FATER   作:知咲

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 智は自分の力に怯えていた。そんな姿を見ていた二人?が立ち上がる。




 夏になってもフェイターの仕事は休みはなく現れるディアブロス達を菜々達は倒していた。

「前よりも少しずつだけど強くなってるよねディアブロス」

 シノは倒したディアブロスを見ながら呟いた。

「確かに少しは強くなっているわね。でも、その分私達も強くなっているわ」

「そうですね。それに智さんも・・・」

 三人は俯いた。

「大丈夫かな・・・?智さん」

 

「いいのか友久。このままでいて・・・」

「大丈夫だよ。菜々達は強いから。それに今は智だよ」

 私はベットの上で寝返りをうった。

「はぁ。一体どうすればいいやら・・・」

 智はあの日からフェイターとしての戦いに参加していない。それに、あれほど嫌がっていた智の姿をずっとしていた。

(まあ、あいつと会ったから仕方ないが・・・)

 こっちの世界の自分は魔王でありその力を自分も持っていてそれで仲間を傷付けてしまったんだ。こうなるのはしょうがないのかもしれない。

(だけど、このままじゃあ駄目だしなぁ)

 クロは頭を悩ましていた。

「どうしたのクロ?」

 するとどこからともなくルシが現れた。

「実は今友久がスランプなんだよ」

「そうなの?私から見たら力が漲っているように見えるけど」

 一度ルシは智を見て言った。

「ああ、確かに力は今までとは段違いに上がったんだ。でも、自分の力を恐れてるんだよ」

「力を恐れてるねぇ・・・」

「一回聞いたことあるんだ。あいつは子供の頃ヒーローになるって言ってたんだ。それなのに自分は魔王の力を持ってると知ってしまったからな」

「本当に彼女の力は魔王の力なの?」

 ルシは首を傾げていた。そして、智の目の前に飛んでいった。

「うわぁ!どうしたのルシ?」

「今から特訓するぞ智!!」

「特訓って何の?」

 智は首をかしげた。

「もちろんフェイターの特訓!」

「嫌だ。する意味が無いでしょ」

 智はまた寝返りをうった。

「勿論、意味はあるのよ。だって、貴女このままじゃあ本当に魔王になるから」

 ビクッと智の身体が少し跳ねた。

「自分でも分かってるでしょ。力に飲まれつつある事くらい」

「・・・ああ」

 クロは驚いた。ルシが智見るだけでそこまで分かった事に。

(やっぱり繋がりが強いから分かるのか)

「だからこそ特訓が必要なの。その力を自分のものにするために」

「分かったよ・・・」

 そう言って私は歪みの世界に行った。

 

「特訓するって言ってたけど何をするの?」

「まずは智の力を知ってるもらう」

「知ってるもらうもなにも。この力は魔王の力なんでしょ?」

「半分正解。詳しくは闇の力よ」

「闇の力ってだからなんなんだよ」

「じゃあその相反する力ってなんだと思う?」

 ルシは私を指差した。

「闇の反対だから・・・光とか?」

「そうそしてその力を操るのが得意なのが天使達」

「その逆に闇の力よ得意とするのが魔王?」

「それと堕天使である私」

 ルシは自分を指差して不敵に笑った。

「だからどうしたの?」

「つまり、その力は闇の力であり、魔王の力じゃないの。それが分かれば少しは自分の力に自信が持てるでしょ?」

「だからなんなの!?この力は仲間を傷付ける力なの」

 ルシは呆れるように溜め息をついた。そして、

「まあ、当たり前だよ。そんなの」

 ルシは躊躇うことなくハッキリ言った。

「ちょ!ルシ何を言ってんだ」

 クロが止めようとしたがルシは抑えた。

「どんな力も使い方を間違えたら誰かを傷つける」

「それは分かってるよ」

「だから貴女にはその力を扱えるようになるしかない」

 ルシは智の肩に止まった。

「ねぇ、上を見て」

 ルシは上を指差した。それにつられて私も上をみた。

「えっ?」

 そこには夜空が広がっていた。

「ど、どうしてだよ。今は昼だぞ!まるで夜じゃないか」

 私の疑問をだ代弁するかのようにクロは言った。

「これは私が見た夜空を見せているの」

 「えっへん」という効果音が聞こえるようにルシは胸を張っていた。

「でもどうして夜空を見せたの?」

「どうして星が輝いているかわかる?」

「確か本であったな・・・。自ら光る星もあれば太陽の光を反射して光る星もある。だったっけ?」

「その通り、星はいつも輝いている。でも、その輝きが見れるのは夜だけ。その理由は分かるよね」

「夜は昼と違って太陽の光がないからでしょ」

「そう。つまり星の輝きを見るためには夜の闇が必要なの」

「夜の闇・・・」

「確かに闇は恐ろしいものかもしない。闇は全て飲み込む。でも、闇は全てを包み込むものであり何かを輝かせる為には必要なの」

「それが闇・・・」

「そう、智のその力は使い方を間違えなければきっと役に立つ。だからその力を恐れちゃだめ」

「力を恐れてちゃだめ・・・か。分かった。私この力をコントロール出来るようになるよ。じゃあ、特訓しよう!」

「え?もう終わったよ」

「へっ?」

 私は変な声が出てしまった。

「終わり?」

「うん」

 ルシは首を縦に振った。

「特訓まだしてないけど・・・」

「さっきのが特訓だけど?」

「そ、そうなの?」

「今はまだ目覚めたばかりの力だから別に扱う必要もないし、他の力を使っていけばいい。智には自分の力について知ってもらうことが必要だと思ったからこんなことしたの」

「そうだったんだ。ありがとうルシ」

「これで仲間達とまた戦えるでしょ」

「うん。でもまずは皆に心配かけたこと謝ってくる」

 そう言ってこっちの世界に戻って智は部屋を飛び出した。

「なあ、ルシさっきの闇の力の説明。もしかして記憶が戻ったのか」

「全然」

 ルシは頭を横に振った。

「私はただ自分が見たことを教えただけ。夜空のやつは智の部屋にある星座の本を見たときに知った事だから」

「まあ、それで智が立ち直ってくれたならいいか・・・」

 クロはホッと安堵した。

 

 

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