IS~白い翼と黒い翼   作:豚肉の加工品

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気分で早くなったりするかも……ね?


逃げても最終的には同じところに戻ってくるらしい

俺は今どこにいるでしょーか。

答えはそう!!IS学園です……

 

あの後、結局捕まりましてですね。

IS適性検査を無理矢理受けることになり、ISを使えることが判明し強制的に転入させられることになりました。

 

あ、因みに今は廊下に立ってます。

先頭にいるのは金髪の人、その後が銀髪眼帯の人、それで俺だ。

 

いやぁ……あの後色々あってさ。

あの黒いISは何だ!?とかさ

お前……私を舐めているのか?とかさ

もう凄い剣幕で怒られて、急遽IS学園に転入。

あれから家に帰宅後、両親に俺がISを使えることを伝えIS学園の転入を納得させた。

で、朝早くから呼び出され今こうして廊下に立たされている訳だ。

てかあの織斑千冬って人怖いわ。マジで

 

「どうぞー」

 

そんな柔らかい声に呼ばれ、教室のドアが開く。

 

 

 

 

 

 

うわ………

 

 

 

 

 

 

あまりの視線の多さに意識を持ってかれるところだったわ。

 

どこに視線を移しても女子、女子、女子。

確かに当たり前と言ったら当たり前のことだが、精神的につらい……

 

そして最後は世界初の男性操縦者————織斑一夏に視線を向けた。

何故かその時バッチリと目が合い歓喜に満ちた表情をされたが今は無視だ。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では慣れないことが多いとは思いますがこれからよろしくお願いします」

 

織斑一夏に目を向けていると唐突に自己紹介が始まった。

そしてクラスの皆が呆気に取られていた。

綺麗なブロンドの髪、姿勢も美しく、態度も完璧、更には顔が可愛いときたもんだ。まさにフランスでいう『貴公子』みたいに紳士的な人物だ。

 

なにより織斑一夏と俺を除く……三人目の男性操縦者なのだ。

 

「きゃああああああ」

 

興奮のあまり女子から悲鳴にも似た、歓声が上がる。

それを簡単に沈めてしまうのが、

 

「あー騒ぐな。静かにしろお前ら」

 

俺を連行してきた張本人、織斑千冬だ。

そして隣の先生もそれに便乗するかのように、

 

「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介は終わっていませんから~」

 

とうまい具合に重ねてくる。

金髪の人が終わり、次は銀髪眼帯の人番が来た。

だが一向に自己紹介が始まらない。

 

「ラウラ、自己紹介をしろ」

 

え?何で真ん中に立っている俺を抜かしたの?

新手のいじめ?

 

「はい。教官」

 

礼儀正しく敬礼をし、一言だけ述べた。

 

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 

それだけ言うと、銀髪眼帯の女は軽く周りを見渡し何かを憎悪を含む視線で捉えた。

その視線上にいる人物で何か因果関係がありそうなのは織斑一夏ただ一人。

織斑一夏とラウラ・ボーデヴィッヒは完全に目が合っていた。

 

 

「! 貴様が————」

 

 

突如、ラウラから殺気にも似た様な雰囲気が膨れ上がった。

それもそのはずラウラは腕を振りかぶり、一夏に向けて強烈な平手打ちをしようとしているのは目に見えてわかった。

 

 

パシッと乾いた音が響くと、双葉とラウラの手が繋がり恋人繋ぎのようになっていた。

そして、握られている手は織斑一夏の顔前で止まっている。

 

「おいおい、意味のない暴力は良くないよ?ラウラさん」

 

がっちりと手を掴み何事もなかったかのように話しかける。

他者から見たら急に恋人繋ぎの形をした手を皆に見せびらかしたように見えるだろう。

だがそれは実際違う。

 

双葉が振りかぶる手の平に合わせて手を重ね受け止めたのだ、。

かなり手の平は痛いが我慢する。

そこは掴んだ自分が悪い。

 

 

「それとも、そんなに俺と恋人繋ぎしたかったのか?」

 

 

「何を————」

 

 

「おい早く自己紹介を終わらせろ、黒井」

 

 

ラウラに有無を言わさないように双葉にバトンを託す千冬。

やはりフォローが絶妙だ。

 

「わかりました」

 

ラウラとは未だに恋人繋ぎのまま、返事を返し自己紹介を続ける。

 

「俺の名前は黒井双葉。女じゃないのは確かだ。よろしく」

 

「おい、色々と足りないだろう?補足しろ」

 

面倒だ。と視線で告げても全く伝わってくれない。

結局有無を言わさずに、言う羽目になる。

たがら、もう敢えて抵抗はしない。

 

「男性操縦者で……えーと、中学を卒業した後にあったIS適性検査から逃げ続け藍越学園に入学したんだけど、見つかってIS動かしてここにいます。特技は特になし、趣味は一人になること。よろしく」

 

 

とてもボッチだった人間とは思えないだろう?

ここまで周りの目があるのに話せるボッチはそうそういない。

まぁ、これはあそこに立っているばけ—————、いやとんでもなく美人な織斑先生のご指導の結果だ。

 

 

後頭部に悪寒が走り、恐る恐る千冬の方を見ると案の定睨まれていた。

笑顔も何もなくただ目を合わせてくる。

 

「これでHRを終了する。各自着替えた後、第二グラウンドへ来い。今日はISを使った模擬戦をやる」

 

 

こうして、新たなる生活の一歩が踏み出されることになった。

 

 

 


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