魔弾の王と戦姫 魔弾が紡ぐ未来   作:開閉

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 ちょっと時間が擦れましたが、連続で投稿します。前のと少し内容が違います。


第九話 姫と烏のお出掛け

 あと一月少しほどで、冬を迎える秋の後半のある日の昼。最近にしては珍しく日差しが強いおかげか、この日は時期に見合わない暖かさがあった。

 そんな天気の中、一組の男女がいた。二人は同じ色の黒い瞳と髪をしている。違うのは、服装の色だけ。男は黒一色で、女性が白一色。

 男女は手を繋ぎ、大勢で賑わう城下町の様子を見渡しながら、歩いていた。

 

「気分はどう?」

 

「すごく良い。二年振りだからね」

 

「そりゃ良かった。沢山、楽しんでくれよ」

 

「勿論」

 

 テンションが最高潮の女性に負担を掛けぬよう、男性は上手く彼女の歩調に合わせて歩く。

 口調や手を繋ぐ様子から、二人は一見、恋人のような親しい仲にも見えそうだが、二人の実際の関係はまったく異なる。

 

「あっ、マサト――じゃなくて、リョーカ。あれ食べたい。……駄目?」

 

 歩く途中、女性がある方向を指差す。その先には、露店があった。

 売ってるのは、ジャガイモのバター焼き。シンプルなメニューだ。漂うバターの香りが食欲をそそる。

 

「……まぁ、ちょっとぐらいなら良いけど」

 

 護ると言う意味の名、アレクセイ。その愛称のリョーカを偽名を呼ばれた青年は許可を出した。

 

「やった」

 

 嬉しいのか、女性は空いた片手を握り締める。二人はその店に立ち寄り、一個購入。買った直後に、それを別ける。

 

「へぇ、恋人同士で一つを別けてか。仲が良いねぇ」

 

「まぁ、悪くはないけど」

 

「彼に同じく」

 

 二人は苦笑いする。手を繋ぎ、一つのを二人で食べる様を見て、恋人と勘違いしても無理はないだろう。

 ――実際は、まったく違う関係だけど。

 自分と彼、マサトは主従関係。一応だが、自分が主でマサトが臣下。それなのに、自分が砕けた口調なのは、主である彼女の要望からだ。更に、要望はもう一つある。

 

「もぐもぐ……。うん、美味しい」

 

 

 久々に外食いしたジャガイモの味に、アレクサンドラは満面の笑みを浮かべる。

 

「あんたの感想は?」

 

「中々」

 

 焼き加減、バターの量など、決して悪くはないのだが、今はリョーカの偽名を使っているマサトとしては、可もなく不可もなくの感想以外にない。

 更に言えば、アレクサンドラが美味しいと言っているのは気分により補正だろうと、身も蓋もない感想を抱いていた。口には出さないが。

 

「何か腹立つな。まぁ、恋人の可愛い嬢ちゃんに免じて、許してやるけどよ」

 

「ありがとう。あと、ごちそうさま」

 

「ごちそうさま」

 

「また来いよー、嬢ちゃん」

 

 微妙な返答への仕返しか、アレクサンドラだけにそう言った店主の声を聞き、二人は再度歩く。

 

「あー、美味しかった」

 

「そりゃ何より。ただ、あまり食うのは許可しないからな。あと、一つか二つだけ」

 

「分かってる」

 

 久々の外出のせいか、何時もよりも気分が良さそうだ。鬱憤がかなり溜まっていたのかもしれない。

 ――やっぱ、して正解だったかな。

 これだけ開放すれば、相当なリラックスになるはず。身体にも良い影響を与えてくれるだろう。残りは、この外出を問題なく済ませるだけだ。

 

「――えい」

 

 頬っぺに、何かが軽く当てられる。見ると、それはアレクサンドラの人差し指だった。

 マサトが視線を向けると、アレクサンドラはあと三回ほどつつく。ぷにぷにと、結構良い肌の感触が彼女に伝わった。

 

「おー、結構柔らかい」

 

「……何してんの」

 

「いや、誰かさんが少し堅そうな表情で色々と考えてたからね」

 

「歩幅は下がってないし、注意は払ってる。別に良いだろ」

 

 何かしら話し掛けられれば、直ぐに彼女の方に意識を戻す気でいる。それに、自分は彼女の体調を注意を払わねばならない立場なのだ。その思案をするのは、当然である。

 

「君のことだから、それぐらいの注意は払ってると思うけどさ。今日は僕が楽しむ時間でしょ? そういう、堅い表情をするのは好きじゃないな」

 

「それは命令?」

 

「頼みだよ。嫌なら良いけど」

 

 少し不満げな表情を浮かべる主だが、自分は今日、彼女の言うことは健康に影響するもの以外は、頼み、命令のどちらでも、内容は何でもあろうと聞くと決めている。

 その彼女がこう言うのなら、それに従うまでだ。

 

