皆はご存じだろうか?東方Projectのゲームの中で『紅魔郷』と呼ばれる作品があることを……その中で主人公となっているのはご存じ、博麗の巫女の博麗霊夢と普通の魔法使いの方の霧雨魔理沙の二人……と、もう一人『冴月麟』と呼ばれる少女がいた。正確には紅魔郷にその名前と使用する技の一部分だけが書かれてあっただけであり、諸事情によりカットされたキャラクターなのだ。そのため、他の作品でも出る気配は一切なく、そういったキャラがいたとも言われない。幻想郷の中の幻にすらならない、つまり存在すらしていなかったキャラクター
それがみんなが知っているであろう冴月麟のこと。
―――――だが、現実は少し違った。
「やっほー!霊夢さん!」
そう言って久しぶりに人があまり来ていない博麗神社でのんびりしていた霊夢のところへやってきたのは冴月麟であった。
「あら、麟じゃない。あんた神社の方はいいの?」
そう、霊夢の言う通り、冴月麟も霊夢と同じく巫女であり、冴月神社と呼ばれるところに住み、働いている。麟は頭をかきながらお世辞を言われたように手を横にブンブン振る。
「いやだなぁ~。霊夢さん以上にウチに来る人はあんまりいませんから基本大丈夫なんですよ!」
「……あんたもしかしてあんまり寝てないんじゃない?目に隈が出来てるわ」
「あ、いや~……ちょっとお仕事の方が進まなかったので夜通しで」
「あんたは大仕事を綺麗に片づける分、体には意識が向かない傾向にあるんだからちょっとは労わるというか加減というものを知っておきなさいっていっつも言ってるでしょ」
霊夢の労いの一言に思わずその場から崩れるように座り込む麟。乙女座りのまま、麟は霊夢に尊敬の眼差しを向けた。
「相変わらず優しすぎますよ霊夢さん……だからファンが多いんですね~。私だって労ってます。でも、ここ一番の大仕事となるとつい……」
「はぁ、程々にしなさいよ。あんたが体調崩して心配するのは私だけじゃないんだから」
「まぁ、嬉しい!じゃあ、この辺りでサラダバー!」
そう言って麟はいなくなった。霊夢は一人になってずずっとお茶を啜ると、ふぅ……と、息を吐いた。
「全く、目立ちたいって理由で仕事すんじゃないっての……」
麟は昔から目立ちたがりな人間だった。そのため、活発的に自分の仕事を周囲に見せつけていた。そのためにはどんな危険なこともしたため、人々の中では嫌でも記憶に焼き付いてしまっている人物となっていた。
これが存在していることを証明した冴月麟の当たり前であった。
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