「暇だな…」
私立駒王学園高校のオカルト研究部。
その実態は駒王町を陰ながら管理している悪魔の1柱(家)、グレモリー家の次期当主と その眷属が活動する為の拠点である。
その部に、悪魔としてではなく、只の人間として?入部したシリューは悪魔としての活動…本格的な望みを叶えるに応じた対価の取得は勿論、例えばシェア拡大の為のビラ配り等も免除、一応は形だけでもと、ある程度の時間帯迄は、部室に待機という事になっていた。
尤も最初の1週間は、部長のリアスや副部長の朱乃から、悪魔…冥界や他の勢力等の情報情勢事情を学んではいたが。
部室内の応接テーブルに、ノートや参考書を広げて宿題を片付けた後は、何をするでなく、アームチェアに体を沈め、スマホを弄っている毎日だった。
「…隣の空き部屋に、トレーニング機材でも持ち込むか?
部長が戻ってきたら、聞いてみるか…」
1時間後、その部屋の掃除等を責任持ってこなすのを条件に、シリューはリアスから機材持ち込みの許可を受ける。
》》》
3日後。
「あら?シリューは?」
放課後、部室の応接兼ミーティング室に部員全員が集まり、御茶でもと思っていたら、約1名程不在。
「また隣の部屋じゃないですか?」
部室の隣、最早シリューの専用トレーニングルームと化した部屋。
リアスに機材持ち込みの許可を得たシリューは、様々な器具をテレポーションを使って持ち込み、その部屋は翌日には、ちょっとしたジムの様な完備になっていた。
「仕方無いわね~?祐斗、悪いけど…」
「…あ、わたしが呼んできます。」
リアスが隣の部屋に居るであろう、シリューを木場に呼びに行かせようとした所、後輩である塔城小猫が自分がと、先に茶菓子を食べていたのを止めて、立ち上がった。
「じゃ、小猫、お願いね。」
》》》
ガラ…
「シリュー先輩、居ますk…」
「ん?小猫か、何かあったのか?」
「…………………………………………………………………………………………。」
扉を子猫が開けると、其処には床に敷いたマットの上で、腹筋を鍛える如くな上体反らしをしているシリュー。
彼からすれば、突然の訪問者。
腹筋運動を一端止めて、何事かと起き上がって聞いてみるが、小猫は そんなシリューを見ると、無言で固まってしまう。
ガラガラ…
「…?」
そして、やはり無言で扉を閉める小猫。
その後 彼女は、虚ろな目をしてフラフラと、まるで酔っ払いの様な覚束ない足取りで部室に戻ると、
「あら?小猫ちゃん?シリュー君は居なかったの?」
「は、はだ、はだ、はだ…い、いやあああああああああああああああああぁっ!!」
「「「!!!?」」」
絹を引き裂いたかの様な乙女の悲鳴を、旧校舎に響かせたのだった。
ガラっ!!
「な…何だ、今の叫び声は?
小猫、一体何があった!?敵か?」
そして その叫び声を聞き、シリューも部室に駆け付けた。
…が、
「ひぇっ!?」
「あらあらあらあら…?」
「う…ゎ…」
「Ω|♂x♀¢(゚∇゚)Ψ£ξ∋ゑ∬∂…?!」
パタン…
「「こ、小猫ちゃん?!」」「小猫ぉ!?」
》》》
「…で、部長に滅っ茶苦茶説教された。」
「くくく…そりゃ、お前が悪いよ。」
翌日の朝、教室で昨日のあらましをシリューが話すと、それを聞いた匙は、腹を抑え、必死に大笑いするのを堪える顔をする。
「お前なぁ…耐性の無い女の子の前、上半身真っパって、普通にアウトだろ?」
昨日、小猫が呼びに行った時、上半身には何も身に着けず、トレーニングしていたシリュー。
その際に、結果的に二度に渡って見せられた、その
ついでに その時に巻き添えな感じで、小猫程ではないが、地味にダメージを受けたリアスからも、散々とOHANASHIされたのだった。
「いや、しかしだな、下はキチンとジャージを履いていたのだが?