「はいはい、わかりました。この時間の間は、止めるよ」

 

「ありがとう。ただ、それはそれとして、君、僕のあっちの名前、最初の以降一度も口にしてないよね。意識してるでしょ」

 

「主だしな」

 

「欠片も気にしてない癖に」

 

 主の頼みで、フランクに接しろと言われても、一応であっても自分と彼女は主従。区切るべき箇所は区切らねばならない。

 

「じゃあ、頼もうかな。僕の愛称を言って」

 

「……はぁ。――サーシャ。これで良い?」

 

 誰が見ても分かるほどの、已む無くといった表情で、マサトはアレクサンドラの愛称――サーシャを言う。

 

「もう一度。今度はもっと親愛を込めて言って貰おうかな?」

 

 こう要求するのは、ぶっちゃけるとからかう為である。マサトが困る様子を見たいのだ。

 

「……んっ? 今、何か言った?」

 

「あっ、こらっ。無視しないの」

 

 主が無茶な要求したため、マサトはスルー。サーシャはそんな臣下に少し膨れっ面になる。

 主従の二人がこうして外出することになったのは、半月前、サーシャが言ったある台詞が切欠だった。

 

 

 ――――――――――

 

 

「外出って――駄目?」

 

 その日は改善が始まってから半月と一日が経ち、数度の血液検査の次の日。

 外を見ると、パラパラと小雨が降っていた。その日も勿論、マサトはオルガを連れて主の治療に関しての診察などをしていた。

 改善の効果がはっきりと現れたことを告げ、必要な行程が全て終わり、オルガが退室したあと、マサトは今日も何かの話をしようとしたが、その前にサーシャがちょっと可愛げと気まずさが混同した表情でそう言ったのだ。

 一応の主のその台詞に対し、マサトは数秒だけポカンとした表情で固まるも、直ぐにこう返した。

 

「何か言いましたか?」

 

「えーと。だから、外出なんて――」

 

「な、に、か、い、い、ま、し、た、か?」

 

 にっこりと、一言ずつ、マサトはそう言い放った。但し、目はまったく笑っておらず、背後からは黒いオーラが溢れている。

 

「ううん、何も言ってないよ。あはは」

 

 サーシャはぶんぶんと高速で横に振る。はっきり言って、滅茶苦茶怖い。

 

「だったら、大人しくしてください」

 

「……はーい」

 

 心底残念そうな表情はサーシャは浮かべた。立場上の臣下でしかなく、彼の性格上言えば、十中八九、こうなるのでは分かっていたが、それでも少しぐらいは許可してくれるのではないかと期待していたのだ。

 ――まぁ、仕方ないか。

 最近、漸くはっきりとした改善の成果が出てきたばかり。それなのに、態々悪化させに行くなど、愚行にも程がある。マサトでなくとも、反対するだろう。

 彼に反対されたおかげか、スッキリはした。さっきのは聞かなかったことにしてと言おうとしたが。

 

「――確か、二年、でしたか? 貴方が寝たきりの生活を送ってから」

 

「え? うん。まぁ、そうだけど……」

 

「……」

 

 顎に手を当て、マサトはしばらく考え込む。さっきは思わずああ言ったものの、それだけ寝たきりの生活を過ごせば、改善の兆候が出てきた今、不満と欲から外に出たいと言っても仕方のないことかもしれない。

 

「マサト。もうその事は忘れて。我が侭にも程があるからさ」

 

「…………」

 

 サーシャはこう言っているが、不満はあまり溜め込むと、大きなストレスになり、身体に何らかの異常が生じる恐れもある。発散させる方法があるなら、実行すべきだ。

 しかし、今すぐは無理だ。血の病もそうだが、彼女の体力が持つか怪しい。

 ――となると……。

 マサトは新しい予定を組み立てていく。だが、これを実行しても、外出、しかも長時間のとなると、最低でも三ヶ月は様子を見たい。

 

「マサトー? 話、聞いてるー?」

 

「………………」

 

 しかし、その頃は冬。しかも、ジスタードの冬はとても厳しい。防寒具があっても、外出は無理がありすぎる。

 ――春まで待つしかない、か。

 その場合、それまで彼女の不満をどう発散させるか。話以外の何らかの方法を模索する必要があった。

 ――とりあえず、試験をしてからか。

 予定が決まり、マサトは早速話すことにした。

 

「アルシャーヴィン様、運動しましょう」

 

「……僕の病は運動すると悪化するよね?」

 

 活性化により、反応が強くなってしまう。運動は厳禁のはずだ。

 

「確かにそうですが、抑制状態なら改善が見込める可能性もあります。体力も付きますから、続ければ限定的な外出ならできるようになるかもしれません。ただ、まだやってないので実験に近く、どうなるかも不明。なので、これを行うかの判断は貴女に一存します」

