黒澤家の長男です。   作:カイザウルス

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第6話

 

朝日が穏やかな海に日差しが反射し、俺に突き刺さる。

今日は部活も休養だし、特にやることも無いので1日ゴロゴロするつもりだった。

しかし、昨日の夕飯後に曜からのメッセージで。

 

「明日、暇だよね!ダイビング行こう!朝迎えに来てね!」

 

とのこと、確かに暇だけど俺の予定も聞いてほしいものだ。

そんなこんな考えていたら曜の家に到着した。

インターホンを押すと元気よく飛び出してきた。

 

「おはヨーソロー!」

「はい、おはよ」

 

そのままいつも通りに、後ろに座る。

 

「発進!!」

「今日はテンション高いな」

 

曜のテンションがいつも以上に高い。

高い理由を聞いたところ、みんなで遊ぶのが楽しみだからとのこと。

それと今日は、高海に桜内もいると聞いて驚いた。

そうこう話していたら集合場所である、ダイビングショップに到着した。

てか…ここって…。

 

「あ!ルーくん!」

「よう高海…あと桜内も」

「こ…こんにちは黒澤くん」

 

相変わらず元気な高海に、美少女の桜内がショップの中から出てきた。

受付はもう済んでいるらしい。

一通り挨拶を済ませてから中に入ろうとしたが、船着き場に見覚えのある女性が重そうなものを運んでいる。

3人を先に行かせて、女性の元へ。

 

「こんにちは、お手伝いしましょうか?」

「え?いえ!大丈…夫…」

 

俺の顔を見た途端、女性は言葉を発さなくなった。

久々に会うから驚いているのだろう。

 

「お久しぶりです。松浦先輩」

「瑠璃!?ビックリした!久々だね」

 

この女性は、松浦 果南マツウラ カナン。

姉であるダイヤと同じ高校3年生で、曜とは違う幼馴染の一人だ。

そして……俺の初恋の相手でもある。

 

「元気してた?」

「はい、松浦先輩も元気ですか?」

「も~、松浦先輩だなんて他人行儀じゃん。昔みたいに果南姉でいいんだよ?」

 

昔幼い頃は良く果南姉と呼んでいた。

しかしもう高校生だし、流石に恥ずかしい。

 

「いえ、もう高校生何でやめときます」

「…そっか…ちょっと残念」

「ぐっ…」

 

松浦先輩は悲しそうな表情を浮かべた。

そんな顔をさせたくて、俺は話しかけたわけじゃないのだが…。

俺はこの人には強く出れない。

周りを確認してから。

 

「ふ…二人の時は呼ぶようにするよ……果南姉…」

 

うわ…すげぇ恥ずかしい。

松浦先輩の反応。

 

「…うん!そうしてくれると嬉しいかな」

 

クソ……本当に俺はこの人に弱いと、改めて理解できた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

松浦先輩の操縦する船に乗りダイビングスポットへと到着した。

高海に桜内と曜は、ウエットスーツを着替え海に潜っているが。

 

「梨子ちゃんどう?」

「…わからない」

「ん~どうやったら聞こえるかな~海の音」

 

どうやら海の音っというものが聞きたくて潜っているようだ。

…よくわからないが、桜内はその音を必死に探している。

そして、今現在船には俺と松浦先輩の2人だけだ。

 

「瑠璃は入らないの?」

「俺は後で入りますよ」

「…」

 

返事が帰って来ないので振り向くと、なんか半目で見られていた。

…あ、そう言う事か。

 

「あ~…俺は後で入るよ…これでいい?」

「ふふ…よろしい」

 

満足そうに笑顔に戻る松浦先輩。

どうやら敬語なのが気に入らなかった模様。

そんなことよりも松浦先輩の格好に目のやり場が困る。

何でウエットスーツのファスナ下げているの?たわわに実ったものが、はみ出ているよ。

 

「瑠璃はさ」

「はい!?」

「ん?」

 

いけない、急に話しかけられてビックリしてしまった。

 

「ダイヤと仲良くしてる?」

「…まぁ仲はいいのかな?ルビィにも仲良しだねって言われたし」

「そっか。姉弟仲良しで何よりだよ」

 

俺個人的にはどこが仲いいのだか分からないが。

まぁ一応姉弟だし嫌いではない、突っかかるのはムカつくけど。

 

「それとさ」

「ん?何?」

「……鞠莉と「ルーくーん!!!」…」

 

松浦先輩が何か話そうとした瞬間、高海が大きな声で呼ぶ。

高海の声で松浦先輩の話声がかき消された。

 

「速くおいでよ~~!!」

「あいつ…ごめんま…果南姉、何か話そうとした??」

「ううん、大丈夫。あたしは船見とかないとだから、行っておいで」

「…わかった」

 

何か話していた気がするが、気にしないでおこう。

松浦先輩に一言断り海へ飛び込んだ。

まだ4月の寒い海だから冷たいが、透明度がよく綺麗に見える。

3人に近づき桜内に話しかける。

 

「どうだ?何か掴めそうか?」

「ううん」

「そっか」

 

悲しそうな表情を浮かべ、落ち込んだ様子の桜内。

内浦の海に来てその表情はあまり見たくないな。

 

「海の音ってのはよくわからないけど…いい潜り方を教えてやるよ」

「え?」

「少し深めに潜って上見てみろよ」

「上?」

 

内浦の海の透明度も高くキレイで有名だ。

そんな中で今日は日差しもあり、曇一つない程の快晴だと海の中は綺麗に見える。

 

「確かに梨子ちゃんずっと下を向いてるもんね!」

「うん、違う見方をするのはいいと思うよ」

 

