「なにやってるの二人共!!」
智の説教を受けているシノと綾香は正座で座っていた。
なぜこんなに怒られているのかというと、準備体操をせずに飛びこんだ二人はなかなか水中から出て来なかった。おかしいと思った智達がプールを覗くとプール底で足がつった二人が溺れていたのだ。
「まあまあ、二人も懲りたようだしその辺にしてあげなよ」
茜音先生は智をなだめるように言った。
「そうだよ、きっと二人も反せ」
茜音先生の隣にいた翔大も智をなだめようとした瞬間、
「あんたがなぜここにいる!!」
梨央は持っていた浮き輪を投げつけた。
「ぐへっ。なんだよ梨央」
「こちらのセリフよ。なんであんたがいるの」
「あれ?翔大君と梨央ちゃんは知り合い?」
「ええ、一応小学校からの仲なんで」
「本当、なんでこんなのがいるのよ」
と、梨央はこっちを睨んだ。
「い、いや、私達も翔大君が来るのは知らなかったんだよ」
「そんなぁ、みずくさいこと言わないでくれよ智」
と暖かい目で私を見つめてきた。
「あ、いや、そのぉ」
と私は目をそらすことしかできなかった。
「はぁ、何か弱みでも握られてるのね。なら、仕方ない」
指をならしながら梨央は翔大に近づいていった。
「な、何をするのかな梨央ちゃん。幼なじみじゃないか」
「ええ、だからその幼なじみの愚行に審判を下すのよ」
さらに梨央は翔大に近づいていく。だか、
「まあまあ、落ち着いてよ。翔大君は私が見張ってるから心配しなくていいよ」
「しかし、先生」
「梨央さん勘違いだよ。翔大は何もしてないから」
私は翔大の身を案じてフォローした。
「ならいいけど、翔大何もしないでね」
「リョーカーイ」
翔大を睨んだがため息をついた。そして、雪のところに戻った。
「あの男はほっといて私達は楽しみましょう」
「う、うん」
そうして、智達と一緒になって遊び始めた。
「翔大君。お願いだから悪さだけはしないでね。その手に持ってるものでね」
「分かってますよ先生。そんなことしません」
と持っていたカメラをなおした。
「どうして今日プールを智ちゃん達が使うって知ったの?」
「僕は情報屋なんでいろんな情報を耳にするんですよ」
翔大はニコッと笑った。
「綾香、パス」
菜々はビーチボールをレシーブで綾香にパスをした。
「ヨッシャァー。食らえ」
菜々が上げたビーチボールを綾香は智に向かってアタックをかました。
「ぐはっ」
綾香のアタックを受けたビーチボールは智の顔に当たった。
「あ、ごめん手が滑った」
「絶対わざとだったでしょ」
綾香は智から目を逸らした。
「お返し」
と今度は智が綾香の顔にビーチボールを投げた。
「っつぅ。やったなぁ」
と二人はボールを投げ合った。
「あはははは」
二人の対決を止めたのは雪の笑い声だった。
「ご、こめんなさい。ふふ、だって二人を見てたら面白くてつい」
そう言い終わるとさらに雪は笑った。
「笑い過ぎじゃん雪ちゃん」
そう言って周りも笑った。
そうして、私達は1日中プールで遊んだ。途中昼食のときに一悶着あったがそれは話さないでおこう。
プールサイドで智と雪は喋っていた。
「今日はありがとうございます智さん」
そう言って雪は頭を下げた。
「気にしないでよ。私はただ誘っただけなんだから」
私は手を振りながら否定した。
「なんか、雪さん見てるとずっと気を張って心配だったから」
「智さん優しいんですね」
「そんなことないよ。私はただ救われるのを手助けしただけよ」
私は何気なく、無意識でそうこたえた。
「くっ!?」
するといきなり雪が頭を抑え苦しんだ。
「ど、どうした雪。大丈夫か」
私は慌てて雪に近寄った。
「何があったの智!」
二人の様子がおかしいと思い周りの仲間たちが集まってきた。
「雪の様子がおかしいの」
「とりあえず、安静な場所に移すわよ」
「わかった」
そう言って私は雪を背負った。なぜかその感覚に懐かしさを感じた。
「ごめんね。ともくん」
「え!?」
その瞬間、俺は自分に欠けたなにかを感じた。