 

 その説明を聞いて、アレクサンドラは迷う。自分の判断一つで、悪化するか可能性になるのもそうだが、下手すると一応の臣下だが彼にまで責任が及ぶのが気がかりだ。

 しかし、外に出たいという欲求があるのも事実。それに改善の可能性も。迷いに迷ってしまう。

 

「……とりあえず、試してもいい?」

 

「構いませんが」

 

 どちらにせよ、自分は治療が円滑に進めるため、彼女の意を汲むだけだ。

 

「ありがとう。じゃあ、今日からは……無理かな」

 

 自分と彼は実行すると決めたものの、改善もあるが、リスクのあるこの方法を臣下達がはいそうですかと賛同するか怪しい。何れにせよ、話しておく必要はある。

 

「一先ず、これは話が終わったあとにします。今は話を」

 

「そうする」

 

「聞きたい内容は?」

 

「今日はスポーツ、だったかな? それについて色々と聞きたい」

 

「承知しました」

 

「残り、五十七分十二秒。沢山楽しませてもらうね」

 

 サーシャは布団の下から臣下の贈り物、金のメッキに、不死鳥の意匠が刻まれた懐中時計を取り出し、カパッと開いて時を見る。時間は今、午前九時、二分四十八秒だった。

 

「では、どうぞ」

 

 マサトは向こうにあるスポーツ、サッカー、バスケット、野球、バレー、テニス。他にも様々なスポーツの内容を話していく。

 サーシャはそれらをする様を、脳内でイメージしながら楽しく聞き、時に気になる点を質問していった。

 

 

 

 

 

 話が終わり、昼にこの案を同僚達に報告したマサトだが、危険もあるために反対の声も多かった。

 サーシャも、臣下達の様から周りに迷惑や心配を掛けることに後ろめたさを感じたので、一度は中止になっていた。

 しかし、ザウルやマドウェイ、一部の臣下達からは二年も一切外に出ていないサーシャの心境を汲むべき、とりあえず一度だけは様子を見るべきではとの声が上がっていた。

 最初は反対派の臣下達も、今まで病の中でも頑張ってきた主の為になるのならと賛同していき、実行されることになった。

 その後は、サーシャは体力作りのため、マサトから提案された血の病を刺激しない範囲の量の軽いトレーニングを少しずつ増やしながら行っていった。やるのは勿論、城内である。

 二年も寝たきりが多い生活だったため、最初は一日、五分にも満たない時間しかトレーニングは行えなかったものの、本人のやる気や治療が上手く進んでいたおかげで一月経つ頃には、体力はゆっくりの歩きかつ、一時間半ちょっとまでなら何とかなる程度には戻る。

 血の病も、活性化しない範囲のトレーニングや薬の改良や食事で抑えれたため、進行はまったく無かった。

 そして、その日は冬が近付く時期にしては珍しくとても暖かい日で、外出に適していた。

 もしかしたら、外に出れる許可が与えられるのではないかと、サーシャは意を決して外出を申し込む。

 体力の状態から、マサトもザウル達も彼女の頼みにしばらく悩みに悩んだが、この絶好の機会を逃せば、来年まで外出出来そうにないため、半刻半だけ時間を許し、サーシャは二年振りに外出することとなった。

 ただ、臣下達としては、暴漢や万一の恐れがあるので、まだ弱った彼女一人を外出させるわけに行かなかった。

 となると、護衛の人数や誰にするかを決める必要があった。

 しかし、サーシャが目立つのを避けたい、気楽にしたいと、時間も暖かさが強い昼直ぐではない、というかなり厳しい要望を出したため、とことん話し合う羽目になったが。

 話は最終的に反対意見もあったが、力や実力を持ち、担当医師でもあり、更に歳が近くて相手としては不自然ではないマサトが護衛として最適ということで話が纏まる。

 ちなみに、マサトを異界人だと知るザウルやマドウェイは、工作員の可能性が残っていることから反対だったが、言うわけには行かないので已む無く賛成することになったのは余談だ。

 何はともあれ、サーシャとマサトが一緒に外出することになったのであった。

 

 

 ――――――――――

 

 

 そして、体力温存のため、サーシャを木で作られた車椅子で門まで運び、外に出た現在の昼の三時ちょっと。

 異なる世界のマサトと、この世界のサーシャの男女は一緒に城下町を歩いているという訳であった。

 手を繋いでいるのはサーシャをはぐれないため、マサトが口調が抜けた状態なのは、サーシャがそう要求したから。

 愛称呼びもだ。気軽に呼ぶことで、一番良い精神状態にするのと、彼女が戦姫ではないと思わせる目的もある。

 サーシャが二年も城で生活していた、インターネットも無いので情報も少なく、彼女がこうしても公国を治める戦姫だとは誰も気付いてない。

 ――残り、一時間二十五分。

 懐中時計を取り出し、時間を確認。もう五分は過ぎているので、残りは八十五分しかない。

 時間やサーシャの歩行速度から、多くの場所を回ることは不可能なので、マサトは事前にザウル達や自分の見回りで集めた情報を元に、決めた進路を歩いていた。

 二人が歩いているこの通路は、多くの遊びの露店がある。

 今のサーシャは食事を決められている。そんな彼女に食べ物の露店が多い所を案内しても無駄だ。それよりは、退屈を紛らわせる遊びの方が良い。そう判断してだった。

 

