ワンダーランドウォーズのリンとミクサが主役の物語です。


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童話の終わり

本の世界での戦い…それは、様々な本の世界から呼ばれた住人達と、禁書に指定された本から生まれた化け物との戦いだった。

化け物を討伐するために一つの世界に呼ばれた童話の住人たち。

彼らと怪物は、何度も、何度も…片方は自分たちの住む世界(本)を守るため、もう片方は全ての世界(本)を破壊するために、何度も…何度も戦いを繰り返した。

だが、始まりあるものにはいずれ終わりがある…それは、この戦いでも同じ事だった。

 

何十人ものキャストと、3体の化け物(ヴィラン)が戦いを繰り広げている。

 

雪の妖精、フロスティ

不思議の国の化け物、ジャバウォック

海の化け物、クロコダイル

 

今まで幾度となく現れてきた三体の化け物は、猛攻をかけるように童話の住人たちが守る城に向けて突撃してくる。

しかし、童話の住人たちも負けてはいない。

あるものは時を刻む双剣を手に持ち、あるものは化け物を狩る一振りの大剣を持ち、またあるものは夢と希望をもった短銃とナイフを持ち、ヴィランと戦っている。

その一角で、魔法の燭台を少女達も、一体のヴィラン、フロスティと相対していた。

 

 

 

 

フロスティ「―――――ッ!!」

 

リン「危ないのですわ!?」

 

大きなスコップを手に持ったフロスティが奇妙な踊りをすると、緑の服に金髪の少女、リンの真上から氷のつららが落ちてきた。

彼女はそれを走りながら避けるとすぐ近くに赤髪の同じぐらいの背丈の少女、ミクサが近寄ってくる。

 

ミクサ「だ、大丈夫…?」

 

リン「こ、これぐらいどーって事無いのですわ…って、ミクサさん後ろ!」

 

ミクサ「え?」

 

リンの声にとっさにミクサが後ろを振り向くと、そこには巨大な雪玉の塊が目の前にまで迫ってきていた。

あわや2人揃って踏み潰されそうになりかけた時、赤と白の影が2人をさらって雪玉を回避した。

 

スカーレット「たくっ、ぼーっとするんじゃねーよっ!」

 

ヴァイス「2人とも大丈夫?」

 

リン「た、助かったのですわ〜…」

 

ミクサ「(コクッ)…ありがとう…♪」

 

ヴァイス「よかった…スカーレット、あの雪ダルマ、撹乱するよ」

 

スカーレット「言われなくても…死ねやぁ!!」

 

2つの紅白の影、スカーレットとヴァイスは2人を下ろすと果敢に巨大な雪ダルマ、フロスティに向けて突撃をかける。

 

リン「早く援護しないとですわ!」

 

ミクサ「(コクコクッ)…広がれ、炎の道…!」

 

リン「炎さん!真っ赤な道を進むのですわ!」

 

2人が揃って宝石がはめられて燭台を振るうと、炎の道がフロスティを包むように燃え広がる。

間一髪のところでフロスティから離れていたスカーレットとヴァイスは燃え上がるフロスティを見つつ呟く。

 

ヴァイス「…だめ」

 

スカーレット「あぁ…あの雪だるま、全然溶けてねぇ…!」

 

炎の渦に巻き込まれたフロスティ…だが、燃え盛る炎が冷気によって吹き飛ばされると、全く溶けてもいないフロスティが現れる。

 

リン「あぁ、もうっ!雪だるまならとっとと溶けなさいよっ!」

 

ミクサ「…まっと…強い炎じゃないと…!」

 

フロスティの硬さに攻め時を取られてしまう4人。

そこに、2人の童話の住人がさらに助っ人にはいる。

 

温羅「ワシ 二 任セロ!!」

 

深雪乃「動きを止めるわ!一気に攻めるわよ!」

 

着崩した浴衣を着て一振りの刀をもった女性、深雪乃に、赤い体に大きな体の鬼、温羅が4人の後ろからおどり出る。

 

ミクサ「2人とも…!?」

 

スカーレット「何するきだ!?」

 

温羅は驚く4人に目もくれずフロスティに摑みかかる。

だが、フロスティはすぐさまその拘束から離れようと暴れ出す。

 

フロスティ「ーーっ…ーー!!!」

 

温羅「グゥッ…深雪乃!固メロ!」

 

深雪乃「了解っ!」

 

だが、逃げられる前に深雪乃が刀を振るうと、温羅の体ごとフロスティを氷で固め、お互いに動けなくなってしまう。

 

