王の財宝をフル活用したら人類滅んだ   作:容疑者X

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戦争が終わらない理由をなくしたら蹂躙が起きた

 や、しばらく。そんでフラグ回収乙。まあ、まだ同世界内だしな。いつか来ると思ってたよ。縁は切ったはずなのに何で来てるのかは、まあいいや。意味なさそうだし。説明はいらねえわな?

 

 それじゃあ話そうか。もう言えるぞ、例のごとく。例のごとく、くだらない話だ。

 

 ちょっとばかし時間を遡って、当然のように生きている神を殺して、世界の仕組みが始まる前にぶち壊してみたわけだが、そうするとこの世界、やたらと支配層の形成が遅い。マジで遅い。人と獣の間で能力の差異が全く無いのが原因だ。

 

 そう、姿以外、あらゆる意味であいつらは全部同じだった。個性が一切無い。多種多様ここに極まれりといった様相だった未来とは大違いだ。ぶっちゃけキモイ。虫じゃあるまいし区別のつかない多数が蠢いて共食いめいたことをしているのはマジでキモかった。すごーい、君は共食いを躊躇わないフレンズなんだね!

 

 いや、共食い自体はよくあるんだけどな。雑食の生き物を飢餓状態にして長時間閉じ込めておいたら結構起きる。ていうか前の世界でいつだったかに起きた。ゾンビパニックみたいな事態になった時の話だ。シェルターに閉じ篭って開けられず、恐怖をごまかすためにあらゆる欲求に身を任せた挙句、飢えに負けて互いを食い合った末路を遂げた奴らがいたのだ。ちなみに口元を真っ赤にして出てきた奴にまともな食糧を与えて精神治療を施すと即座に発狂して自殺した。まともな意思がある奴にはきつかったんだろう。ゾンビ? 原因もろとも焼き払ったけど? ただし原因になったウィルス群は普通に王の財宝の中にある。まあ、人類の発明には違いないしな。

 

 話が盛大に逸れた。とにかくそんな、見るに堪えない状態だったわけだ。誰が耐えられないって俺だけど。だってマジでキモかったから。

 とりあえず、適当に選んだ奴らにある程度以上の知能と知識を叩きこんだ。文字通りに叩き込んだ。獣が人類になる程度の進化は起きたとだけ言っておこう。

 それぞれに文化を与え、各々の種族が過ごす位置を指定して、本当にそいつらにしか使い物にならない知識と技術を与えていった。

 

 順調だったさ。何せこいつら全然争わない。生活が一気に変わったから、求める生活水準も一気に引きあがって、争ってる暇なんてなくなったんだろうな。正直いい加減戦争は食傷気味だったからそれぞれの建国風景は楽しく見せてもらった。人間ってすごい。資材と機会があればいくらでも前に進んでいける辺りはマジですごいと思う。呆れるほどの逞しさだ。いや、これも欲望の発露かね。

 

 まあ、ある程度安定したらやっぱり戦争は起きたんだが、それはそれでちゃんと目的があったからいい。死ななくした時は、どうして戦争してるのか誰もわからなくなるくらいにやり続けていたから、頻繁に技術提供をしていたわけだが、こっちではそんな必要もない。戦争が起きる度にそれぞれの要求を聞いて、あっさり叶えていたから長期化もしなかったしな。いや、本当、戦争はもういいと思っていたし、ただ戦争をするための戦争とか意味わかんねえ。

 

 ただ、ちょっと考えればわかるんだよ。戦争を始めればすべての願いが叶い続けるってことの意味。被害がないわけじゃないが、確実に願いが叶えられることの意味をさ。疲労も消耗もないからまったく気にしてなかったんだが、いつしかすさまじい頻度で戦争が勃発するようになった。朝飯食って戦争、魚を取って戦争、薪を割って戦争、昼飯食って戦争、昼寝して戦争、以下略ってなもんで。言ってしまえば、戦争をするために生きているような有様だった。俺を主神にした宗教もできてた。戦争が好きで、戦争をすれば願いをかなえてくれる、夢のような神様だ。兵士の教本にすら載ってた。引いたよ、当たり前だろ。

 

 ところで、宗教ができているって言ったよな。当然のように大本があって、種族の垣根が全くない宗教大国みたいになってたんだよ。この世界自体の仕組みなのか知らないが、祈られる度になんか妙な力も湧き上がるから、調子に乗ってご神体とやらの前でご降臨(笑)してやったこともある。すさまじい熱狂だった。宗教家って怖いな。まあ、そんなことがあったんだよ。

 

 話を戻すと、戦争の言い伝えを知ってから、俺は願いを叶えてやるのをやめた。別にプライドとか無いんだが、わざわざ使われてやる理由もなかったしな。今まで叶えてやってたのと同じ、結局は気紛れだよ。そしたらさ、直前に大本の国の前で戦争をしていた種族国家にほかの全種族が宣戦布告したんだよ。むしろその国家内部で反乱まで起きた。聖戦だとさ。神の怒りを買った背信者を討て、って奴。

 

 引くだろ? 引くよな、引いたよ。幾ら強い道具を持っていようが、曲がりなりにも個人でしかない俺ではなく、群体を組んでいたとはいえ国家と敵対することを選んだんだから。びっくりするわ。当然、そんなんで俺の気が変わるわけもないから、そいつらは聖戦って名前の虐殺を繰り返した。

 

 そして今、丁度最後に残った種族同士が殺し合い、果てに最後の一人が出血多量で死んだ。死ぬ間際に、どこぞの神に何かを大声で問いかけていたが、まあ俺じゃないんだから無視安定だ。

 神と呼ばれたことは多々あれど、本当に祀られることは少なかったから貴重な体験だったんだが、あっさりと終わってしまうのは残念だ。願いを叶え続けないと滅ぶ世界ってのは疲れそうなんでいいっちゃいいんだが、もうちょっと保ってほしかった。あいつら貢物とか全く寄越しやしねえし。いるかって聞かれたらいらないんだが。

 

 教訓は、そうだな。無自覚神様ムーブは危険ってことで。

 じゃあな、いつかまたどこかで会いたくないな。

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