ミズキの担当上忍生活 作:ディア
アカデミー教師であるミズキは火影執務室に呼び出されそこに来ると目の前に老人が口を開いた。
「条件付きでお主を上忍にしてやろう」
何故、今更? その疑惑がミズキの頭の中を埋め尽くしていた。
数年前、ミズキは上忍試験を受けていた。確かに能力そのものは上忍クラスであり、筆記も実技も手応えがあった。だがそれでも落とされた。掌を返してミズキを上忍にしようとする企みが理解できず困惑する。
「火影様、お尋ねしてもよろしいでしょうか?」
目の前にいる老人、三代目火影に尋ねると三代目はキセルから煙を出し答えた。
「条件のことか?」
「はい。それもありますが私でなくともよろしいのでは?」
「……お主、雲隠れの忍びと手を組んでいるそうじゃな」
その一言で一気にミズキが挙動不審となってしまった。
「ま、まままままさか!?」
ミズキがパニックになりすぎて口から魂らしきものを出すが三代目の声で元の世界に戻る。
「動揺しすぎじゃ。アホウ。そんなわかりやすい動揺の仕方じゃ成り立ての下忍でもわかるわい」
「なななな、何のことですか!?」
「まだ白を切るか。まあいい。時にお主、例の4班を知っておるか?」
「例の4班?」
ようやく平常に戻ったミズキは三代目に尋ねた。
「こう言えばわかるかの。最キョウの下忍三人組」
ミズキはその名前を聞いて寒気を感じ取り、サブイボを立たせ沈黙する。
「……その様子だとお主もやられたそうじゃな」
「はい……」
三代目とミズキは揃えて溜息を吐く。
「狂気の科学者 凱旋タキオ、凶悪貴婦人 木道アキホ、うちはの恐怖 うちはフブキ。この三人の担当上忍が先日胃をやられて病院送りされたんじゃ」
「ま、まさか……条件というのは私にその担当上忍をやれと?」
恐る恐るミズキが三代目に尋ねる。ミズキは例の三人がアカデミーの頃に面識がある。一言で言えば最悪そのもの。その三人が自由研究の協力を募集していたので評価を良くする為に笑顔で申し出たところ、意識を刈り取られ目が覚めたら人間大砲の玉となって火影岩に発射させられたのだ。その結果、ミズキは火影岩の鼻の穴に入り込みほぼ無傷で済んだが、アカデミー生からはハナクソ扱いされ心の傷を負った。それ以降彼らに関わらないように逃げた。彼らしくない選択だが、上忍になる為にはそう言ったことも受け入れるしかなかった。
「うむ。一年の間お主はその三人の担当上忍となり、三人を中忍にさせたら正式に上忍にしてやろう」
「本当ですか!?」
正式に上忍。つまり里公認で認められるのだ。これほど嬉しいことはない。
「木の葉を裏切らなければ何をしてもよい。工作をして中忍試験の過程を変えさせたり、何でもありじゃ。ただし一年以内に三人を中忍に出来なかった場合、どうなるかわかっているな?」
ミズキの中で考えられる限りの最悪のパターンを想定する。中忍に降格、牢獄行き、死刑。それらの単語が浮かび上がり、ミズキは震えた。
「拒否権は?」
「んなもんないわい」
「わかりました。しかし何故私にそのような事を?」
「通常であれば適当な上忍でも捕まえて担当上忍にさせようとしたのじゃが……問題があり過ぎる」
「問題?」
「取り敢えず有力候補だった三人のプロフィールを見てくれ」
「はたけカカシに猿飛アスマ、マイト・ガイ……どれも大物ばかりじゃないですか!? この人たちなら簡単に出来るでしょう!?」
「カカシは最低30分は遅刻をするしのう。ワシの倅のアスマは長期任務で不在。ガイは性格の矯正は出来そうと言えば出来そうなんじゃが……予想の斜め上にぶっ飛んだ方向に歪みそうでな」
「では他には!?」
「他の上忍はあの三人にやられたんじゃよ、ワシ直属の暗部から取り込もうにも三人一班で動いたことがないから協調性を鍛えるには不向き。だからといって特別上忍は一つの分野にしか優れていないから実質班を指導する能力は中忍以下じゃ」
「それでアカデミー教師である私に白羽の矢が立ったのですか」
「うむ。お主の忍びとしての能力は上忍クラス。じゃがお主に足りぬものは経験じゃ」
「経験ですか?」
「うむ、今までお主は何度失敗したか覚えているか?」
「5回ですね。中忍試験で一発合格出来なかった時と上忍試験二回連続の不合格」
「うむ。任務の成功率も高く、評判も良い。これだけ見れば上忍のものと勘違いしてしまうほどじゃ。故に惜しいのじゃよ」
「何がですか?」
「お主は今まで運良く自分と同じくらいのレベルの忍びとしか組んでおらず、格下の忍びを扱う経験が全くと言っていいほどなかった。上忍ともなれば自分よりも弱い忍びを誘導する事もある。その誘導する力がお主には足りなかったのじゃ」
「それで私をアカデミー教師に推薦したのですか?」
「そうじゃ、そこでアカデミー生の行動パターンを観察し下忍がどういった動きをするのかを頭に入れされる。それがお主をアカデミー教師に推薦した第一の目的じゃ。第二にお主はエリート街道を歩みよったが故に下積みの辛さというものを知らぬ。下積みを経験させ、お主の糧となるのはアカデミー教師しかあるまい」
「さ、三代目ぇ……!」
まさか自分をここまで見てくれるとは予想できずミズキは涙を流す。かつて目が節穴かと思っていた老人は自分を信用し、しかも手助けをしていたのだ。それにも関わらず自分はこの老人を裏切るようなことをしてしまった。後悔と感謝、両方が入り混じった涙が床に染みる。
「泣くのはまだ早い。これを見よ」
三代目が指差したその箱には紙がいくらか入っており、ミズキはそれを手に取る
「これは今忍びとして働いている者達がかつてお世話になったアカデミー教師達に送るものじゃ」
「これは、三代目が?」
「いやいや、お主の教え子が企画したものじゃよ。だから必然的にお主宛ての手紙が多い」
「……ち、くしょう、何でこんなきた、ない俺を、慕ってくれるんだ……! これじゃ、木の葉を、裏切る俺が馬鹿、みたい、じゃない、か」
手紙を見たミズキは膝をつき、涙でボロボロになった顔を手で隠した。
「アカデミー教師のミズキはお主の本当の顔じゃなくともそれによって救われた者も多い。それの恩返しということでこのような形で返したんじゃろう」
三代目はミズキの肩を叩き、ミズキの涙声を聞く。
「三代目……俺は全うに生きて、上忍になってみせます! 例え下忍達が中忍になれずとも、上忍試験に落ちようとも関係ありません!」
数分後漸く涙が止まり顔を手持ちのハンカチで拭いたミズキは生まれ変わったかの如く、三代目にそう宣言した。
「その意気込みならその必要もあるまい。お主を上忍(仮)と認める! 明日から担当上忍として励むがよい」
「はいっ!! では失礼します!!」
かくしてミズキは上忍(仮)となり、三人の担当上忍となった。
多分続く
なんでイタ転ではなく、新たにこの小説を書いていたかお察し出来ますね? キャラ崩壊が酷すぎて載せられないからです。