温羅「今ダ!」

 

深雪乃「早く!!」

 

温羅が体を支え、フロスティと温羅をつなぐ氷を深雪乃が破壊されないようにつなぎとめる。

 

ミクサ「っ…リンちゃん…今のうちに…!」

 

リン「あっ、りょーかいなのですわ!」

 

温羅と深雪乃の狙いに二人が気づくと、手に持った燭台をそれぞれ振るいだす。

すると、それぞれの頭上で大きな火の塊が現れだす。

 

フロスティ「ッ!?ッ―――ッ!!」

 

だが、それを視認したフロスティは拘束から逃れようとさらに暴れだす。

 

深雪乃「こいつッ!」

 

温羅「少シ…マズイ…オ前ハ?!」

 

氷をまとった暴風を撒き散らしながら逃げようとするフロスティと、それに対抗する温羅と深雪乃。

そこに割り込むように、赤と白の頭巾を被った2人の女性がフロスティの目の部分に手に持った刃を突き刺した。

 

スカーレット「動くなこのダルマが…!」

 

ヴァイス「2人とも…ッ…早くっ…!」

 

4人に止められ動きが止まるフロスティ。

僅かな時間ではあるが、その間に準備は整った。

 

ミクサ「いくよっ…大きな、赤い流れ星…!」

 

リン「さぁ、みんなで燃え上がろう!さんはいっ!」

 

ミクサとリン、お互いに手に持った燭台を振るうと、2人の頭上でできた巨大な2つの火の弾がフロスティに向けて降り注ぐ。それを確認すると、深雪乃が能力を解除して温羅が、スカーレットとヴァイスは目に刺したナイフを置いてフロスティから離れる。

直後、フロスティを中心として隕石が落ちた衝撃で大爆発が起きた。

 

 

 

 

 

…数刻後。

 

 

 

 

 

 

 

リン「な、何とか勝ったのですわ~…」

 

ミクサ「お疲れ様…」

 

リン「ミクサさんこそ…お疲れ様なのですわ~…」

 

ボロボロになった城の前、傷だらけだが、誰一人欠ける事なく3体のヴィランを倒した童話の住人たちは、それぞれに集まって労をねぎらっていた。

リンは草原にうっつぷすように寝転がっており、ミクサがその近くでぺたりと女の子座りをしてリンの頭を撫でている。

 

リン「あぅ…マメールさんが言ってましたけど…今日の3体で、すべて封印できたことになるんでしたっけ…?」

 

ミクサ「今、その確認してるって…」

 

リン「そうですか~…これでひと段落着いたら、一度お父様とお母様に会いに行きたいですわ~

そうだ!ミクサさんも一緒にうちに来ませんか!お父様たちもすっごく喜んでくれるはずですわ~」

 

ミクサ「…そうだね…ちょっと、楽しみかも…けど、まだ終わってないかもしれないし…」

 

リン「うっ…そうだったのですわ…」

 

深雪乃「何をしょぼくれてるの!また来るならまた撃退すればいいじゃない!」

 

2人のそばに、先ほどの戦闘での立役者の1人である深雪乃が元気な姿で現れる。

ただ、普段は元気なリンも今は気力が無いのか…

 

リン「深雪乃さんみたいに何時も元気なわけじゃないのですわ~…」

 

深雪乃「何を~…子供は風の子!元気じゃない子は…こうだっ!」

 

リン「きゃっ、ちょ、そこダめなので―――あはははは!!」

 

深雪乃に抱きかかえられながら脇腹をこちょばされ笑い声を上げるリン。

その姿に、すぐ近くにいたミクサも、他の童話の住人達も思わず笑みがこぼれる。

 

その時だ、城の城門が開かれそこから眼鏡をかけた城の図書室の司書にして、童話の世界の住人を集めたマメール・ロワが現れた。

 

マメール「…皆さん、お疲れ様でした。

無事、今回の戦いにおけるヴィラン3体の封印が今確認できました」

 

アリス「わーい!やった~!」

 

吉備津「勝鬨をあげるのだ!」

 

温羅「ヌオ~!ワシ、ウレシイ!!」

 

 

マメールさんの一言で、無事戦いが終わった事を知り、皆が一斉に歓声を上げる。

童話の世界を破壊する禁書に封印されたヴィランの撃退。

それは、自分たちがそれぞれ住む世界が守られたという事だ。

 

 

 

 

 

――――ただそれは、1つの終わりも意味していた――――

 

 

 

 