高海に曜も賛成してくれた。

後は桜内次第だ。

 

「…うん、次は上向いてみる。ただ…」

「ん?」

「私、上手く潜れないみたいで…その少し怖くて…」

「ああ、そんなことか」

 

上手く潜れない、それなら俺が引っ張れば良いだろう。

海中にある桜内の手握り、水面に上げる。

 

「こうすれば怖くないだろ?」

「う…うん」

 

…ん?何だこの空気。

高海と曜がすごい顔している。

ついでに桜内は何だか俯いている。

 

「お前ら何だよ」

「いやいやいや!ルーくんそれセクハラになるよ!!」

「こんなんでセクハラになったら、男性の肩身が狭すぎるだろ」

 

随分とぶっちゃた事を言う高海。

それに対して曜は何だか覚悟を決めた目でこちらを見る。

 

「わ…私も、潜るのが怖いな~…なんて」

「アホか、お前潜るのが怖かったら飛び込み何てできないだろう」

「む~!」

 

何か、頬を膨らませ機嫌を悪くさせてしまったようだ。

は?俺なにかしたか?

 

「意味わからんこと言ってないで潜るぞ。桜内は大丈夫か?」

「う…うん!大丈夫!」

 

桜内に確認をとる。

高海と曜も大丈夫そうだ。

 

「そんじゃいくぞ?せーのっ!!」

 

俺の号令に合わせ、海の中へ。

右手から桜内の握力を感じ桜内を見ると、ギュッと目をつぶっていた。

いやいや、目を閉じちゃダメでしょう。

桜内の肩を叩き、上を向くように指示する。

桜内は恐る恐る目を開ける。

そこには、

 

「ッ!!」

 

太陽が水中を明るく照らし内浦の海の透明度がよくわかる。

相変わらずとても綺麗だ。

桜内も見入っている。

そんな姿を見た高海と曜も笑っている。

その時だった。

 

「「「「―――――ッ!!」」」」

 

何かが聞こえた。

海で聞こえる遠雷のような音とは違う。

これが海の音なのかは分からないが、美しい旋律が聞こえたような気がした。

3人も何だか聞こえた様子だ。

息の限界も近づいてきたため、海面から顔を出す。

息を整えるといきなり、

 

「黒澤くん!!」

「うおっ!?何だよ…」

「聞こえた!私、聞こえたよ!」

 

桜内が俺の右手を両手で持ち顔を近づける。

 

「梨子ちゃん!私も聞こえた気がする!」

「私も!」

 

徐々に集まりだす高海と曜。

すると桜内が

 

「黒澤くんは聞こえた?」

「…ああ、聞こえたよ。綺麗な音だった気がする」

 

先ほどまで不安そうにしていた表情が消え、笑顔になる桜内。

 

「ッ~~~~~!!やった~~~~!!!」

 

高海が自分のことの様にうれしかったようで、曜と桜内に俺を包むように抱き着いてきた。

その為、女の子3人と必然的に距離が近くなる。

 

「ちょっ!!高海!近い!近いから!!」

「ん?わぁ!?ルーくん離れてよ!?」

「お前が抱き着いてきたんだろ!?」

 

3人に囲まれ離れようにも離れられない。

その後、一通りダイビングを楽しみ、松浦先輩に挨拶してから解散した。

高海と桜内はバスで帰ったが、俺は曜を後ろに乗せ送る事にしたのだが、

 

「曜」

「……」

「お~い、曜ちゃ~ん??」

「……」

 

返事がないただの屍のようだ…っと冗談は置いといて。

俺が桜内と手をつないでから、返事がない。

不機嫌な曜は正直めんどくさい。

こんな状態の曜のご機嫌を取る方法は一つだ。

 

「曜コンビニよるぞ~」

「……」

 

自転車を駐車して、コンビニに入る。

曜が好きなものと水を買い自転車へ。

頬を膨らまして、コンビニのベンチで待っている曜の頬に、買った飲み物をくっつけた。

 

「うひゃ!?」

「ほれ、みかんジュース」

「…ありがと」

「おう」

 

曜の隣に座り、買った水を飲む。

曜もみかんジュースを一気に飲み、半分まで飲み干している。

喉乾いていたのか?さてと……。

 

「それで?何で怒ってるの?」

「!!」

 

ビクッと肩を動かしたが、また無視された。

とりあえず、あの時の状況を整理してみよう。

態度が変わったのは桜内と手を繋いでた時だった……。

 

「まさか…繋ぎたかったのか?手を」

「ッ!?」

 

どうやら図星のようだ。

徐々に顔を赤くしていってる。

というかそんなことかよ…。

俺は立ち上がり、手を前に出した。

 

「ん」

「…ん?」

 

どうやら曜に伝わってないようだ。

 

「手…繋ぎたいんだろ?ここから曜の家まで近いし…昔みたいに手繋いで歩いて行こ」

「~~~!うん!!」

 

ようやく可愛いらしい表情になってくれた曜なのだが、曜は手を繋がずに俺の腕ごと抱き着いてきた。

いきなりの行動に驚いたが、曜の表情は嬉しそうだ。

 

 「えへ」

 「あは…どした?」

 「えへへ!」

 「あはは…だからどした?」

 「えへへへ!!」

 「あははは…はぁ、もう好きにしろ」

 

 そういうと曜は更に力を強めて抱きつく。

 曜の胸が腕に挟むような形になってくっついているが、今更気にしてられない。

 はぁ…本当に単純で可愛い幼馴染だな。

 そう思いながら、ため息を吐き帰路を歩いた。

 

 

 

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