「リョーカ、あれやりたい」

 

 少し歩くと、サーシャの瞳に一つの露店が目に入る。内容は離れた場所の的に手投げの矢、ダートを当てて得点を競うダーツだ。ルールは三回投げ、その合計点を決める簡単なものだ。

 ――たまにはやってみるか。

 基本、こういった遊びには金の無駄遣いと興味を示さないマサトだが、そんな素っ気ない態度ではサーシャが楽しめないだろう。

 今日は例外ということで、サーシャと一緒に代金を払う。二人はそれぞれ三つのダートを受け取り、サーシャが先に投げる。

 

「えい」

 

 うきうきとした気持ちでサーシャは手首を軽く振り、ダートを投げる。ダートは軽い弧を描いて的に刺さる。但し、得点は低い。

 

「当たった」

 

 サーシャは軽く喜び、二つ目を投げる。今度は先程よりも中心に近いが、得点はやはり低い。

 ただ、サーシャはそんなことを全く気にせず、当たったことをまた喜んでいた。その気分のまま、最後の一つを投げる。

 矢は中心ではないが、それなりの得点の場所に突き刺さる。結果は三つ共当たっているが、得点は低い。

 

「んー、こんなものか。次は君」

 

 次はマサトの番。サーシャの時と違い、ハイペースで三本のダートを投げ、二つが命中。当たった数は一本少ないが、得点はサーシャより上だった。

 

「俺の勝ち。になるかな」

 

「だね。残念」

 

 口ではそう言っているが、表情にはそんな素振りは欠片もない。

 

「……景品選びな」

 

 結果に対しての景品を選ぶ二人。マサトは木彫りの鹿、サーシャは鳥の縫いぐるみを選んだ。どちらも悪くはない出来栄えだ。

 

「またな」

 

 二人はそれぞれの景品を手に、別の露店に向かう。射的や通貨投げ、九柱戯などを楽しみ、次の露店に着く。

 

「次あれ」

 

 次の店は的当てだ。使うのは、軽くてそんなに固くない球を九つの的に当てるルールだ。ただ、ダーツのように箇所によって得点に差がある。真ん中は百だが、小さい。

 三百以上なら一番良い物を受け取れるそうで、太陽と月をモチーフにした金と銀のアクセサリーがそうだった。

 出来も材質もかなりの高価な代物に見える。しかし、真ん中以外での一番高い得点は二十五。

 つまり、高得点にするには真ん中を一回は当てないとならないが、距離もあって的の大きさも球よりも僅かに大きい程度。高得点を取るのは非常に難しいだろう。

 

「頑張りな、嬢ちゃん」

 

「行くよ」

 

 サーシャが軽く放り投げる。ただ、一投目は力が足らず、当たる前に地面に落下してしまった。

 その後は的を飛び越したり、一番低い箇所に当たったりして終わる。結果は百にも届いていない。

 

「結構残念」

 

 さっきと違い、少し残念さが込もっているようだ。

 

「僕の分も頑張って」

 

「まぁ、それなりには」

 

 マサトが球を手に取る。集中し、その際の感触、重さ、形をしっかりと目や体に叩き込む。

 身体や手首を使い、球を投げる。勢い良くは進んだが、方向が完全に明後日だった。

 

「……」

 

「あらら」

 

 サーシャの残念、と言いたげな声をマサトは無視して集中。球を次々と投げ、残りは三球になる。

 

「おいおい、兄ちゃん。一個も当たってないぜ?」

 

「そうだよ~。もうちょっと真面目に――」

 

 サーシャと男に話し掛けられるも、マサトには聞こえていない。今はただ、集中していた。

 ――次を外したら、無理だな。

 しかし、集中は程よく維持する。息を吐いて無駄な力を抜き、球をしっかり持つと八球目を投げる。 球は一直線に進むが、途中で軌道が僅かに変化。そして、その先は――一番小さい的。一番高い得点のヶ所に命中する。

 

「なっ……!?」

 

「お~。百点!」

 

「次。勿論、その球」

 

「お、おうよ。ほら」

 

 同じ球を受け取り、再度集中と深呼吸。そして、九投目。球は先程とほとんど同じ軌道で飛び、また最高点の的に当たる。

 

「連続……!?」

 