マメール「…この世界の意味も、無くなってしまいますね…」

 

アリス「え?…どういうことマメールさん?」

 

マメール「…この世界は、元は私が1人いる世界でした…ただ、禁書の封印が解かれ、私と兵士たちでは対応できなくなった…だから…アリスさん達別の世界の住人達に助けを求めた。

けど…ヴィランが再度封印された今、この世界に皆さんがいられる意味がなくなってしまうのです…」

 

アリス「そ、そんな…マメールさん!それしってて黙ってたの~!」

 

マメール「ご、ごめんなさい…けど、それを伝えるとアリスさん達が戦いにくくなると思って…

それに、こんな事実…戻ったときにここでの事を覚えていられるかすら確証が無くて…」

 

アリス「うぅ…じゃあ、もう皆に会えなくなるの…?」

 

アリスの悲しげな顔に、勝利の喜びから一同悲しみの顔が伝播する。

 

ツクヨミ「…したかあるまい。もとより、われらは本来合間見れないもの同士。

世界の危機とはいえ、そのおかげで少しの間だけでもこうやって寝食を共にできたのじゃ。

…わらわは、とても良かったと思うぞ?」

 

シャリス「そうだよ~それに、皆が皆離れ離れじゃないでしょ?

アリスちゃんは私と一緒の世界だし~♪」

 

フック「なーに、記憶も失うとは限らんのだ。それに、もとよりこんな戦いいつまでも続けれるものでもあるまい…やる事が終わったなら、お互い元の世界に戻るだけだ」

 

アリス「う~…わかるけどやっぱり悲しいよ~!」

 

ツクヨミの言葉をうけ、それぞれが自分なりに納得しだす。

アリスの様に泣き出してしまう子もいるが…

 

当然、2人のマッチ売りの少女と雪女もその話は聞いており…

 

リン「そんな…もう皆と会えないなんて…」

 

深雪乃「何時か別れは来ると思ってたけど…こんな早くとはね。

マメールさん!それってもうすぐにでもなの」

 

マメール「は、はい…たぶん、皆さんはまた元の世界の元の『役割』に戻ってしまうと思います。

今まで調べてましたけど、その可能性が一番高いと思わるので」

 

深雪乃「元のね~…それで、記憶も無くなるかもしれないってわけだ。

折角こんな可愛い子達に会えたのに忘れちゃなんてもったいないな~♪(ぎゅぅぅ」

 

リン「きゃっ!深雪乃さん急に抱きしめないでください~」

 

ミクサ「さ、寒いよ…(ぷるぷる」

 

深雪乃「あぁ、ごめんごめん♪

2人とも!私も忘れないから!絶対私の事も忘れないでね!」

 

深雪乃は抱きしめていた二人を解放すると、すでにそれぞれに最後の会話を始めていた他の人たちの輪に入って言った。

 

リン「もうっ、深雪乃さんったら自分勝手なのですから…って、私達も挨拶にしないとなのですわ!」

 

ミクサ「そうだね…私、サンドリヨンさんところに行ってくる…」

 

リン「あ!私も一緒に行くのですわ~…あ、先に行っちゃったのですわ」

 

ミクサが呼び止める前にサンドリヨンの方に向かったのをみて、リンは少し追いかけるか迷ってしまうが、気にせず別の人の輪に向かう事に決めた。

 

 

 

リン「…一緒の世界の帰るのですから、お話は後でもいっぱいできますわ~♪」

 

 

 

皆それぞれ、最後になるかもしれない会話を時間のぎりぎりまで楽しんでいた。

ある海賊は高笑いしながら、ある不思議の少女は泣きべそをかきながら、ある永遠の子供は内心強がりながら、それぞれに。

ただ、時間はいつまでも待ってくれない…

 

マメール「…皆さん、そろそろ時間が…」

 

サンドリヨン「もうですか…仕方ないですね。

皆さん、最後になりますが今まで本当にありがとうございました…また、もし会うことがあれば」

 

アシェンプテル「貴様らの事はわすれんぞ…こら、サンドリヨン!手を引くな!私は1人で歩ける!」

 

サンドリヨン「まぁまぁそう言わずに♪」

 

最初に、灰かぶりの姉妹が旅立つのを皮きりに、ネバーランドの少年2人と海賊2人、鬼退治の剣士達とその鬼と、順番に1人1人様々な思いを胸に旅立っていく。

リンはというと、最後まで行きたくないのか順番に旅立つ皆を見送って行た。

 

