「あれ?昨夜の人じゃないですか」
学校に来て下駄箱に靴を入れている時、後ろから聞いたことがあるような声がした。振り返ると昨夜の男子だった。
「あれ?君もこの学校だったんだ」
「いえ、今日転校してきたんです」
「そうだったんだ。それで、どのクラスなの」
「それが・・・・」
「永瀬友久です。よろしくお願いします」
友久は頭を下げた。友久は綾香のいるクラスに転入していたのだ。
「まさか、私のいるクラスに来るなんてね」
「僕もビックリしましたよ」
その日の昼休みに二人は話していた。
「あのぉー。まだ、ここら辺の事分からないんです。だから、教えてもらいませんか」
「ええ、お安いご用よ」
「ありがとうございます。えっとぉー、お名前教えてくれますか」
「そうだった教えてなかったね。津田綾香よ。よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
そうして二人は一緒に過ごすようになった。
二人で過ごす時間が増えると同時に互いを好きになった。そして、二人は付き合い始めたのだった。
「ごめんね。急に用事ができちゃって来れなくなったの」
「いつのもなんでしょ。仕方ないよ」
電話越しでも知久の気持ちが伝わってきて胸がキュッと締め付けられた。
「それで、いつになったら教えてくれるの?」
「ごめん。その時が来たら教えるからだからごめん」
「分かったよ。でも、その時はちゃんと教えてよ」
「分かった」
そう言って電話を切った。
「早く終わらせないとな」
そう言って決意をあらたにして戦場に行った。
綾香どうしても言えなかった。自分が魔王を倒す存在であることを。全てが終われば大丈夫だがもしそうでなければ知った者を殺さないといけないのだ。
「今日も行くんだね」
「うん。でも、今日でおしまいだから。行ってくるね」
そう言って彼女は教室を出た。
(今日で最後。だって魔王の居場所をついに見つけんだから)
「こうして、あの日の綾香は魔王を見つけたの」
「で、そこにいたのが俺だったんですか」
「ええ、この世界はいつくもの平行世界があるって言ったでしょ。そのうちの一つで友久は魔王だったんだよ」
「ついに見つけたわ魔王。ここであんたを倒す」
「初対面の人に対してそんな態度はないだろ」
どこかで聞いたことがあるような声がした。
「いいだろ。僕の覇道を邪魔する者は誰であろうと・・」
フードを被った魔王はこちらを振り替えって固まった。
「綾香なのか」
「なぜ、名前をっ・・・。まさか」
どこかで聞いたことある声だと思った。まさか、まさか、
「友久なの」
「うん」
魔王はフードを取った。そこに立っていたのは友久だった。
「なんでなの。どうして貴方なのよ」
目に涙を浮かべて綾香は叫んだ。
「あははははは」
急に友久は笑いだした。
「本当に馬鹿な奴だよ」
「えっ?」
急に友久の態度の変化に戸惑った。
「俺がお前の正体を知らなかった訳がないじゃないか。あえて近寄ったんだよ。それにも気づかないなんてなぁ。笑いをこらえるのが大変だったんだぜ」
魔王はさらに笑い続けた。
「て、てめぇ」
綾香は能力を解放して魔王に突っ込んでいった。
(そんなこと言って私を欺けると思ってるの)
彼女は見逃さなかった。下を向いて笑う彼から一粒の涙が落ちていくのを。
さすがに魔王との戦いだ。今までとは桁違いの苦戦を強いられた。それでも、彼女は魔王を倒すための力をもってた。徐々に魔王を追い詰めた。そして、
「これで終わりだぁー」
綾香は涙ながら氷を友久に突き刺した。
「はぁはぁはぁ。これで終わったわ」
「まだだよ」
「なっ!?」
綾香は距離を取った。確かに心臓に突き刺したのだ。生きているはずが
「君は僕を倒せないんだよ」
そう言って胸に刺さっている氷を抜き取った。
「僕は死ねないんだ。この世界が有る限り。だから、僕はこの世界を終わらせたいんだ」
「そ、そんな。じゃああんたを倒すことが出来なの」
「そう、だから綾香こっちに来てくれ。二人で世界と僕を終わらせてくれ」
その一言で綾香は気づいた。彼は終わりたかったのだ自分の人生に。それと同時にあることを思い出した。
「アイスコフィン。これが貴女に教える最後の技よ」
「なんなのそれは?」
「これは敵を氷の中に封印する技なの。但し、自分はその敵を愛していなくちゃいけないの」
「なんで敵なのに愛さなくちゃいけないの」
「それはね、自分の思いを凍りに変えるの。その代わり代償もあるからむやみに使っちゃダメだからね」
子供の頃の私は必要ないと思っていた。でも、今これこそが逆転の一手なのだ。
「死ぬことができないのよね」
「ああ、僕は不死身だからね」
悲しそうな顔になりながら魔王は言った。
「それならこれはどうよ。アイスコフィン」
彼は終わりにしたかったんだ。なら、
「私が終わりにする!!」
氷は魔王の足を覆った。
「なんなんだこれは」
「これは貴方を封印する氷よ。これで貴方を終わらせる」
「そうなのかぁ、ありがとう綾香」
友久の目には涙があった。その涙を見て綾香も泣き出した。
「僕はいるだけてこの世界の汚点となってしまう。そんな自分が嫌だった。でも、自分だけじゃ終わらせることができなかった。だから、ありがとう綾香」
「ほんとバカ野郎だよ友久」
二人は抱き合って初めてキスをした。
(彼がいない世界なんて辛いよ)
凍りついた彼を見ながら綾香は思った。
「な、何が起きてるの」
すると、周りが真っ暗になったと思うと自分の周りに氷の壁が現れた。
「なんなのこれは」
綾香は母の言葉を思い出した。
「これが代償なのね」
氷の壁の向こうにはもう一人の私がいた。
こうして、あの日から綾香は感情を封印されたのだった。
「これが彼女の過去よ。だから、助けてあげて」
「助けてって言われてもどうすれば」
「それは貴方をなら分かるわ」
「・・・・分かった。俺もあっちに行く」
「駄目です。あっちに行ったらきっと殺されてしまいます」
菜々は友久を止めようとした。だか、
「あいつは仲間なんだ。俺ならなんとかなるかもしれないんだ」
友久は止まらなかった。
「死なないでよ」
シノは友久に尋ねた。
「ああ、行ってくる」
そう言って友久はきえた。
「心配するのも大切だけど、信じることも大切なんだらお姉ちゃん」
「分かったよ。無事でいてください友久さん」
三人は願った。友久の無事と綾香の救出を」