「これで二百。つまり……」

 

 あともう一回中心に当てれば、三百。つまり、一番良い景品が貰える。

 

「最後。分かってると思うけど、その球」

 

「……ほらよ」

 

 最後の一球。マサトは特に焦る事もなく、作業をするように球を投げる。球は先の二度とほぼ同じ動きを取り――中心に向かって当たる。但し、今回は中心と隣の間付近にだった。

 

「これ微妙……」

 

 本当に真ん中のため、店主の判断次第では、二十五点になる。その場合は二百二十五。三百にはならない。どうなると、二人はじーと店主を見る。

 

「あー、負けだ負けだ。くれてやるよ。受け取りな」

 

「良いのか?」

 

「折角だ。くれてやるよ」

 

 一番難しい中心に三度も当てたのだ。正直、敗北を認めざるを得なかった。

 

「まっ、それなりには儲けたし、次への改良の参考にもなった。その礼にやるよ」

 

「ちゃっかりしてるな」

 

「そうでもないと、商売人はやってられねえよ。ほら」

 

 店主はマサトに太陽と月の飾りを手渡す。金の太陽には、中心に赤いガラスが。銀の月は太い三日月の形状に、空いたスペースに青いガラスがある。

 

「恋人同士で付けな」

 

「じゃあ、俺は……」

 

「リョーカは太陽。僕は月。ぴったりでしょ?」

 

「ぴったり?」

 

「君は名前、僕は称号」

 

 ――あぁ、なるほど。

 最近は呼ばれなくなったが、自分の名前は天陽雅人。つまり、太陽の名を持つものだ。

 そして、サーシャの称号は、煌炎の朧姫。この内、朧には月の文字がある。それを考えると、確かに自分が太陽、サーシャが月なのに一応の納得は行く。

 

「という訳で決まり。そっち貰うね」

 

 サーシャがひったくるように月の飾りを取り、自分の首に掛ける。

 

「どうかな?」

 

「似合ってる」

 

 メッキだろうが、銀の煌めきや青いガラスの輝きが彼女の魅力を引き出していた。

 

「次は君」

 

 渋々と言った感じだが、マサトは太陽の飾りを首に掛ける。

 

「どう? あまり似合ってないと思うけど」

 

「そんなことないよ。よく合ってるよ」

 

 皮膚以外、黒のせいか、金の太陽と赤のガラスはよく目立つ。ここまでなら飾りが目立つだけだが、何と言うか不思議な一体感があった。彼が陽の名を持つ者だからかもしれない。

 

「世辞として受け取るよ」

 

「そうしなさい。あと、さっきのは凄かったなあ。得意なの?」

 

「集中して、どう持ってどう投げればどう行くかを計算しただけ。七回しか無かったから、八回目ははっきり言って運だったな。最後も擦れてたし」

 

「いや、それ結構凄いからね?」

 

 然り気無く、マサトは言っているが。たったの七回で軌道、正解の持ち方、投げ方、力加減を大体把握した。かなり凄い。

 

「何にせよ、楽しませて貰ったね。次行こう」

 

「あぁ」

 

 この後も、様々なゲームや一度したゲームをもう一度楽しみ、二人の時間が流れていく。そうして懐中時計を眺めると、もう戻る時間だった。

 

「今日は終わり。帰るぞ」

 

「あと、一時間だけなんてのは――」

 

「……何か言った?」

 

「ごめんなさい」

 

 鬼のような表情のマサトに、サーシャは速攻で謝罪する。

 

「で、でも、あと一ヶ所だけ行きたい所があるんだ。其処は駄目?」

 

「……ここから、どれぐらい?」

 

「……結構距離があるから、刻限は確実に越えると思う。それも、かなり」

 

 ならば、それを認める訳には行かない。既にかなりの体力を消耗しているはずだ。帰る際の歩行による消耗を考えると、今すぐが最善だ。

 

「我が侭だって、分かってる。今、こうして頼むことさえ――ううん、本当なら、ここにいることさえ、既に相当な無茶で、君や皆にとても心配を掛けているのも。それでも……お願い」

 

 ありったけの想いを込め、サーシャも頭を下げる。行きたい理由も我が侭で、この日に限定する必要も無かった。それでも、行きたいのだ。

 

「……はぁ。まぁ、中途半端に残るよりはマシかな。良いよ」

 

「――ありがとう」

 

「但し、限界だと察したら首根っこ掴んでも、直ぐに連れて帰るからな」

 

「うん」

 

 消耗を抑えるべく、少しずつ歩いていく。そうして四十分後、本来なら公宮内に着いている時間。目的の場所に着く二人。どうやら、城下町で一番大きい広場らしい。

 

「ここに何があるんだ?」

 

「……正確には、この広場の一ヶ所なんだ。あそこ……」

 