最後に残ったのは、マメールさんと不思議の国の姉妹とマッチ売りの少女だった。

 

アリス「ひぐっ…っ…うぅ…リンちゃんもミクサちゃんも元気でねぇ…」

 

シャリス「もう、何時まで泣いてるにゃ~」

 

アリス「だって~…」

 

シャリス「はいはい、後でいくらでも泣いていいからね~…2人も、元気でね~♪」

 

何時までも泣き続けるアリスの手をシャリスが握ると、ゆっくりと城から旅たっていった。

最後に残ったのは、城の元からの住人であるマメールと、ミクサとリンだけである。

 

ミクサ「…皆、行っちゃったね…」

 

リン「そうですわね…」

 

マメール「…さぁ、2人も…ここで残っていたら、本来この世界にはいないお2人がどうなるか私にもわかりませんから…」

 

リン「そ、それは困るのですわ!

さぁ、ミクサさん一緒に元の世界に戻りましょう♪

それではマメールさん、何時かまた出会えれたら~」

 

ミクサ「…(こくっ」

 

シャリスにならってか、リンはミクサの手を握るとマメールに向かって大きく手を振り歩き出す。

城を出て、森を出るだけ。そうすれば、マメールさんは元の世界に戻れると言っていた。

 

リン「今までいろいろありましたわね~」

 

ミクサ「…そうだね…」

 

リン「突然ミクサさんの村にフロスティが現れて、偶然私も村に来ていて、2人で何とか撃退して」

 

ミクサ「…その後、マメールさんが迎えに来てくれて…皆と会って」

 

リン「それから、いろんな人が来て、一緒にお食事したり、お昼寝をしたり」

 

ミクサ「…お船に乗った事も、あったよね…」

 

リン「そうそう、あの時は溺れるかと思ったのですわ~…あ、ついたのですわ」

 

仲良く離しながら歩く2人の前に、森の出口が現れる。

ここを出たら、もうここにはたぶん戻ってこれない…

 

リン「…これ以上いたらマメールさんに迷惑かかっちゃいますね♪

さぁ、行きましょう!すぐに私がミクサさんの村まで迎えに行きますから~」

 

ミクサ「…ちゃんと、覚えられてたらね…」

 

リン「ぜ、絶対忘れないのですわ~!

マメールさんが心配してましたけど、そんな簡単に忘れ何てするわけないですし~

…さ、行きますわよ~」

 

元気にミクサの手を引くリン。

 

ミクサ「……(ぐいっ」

 

リン「あらっ…ミクサさん?」

 

だが、その手を少しだけミクサが引いた。まるでこれ以上進むことを躊躇う様に。

 

ミクサ「…ううんっ…何でもないよ…行こうかっ…」

 

リン「…?…はい!行きますわよ~!」

 

 

 

 

 

――――こうして、皆があるべき世界のあるべき場所に戻った――――

 

 

 

 

 

 

 

リン「…あら?ここは…?」

 

ふかふかのソファの上でリンは目を覚ました。まるで、長い夢を見ていたような気分だ。

 

リン「学校から帰って…くぁ~…お昼寝しちゃったのですわ…あら?」

 

目元を擦りながら起き上がったリンは、ふと自分の体の上に乗っている赤い宝石に目が映る。

 

リン「あら?これは…魔法石?

私やお母様が持ってるものとは違うのですわ~」

 

不思議にそうに首をかしげるリン。

妙な既視感、違和感、それをリンが襲う。

 

リン「…何なのですか…これ…?」

 

視界の端で何かがちらつくような…けど、何故か思い出せない…

 

リン「…あ~!何だかもやもやするのですわ!

いったいこれは何なのでしょうか…ん?これは?」

 

ふと、リンは気づいた。この魔宝石から一つの線が漂っていることに。

何かとこの魔宝石が細い魔力の糸で繋がっている…本当にか細い微かなつながりに。

 

リン「誰かと繋がってるのですか?…貴女は、誰なのですか…?…ッ…?」

 

また、リンの頭で何かが過ぎる。誰かの顔が…笑顔が似合う…誰かを

 

リン「…よし!思い立ったが吉日なのですわ~!」

 

リンはソファから飛び起きると、お気に入りの帽子に何時もの服を着て、魔法を使うための燭台を手に屋敷を飛び出した。

たぶん、この魔力の糸をたどれば何かわかる。そんな不確かな確証をもって。

 

 

 

 

 

リンが日暮れ頃に到着したのは、リンが住む街から少し離れた、さびれた村だった。

雪に覆われた真っ白な村には、ちらほらとしか人影が見えない。

 

