突然の異常事態に私達は固まっていた。
「ど、どうしてお前は魔王なんだ」
「あれ?聞いてない。綾香の生前の話で友久は魔王として出てきたはずだけど」
それを聞いて俺は最近天使から話された話を思い出した。
「ついでに教えてあげるよ。友久は魔王になる運命なんだよ」
「そ、そんな訳がない。だって私は死ぬ前までただの学生だっ」
「そんなわけないって自分自身でも分かってるじゃないか」
「!!」
私にはその心当たりがあった。だからこそ焦っていた。
「ただの学生が何かの運命を変えれると思うか。殺気だけで人を動かなくすることができると思うか。それは不可能。それを可能にするのは魔王となる者だけだ」
「違う、私は魔王じゃないヒーローなんだ」
「そうです。こんな優しい人が魔王なわけありません」
そう言って奈々が智を守るように前に立った。
「貴女だけかっこつかせないわよ」
そう言って咲夜が立ち上がる。
「そうよ。守るって決めたんだから」
そう言って綾香が立ち上がる。
「お姉ちゃんには負けられない」
そう言ってシノも立ち上がる。
「やっぱりどこの世界線でも優しい仲間がいるんだね。でも」
魔王は姿を消した。
「ど、どこにいった?」
魔王は智の目の前にいた。
「まずい」
四人は魔王を攻撃しようとしたが、魔王は四人を見た。
「しまった」
奈々は前に教えてもらっていたので反応できた。それでも、「あの力」には抵抗できなかった。四人は固まってしまった。
「その力は」
「君も知ってるよね。これも魔王の力なんだ」
「違う、私は」
「これでも?」
そう言って魔王は右の掌から黒いなにかを出した。そして、それを智の体に入れた。
「ううぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
体の中からどす黒い何かがひろがってきた。智から発する力はとてつもなく。四人は吹っ飛ばされた。
魔王はいつの間にかもとの場所で座っていた。
「一体何を智さんにしたんですか」
「いや、ただ頑なに魔王であることを認めないからね。証拠を見せてあげてるのさ。彼女の体からは発っせられる力は何だとも思う?」
「・・・・この嫌な感じ。普通の力じゃないのは確かね」
「そう、普通じゃない。一人一つの属性しか扱えないのが普通だ。なのに彼女は様々な属性を使うことが出来る。不思議だろ。それこそが友久の運命の力。闇だ」
「闇?」
「そう、全ての属性は闇と光の派生によって出来てる。だからこそ闇の力を持つ彼女は様々な属性を使えるんだ。ほら、もうすぐ出来上がるよ。闇を纏った智がね」
すると、後ろからゾワッとしてどこかのっとりとした感じの寒気が首筋を襲った。
「・・・・あれが智さんなの」
後ろを振り返るとそこにいたのは今まで見たことのない智がいた。
「気をつけて。あれが魔王の力をもつ智よ。洒落にならない強さだから」
「それくらい見てわかるわ。じゃあ、元に戻す方法は」
「ごめんけど私は知らない」
一瞬四人の時間は止まったように静かになった。その、沈黙を壊したのはシノだった。
「そんなの一発ビンタしたら目覚ますよ」
「そうね。あのバカはそれぐらいで目が覚めるでしょ」
四人の思い空気がなくなった瞬間突如嫌な寒気が消えた。
「くる!」
四人は身構えた。
「本当にどの世界の友久さんは好かれるんですね」
魔王の横で傍観していた菜々はそう呟いた。
「それも僕の運命的なんだよ。君達には迷惑な話だよ」
「そうとは思わないよ。友々には命を救われたんだから」
「その言葉は嬉しいね。さて、あっちはもうそろそろだね」
四人は下の様子を見た。
「なんなのあれは!!」
四人はさらにボロボロになっていた。それに対し智はダメージを受けていなかった。
智は手から黒い玉を生み出した。それを菜々達の所に飛ばした。
「皆避けて」
四人は飛んでくる黒い玉を避けた。しかし、
「弾けろ」
「きゃああああ」
黒い玉を避けたはずだったがその玉が弾け四人は飛ばされた。
「く、なんですかさっきの攻撃」
土煙も立ち込め菜々は周りが見えなかった。
その時、土煙から一本の手が伸びてきた。その手は智のだった。捕まえられると思ったとき、誰かが横からやって来て菜々を押した。
「痛っ。何をす」
押された法を見るとそこには智に捕まっているシノの姿があった。
「シノ!!」
智はまた手から黒い玉を生み出していた。シノは逃げようとするが逃げ切れない。
「やめて、智さん。シノが」
菜々の声は智には聞こえず、黒い玉はシノの目の前に構えた。シノはまだ逃げ切れていない。智は振りかぶった。
「やめて、やめて友久さーん!!」
菜々はおもいっきり叫んだ。
智の手はシノの目の前で止まった。黒い玉も消滅し、シノを放して固まっていた。
「シノ。シノ大丈夫」
「うん。一応なんとか」
すると、さっきまでの寒気がだんだんとなくなってきた。
「シ、シノ」
智は呟いた。智はとたんばで正気を取り戻した。
「ごめん」
そう言って智は消えた。
「二人とも大丈夫」
シノと菜々のいるところに咲夜が達がやって来た。
「一応はでも、智さんが」
「そういえばどこにいったの」
「わかりません。でも、一応正気は取り戻していました」
「・・・そう、良かったけど、智は大丈夫かしら」
「彼女なら大丈夫ですよ。きっと」
そうして、智達は大きな傷を残しながらもなんとか乗りきった
はずだった。
「今回の事は何か意味があったの?」
咲夜は魔王に問い掛けた。
「あったよ。今回は彼女達にとっていい刺激になったはずだ」
「彼女は大丈夫なの」
「彼女にはあれで壊れてしまっては困るけどね。まあ、壊れたら彼女はそこまでだって諦めて他の作戦でいくだけだ」
「そう。分かったわ」
それから数日が経ち夏休みに入ろうとしていた。
「すみません。菜々さん」
「どうしたの雪さん」
「最近、智さんが来てないけど何かあったんですか」
菜々は少し困った顔をした。
「特に何もないはずなんですけど」
彼女の鞄には白と黒の猫のキーホルダーが付いていた。