「もう、彼は倒したくない」
彼女は一人そこにいた。周りは氷で覆われて外に出ることは不可能だった。
「もう、4年か・・・・」
哀愁を漂わせ彼女は遠い過去を見ていた。
すると、
「貴女に『フェイター』になってほしいの」
氷の壁の向こうで私と誰かが話していた。
「分かりました。魔王を倒すのは私の使命ですから」
「え!?」
想定外の事に驚いた。そして、我に返った私は氷を叩いた。が、中の音は外には聞こえない。
「いやよ。いやよ。もう、彼を殺したいない」
その声は届くことはなかった。
「あなたが幸せになることを祈ります」
そうして、わたしは飛ばされた。
「どうして私は・・・・」
頭を抱えてうずくまり彼女は涙をこぼした。零れた涙は凍り足元で砕けた。
「来週の土日は林間学校に宿泊体験をしまーす」
意気揚々と茜音先生はクラスのみんなに連絡をした。
「「「へっ!?」」」
いきなりの事で反応できなかった。
「どういうことなの?宿泊体験とか聞いてないぞ」
放課後になるやすぐに茜音先生を問い詰めた。
「うん、言い忘れてた」
てへぺろ。と茜音は舌をだした。
「・・・・・」三人は唖然とした。
「諦めろ。そいつ、バカだから」
クロとシロは呆れて溜め息を漏らした。
「そ、それどころじゃないわ。どうするのよ。ディアブロスは?ファイターの仕事は?」
シノは問い詰めるように茜音に訊ねた。
「休めばいいじゃない」
当然のように言った。
「そうなったら。フェイターの仕事はどうするんですか」
今度は菜々が訊ねた。
「私が居るわ」
ドアから入ってきたのは咲夜だった。
「なに言ってるんだ。一人じゃ無理」
「元々、私は一人で戦っていたのよ。大丈夫よ」
ニコッと咲夜は笑った。
「でも」
私は納得がいかなかったが。
「咲夜ちゃんも言ってるんだからいいじゃない」
「よくねぇよ。大体、私たちが参加する必要なんて」
「あるわ」
茜音は智の言葉を遮った。
「あなた達をここに呼んだのはフェイターになってもらうため。そして、あなた達に普通の高校生活を送ってもらうためでもあるのよ」
「・・・・」
「あなた達はいろんな理由があって高校時代を楽しめなかった。だから」
菜々はニコッと笑った。
「あなた達も楽しんできてほしいの」
「本当にいいんだな。俺達がいなくても」
私は咲夜の方を向き訊ねた。
「大丈夫よ。貴女は楽しんできなさい」
そうして、私たちは宿泊体験に参加する事になった。
それにあたって準備もはじめた。
「ということで一緒にいきましょ」
次の日の朝ドアを開けて西山姉妹がやってきた。
「お、おはようごさいます」
「お、おはようってなに朝っぱらから俺の部屋入ってくるんだ」
我に返った俺は突っ込んだ。
「いいじゃん、だって部屋のドア開いてたし」
「そうです。無用心です。」
「そうだけど、そうじゃないだろ。菜々止めろよ」
「いや、わたしはその・・・」
菜々はもじもじしながら言葉を濁らした。シノはニヤニヤ笑っていた。
「それよりも、友久さん準備てきてるんですか」
菜々は話を変えた。
「ま、まだだが」
「だから行きましょ」
「それでどこにいくの?」
「まずは服を買いにいきますよ」
「え?」
「逃がしませんよ」
姉妹は笑っていた。
「なあ、これって何か意味があるのか?」
二人に捕まった私は着せ替え人形のように着せ替えさせられていた。
「やっぱり、智さんは何でも似合いますね」
と言いながら菜々は次の服をもってきた。
「なあ、それも着ないといけないのか」
菜々が持ってきたのは紐だった。
嫌がる私を捕まえてそれを着せられた。
「あんな姿見られたら恥ずかしくて死ぬわ」
私は泣きながら三人と次の店に向かっていた。
「大丈夫よ。このカメラにちゃんと残っているから」
シノは手に持っているカメラの画面を見せた。
「や、やめろー」
必死にカメラを取ろうとする智とシノを見て菜々は笑った。
「どうした菜々」
「いや、ただこんなに楽しいは初めてだったんで」
「私も「一応」楽しかったよ」
智もつられて笑った。若干の意味を含めて。
「まあ、智ちゃんの胸は大きいから何着ても色気が出てたけどね」
「誰が着せたんだよ」
と言いながら私は胸を手で隠した。
「ほんと、どこかの誰かさんとは大違いね」
チラッ。シノは菜々を見た。
「し、シノだって一緒ぐらいじゃん」
「な、そんなわけないわよ。私のほうが大きいから」
「いえ、私のほうです」
急に姉妹喧嘩がはじまった。
「二人とも落ち着け。周りの迷惑になる」
周囲の目に気づいた二人は顔を赤くしておとなしくなった。
そんなこんなでなんとか必要な品は買えたのだった。
この帰り、
「そういや、智ちゃんは好きな人でもいるの?」
「はぁ?」「え!?」
智と菜々は驚いた。
「それで、どうなの」
「いないけど」
「ふーん」
シノは菜々に近寄った。そして、
「よかったね」
菜々はさらに顔が赤くなった。
「なにしてんだ?置いていくよ」
立ち止まった菜々は追いつくように走った。