そもそも、全く身に覚えの無い、露出狂とか、露出癖を もう少し自重しろだとか、失礼な話だとは思わんか?」
「いや、お前、
…ってか、お前、自覚無いのかよ?」
「解せん。姫島先輩は、どうって事も無かったのだぞ?
てゆうか寧ろ、目を輝かせてガン見してたぞ、あの人?」
「まあ、あの人は…な…
…で、グレモリー先輩は顔真っ赤にしてドン引き、塔城さんに至っては、オーバーキルって訳か…」
「
「だから、そーゆーのは偏見だって…」
》》》
ガラ…
「ちゃっす…」
「あ、シリュー先輩…」
「よっ、小猫、今から
放課後、シリューが部室の扉を開けると、転移魔法陣を転開していた小猫が居た。
「…はい。」
シリューの顔を見た途端、何かを思い出したかの様に、顔を真っ赤にして返事をする小猫。
「大丈夫か?何だか顔が赤いけど、熱でもあるんじゃないのか?」
「え゙?だだだだだ…大丈夫です!」
「そっか…じゃ、頑張って来いよ!」
「はい…行って来ます…。」
良い笑顔でサムズアップするシリューに小猫は頷くと、魔法陣が放つ光に溶け込む様に、姿を消して行った。
「…大丈夫か?アイツ?」
子猫が姿を消した後、改めて心配そうな顔をするシリューだが、直後に「お前が大丈夫か」と、部室の奥側から2人の やり取りを見ていたリアスと朱乃から、盛大に突っ込まれる。
「アナタ、それなりに頭良いって聞いてたけど、もしかしたら1周回ってバカってゆーヤツ?」
「あらあら…シリュー君って、意外と天然なのですね。
それとも、単純に
「…解せん。」
》》》
「ふぅ、思った以上に遅くなってしまったな…」
日も落ちて、電柱の街灯に光が灯る住宅街、シリューは1人、家路を歩いていた。
この日は小猫が『仕事』から帰ってた後(何故か他校?の制服を着用)に、少しばかり長いミーティングが行われた。
『部活動』の報告だけなら、シリューは別に参加する必要性は無く、直ぐに帰宅出来たのだが、今回は少し前に赤龍帝であるシリューに接触してきたと思われる、他勢力についての話だった為、一番の当事者が参加しない訳には いかなかった。
堕天使…ね…
シリューがオカルト研究部に入部した時点で、他勢力と思われる者との接触があった事は、リアスが冥界の上層部…魔王に報告していた。
そして今日の昼過ぎに冥界から、駒王町に堕天使の一派が潜伏している可能性の連絡があったのだ。
シリューに正体を隠して言い寄ってきたのも、その堕天使達である可能性が高いとの事。
尚、組織ぐるみでの行動か、一部の者の独断での動きかは、現在確認中との事。
「おい、やっぱり戦いになるのかな?」
『ん?臆したのか?相棒?』
「いや、そうじゃないが…
どうやら"神"は、余程俺を、戦いの場に引き込みたいらしいな。」
『フッ…【神】…か…』
「…?」
歩きながら、何やら小声で、左手に向けて話し掛けるシリュー。
それに対し、その左手の中に存在している様な『何か』が、直接、彼の精神の内に応える。
その声はシリュー以外には聞こえない為、端から見たら、左手相手に独り言、或いは妄想な会話をしている怪しい人、又は ぼっちに見えなくもないが、幸いにも、この場面を目撃している者は居なかった。
「そこの小僧…貴様、神崎孜劉だな?」
「!?」
そう、まるで待ち伏せしていたかの様に、電柱の陰から姿を現した、1人のスーツ姿の男以外は…
シリューは転生の際、記憶やチカラは その儘引き継いでますが、精神等は ほぼリセットされています。
従って前世の様な、修行オンリーな幼少期や闘い漬けの少年時代は経験していない為に(自主的にある程度の修行はしてましたが)、
もしも彼の口調に、前世の人物との違和を感じるなら その為です。
あの特殊な『癖(笑)』は、見事に引き継いでいるみたい?ですが…