 限界寸前で、辛そうに呼吸を荒げながらも、サーシャは何とか指差す。そこは複数ある植木がある場所の一つ、その隅だ。

 

「……大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫……!」

 

 マサトはサーシャの華奢すぎる手を取り、肩を貸しながら進むのをサポート。静かに植え木の縁に腰を下ろす。

 

「本、当に、ありが、とう……」

 

「まったく……。で? 無茶してまで、何でここを?」

 

「……あっち、見て」

 

「ん……?」

 

 向くと――夕焼けによって、仄かな朱に照らされ染まる空や雲、植木、通路や建物や公宮が見えた。

 思わず見とれるほどの、美しき夕焼けの世界、そう呼ぶに相応しい風景が其処にあった。

 

「僕が、まだ元気だった頃、見つけた場所……。夕焼けが出る、時間帯にしか、見れないの……。その中でも、ここは一番良い景色なんだ……。どう、かな?」

 

 サーシャが出る時間を決めたのは、このため。暖かさを退けることは出来なかったので、刻限を破らない限りは夕焼けを見れなかったが。

 

「……綺麗」

 

 純粋に、そう思った。それ以外の言葉は不用で、邪魔でしかないと。

 

「良かったあ……」

 

 そう言ってくれて、サーシャは何故かホッとした。

 

「ただ、そうなってまで、見せたくは無かったな」

 

「ごめん……。けど、二年ぶりの外出だから……夕焼けも含めて外、ここで見たかったんだ……」

 

 この二年、外の景色は建物の中からしか見ることが許されなかった。

 最初はそのことは仕方ないと思いつつも、何時しか外で自由に見たいという願望が募っていたのだ。

 そして、今日は青空に夕暮れ、二つの空を外で見ることが出来た。

 

「こんなに、我が侭聞いてくれて……本当にありがとう。……これしか言えなくて、ごめんね」

 

「気にすんな。それよりも、久々の景色なんだろ? あと数十秒待ってやるから、その目と記憶に焼き付けろ」

 

「もう、良いよ……。これ以上は……迷惑掛けちゃう」

 

「とっくに掛かってるっの」

 

 少なくとも、公宮に戻った瞬間に色々と説教されるのは確実だろう。

 

「ごめん……」

 

「謝ってばっかだな、まったく。ほら、次は来年なんだから沢山見る」

 

「……じゃあ、もうちょっとだけ」

 

 金の不死鳥の意匠が施された懐中時計を取り、機械音と一緒にこの風景を一分だけ楽しむ。

 短いながらも、濃厚な一分があっという間に過ぎていく。

 

「もう、充分……。戻ろう」

 

「分かった。ちょっとあの道に」

 

 表街道ではない道にサーシャを案内し、そこでマサトは足に付与を加える。次に彼女に背を向けて屈む。

 

「乗って」

 

「えっ、わ、分かったよ」

 

 一瞬躊躇ったサーシャだが、とりあえず身体を預ける。胸が当たるが、そこは仕方ない。第一、マサトはまったく気にしてない。

 マサトは腰にある帯を取り出し、自分とサーシャを繋げる。彼女に負担を掛けないようにしつつ、身体をしっかりと固定する。

 

「力は入れなくていい。ただ、口はしっかりと閉じて。あと、驚かないように」

 

「う、うん」

 

「――スタート」

 

 ドンと石の道を蹴り、全速力で路地裏を駆け抜ける。サーシャを背負ったまま。

 

「わ、わわっ……! す、凄いねっ……!」

 

「舌、噛むぞー」

 

「でも、凄いもん、これ……! あははっ……!」

 

 不謹慎と分かりつつも、サーシャは高速による景色の変化と風を楽しんでいく。それは公宮に一番近い表道路に出るまでの十分間続いた。

 

「――停止。ここからは、ゆっくり歩くぞ」

 

「目立つものね」

 

 裏街道ですら、すれ違った人達が二人の様に仰天していたのだ。夕暮れだが、まだ人の動きが多いので、衝突を避けるためもある。

 今度は速度を通常時に戻し、公宮まで歩くマサト。ただ、人を背負っている、しかも男女なのでやはり目立つが。

 

「……ちょっと恥ずかしいかも」

 

「我が侭の罰。これぐらいは受けろ」

 

「そうします」

 

 散々我が侭を言い、マサトを含めた沢山の人に心配や迷惑を掛けたのだ。これぐらいは当然。寧ろ、そのつけにしては安すぎるぐらいだ。

 

「でも、君は全然動じてないよね」

 

「何で動じなきゃならないんだ?」

 

 その台詞通りに、あっさりとマサトは告げる。彼にとって、この行動はサーシャのためのもの。恥じる理由がない。

 

「色んな意味で凄いなあ、君って。それに――」

 

「それに?」

 

「逞しい。やっぱり男の子なんだね」

 

