「どうしたの?急に倒れちゃって。心配したのよ」
保健室のベッドで寝ている雪と梨央がしゃべっていた。
「分からない。急に辺りが真っ白になったの」
「それ、大丈夫なの」
「まあ、大丈夫だよ」
「なら良かった。先生が学校にいるらしいからもう少し休んでおきなさい」
「うん。ごめんね、梨央ちゃん」
「気にしないで、友達なんだから」
そう言って梨央は保健室を出た。
「あれあれ?どうしたの梨央ちゃん。浮かない顔しちゃって」
校門に翔大がたっていた。
「何よ、殴られたいの」
梨央は右手に力を込めた。
「いやいや、そんなわけないよ。ただ幼なじみが不安そうな顔してたから」
「あんたは昔からそういう事は鋭いわね」
梨央はため息をついた。
「あなたはどう思う?雪の探している男子は」
「困っていたらすぐに助けてくれてたってまるでヒーローみたいだけど」
「そうじゃない、彼は本当に居るの?」
梨央は日頃の思いをぶつけた。
「雪は居るかどうか分からない彼にずっと縛られている。苦しめられている。そんな雪を見ているのは辛いの」
そう言う梨央の目には涙が浮かんでいた。
「確かに居るかどうか分からない。でも、彼女は居るって信じてる。友達ならそれぐらいは信用してやれよ。それでも困るんなら智達を頼れ。彼女達ならきっと助けてるれる。そういう奴等なんだから」
「成程、あんたもたまには良いことは言うのね」
梨央は右手で目をこすった。
「あとは俺もね。幼なじみなんだから」
「あんたの力なんて要らないわよ」
梨央はクスッと笑った。
「やっぱり笑った顔の梨央ちゃんの方が可愛・・」
言い終わる前に翔大は梨央に殴り飛ばされた。
「今日は楽しかったかプール」
部屋に戻るとクロが待っていた。
「ああ、楽しかったよ。クロもこれば良かったのに」
「お前なぁ、猫は水が嫌いなんだよ」
「あ、そうだった。ごめん」
私はクロに謝った。
「どうした、何か考え事でもしてんのか」
「え、どうして」
「帰って来たときの顔眉間にシワがよってたし、変なこと聞いてくるし」
「実は、今日雪が倒れたんだ」
「雪ってあの白髪の少女か」
「そう、その時私が背負って保健室に連れていったんだよ。その時、なんか懐かしい感覚がしたんだ」
「懐かしい感覚じゃなくて柔らか」
「なわけないでしょ」
クロが言い終わる前に拳骨が落ちた。
「痛、なら何だよ」
「それが分からないの。昔何回も背負った感じがして」
「だから、それって柔らか」
また、クロを叩こうとした智は天使からもらった端末のバイブレーションに気付いてそれを取った。
智の拳骨に目をつむって身構えていたクロ。なかなか拳骨が飛んでこなくて薄目で周りを見てみると智は誰かと喋っていた。
「分かった今行く」
そう言って智は端末を切った。
「クロ、行くぞ」
「行くってどこに」
「今、奈々とシノが襲われてんだ」
「なんなのあいつ。強すぎでしょ」
「喋る余裕があるなら大丈夫でしょ」
二人は突然歪みの世界に吸い込まれ、そこにいた黒のフードを被ったなにかに襲われた。
二人はニヤッと笑った。しかし、二人はもうへとへとだった。それに対して相手はダメージひとつなかった。
「二人とも大丈夫」
そこに智が助太刀に来た。
「まあ、何とか」
「何言ってんの。ボロボロじゃん。二人は休んで」
そうして二人をかばうように立った。すると、それはフードの中でニヤッと笑うと後ろに大きく飛んだで逃げた。
「くそ、なんなのあれは」
「分からない。でも、かなり強かった」
すると、近くで建物が大きな音をたてながら崩れていった。
「二人は休んで。行ってくるから」
「だめ。智さんだけじゃあれは止めれない」
「そうよ、いいとこどりはさせない」
二人はボロボロの体に鞭打って立ち上がった。
「・・・分かった。無理はしないでよ」
「「分かった」」
三人はまた大きな音をたてて壊れる建物の所に向かった。
三人が到着するとそこにはさっきのなにかは居なかった。しかし、
「綾香!」
そこには、ボロボロの綾香がいた。三人は綾香の傍に行った。
「えへへ、こてんぱんにされちゃった」
「笑いごとじゃないって。何があったの」
「いきなりこっちの世界に来たと思ったらフードの奴にやられて」
「なんとか初撃は綾香さんの能力でほんの少し遅れさせてその隙に転身させたんでこれですみましたが」
ミケは申し訳なさそうに言った。
「そっちは転身の隙も無かったのですね」
そういってシロが猫の姿になって現れた。
「一体、あれは何なの?」
奈々はそうつぶやいた。すると、どこからか金属のぶつかる音がした。その音がこっちに近づいてくる。
壁を突き破って咲夜が現れた。
「皆揃ってどうしたの?ボロボロになって」
「会長もどうしたんですか」
「いや、急に襲われてそれの応戦をしてたの」
そう言う咲夜の体にはいくつかの切り傷があった。
「まさか皆襲われてるなんて一体何が起こってるの」
「そんなの簡単な事じゃん」
綾香がそう言った。
「簡単って何なんだ」
皆が綾香のほうを見た。
「私じゃない。あいつよ」
そう言って綾香は指を指した。そこにいたのは・・・
「そうよ。私が言ったの」
そこにはフードをとった綾香がいた。
「がっかりしました。ここまで弱いとは思いませんでした」
「なんで私が」
もう一人の綾香の隣に奈々がいた。
「仕方ないわ。まだ彼女たちは覚醒すら出来ないのだから」
「あら、やっぱりいたのね」
「どういうことなんだ。どうして奈々達がもう一人いるんだ」
「そんなの簡単だよ」
三人の後ろから彼は現れた。
「初めまして、俺は友久。そして、この世界の魔王だ」
五人の前に魔王が出てきた。