リン「ずいぶんさびれた街なのですわ…あれ?でも、ここしってる…?」

 

ふと、リンはまた既視感を感じる…始めてきたはずの村なのに、何故か知ってる…そんな気配を…

 

リン「何なのですかこれ…何で、こんな…あら?」

 

ふと、リンは村の一角、人だかりが出来てるところに気づいた。

まるで何かを囲むように集まった人たちに。

 

リン「…………」

 

そして、その人だかりに向けて…か細い魔力の糸が向かっていることに…

 

リン「…あの、ちょっとよろしいのですか?」

 

村人「あぁ?き、貴族!?ど、どうぞ…!」

 

リンの服装を見た村人は、彼女が王国にかかわる人だという事に気づくと、すぐさま道を開いていく。

すぐに、リンは人だかりができている原因に気づいた。

 

 

 

 

 

――――それは、赤い髪の毛をした少女だった――――

 

 

 

 

少女は雪に埋もれ、周りには何本も使われたマッチが散乱している。

だれがみても逝き倒れたとしか思えない姿。リンはその少女と自分の持つ赤い宝石が繋がっていることをすぐに直感した。

 

リン「…貴女が、これの持ち主なのですか…?」

 

見たことも無い少女、そのはず…そのはずなのに、リンの頭の中では何度も既視感が起きる。

見た事無い人、見た事無い景色…それが何度も何度も過ぎるのだ。

リンは震えるしで少女の近くにしゃがみ込むと、震える手でマッチの一本を手に取った。

 

 

 

 

 

――――瞬間、リンの目から涙がこぼれだした――――

 

 

 

 

リン「…ぁ…あぁ…ミ…ミクサ…さぁ…んっ…!!」

 

 

 

 

 

 

数日後、街外れの村で凍死した少女の葬式は、ある貴族の元で行われた。

その貴族の1人娘が、それ以来古いポンチェをつけた姿が街で見られるようになったというが…それは、また別のお話し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミクサ「…お父さんに言われた…ちゃんと売らないと…」

 

街外れの雪に覆われた村で、私は目を覚ました。

どうやら、あまりの寒さに道の端で少し寝てしまっていたようだ。

 

ミクサ「…冷たい…よ…」

 

体の震えが止まらない…何とか起き上がれたが、頭はぼうっとする…

 

ミクサ「……っ…」

 

私は、ふと売り物のマッチに目がむく。

勝手に使ったら怒られる…けど、少しだけなら…

 

私は何とか道の端に移動すると、マッチを1本取り出して、それに火をつけた。

すると、そこに映ったのは…

 

ミクサ「…ごはん…?」

 

真っ白に炊き上がった熱々のごはん。とても美味しかった食べ物…けど、おかしい。

私は、こんなもの聞いたことも見たことも無いのに、何で知ってるのか?

だが、その幻想はマッチの火が消えると同時に消えてしまう。

 

ミクサ「…っ…お城……お姫様……お船……」

 

ミクサが1本、1本、マッチを擦るたびに、見た事無いのになぜが知っているものが火の中に幻想として現れては消えていく。

次にマッチをすると、そこに現れたのは金髪の髪をした少女だった。

少女はにっこりと微笑みかえると、自分に向けて語り掛けてくる。

 

???「ミクサさん♪」

 

ミクサ「…そっか…私…ごめんね…リンちゃん、黙ってて…」

 

その姿に、ミクサはすべてを思い出した。

もし、元の世界に戻っても…自分だけは助からないであろうことを、それを1人心の奥に閉じて、あの世界から旅だったことを。

全ての童話の住人たちは、あの世界に行ったときに自分の物語を読むことができる。

私は、救われなかった「マッチ売りの少女」

だから、戻ることがあったら…こうなる事はわかっていたのだ…

 

ミクサ「…ごめんね…また、会えなくて…けど、きっとリンちゃんは…忘れてるはずだから…」

 

悲しみで涙が溢れ出す…けど、たぶんリンは忘れてるはず。そんな簡単に奇跡は起きないから…

 

ミクサ「…っ…」

 

何時の間にか、ミクサの周りには何本ものマッチの燃えかすが落ちていた。

1本1本、あの世界での皆との思い出が詰まった。

 

ミクサ「…あ…」

 

最後の1本、それを擦ると炎の中に現れたのは仲が良かったお婆ちゃん。

彼女はゆっくりと微笑みかけると、ミクサの体を優しく抱き上げた…

 


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