 軽めの自分とはいえ、人一人を背負い、全力で走ってもいる。なのに疲れた様子がまったく無い。自分に伝わる背の感触からも、身体がよく鍛えられているのが分かる。

 

「あのさあ、俺は向こうじゃ、自衛隊――兵士だったんだぞ? これぐらい出来て、当然」

 

 しかも、最近は密度の高い仕合もこなしている。体力は充分あるのだ。

 

「そういや、そうだっけ」

 

 自分に仕えていたので、すっかり忘れていた。そうであれば、色々な作業をこなせるだけの体力もあるのだろう。

 

「最近の成果はどう?」

 

「急激な進展は無い。ちょっとずつが限界」

 

「それでも、僕の病を発作が出なくなるまで改善したり、こうして外出を可能にまでするんだから、凄いと思うな」

 

「運動については、微妙だったけど」

 

 現在、サーシャの体調は発作が出ることないレベルまでには安定していた。最低限の運動を含めてもだ。

 ただ、運動による改善だが、残念ながらマサトが思うほどの効果は無かった。抑制状態でも、減少よりも増加の方が僅かながら上回っているため、長時間は発作を起こしてしまう。

 日常を最低限過ごせるようになるのが、限界だった。戦闘など、以ての他である。

 

「確かさ、君の推測なら、発症する前から治療していれば、もっと改善出来たんだっけ?」

 

「多分」

 

 普通の人と変わらない程度の日常を暮らすことは出来ただろう。ただ、戦闘や運動は刻限付きが絶対だが。

 

「もっと早く、君が来てくれたらなー、って最近思うよ」

 

 そうすれば、体はもっと良くなっていたに違いない。

 

「他の人もそう言ってた」

 

 具体的にはザウルやマトヴェイを筆頭に、他の人からも言われていた。もっと早く来てくれたら、どんなに良かったかと。

 

「その事で、何か嫌なこと言われてない?」

 

「特に」

 

 お礼こそはあったが、その逆は一つも無かった。聞いてないだけかもしれないが。

 

「それは良かった」

 

 それなりにここに馴染めた証拠だ。その内、多くの親しい人が出来るだろう。とそこで、サーシャは一つ気になった。

 

「そういえばさ、向こうには恋人とかいないの? 家族や友人も」

 

 今日、自分とマサトは一緒に出かけ、年が近くて仲好さげな様子から恋人同士と勘違いされたが、そもそも、彼に恋人、家族、友人はいないのだろうか。

 向こうの恋愛は知らないが、一度や二度ぐらいは恋してても不思議ではない。家族や友人についても、一人ぐらいはいるはずだ。

 

「いない。友人以外は必要もないし、興味もない」

 

 即答だった。間は一瞬も無く、彼が本心でそう言っているのが分かる。更に友人が必要な理由も、普通と考えが異なっていた。自分一人では出来ない範囲を広げるためのだ。

 

「……どうして?」

 

「俺には、命を守るために戦う。それだけで良い。恋人とか家族とか、余計な物でしかない」

 

 それは、純粋な想いからの発言。しかし、それ故にサーシャは寒気を感じた。恋人や家族を余計なもの呼ばわりするのだから。

 

「……恋をしたいとか、思ったことないの?」

 

「無い。言ったろ? 興味もない、って」

 

 こんな自分に好意を寄せる物好きがいるかどうか、怪しいものだ。

 

「じゃあさ。仮に恋人を作るなら、どんな人が良いか、とかは?」

 

「仮に、ねえ……」

 

 何でこんなに聞いてくるのか、マサトは不思議に思う。自分にはどうでもいい話でもあるが、今日は命令は聞くつもりだ。故に、純粋な気持ちで告げる。

 

「自分の全てを受け入れ、理解してくれるなら、誰でも良い」

 

 ――……全てを受け入れ、理解してくれるなら、誰でも……か。

 その台詞に、サーシャはピクンと反応する。内にある期待と言う名の種が、口を勝手に動かす。

 

「……もし、その人が病人でも、そう思える?」

 

「先ずそんな人が出ることあり得ないけど。まぁでも、もし出たとして、その人が病人だとしても関係ないな」

 

 鼓動が少しずつ高鳴る。心地よい暖かさが、身体に巡っていく。

 

「……その人の病が、治る見込みのない不治の病で、その人が余命幾許もない、明日をも知れない命だとしても?」

 

「当然。本当に愛しているのなら、その程度で引くわけないだろ。最後の最後まで、その人を強く思う。それが愛ってものじゃないのか? まぁ、経験したことのない俺が言っても説得力無いけど。あと、悪人は勘弁」

 

 純粋ながらも、現実的な意見を青年は述べた。

 

「……そっか。君って厄介だね」

 

「はぁ? どういう意味だよ?」

 

「教えません」

 

 ――本当、厄介。

 よりによって、どうして彼なのだろうか。異界人で、工作員かもしれない人物なのに。異界の知や治療のため、利用していた相手に。

 さっきの発言から意図を察し、自分をそうさせるために言った。充分に有り得るが――そう思いたくない、彼は純粋に答えただけと思い、立場故に全力で警戒せざるを得ず、それが辛いと思う自分も厄介だ。

 ――僕って、単純で騙されやすい型の人間なのかなあ?

