FATER   作:知咲

15 / 33
ついに語られる。菜々の過去が。
「教えてあげるわ天才と天災の話を」



天才と天災Ⅰ

「すみません。一緒に行ってくれて」

「いいって、あいつがまたいつ襲ってくるかわからないし。それに・・・」

智は昨日の事を思い出した。なぜ、彼女にはあれが効かなかったか。そもそも、本人が知らない弱点まで知っているのかを。

「どうしたんですか智さんそんな怖い顔して。まさか、昨日彼女と何かあったんですか」

「い、いやなにもなかったよ」

「それならよかったです」

 菜々はほっとした。

「そういえば、俺がいなくなった後、なんか教えてもらったのか」

その話をしたら、菜々は下を向いた。

「実は・・・」

 

「どうして教えてくらないんですか」

「今の貴女には重すぎる話なのよ」

「それでもいいんです。だから」

「貴女はまた、心配をかけさせるの!」

 茜音先生は声を荒げた。

「・・・・」

「貴女一人には無理よ」

そう言って茜音先生は保健室を出た。

 

「そうか、分からなかったのか」

智は腕を組んで考えた。

「それで、相談があるんです」

智の隣にいた菜々は一歩大きくだして前にたって私を見た。

「もし、智さんがいいのなら一緒に真実を聞いてもらえませんか」

「私なんかでいいの」

「智さんは仲間なんてすから隠し事はなくしたいので、それに、私は貴女の過去を教えてもらいました。なら、智さんにも知ってもらう必要があります」

「今回の件は菜々の過去に関係があるのか」

「たぶん」

「菜々がいいなら俺も聞かせてもらうよ」

「ありがとうございます」

涙をうかべながら言った。

 

「やっぱり彼女を連れてきたのね」

「はい」

 菜々と私は天使のところにいた。

「本当にいいの?今から話すのは貴女の過去よ」

「いいんです。私も智さんの過去を聞きましたし。それに、智さん仲間ですから」

「分かった。覚悟はいいわね」

菜々の手がぎゅっと強く私の手を握った。

 

「あら?まさか貴女が来るなんて想定外ね」

もう一人の菜々は目の前に現れた咲夜を見て驚いた。

「たまたま、貴女を見つけたのよ」

「それで、貴女も私を許さないの?」

「なんのことかしら?私はただ真実を知りたいのよ」

 咲夜は首をかしげた。

「それを教えたら私に協力してくれるの?」

「内容によるわ」

「そう、なら教えるわ

       天才の姉と天災の妹の話を」

 

「やーい、やーい。弱虫菜々」

男の子達は菜々に小石を投げつけながら笑っていた。

「や、やめてよぉ」

頭を手で隠しながら菜々は泣いていた。

 それを見ながらさらに笑う男の子達。

「たすけてぇ。お姉ちゃん」

 とても小さな小さな声で助けを求めた。

「お前達なに妹にしてくれてるの」

一人の女の子が男の子達に拳骨をかました。

「痛ったぁー」

男の子達はたんこぶを手で抑えながら上を見た。

「お前達。今日こそはわかってるよなぁ」

「に、逃げろー」

一目散に男の子達は逃げていった。

「あいつら、次覚えておきなさいよ」

 そう言って彼女は菜々の方に振り返って手を差しのべた。

「ごめんね。遅くなって」

「いいの。助けてくれたから」

 涙でぐちゃぐちゃになった顔を拭いて差し出された手を握った。

「じゃあ、帰ろっか菜々」

「うん。お姉ちゃん」

 二人は仲良く家に帰っていった。

 

「お帰り。ちょうどよかった。シノ今料理の真っ最中なのの。手伝って」

 家に帰るとお母さんは料理の真っ最中だった。

「分かった。菜々は先に部屋に行ってて」

「分かった」

そう言って菜々は二階の部屋に行った。

シノは台所に向かうと。呪文を唱えて指先に火をだした。

「ほいっと」

手に出した火を鍋の下に移す。

 そう。この街は魔術が栄える街なのだ。

 

「今回の試験も一位だったんだぁ」

 夕食の途中でシノは自慢するように言った。

「本当に!?じゃあ、明日はごちそうね」

「やったぁーごっちそー♪」

 と元気一杯なのがシノ。菜々の姉である。

 彼女の魔術の才能は周りから飛び抜けており、千年に一人の天才と言われている。

 それに比べ菜々は才能がなく。よく姉と比べられそしてばかにされていた。しかし、それでもよいと思っていた。天才の姉はとても自慢の姉だったし、困った時はたすけてくれていたから。

 そんないつもの日常を繰り返していた。

 

「ま、魔術ぅ!!そんなの使えたのかよ」

「はい。でも私はちょっとしか使えないの。お姉ちゃんはすごかったんだけどね」

 菜々は誇らしそうに悲しそうに言った。

「でも、私今まで、言った話全く覚えていないんです」

「それはそうよ。貴女はこの後に生まれたんだから」

「え?」

なんのことを言っているのか分からなかった。

 

「だから、私も魔術を使える」

そう言って彼女は右手に火の玉を左手には氷の玉を出した。

「本当に?そんなに使えるのに才能がないの」

「そう。菜々は才能がない。そう思っていた。そうやって姉に甘えていた。あの日まで」

 彼女は話を続ける。天災の話を。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。