
「はぁ…何だろ…もしもし」
「もしもし、瑠璃?」
「はいはい、なんだよ」
「えっと…お母さまから今日お夕飯は食べるのかと伝言ですわ。それと今日は魚の煮付けのようですわよ」
魚の煮付けは、俺の大好物の食べ物だ。
夕飯食べたいのは山々なのだが、親父も一緒のため気が引ける。
仕方ない…今回も断ろう…。
「悪いけどやっぱり…「ルビィが久々に一緒にたべたいなって呟いていましたわ」バカ!それを早く言え!」
ルビィからの誘いなら断る理由はない。
まぁ、煮付けが食べたいって理由もあるけど。
「はぁ…本当にルビィには甘いですね」
「ダイヤに言われたくないよ」
俺は通話を切り、家に向かった。
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「ただいま」
玄関を開けて帰宅の挨拶をすると、奥からドタバタと足音が。
「おかえり!お兄ちゃん!」
足音の正体はルビィだった。
ルビィはそのままの勢いで胸に飛びついてきたため、しっかりと受け止める。
「急にどうした?」
「お兄ちゃん、今日は一緒にご飯食べられるの!?」
「おう。俺の席は何時ものところか?」
「うん!ルビィとお姉ちゃんの間だよ!」
嬉しそうに話すルビィだが、こんなに喜ぶとは想像できなかった。
とりあえず靴を脱ぎ台所に向かう。
向かう途中もルビィは俺の片腕をガッツリ掴みニコニコしている。
「母さんただいま」
「あらおかえりなさい。ご飯もうすぐできるわよ」
「うん、ありがとう。何か手伝う?」
「大丈夫よ。お茶飲んでダイヤと待っていて」
台所から居間を見るとダイヤがいた。
俺も夕飯ができるまで待つとしよう。
片腕に引っ付いているルビィを引き離し、自分の鞄や水着を片付けてから居間に向かう。
とりあえずダイヤの前に座る。
「おかえりなさい」
「ん?ただいま」
ビックリした…まさかダイヤから話しかけて来るとは。
ダイヤはお茶を飲みながら本を読んでいる。
俺も飲もうと湯のみを取り出し、急須を手にしようとした瞬間。
本を勢い良く閉じたダイヤが口を開いた。
「ちょっと、勝手に入れないで」
「別にいいだろ。ケチケチすんなよ」
静止を聞かずに急須を持とうとした瞬間。
パチンっと手を叩かれた。
「……」
「……」
再度触れようとしたらパチン。
反対の手で触れようとしたらパチン。
「……」
「……」
負けじと触れようと何度も挑戦するが全て叩かれた。
「何だよ!?」
「何か一言あってもいいのではありませんの!!」
「あなた達~ご飯できたわよ~」
「たかが湯のみ一杯でケチケチすんなよ!」
「ケチケチではありません!人として必要なことですわ」
「融通が利かないな!だから硬度10って言われるんだよ!!」
「ちょっと聞こえてる~?」
「誰が高度10ですか!あなただって水の変態って言われていたでしょ!!」
何時もの言い合い。
そしてそれをニコニコと見守るルビィがいた。
「何でルビィはニコニコしているんだよ」
「え?…どうしてですのルビィ?」
ダイヤもそれに気づいたようで話しかける。
するとルビィは嬉しそうに答えた。
「仲いいなって思ったんだ♪」
はい?……俺とダイヤが?
俺とダイヤは顔を見合わせてため息を吐く。
「何処をどう見たらそうなるんだよ!!」
「何処をどう見たらそうなりますの!!」
「ピギィ!!!」
俺とダイヤがルビィの発言に反論しようとした瞬間だった。
俺とダイヤの肩を、急に現れた母さんが掴む。
「ご・は・ん!!…聞こえなかったかしら??」
額には血管が浮き出ており、雰囲気でもわかる位に怒っている。
気のせいなのか頭から角が生えているようにも見えた。
その雰囲気を感じとった俺とダイヤは直ぐに謝った。
「「…すみませんでした」」
その日の夕食は親父もいなく、美味しくいただく事ができた。
偶には家でご飯もいいものだ。