堕ちた魔法科高校の優等生   作:人里桐

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周りからは歓声が響く。

今、九校戦モノリス・コードの決勝戦が行われていた。

彼は走っていた。

しっかりと両足が動き、草原ステージの草を踏み締めていた。

右手には、透き通る様な青い汎用型CADがある。

一人の男──相手高校の選手だ──が疾駆する彼の前に踊り出る。

彼はCADのボタンを何個か押し、魔法を発動させてジャンプした。

彼の足を刈り取ろうとしていた相手の魔法『鎌鼬』をかろうじてかわす。

彼は空中で何かに飛び乗る。

それは、収束系魔法によって圧縮し、硬化された空気を硬化魔法によって座標固定したもの。それを何回も発動し直して空に駆け上がっていく。

上りながらボタンを押し続ける。

当時はループキャストの技術がないため、何回も魔法をかけ直さなければならなかったのだ。

完全に相手の真上をとった。

その高さ10m以上。

光輝く太陽をバックにすることによって、相手の魔法の照準を鈍らせる。

素早くボタンを操作。

彼は得意の収束+発散の魔法を発動する。

一瞬で相手の背後に圧縮空気が精製され、それが爆散した。

相手は体を前後に揺さ振られた挙げ句、衝撃波によって地面に叩きつけられた。

相手は意識を刈り取られたらしく、立ち上がらない。

わあっ! っと歓声が上がる。

彼はいつも通り重力軽減魔法を発動して地面に降り立とうとした。

想子(サイオン)をCADに注ぎ込み、CADが起動式を返す。

起動式を魔法演算領域に送り込み、魔法式が出来上がる。

いつも通り行えて、いつも通り発動出来る。

いつも通り出来た、はずだった。

 

 

その瞬間、魔法式が消えた。

 

 

彼はそれを感じ、頭が真っ白になった。

彼には何が起きたのか解らなかった。

ただ、魔法が発動しないことに恐怖を覚えていた。

驚きと恐怖と疑問で、何もできなかった。

彼はそのまま10m以上の高さから、背中から落下し、したたかに打ち付けた。

監督者兼救護係の人が直前に速度を軽減する魔法を発動していなかったら死んでいたかもしれない。

彼はそのまま気を失った。

彼が、二科生となることを運命づけられた瞬間だった。

 

 

 

 

 

彼は何も知らないが、これは後に専門家が検証したものだ。

想子(サイオン)の弾丸を撃ち込まれたのではなかった。

術式解体(グラム・デモリッション)で無理矢理押し流されたのでもなかった。

当然、|公式に(・・・)使用者のいない術式解散(グラム・ディスパージョン)でもない|はずだ(・・・)。

というより術式解散は研究所か何かでないと使えない。

結局何が起きたのかは、誰も解らなかった。

 

 

 

 

 




今回は幕間的な感じなので短めです。
オサムの過去に何があったかを書きました。まあ一応伏線は張ったので、これで物語の全容が理解、、、できます。無理をすれば。
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