 前にも一度あったし、自分は案外そんな人物なのかもしれない。自分の未熟さに、サーシャは深い溜め息を吐く。

 

「はぁ~……」

 

「……本当にどうした?」

 

「元凶さんは黙ってなさい。――えいっ」

 

 自分を惑わせる元凶の異界人の頭に、サーシャは軽くチョップする。そんなに力は込めてないので痛くはない。

 

「……何すんだ。第一、元凶って何の元凶だよ。まったく……」

 

「自分で考えなさい、元凶さん」

 

「……踏んだり蹴ったりだな」

 

 マサトからすれば、心配を足蹴にされるわ、元凶と呼ばれるわ、チョップされるわ、質問は無視されるで、言葉通り踏んだり蹴ったりである。はっきり言って、まったく訳が分からない。

 

「あと少しで到着」

 

 結構話していると、公宮の門が近付いてきた。

 

「もう少しで、終わりだね」

 

 この時が、終わる。それは残念だが仕方ない。

 

「俺の説教は始まるけどな」

 

 はぁと、マサトはため息をもらす。車椅子でサーシャを部屋まで送り、体調を確認すれば、その後は説教だろう。最低でも半刻は確実だ。

 

「大丈夫、僕が口添えしてあげるから」

 

「是非とも頼むよ」

 

「その代わり、明日からは今まで以上に酷使してあげる」

 

「……とんだ、ブラック企業だな」

 

「それなに?」

 

 初見の言葉、黒と企業が合わさって単語に、気を反らす意味を込めてサーシャは尋ねる。

 

「あっちにある労働基準や法律、命令を無視、他にも法や立場を悪用して、働く人に長時間の労働や残業などを強制する人や企業のことだよ。ちなみに、その反対はホワイト企業。ぴったり当てはまるな。訴えたら、勝てるかもな?」

 

「それは君の世界の法ででしょ。こっちには無いので、無関係です」

 

「うわ、典型的なブラック企業の人が言う台詞の類いだ。他に良いとこないかなー」

 

「公国の借金持ちの異界人の君を、三食に部屋付きの厚待遇で雇う人なんて、早々いないと思うよ?」

 

「……ちっ、やっぱりブラックだな。人の弱みに付け込みやがって」

 

「黒ばかりの君にはお似合いだね」

 

 露骨に舌打ち、そう毒づくマサトだが、サーシャにそう返されてしまった。

 

「喧しいわ。――あと、門前で降ろすぞ」

 

 流石に公宮内にまで背負うのは、目立ち過ぎる。門前で降ろし、入って直ぐに車椅子にシフトするのが最善だ。

 

「ねぇ、残りは自分で歩いても良い? 感触を味わいたいんだ」

 

「体力は大丈夫?」

 

「これぐらいなら」

 

「きつくなったら直ぐに言えよ」

 

 マサトが帯を外すと、サーシャは青年の背から降りて地面に立ち、靴先でコンコンと石床を蹴って具合を確かめる。

 サーシャは残りの距離の感触をゆっくりと楽しみながら歩く。途中、どうしてかマサトの手が気になった。今日、自分と繋いだ彼の手が。

 少し悩むと、自分の手で彼の手を握る。突然の感触に、マサトは少し驚きの表情を見せた。

 

「念のため。最後まで警戒した方が良いでしょ?」

 

「それもそうだな」

 

 理由に納得すると、マサトはしっかりとかつ、サーシャの負担にならぬような力加減で握る。

 ――やっぱり、気にしてない、か。

 と言うか、この程度で反応しているのなら、今日自分と手を握ったりしないだろう。離れないように繋いだ。たったそれだけかもしれない。

 ――……なんか、腹立つ。

 自分はこんなにもやもやしているのに、元凶である本人は何処吹く風と言わんばかりに堂々としている。それがサーシャには腹立たしい。

 その苛立ちから、サーシャは病で衰えた腕でギュッと全力で握り締める。

 

「……今度は何すんだ」

 

「何の事だが、僕は知りません」

 

 手を離そうにも、力強くはサーシャの負担になる。マサトは少しもやっとしながらも、仕方なく繋いだままにした。

 青年の表情に溜飲が少し下がった煌炎の朧姫は、残り短い数分にも満たない時間をしっかりと味わい、彼女の久々の外出は終わった。

 その後は公宮内では、やはり色々とあったが、慌ただしくもこの日が過ぎていった。

 

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