鑑識からの報告で、バットについてたいのは被害者の血液だった。
(中にガラス片が落ちてる……)
聡美は身を乗り出して外を見る。
「ん?」
地面で何かが光った。ガラス片か。
「どうした?」
と、コナン。
「ガラスって、割ると、割れた方向はもちろん、内側にも破片が落ちるよね?」
「ああ。ブローバック現象だな」
「これ、中から割ったんじゃないかしら?」
「バットでか?」
「恐らくね」
「そういえば、あの人は嘘をついたな」
「嘘?」
「先週、体育の授業はあったけど、野球をやったクラスはなかったんだ」
聡美は第一発見者の教員を見た。
「江戸川くん、小五郎さん呼んで」
「え? いいけど」
コナンは携帯で小五郎にかけた。
「もしもし、おじさん? 今、学校で殺人事件が起きちゃって。解決してほしいからちょっと来てよ」
「ぬゎにい!? わかった、すぐに行く!」
それから暫くして、小五郎がやって来た。
「毛利くん、何の用だね?」
「目暮警部殿! コナンに頼まれて事件を解決しに来たんですよ」
「別にお前なんかいなくても解決できるがな」
「まあ、そんなこと言わずに全部この私目にお任せ下さい」
小五郎は事件現場を確認する。
聡美は物陰から小五郎を腕時計型麻酔銃で狙う。
「お前、まさか?」
「そのまさかよ」
パシュ!──聡美が麻酔銃を発射した。
プス!──小五郎の首筋に麻酔ばりが刺さる。
「フニャ!?」
小五郎は校長室の椅子に座り込み、眠りについた。
コナンは聡美に訊ねる。
「誰が声を出すんだ?」
「私」
「じゃ、これを」
コナンが蝶ネクタイを取り出すが。
「いらないよ」
聡美は小五郎の背後に駆け込んだ。
「毛利くん、どうしたんだね?」
と、目暮警部。
「犯人がわかりましたよ、目暮警部」
と、小五郎の声が聞こえてくる。
コナンが聡美を見ると、蝶ネクタイ型変声機を使わずに、小五郎の声を出していた。
「何?」
「犯人は、第一発見者のあなたです!」
驚き戸惑う教員。
「え? 僕が犯人?」
「私の後ろのガラス、あなたが割ったんですよね?」
「いや、それは体育の時間に生徒が打った球が当たったんですよ」
「それは嘘です」
「嘘?」
「先週、体育の時間はありましたが、野球をやったクラスは一つもありませんでした。なぜ、そんなことを?」
「えっと……、それは……」
「あなたは今しがた、被害者をバットで殴り殺し、そのバットをガラスに向かって投げ飛ばしたんです!」
「で、でも窓ガラスの前にガラス片が落ちてるじゃないですか! それは外から割れたってことでしょう!?」
「ブローバック現象ですよ」
「……!?」
驚く教員。
「物には抵抗力があり、ガラスを割ると割れた方向だけでなく、割られた方向にもガラス片が飛び散るのです」
「ぐっ!」
その場に崩れる教員。
「校長が、あいつが悪いんだ。俺の妻を寝取るから……!」
「あとは署でお聞きします」
教員が警察官に連行された。
小五郎が目を覚ます。
「毛利くん!」
「警部殿……?」
「またまたお手柄だぞ。お前に警察を辞められて後悔してるよ」
「はて?」
「小五郎さん、お手柄だったね」
と、聡美。
「そうだよ。名推理だったよ!」
コナンに言われ、「そうか? なーはっはっは!」と笑う小五郎であった。