ミズキの担当上忍生活 作:ディア
三代目火影執務室に単体で呼び出されたミズキ。これは担当上忍となって以来いつものことである。その内容も状況を報告したり、連絡したり、相談したり、依頼を受けたりなど火影執務室に呼ばれること以外は何も変わらない。だがミズキが一人で呼ばれるのには理由がある。それは任務を普通に成功させる為である。
彼らの任務成功率は非常に高く、評価も高い。だが些かやり過ぎてしまう傾向が非常に高いのも事実だった。
例えばCランク任務の盗賊退治。とある村に現れた盗賊達を撃退して欲しいという依頼を引き受けた彼らが任務終了後にやったことは、花火だった。
花火と言ってもただの花火ではない。八尺玉の超特大の花火玉の中に捕らえた盗賊達を一人ずつ詰め込み、それを打ち上げるという実に残酷かつ非道なものだ。彼ら曰く「盗賊ってのは奪うのが仕事だ。なら人の心を奪う花火になるんだから本望だろ?」とのことらしい。打ち上げた花火の中に盗賊が入っていたことなど知らない依頼人達はその美しさに心を奪われ、彼らの依頼の評価を最高評価にした。ちなみにその時の担当上忍は「世の中には知らない方が良いこともあるんだな……」などと悟りながら胃を壊した。
そんなことをさせない為にも急に任務を告げ、急に行く。それによって班員達の凶行を潜めさせていた。
「という訳でお主らにはAランクの任務を遂行させてもらう」
「何がという訳でなんですか? 三代目。私だけならともかくあの下忍達にAランク任務なんて無理ですよ」
いきなりこんなことを言われたミズキは抗議した。担当上忍になって以来初めての任務がAランクだ。確かに上忍ならばそう言った任務もあるが下忍を従えた状態でAランク任務を遂行するとなれば必ず誰か一人は犠牲になる。そうなればミズキは中忍に降格してしまう為、抗議するのは当然のことだった。
「ミズキ、お主はあの下忍達を過小評価している。フブキはあのうちは一族の生き残りじゃ。フブキは事件当時国外に出ていて帰国するまでにうちはイタチを始め多くの刺客に狙われた。しかしそのフブキが生き残れたのは儂等の保護によるものではなく、自らの力によるものじゃ。保護するように命令した暗部達を追手と勘違いしたフブキが振りまいたくらいじゃからな」
「暗部情けなさ過ぎだろ。というか警戒され過ぎ……」
ミズキは頭を抱えた。実力のみで言えば上忍を上回る暗部達が下忍にもなっていない子供相手に振りまかれるという失態をやらかして、暗部達の未来を気にしてしまった。この前までは暗部は別次元の世界の住民だと思っていたが今の話を聞いて脱力してしまう。
「とにかく刺客や暗部達を振りまいた以上、実力に関しては問題なしと判断し、儂等はフブキを保護対象から外し、その分ナルトやサスケに回したんじゃよ」
それを聞いたミズキは冷や汗をかきながら一息ついた。もしナルトを利用して殺そうとしていたなら暗部達が駆けつけていて自分が殺されていただろうという想像だ。
「な、なるほど。しかしフブキについてはわかりましたがアキホについてはどうなのですか? 彼女はAランク任務を遂行出来るだけの力があるとは思えませんが」
「今回の任務は情報が少ない」
「何ですか? そのラノベみたいな言い方は」
「今回の任務の目的はとある巻物を回収することにある。その巻物の行方が不明だったが、波の国に存在することが判明した。そこでお主らには波の国に向かい、至急それを回収して貰いたい」
「聞いていれば普通の落し物を拾うのと変わりありませんがその任務がAランクの任務ということは何か理由があるんですか?」
「うむ。この巻物はただの巻物とは違い、二代目様が遺した巻物じゃ」
「二代目様の巻物!? そんな物を回収するとなればSランク任務にもなり得ますよ!?」
「うむ。回収する物が物だけにこの任務、お主の言う通りSランク任務にもなり得る。この任務がAランク任務であるのはまだこの情報が出回っていないと言うことと、ぶっちゃけ巻物の中身はそんな重要じゃないんじゃ」
「二代目様の巻物が大したことがない……?」
「あの巻物の中身は二代目様が個人的につけた家計簿みたいなもので、骨董品くらいの価値しかないんじゃよ」
「そ、そんな物の為に俺達が動くのか……」
「儂がその巻物を骨董品くらいの価値しかないと言っても信憑性なぞありもしない。故にこの巻物の中身が機密事項だと勘違いして狙う輩も大勢おる。重要ではないが危険度が高い任務。それが今回の任務じゃ」
三代目火影が依頼書を渡し、ミズキがそれを受け取る。
「はぁ……承知致しました。それではご朗報をお待ちください」
トボトボとミズキは三代目火影執務室から出て行き、班員達の元へと向かった。
「で? その巻物は波の国にあるのか?」
任務当日になってミズキが班員達に一通り説明し、フブキが確認する。
「ああ、間違いない。二代目様の巻物を取り返し、それを木の葉隠れの里に持ち帰るのが俺達の任務だ」
「面倒くせー」
「合法的な拷問のチャンスがーっ!?」
ただ面倒臭がるタキオと拷問が出来ないと知って絶叫するアキホ。その反応は別々だった。
「タキオ。これも任務だ。我慢しろ。そしてアキホ。お前は美人なんだから拷問が出来ないからって落ち込むな」
「拷問楽しいんだもん……」
「それに巻物を拾った奴がいて、そいつが拷問でしか口を割らなかったらお前の出番だ」
「シャぁっ!!」
拷問が出来ると知って喜ぶアキホ。それはスイーツを目の前にしてはしゃぐ女子のようだった。
「タキオ。お前は少しやる気になれ」
「やる気云々はともかく波の国までどうやっていくんすか?」
「んなもの徒歩に決まっているだろ」
ミズキがそう告げた瞬間、タキオは渋い顔をして拒否した。
「波の国まで何時間かかると思っているんですか? その移動している間に巻物取られたら意味ないすよ」
「他にどうやれと?」
「そんなことだろうと思ってこいつを作っておきました」
タキオが巻物を取り出し、印を結びそこから忍具を口寄せする。このやり方はタキオに限らず他の忍者達も実行している
やり方であり最もポプュラーな方法と言えよう。
「タキオ、なんだこれは!?」
だがそこにあるのは見たこともない鉄の塊。上の方には鉄の羽が四本あるがそれが何を意味しているのかミズキには理解出来なかった。
「軍用ヘリ」
「ヘリってなんだよ!?」
「ヘリと言ったらヘリコプターのことでしょう。TVの取材とかで取材ヘリとか飛び回るじゃないすか。これはその使えなくなった取材ヘリを修理して、魔改造したのがこの軍用ヘリす」
ミズキは抗おうとするが謎の力により抗えない。ヘリコプターについてどうこうとは何故か強く言えないのだ。
*補正及びご都合主義です。
「苦労したんすよ? 軍用にするために材料を雪の国から大蛇丸のいる音隠れまで各地を回って確保してきたんですから。さ、乗った乗った。徒歩で歩くよりこっちの方が早く波の国に着くんすから乗った方が良いすよ」
「わかった」
強く反対出来ないミズキ達はその軍用ヘリに乗り、波の国へと移動した。
ちなみに波の国に移動する際、抜け忍に木の葉隠れの里のルーキーの7班が襲われるのを見てタキオが軍用ヘリに装備されている砲弾を放って撃退したのはまた別の話である。